21ブリッジ
「レインボーブリッジ封鎖できません!!」
日本の実写映画で今も尚興行収入1位を誇る「踊る大捜査線 THE MOVIE2/レインボーブリッジを封鎖せよ」。
映画ファンの間でもあれこれ言われてますが、僕は沢山の人を映画館に呼んだ作品としても、ドラマから追いかけてきた身としても一定の面白さはあると思う身でございます。
実際劇中では、犯人をお台場から脱出させないように電車や船、道路などのあらゆる交通機関を停止または封鎖させようとするんですが、各団体への根回しをしていないために警察の一存で封鎖することができないという、日本ならではのジレンマが描かれていました。
日本では残念ながら封鎖は困難でしたが、他の国はどうなんでしょうか。
今回鑑賞する映画は、アメリカはニューヨークのマンハッタン島を舞台に、犯人を逃がさないために21の橋を封鎖するクライムアクション。
え、マンハッタンって橋が21もあるの!?ってのも意外ですが、それ以上にこりゃ「踊る大捜査線」より難題じゃね?と。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
「アベンジャーズ/エンドゲーム」のルッソ兄弟が製作、惜しまれつつこの世を去った「ブラックパンサー」のチャドウィック・ボーズマンが最後の主演を演じたクライム・アクション。
殺人強盗犯を追跡するためにマンハッタン島にかかる21の橋を封鎖する、シンプルにして大胆な発想の追走劇。
実際に夜間のマンハッタン島で撮影された本作は、「フレンチ・コネクション」をはじめとした都市型刑事アクションの系譜をしっかりと受け継いだリアルな描写に仕上がっている。
また主人公の相棒を女性捜査官が演じることから、男女のバディムービーとしても新たな風を吹かせている点にも注目。
昨今骨太な刑事アクション映画に物足りなさを感じている人に、圧倒的興奮を与えるであろう本作。
果たして全ての橋を封鎖し、犯人を逮捕することはできるのか。
あらすじ
ある殉職した警官の葬儀。
悲しみに満ちた教会で、その息子である13歳の少年は涙を流しながら、神父の言葉を胸に刻み込んでいた。
「良心に従うこと。善悪の判断を他人に左右されないこと。この残酷な世界で、正しい道を歩むことを」。
19年後。かつての少年、アンドレ・デイビス刑事(チャドウィック・ボーズマン)は、ニューヨーク市警(NYPD)の殺人課で忙しい日々を過ごしていた。
彼は優秀な刑事だったが、同時に問題視される存在でもあった。
容赦ない捜査で知られる彼は、過去に警察官を殺した犯人を射殺したことで、同僚たちからも距離を置かれていたのだ。
内務調査では、職務で発砲に及んだ正当性を追及されるが、アンドレは「正義の代価だ」と主張する。
アンドレの自宅には、尊敬する亡き父親の遺影が大切に飾ってある。年老いた母親は、最愛の夫を突然奪われた痛手をずっと引きずっている。
アンドレは素晴らしい刑事だった父親に追いつこうと必死だった。
そんな折、午前0時13分 真夜中のニューヨークで事件が発生する。退役軍人のマイケル(ステファン・ジェームス)とレイ(テイラー・キッチュ)は、ブルックリンの店のワイナリーに隠されているコカインを盗み出す仕事を請負っていた。
しかしその場にあったのは、彼らが想定していた量の10倍にもなる300キログラムの大量のコカインだった。
「何かおかしい、ヤバすぎる……」と、頭の切れるマイケルは不審に思ったが、その矢先、突然警官隊が突入。激しい銃撃戦となり、慌てたレイは警察官たちを射殺してしまう。
マイケルは軽率なレイを怒鳴りつけるが、もはや彼ら強盗2人組は約50キログラムのコカインだけ手にして、その場から逃走するしか道はなかった。
結局、7人の警察官が殺害され、さらに1人が瀕死の重傷。凄惨な事件現場にやってきたアンドレは、犠牲になった仲間たちを見つめる。
遺体の中には警察学校の同窓生もいた。
