ノクターナル・アニマルズ
ファッションデザイナーなのに映画も撮れちゃうってどんなセンスしてるんでしょうか。
しかも、映画祭でも賞を取ってしまう実力。
二兎を追うものは一兎をも得ず、なんてことわざがありますが、この作品の監督には通用しなってことですよね。
今回完全にギョロ目バチボコマッチョの演技派俳優じぇじぇじぇジェイク・ギレンホールの作品てことで観賞しようと思っていたんですが、監督がトム・フォードだとは思いもよらず。
しかも内容が深まる秋にふさわしいミステリーということで、一体どんな美しい謎なのか。
というわけで早速観賞してきました!!
作品情報
「007 慰めの報酬」以降ジェームズ・ボンドが着用するスーツを衣装提供したり、ハリウッドスター達がこぞって華やかな場で彼のスーツを纏うことで知られるファッションブランド、トム・フォード。
彼の才能はとどまる事を知らず、デビュー作がいきなり各映画賞にノミネートされる評価を獲得し、今回再び映画を製作。
離婚した夫婦が20年のときを経て、「捨てた愛」と「失った愛」をどう見つめ、いかなる変化を遂げるのか。
作中小説と過去と現在が入り乱れ、複雑にして濃厚な世界が描かれる。
デザイナーである監督の視覚、ファッション、アートがふんだんに盛り込まれた恋愛映画にして極上のミステリー映画です。
あらすじ
スーザン(エイミー・アダムス)はアートギャラリーのオーナー。夫ハットン(アーミー・ハマー)とともに経済的には恵まれながらも心は満たされない生活を送っていた。ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。
夜のハイウェイの運転中に、レイ(アーロン・テイラー=ジョンソン)らに襲われるトニー(ジェイク・ギレンホール二役)とその妻(アイラ・フィッシャー)と娘(エリー・バンバー)。家族を見失ったトニーはボビー・アンディーズ警部補(マイケル・シャノン)と共に行方を探すのだが……。
彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。精神的弱さを軽蔑していたはずの元夫の送ってきた小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、再会を望むようになるスーザン。彼はなぜ小説を送ってきたのか。それはまだ残る愛なのか、それとも復讐なのか――。(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けたのはトム・フォード。
冒頭でも書きましたが、この方はファッションデザイナーであります。
映画ファンからすると監督としてのイメージが強いかと思われますが、元々はそっちのお方ってことです。
経営難のGUCCIを彼のセンスと腕で建て直し、クリエイティヴ・ディレクターとしてイヴ・サン・ローランと兼任するほどの買われっぷり。
ちなみにこのブランドまだ10年ちょっとしか経ってないんですね~。
さすがであります。
そんな彼のデビュー作。まだ見てません・・・。どんな作品か調べてみました。
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こちらがそのデビュー作。監督が脚本、製作もした意欲作。
クリストファー・イシャーウッド原作に自身の体験を重ねた仕上がりになってるそうで、愛するものを失い、絶望の中で自らも死を決意した男の一日を、美しく丁寧に綴っていた作品だそうです。
この作品が米批評サイト、ロッテントマトで86%をたたき出し、主演のコリン・ファースはアカデミー賞ノミネートを始め、様々な賞で喝采を浴びました。
ちなみにトムフォードのブランドは眼鏡やサングラスが人気だそうで、その火付け役となったのがこの映画でコリン・ファースがかけている眼鏡なんだとか。
こんなすげえ作品も未だ見れてないなんて、まだまだだなぁオレ。
キャスト
アートギャラリーのオーナー、スーザン・モローを演じるのはエイミー・アダムス。
「魔法にかけられて」や「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の頃のかわいらしいエイミーが懐かしい・・・。
すっかりお母さんというか・・・おばちゃ・・・いやいやいや美しいことには変わりないのだ!!!何をいてるんだオレは!!!めっ!!めっ!!