NYPD85分署のマッケナ署長(J・K・シモンズ)は、アンドレに本件の捜査に当たるように命じる。そして優秀でタフな女性、麻薬取締班のフランキー・バーンズ刑事(シエナ・ミラー)とチームを組むことになった。
フランキーと捜査を開始したアンドレは、大胆な作戦に出た。事件に介入してきたFBIや市当局の許可を取り付け、マンハッタン島に掛かる21の橋すべてをはじめ、川やトンネル、列車など、島全域を封鎖することを発令したのだ。
ただし時間は午前5時まで。夜明けまでにはマイケルとレイの居場所を突き止め、逮捕しなければならない。
一方、マイケルとレイは連絡係のトリアノ・ブッシュ(ルイス・キャンセルミ)を脅し、裏仕事の依頼主の紹介で、麻薬の換金を請け負うスーダン人のアディ(アレクサンダー・シディグ)のもとに向かった。そしてアディから現金と偽の身分証明書を得て、マイアミに高飛びしようと試みる。
しかし、まもなくアディのアジトにもなぜかNYPDの警官隊が駆けつけ、ドア越しの銃撃戦となる。いきなり目を撃たれたアディは死に際に、謎のUSBとパスワードをマイケルとレイに託した。
「奴らのUSBだ、“クールハンド”」と言い残して。
アンドレは、マイケルとレイの逃走を手助けした連絡係ブッシュの居場所を突き止め現場のクラブへ急行するが、既に市警の警察官が早まって彼を射殺していた。その最中、無線連絡でマイケルとレイの居場所がわかったとの知らせが入る。
アンドレとフランキーは、逃げるマイケルとレイを追い詰めていく。ある食肉工場の中で、アンドレはレイを射殺。
一方、マイケルはフランキーを人質に取り、アンドレと対峙する。
アンドレは、マイケルの聡明さを見抜いていた。
「何もかもが怪しいんだ」彼から襲撃時の話とUSBの話を聞き、どうやら表向きの事件とはまったく別の陰謀があることを悟る。
この事件にまつわる、NYPD85分署の動きのすべてに疑問を持ち始めたアンドレ。なぜそもそも警察官たちが、大量のコカインを保管しているワイナリーに現われたのか?
またなぜ、逃走犯であるマイケルとレイと同じく、警察官たちが麻薬の換金を行うアディのアジトにも向かっていたのか?
封鎖解除まであと数時間。
果たしてアンドレは驚愕の真実にたどり着くことができるのか!?(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、ブライアン・カーク。
本作はどうしてもMCUを興行的成句に導いたルッソ兄弟の名前が前に出過ぎてるせいで、監督にあまりスポットライトが当たっていないのが宣伝とはいえ残念です。
とはいえ、今回僕も初めて知る方。
イギリス・アイルランドで活躍する方だそうで、主にTVドラマシリーズを多く製作されているそう。
「刑事ジョン・ルーサー」で全シーズンに関わっているので、刑事映画はきっとお手のものなんでしょう。
またスケール感でいえば「ゲーム・オブ・スローンズ」にも長く携わっていることから、派手で重厚な描写になっていそうな予感です。
実際内容は一夜の出来事を描いてはいますが、撮影は8週間かけて、しかも夜間でのみ行ったというハードなスケジュール。
監督曰くこの8週間夜間で行う撮影作業が、主演のボーズマンにかかる身体的疲労が実際の刑事のハードワークと重なり、よりリアルな演技になったと語っています。
また作品のコンセプト、製作、主演と優れた要素が集結したことにも歓喜。
「ブラックパンサー」で役者としてステージを挙げたボーズマンを称賛されていました。
キャスト
犯人を大胆な作戦で追い詰める刑事、アンドレ・デイビスを演じるのはチャドウィック・ボーズマン。
2020年8月に惜しまれつつもこの世を去ったボーズマン。
「ブラックパンサー」で黒人のヒーローアイコンを確立。
今後の期待が持たれただけに、世界中の誰もが悲しみに暮れたことでしょう。
本作ではプロデューサーとしても製作に参加しているほどの力の入れ様。
さらに彼の最後の主演作でもあることから、モンキー的にも期待大です。
その大きな理由は生前彼が出演した2作、「ザ・ファイブ・ブラッズ」と「マ・レイニーのブラックボトム」での演技が素晴らしかったからです。
「ザ・ファイブ・ブラッズ」はベトナム戦争を経験した黒人たちが、自分たちを引っ張ってくれたリーダーの遺骨と金塊探しのために現地に向かうアドベンチャーでありながら、ブラックカルチャーを盛り込んだ社会派でもあるんです。
デルロイ・リンドーの演技もすごいんですが、ボーズマンの戦地での逞しいパフォーマンスも必見の1本です。
そして「マ・レイニーのブラックボトム」。
84年に舞台化された作品を映画化したもので、ブルースの女王として君臨するマ・レイニーと彼女のバックで演奏しながら一発当てようと野心むき出しになるトランぺッターを中心に、レコーディングの風景を描くというもの。
室内劇でありながら、熱気と節度ある緊張感を保つ本作は、基本的には人種間に根付く差別が如何に根深いを描いた内容なんですが、本作の凄いところは役者通しの芝居につきます。
脂ギッシュで圧倒的存在感を示すヴィオラ・ディヴィスもすごいんですが、とにかく野心むき出しで怒りや悲しみといった様々な感情を表に出すボーズマンの演技がとにかく素晴らしいです。
よく見ると頬がこけ、あれだけがっしりしていた体も痩せこけているのを見ると、本当に命を削って演じていたんだなと。
アカデミー賞でも主演男優賞にノミネートされているんですが、ほぼ彼で決まりでしょう。
どちらもNetflix作品ですが、是非見ていただきたい2作です。
他のキャストはこんな感じ。
アンドレと組む麻薬捜査官フランキー・バーンズ役に、「フォックスキャッチャー」、「アメリカン・スナイパー」のシエナ・ミラー。
大量のコカインを盗むマイケル役に、「栄光のランナー/1936ベルリン」、「グローリー/明日への行進」のステファン・ジェームズ。
マイケルと共にコカインを盗む元軍人レイモンド役に、「ジョン・カーター」、「バトルシップ」のテイラー・キッチュ。
NY市警85分署署長マッケナ警部役に、「セッション」、「パトリオット・デイ」のJ.K.シモンズなどが出演します。
橋を封鎖して犯人を追うだけでなく、黒幕を追うことで一連の真相を突き止める流れにも注目ですね。
黒幕はなんとなく想像がつくんですが…
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
21ブリッジ!!
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年4月10日
ソフト購入決定案件!! pic.twitter.com/MgrC7ucP3N
うわぁ~すげえ大好き!!
往年の刑事アクション映画と正義を貫くボーズマンの瞳を真っ直ぐ捉えた、王道クライムサスペンス映画でした!!
以下、ネタバレします。
「正義」の男、ボーズマン
父から受け継いだ「正義」を胸に刑事職を全うする男が、コカイン強奪及び警官殺しの容疑者を確保するため、夜のマンハッタンを封鎖し奔走する姿を、キャラクター像や撮影、音楽カメラワークに至るまで徹底的に往年の刑事アクション映画から影響を受けたことが透けて見える清々しさと、善悪の二元論では片づけられない倫理的な問いかけを与えることで現代的な作品へとアップデートし、さらにはタイムリミット近づくNYの街の風景や事件の真相に迫る緊張感が、クライムサスペンスであると共にフィルムノワール感をも漂わせた、一級品の映画でございました!!
久々に興奮した作品でした。
大好きなチャドウィック・ボーズマンだからって理由ももちろんです。
近年ここまで「正義」を背負って演じる男がいたでしょうか。
様々なブラックアイコンを演じてきた彼ですが、もはや彼そのものがブラックアイコンと化しており、ブラックパンサーとは違った「正義」を「善悪」の区別がどういうモノなのか、事件を追っていく中で葛藤しながら答えを見出していく姿!