なんといっても「メッセージ」での言語学者ルイーズを演じたことですよね~。
あなたに泣かされましたよオイラ。
こちらもどうぞ。
スーザンの元夫エドワード・シェフィールド、そして作中に登場する小説内の男トニー・ヘイスティングス2役を演じるのは、ジェイク・ギレンホール。
宇宙での密室パニックスリラー映画「ライフ」、Netflix映画「オクジャ/okja」に出演したジェイク。
相変わらず作品を吟味しての出演です。
大作映画にはもう出ないんですかね。
ふと思うんですが、ジェイクって出演した作品の監督が出世するって傾向があるんですよね。
「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」以降、いわゆる大作モノから遠ざかって、小規模の作品ばかり出演しているんです。
その後出演した作品の監督が大作映画を撮るという作品を挙げてみると、
- ダンカン・ジョーンズ監督・・・「ミッション:8ミニッツ」⇒「ウォークラフト」
- デヴィッド・エアー監督・・「エンド・オブ・ウォッチ」⇒「スーサイド・スクワッド」、「フューリー」
- ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督・・・「プリズナーズ」、「複製された男」⇒「メッセージ」、「ブレードランナー2049」
- アントワン・フークア監督・・・「サウスポー」⇒「マグニフィセント・セブン」
ちょっと強引ではありますがこんなにも出世した監督がいるんですね~。
中でもドゥニドゥニことドゥニヴィルヌーヴ監督は、かなりの先見の明があったのではないでしょうか。
こちらもどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
小説内の登場人物、保安官ボビー・アンディーズ役に、「レボリューショナリー・ロード」、「マン・オブ・スティール」、そして今作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートしたマイケル・シャノン。
同じく小説内の登場人物でトニーの家族を襲うレイ・マーカス役に、「キック・アス」、「GODZILLA」、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」のアーロン・テイラー=ジョンソン。
同じく小説内の人物でトニーの妻、ローラ・ヘイスティングス役に、「グランド・イリュージョン」、「お買いもの中毒な私」のアイラ・フィッシャー。
スーザンの現在の夫、ハットン・モロー役に、「ソーシャル・ネットワーク」、「コードネームU,N,C,L,E,」、「ローンレンジャー」のアーミー・ハマー。
アン・サットン役に、「ハドソン川の奇跡」、「ラブ・アクチュアリー」のローラ・リニーなどが出演します。
監督いわく、この物語は人生において選択がもたらす結果と、それを諦め受け入れてしまうことへの警告、そして人間関係すらも安易に捨てられてしまう文化にあって、献身や愛、忠誠を語り、人間関係をめぐる物語だそうです。
果たして初のトムフォードを理解できるか、俺!
ここから観賞後の感想です!!!
感想
複雑な構成から導かれる結末に唸る!
こんな女はこうなるべきだ!と同情したくなる、完膚なきまでに打ちのめした復讐の物語!
今回はがっつりネタバレします。
決して難しい話ではない。
仕事で成功し何もかも手に入れた女の元に届いた、元夫からの一冊の小説。
物語と現在、そして元夫の回想シーンが複雑に構成されながらも、少しづつ明らかになる元夫の思い、その思いに翻弄される女。
女は何を感じ、何を得ようとするのか。
何故元夫は20年という歳月を経て、この本を送ったのか。
全てが明かされた時、観る者の感性を刺激する。
ゴージャスな美術や衣装や映像、それと真逆に作中劇でのまっさらな荒野、放たれる美と醜、現在と過去、あらゆる対比で紐解かれていく作品であったと同時に、緻密に計算された脚本、主演二人の卓越された演技、息が詰まりそうになるほどの深い悲しみと、スリリングな展開に非常に心躍らされた満足度の高い作品でした。
正直これってどういうことを示唆してるんだろう?という部分が多かったことは認めるものの、洗練されたアート性や深い悲しみと憎しみが同居した小説内物語に心動かされ、見終わった後の深いため息は決して疲れたという意味のものではなく、なんかすげえもん見せられたなぁというものでした。
なんか回りくどい書きはじめになってますが、結論から言えば、元妻に対して「てめえよくもオレを捨てやがったな!オレの20年にわたる積年の恨み!いまここで晴らしてやるぜ!」って話でだったと思う。
で、そんなこともわからずに不眠症も手伝って小説に没頭して、あらやだ・・・何・・・あたしの元夫ってこんな才能あるの?ウソ・・・スゴイ・・・この小説売れるわ・・・別れるんじゃなかった・・・あぁドキドキするぅ・・・会いたい・・・逢いたい!!この気持ち止められな~~~い!!!
ってなって最後に初めて彼の小説の本当の想いに気付く、これで復讐完了!っていう流れ、だと思います。
これをですね、現在のスーザンの全て手に入れたにもかかわらず満たされない日々と、過去のエドワードとの馴れ初めと結婚生活、そして「ノクターナルアニマルズ」という小説の中の話を、ごちゃ混ぜにしたのが今回の映画ってことです。
ごちゃ混ぜって言い方!!これは失礼。
巧みに計算された順序で展開された映画ってことです。
スーザンの現在
明らかに太っている裸の女性達が、きらびやかに腰を振って踊っているシーンから始まる今作。
これはアートギャラリーでスーザンが手掛けた展示作でした。
彼女はそんな仕事で成功し、公私ともに満足のいく生活を送っているかと思いきや、旦那のハットンは事業がうまくいっておらず、しかもこそこそ浮気をしている。
仕事で褒められてもあんなのはジャンクと言い放っていることから、達成感のようなものすら得ていないといった状況。
そんな中、元夫から送られてくる小説にのめり込んでいきいます。
スーザンの過去
彼女の家系はいわゆるブルジョアで、彼女の両親は典型的保守的な差別主義者でした。例としてはゲイである兄を勘当してしまうほど。
それにコンプレックスを抱いていたスーザンは、小説家志望の優しく温厚な性格のエドワードに惹かれていきます。
もちろんそんな交際認めませんよアタシは!
百歩譲って交際はいいとして結婚は断固反対!
あなたアタシの子よ!
そんな意志の弱そうな男とうまくいくわけないじゃない!
所詮あなたはブルジョワ階級の子なのだから無理無理!
と、お母ちゃんのローラリニー。
はいコンプレックス爆発です。
反対を押し切ってエドワードと結婚するスーザンですが、やはり親の子。
才能が認められず中々芽が出ないエドワードに徐々に嫌気が指していきます。
エドワードに小説のアドバイスをしても、意見が合わずぶつかりがち。
それに対し諦めることを選択するスーザン。
何故諦めるんだ、そう簡単に捨てることを選択するな。激高するエドワード。
実はスーザンは妊娠していました。
そのことをエドワードに告げず、ちょっといいなぁこの人みたいな感じで現れたハットンに同行してもらい、スーザンは中絶をしてしまいます。
この一連の行動をエドワードに知られてしまい、悲惨な別れ方をしてしまうのでした。
ノクターナルアニマルズの内容
ここでは小説の中身をざっくりと説明しようと思います。
トニー一家は、夜の荒野の道を目的地めがけて車でひたすら走っていました。
娘はあまりにも暇で携帯をいじってますが、ど田舎を爆走中ということもあり電波は圏外。
すると前を走る車が彼らを邪魔してしまうんですね。
何とかよけて追い越すんですが、乗ってるのはいかにもガラの悪い3人組。
そして追い越したと同時に娘のファックポーズ。
これがいけませんでした。
そのポーズにムカっときた3人組は、トニーの車を追いかけます。
横に付け車をぶつけ路肩に追いやるのです。
これはまずいな・・・そう感じたトニーとその3人組に怯える妻と娘。
これは事故で、お前がぶつけた。
警察を呼ばないと。
いやいやここどこだと思ってんの?田舎道よ?しかも携帯繋がらない。
どうやって警察呼ぶのよ。
そんなむちゃくちゃな言いがかりに真摯に対応するトニー。
とにかく車から出てはいけないということを最優先に色々交渉するトニーですが、いかんせん妻と娘がビビリまくりで、3人組にあれこれ喚き散らします。
とりあえずお前ら近くの町まで乗せてってやる、いやいや自分たちで行くから、それじゃあお前ら逃げちゃうだろ!
てかタイヤパンクしてるよ?直してやろうか?