3人のうちの一人から激しい棒呼応を受けて命を落とした偉大なる父から受け継いだ「正義」の魂は、彼のアイデンティティを築き上げていき、崇高な精神の下刑事の職を全うしているぶれない男。
実際に犯人を射殺した正当性を問われる身でありながら、大胆な発想で犯人を絶対逃さない策を講じていくクレバーな視線。
やがて犯人を追う中で一つの疑惑に目をつけ、身体的に切迫した状況でも冷静に善と悪を見極めていく洞察力。
相棒が人質になった際は、目の前の犯人を説得しながら、射殺すべきか否かの判断に苦しむ姿を、微かに揺れる瞳で表現する演技力。
全ての真相にたどり着くまでに、怒りやとまどい、焦りを漂わせていく演技鵜のバリエーションには脱帽です。
また、父の葬儀で「時に怒りっぽく恐れ知らずで好奇心が強い」と言われた幼いアンドレが、何故孤立しながらも自ら掲げた正義を全うしていくのか。
「残酷な現実を受け止めろ」という神父の言葉を現在でも信じ続けるアンドレが、何故「橋を封鎖」するほどの大掛かりな捜査までして犯人逮捕に執念を燃やすのか。
全ては父が悪者に殺されたからではないでしょうか。
でなければ、内務調査でメッキをはがそうと躍起になる捜査官の厳しい質問に、南北戦争やベトナム戦争を例にして、自分は前線にいることを強調しないだろうし、前線にいるからこそ「正義の代価」を与える権利がある。
腰に据えた警官バッジのように光り輝く彼の「正義」は、単なる「復讐」と銘打って犯人だから無暗に発砲していいわけではなく、あくまで「自分の良心に従い、善悪の判断を他人に左右されない」意志があるからこそ。
だから、彼が銃を発砲するときは相手が銃を向けている時だけだし、仲間が打たれたからと言って、相手をすぐ犯人と決めつけない。
内務調査で問われた疑惑や、同僚たちから植え付けられた彼の刑事スタイルは、決して感情に任せてやってきたことじゃない。
冒頭から彼のスタイルが手に取るように描かれていくことで、彼の犯人を執拗に追い詰めながら、善悪を自身で見極めるスタイルはしっかり出来上がってるんですよね。
惜しまれつつも亡くなってしまったボーズマン。
「夜の大捜査線」以降黒人刑事はいろんな名優が受け継いできましたが、ようやく次の世代が誕生したにもかかわらずいなくなってしまったことの損失は大きいです。
たくさんの方に彼の勇姿を見てほしいばかりです。
撮影、音楽共に最高
ボーズマンの素晴らしさをダラダラ語ってしまいましたが、それ以上にたまらないのは、NYマンハッタン特有の危い匂いが放たれる街並に路地裏、空撮で捉えるコンクリートジャングルなどのロケーションを、夜から朝にかけて撮影することで生まれるフィルムノワール感。
まずね、夜ってのがいいんですよ!
内務調査後に帰宅して、まだ疲れが取れてないであろうアンドレが、目をぎらつかせながら事件の行方を追っていくわけです。
犯人に正義を鉄槌を食らわせるためには、ちまちま捜査するわけにはいかない。
なんてたって、コカイン盗んで7人も警官殺してる凶悪犯なんですから。
だから「21の橋を封鎖」することを提案するんですね。
色々建前並べてFBIを納得させてましたけど、恐らく刑事のメンツから生まれた策なんでしょうね。
FBIに邪魔されてたまるかと。俺らの仇討は俺らだけでやるみたいな。
こうして生まれた逃げ場のないマンハッタンという舞台。
ぶっちゃけ、犯人を閉じ込めるための橋の封鎖が全然物語に活かされてないようにも見えるんですけど、ここはひとつ「逃亡する犯人の可動域を狭めることで、事件の行方も映画の尺も長引かせないための策」と捉えるのはいかがでしょうか。
また、橋を封鎖するにあたって関係各所の根回しだとか、通行人や通行車両への整備はどうなってんだよって話ですけど、そこはもう「映画の嘘」で、都合をつけないとせっかくのフィクションが台無しじゃないですか。
それに橋を封鎖することで、ただでさえ閉塞感溢れる都会の空気の薄さをさらに高めていくし、ちゃんと封鎖するシーンを入れることで緊張感が増すわけで。
うわぁ、ボーズマンここまでしちゃったよ、本気だなと。
逃亡する犯人を追走することで緊張感を与える作品ですから、途中でだれてはいけない。
しかもタイムリミットのおまけつき。
こういう設定ならスリルが生まれるじゃないですか。
これでNY全域まで広げて見なさいよ。