これは罠だ、そう感じたトニーは車を動かすと本当にパンクしていることに気付く。
ここは素直に応じて彼らに修理してもらうしかない。
妻と娘を守るためにはそれが一番だ。
だが3人組は二人が車にいたら車体が上がらないから降りろと命令。
徐々にパニック度が上がってくる娘はとうとう暴言を吐いたことで、3人組のリーダー格のレイは本性を露わにします。
結果、妻と娘は彼らの車に乗せられ連れていかれ、トニーは修理された自分の車に3人組の一人を乗せて追いかけます。
しかし、向かった場所は行き止まりで、その男に無理矢理降ろされ、一人荒野でさまよう羽目に。
ひたすら歩いてヒッチハイクを試みますが、なかなか乗せてもらえない。
ようやくたどり着いた民家で電話を借りて警察に連絡。
近くのモーテルで警察からの連絡を待つとボビーという保安官がやってきます。
ボビーは事件の全容を聞き、トニーの記憶を頼りに降ろされた場所までたどり着いた後、捜査に乗り出します。
妻と娘はすぐに見つかりました。
それも遺体で。
ガラクタが積み上げられたような場所に置かれた真っ赤なソファーの上に裸のまま寄り添って横たわった妻と娘。
話は1年後。
別の事件でボビーはトニーの言っていたであろう3人組のうち一人を逮捕、もう一人を射殺、もう一人を取り逃がしてしまった事をトニーに伝え、面通しをさせます。
トニーは3人組の一人であることを確認。
主犯格であるレイを家までボビーと共に向かいます。
その道中で、ボビーは末期がんで余命わずかであることをトニーに告げ、この事件を自らの手で何としても解決したいことを告げます。
そして2人を連れて来て、トニーの前に立たせ白状させようとするのですが、なかなか話しません。
トニーに銃を持たせ、ボビーは二人の腕を抑えていたのですが、ここでボビーが気分を悪くしその場を離れてしまい、その隙に2人は逃亡を図ります。
逃げ遅れた1人はボビーによって射殺しますが、トニーは今まで抑えていた感情を爆発します。
あの時俺が止めていれば妻と娘は助かった。
そう自分を責めるトニーは悲しみを憎しみへと変え、レイを追いかけます。
近くにあるトレーラーハウスに逃げ込んだレイを見つけ銃口を突き付け、罪を認めろと脅迫。
完全に追い込まれたのに全然悪びれる様子もないレイ。
お前の妻と娘は俺を見下した。
中指をたてた。
だから殺した。
やられたらやり返すだろ、という彼の信条の告白に呆然とするトニー。
トニーは決心し彼を拳銃で撃ちますが、レイはこっそり鉄の棒を隠しており、撃たれた隙にトニーは殴れらて意識を失います。
目を覚ますと殴られたせいで目が見えません。
外へ出て帰ろうとするトニーは足を踏み外した拍子で、持っていた銃の引き金を引いてしまい自分の腹を撃ってしまいます。
ここで物語は幕を閉じていくのでした。
わかる範囲で解説と考察。
- 小説について
小説の主人公トニーとエドワードをジェイクギレンホールが演じていることから、これはトニーのモデルはエドワード自身だというのが理解できると思います。
そしてレイはスーザンの事を指しているのでしょう。
見下されることを嫌い、本能のまま行動するあたりや、トニーの妻と娘を自分のもの様に扱い、殺して捨ててしまうのも。
で、トニーの妻と娘は生まれてくるはずのエドワードの子供のこと。
これは死体の形が映された後、現実でのスーザンとハットンの娘が同じような形で寝ていることから想像できると思います。
この辺を抑えて観ると、小説内の話がいかにしてスーザンの事に対して憎しみを込めた小説なのかがわかると思います。
エドワードもトニーも、どこか優しい感じではありますが、ここぞという時に意志の弱さ、決断力の弱さというのが浮き彫りになっているのが分かります。
トニーはあの時自分がもっとレイを止めていれば、妻と娘が助かったのかもしれないと後悔している点は、エドワードがもっとスーザンをつなぎとめていれば子供を中絶させずに済んだということなんでしょう。
- 太った女
冒頭素っ裸で腰を振って踊るデブの女性たち。
これが何を意味するのかですが、明確な答えはわからないのが本音です。
ですが、お腹に帝王切開の跡が見えたので、これはもしかしたらスーザンの心のどこかにある自分の醜い姿を現したのかなぁと。
実際のこの作品をジャンク呼ばわりすることから、そういう自分を嫌っているようにも見える、処分してしまいたいという心情を感じました。
- スーザンについて
彼女は、結局親に似て地位と名誉と才能がない奴はこっちからお断りみたいなタカビーな女だったことが分かります。
エドワードを小説家として花開くと思っていたのに、いつまでたっても自分の事を書いた小説に全くその才能が見えないことだったり、ハットンの事業がうまく言ってないことも重ねてみるとそうなのかなと。
で、送られてきたエドワードの小説に、これは売れる!
今のうちに関係を修復しておかないと!みたいな衝動に駆られたんでしょう。
お前のこと書いた小説なのにね。
そして愛に飢えていることも。
序盤で結構エッチな会話だったり、エッチな話をするテレビ番組に見惚れたりして我に返るシーンがありましたが、これは多分本能が愛に満たされていないことへの伏線なのかなと。
実際ハットンとはマンネリしていて、しかも浮気してるところを見ると夜の生活はほとんどないんだろうなぁと。
- ラストの展開
小説を読み終えたスーザンはエドワードに連絡を取って会う約束をこぎ着けます。
おめかしして、おしゃれなレストランでひたすらエドワードが来るのを待つのですが、いつまでたってもエドワードはやってきません。
ぽつぽつと周りのお客さんが減り、ようやく彼女はここまでの流れが全て彼の復讐だったことに気付いて幕を閉じるのです。
で、思うのは、現在のエドワードがこの物語で全く出てこないということ。
これに関して考えることは3つ。
一つはまだ生きていること。
おしゃれなレストランは一面ガラス張りになっていて、中からステキな庭や景色が一望できるような作りになっています。
その席に座ったスーザンを何度かレストランの外から映す視点が挟まれているのですが、これってエドワードの視点なんじゃないかと。
自分の復讐劇をきちんと見届けるには、やはりスーザンがちゃんとレストランに来て待ちぼうけにさせないと意味がありません。
ずっと待っている彼女を遠くから覗いて、アイツまんまときやがったよww
しかも周りキョロキョロして俺がいつ来るかそわそわしてやがる!いい気味だぜ~~!!なんて思ってるのかも。
もう一つは自殺したのではないかということ。
小説内では、自分に誤射したことで命を絶ってしまうトニーで終わるのですが、トニー=エドワードだということを考えると、彼は一連の復讐を終え自らの命を絶ったのではないかということが考えられます。
ただ、注意しなければならないのは、火曜日に会おうとメールを返信していること。
この時点では彼は生きているわけで、もし死んだのなら彼女がレストランに来たことを確認してからが濃厚でしょう。
最後にエドワードなんて最初っからいない。
これはもう思いっきり根底からそれた話ですが、そもそもエドワードなんていなくて、スーザンが作り上げた想像の人物なんじゃないかということ。
何故そう思うのかというと、彼女が以前結婚していたことをまわりのスタッフが知らなかったということです。
そして不眠症から来る物忘れのひどさ。
会議に同席した女性に髪型を変えたほうがいいと指摘するのですが、その女性はあなたが変えろと言ったんですよと言い返します。
はて?
アタシそんなこと言ったのかしら?
なんて思い返すことをスーザンはしません。
だって自意識の高い女ですから。
発想の転換でその時はその時、今は今、のような返しで自分の意見を貫きます。
そんな部分からやはり不眠症というのは物忘れがひどく、自分か言ったことも覚えてない。
壁画を誰が買ったのかも覚えてないということから、エドワードという人物を勝手に妄想し、自分で小説を書き上げ、自分宛に送り、自分が書いた小説に翻弄され、あってにレストランで待つ。
そしてラストこれアタシの妄想だったと気づく。
まぁこれに関してはハットンが過去にエドワードと結婚したことを知っているし、中絶の時に車に彼がいて、そこをエドワードが見てるので存在はすると思います。
これに関してはぶっちゃけ超無理がありますが、あくまで考察ですのでどうかご勘弁を。
最後に
今回初めてトムフォード作品を見たわけですが、こんな映画撮れるなんて思ってもみなかったので過去作もチェックしたいと思います。
監督がおっしゃる通り、この物語は人間関係において簡単に答えを出し諦めてしまうことへの警告であり、人と人が繋がっていくには、その選択を簡単に決断してはいけないということだと思います。
きちんと向き合って関係を繋ぎ続けていくことが、豊かな生活への第一歩なんじゃないかと。
今作でもまたじぇじぇじぇジェイクは俳優として素晴らしい仕事をしていたし、なんてったってマイケルシャノンが脇役として、いい存在感を出していたのが良かったですね。
音楽も優雅でした。
なんか007っぽかったのは気のせいかな。
今回はがっつりネタバレしてみましたが、やっぱり全部書くのはちょっと気が引けるな・・。
というわけで以上!あざっした!!
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満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10