ブルックリンにクイーンズにブロンクス?めっちゃ大変ですよ。
話はそれましたが、基本には登場人物を寄りで捉えることで緊迫した表情を惜しみなく収めていましたね。
追う者は、犯人がどういう経路で逃げたのか、またはなぜここを立ち寄ったのか、あやるゆばしょで生まれる一つの疑念を抱えながら推理していく表情は、ひとすじの汗も逃しません。
逆に追われる者は、一人は目の前の欲望を抑えられず暴走してしまういきり立った表情、もう一人は相棒の暴走を何とか宥めながらも「嵌められた」感が拭えない袋小路の表情。
この寄りのショットがあるからこそ生まれるミステリー感とサスペンス感でしたね。
それ以外は、感想の冒頭でも書いた通り、ざらついた画質にすることでノワール感を存分に際立たせる映像。
さらには濡れた路面に反射するパトランプに寄って見るモノに胸騒ぎを与え、一見表通りは規則的に立ち並ぶビルの群れを下から撮ることで圧迫感を浮き彫りにし、薄汚れた路地裏は排気口から湧き出るスチームによって、まるで事件の真相が包まれてしまうのではないかと思わせる不気味さを抽出。
アクションも素晴らしく、逃亡犯が雑居ビルの狭い通路の中を必死に逃げる際には、敢えて段ボールやラックなどの障害物を置くことで、逃げ切れるか捕まるかのギリギリのレース展開を演出し、それを細かいカット割りでスピーディーに見せる技術が際立っていました。
また往年の刑事アクション映画へのオマージュもたくさん見られました。
なんといってもモロだったのが、アンドレと犯人が停車した地下鉄に乗るか降りるかの心理戦を見せるシーン。
「フレンチ・コネクション」を思わせる切羽詰まった心理戦でしたね。
フレコネで言えば、線路の下を猛スピードで走る車を道路すれすれで捉えるカメラショットも、本レイモンドとマイケルが信号無視して猛スピードで逃げる映像として映し出されていました。
また、マイケル・マン監督へのオマージュとも取れる映像もいくつか見受けられます。
それこそ「ヒート」のような銃撃戦もあれば、夜から朝にかけて描かれる「コラテラル」も本作と共通してますよね。
冒頭と最後で映し出される「橋」の撮り方も印象的。
特にラストショットの橋の映し方は、いかにも古き良きアメリカ刑事映画で見受けられる画。
あれがあるから本作がハードボイルドなんだよなぁとか、決して開かれた場所ではない、良くも悪くもNYだよなぁみたいな余韻を味あわせてくれるんですよね。
で!
ヘンリー・ジャックマンの重厚感あふれる劇伴が乗っかることで、ハードボイルドの雰囲気をさらに高めていくんですよ!!
彼といえば「キャプテン・アメリカ」の音楽が有名ですけど、今回は完全に70年代刑事映画を彷彿とさせる劇伴だったと思うんです。
そこに「シビル・ウォー」のようなアプローチでアレンジした構成。
やはりルッソ兄弟製作ってことで、あの時の映画のような、みたいな注文でもあったんでしょうか。
最後に
お話に関しては、特に目新しい展開もなければ、いたってオーソドックスです。
犯人を捕まえて一件落着のような勧善懲悪ではなく、正義を掲げている者たちが、本当に正義なのか。
残酷な現実から逃れ、安い正義を掲げる者たちをアンドレはどう判断するのか。
「フェイクシティ」や「L.A.コンフィデンシャル」の系譜ですよね。
正義を掲げる以上、それ相当の勇気と覚悟、姿勢が伴われる警察の仕事。
復讐や報復、歪んで物事を解釈し、言い訳を並べて職務乱用するのではなく、善悪を判断しなくてはいけない。
きっとアンドレが歩む道は棘でしょう。
様々な誘惑が訪れるかもしれない。
だからこそあのラストショットなのかなと。
一人で進んでいくという。
あ、忘れてました。
アンドレのキャラクター像って、犯人を射殺する頻度が多い点で「ダーティハリー」のハリーだったり、犯人を血眼で追いかける姿は「フレンチコネクション」のポパイや、「ヒート」でアル・パチーノが演じたヴィンセントにも思えましたね。
正直最初は大きな期待を寄せていなかったんですけど、見てたら食い入るように見つめてましてw
当時の刑事映画を好む方には大好物な映画だと思います。
是非堪能していただきたいです。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★9/10