サンダー・フォース/正義のスーパーヒロインズ
多様性が重んじられる今、色んな役者が色んな役をやってもいいよね?って思えることは結構大事だったりします。
例えば、え?あの人がヒーロー役とかぶっちゃけどうなの?と思ってしまう思考は、一度思い止まって逆にアリなんじゃね?と逆転の発想じゃないけど受け入れたほうが楽しいよねと。
イケメンじゃなくても美人じゃなくても背が小さくても太っていても、もちろん肌の色だって。
どんな役者が演じてもヒーローを演じていいんです。
今回鑑賞する映画は、一見ヒーローっぽいイメージの無い二人の優れたオスカー女優が偉大な力を手に入れてヒーローとして活躍するアクションコメディ。
正直動きが鈍そうですが、そこはスーパーパワーで片づけちゃうんでしょう。
また見た目のギャップで笑わせてくれそうなユーモア描写もたくさん織り交ぜているんでしょう。
未だヒーロー映画にワクワクしちゃう僕ですが、普段のヒーロー映画とは一線を画したお話の予感。
早速自宅で鑑賞しました!!
作品情報
毎週のように新作映画を配信するなど精力的な製作を続けるNetflixが手掛けたスーパーヒーロー映画。
超能力を持つ悪者たちが蔓延る現代を舞台に、かつての親友がひょんなことからスーパーパワーを手に入れたことをきっかけに、街を守るために立ち上がっていく姿を描いたアクションコメディ。
数々の話題作や受賞作に出演する2人の女優が、これまでのイメージを逆手にとったかのようなスーパースーツを着て大暴れする姿は必見。
これまでオファーをしてこなかった製作側に一泡吹かせてやろうとノリノリで演じたことだろう。
また、以前主演女優と作品でタッグを組んだ経験もあるほか、実生活のパートナーでもあるベン・ファルコ—ンが監督を務める。
昨今のヒーロー映画にも言及しそうなやり取りが期待される本作。
彼女たちを通じてどんな笑いとアクションが描かれ、どんなメッセージを放つのか。
あらすじ
スーパーヴィランの脅威にさらされている世界で、とある女性が普通の人にスーパーパワーを与える方法を開発した。
しかし、科学者のエミリー・スタントン(オクタヴィア・スペンサー)が誤って彼女の疎遠になった親友リディア(メリッサ・マッカーシー)に信じられないほどのパワーを注ぎ込むと、2人の女性は最初のスーパーヒーローチームにならざるを得なくなる。
スーパーパワーを持つ悪党と戦い、シカゴをキング(ボビー・カナヴェイル)の支配から救うのはサンダーフォース次第である。(ウィキペディアより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、ベン・ファルコ—ン。
主演のメリッサ・マッカーシーのパートナーでもある監督。
今回製作・脚本も務めてる他に、こんな感じでちゃっかり出演もされているようです。
ポール・フェイグ監督作品を筆頭に作品制作に携わった後、妻のマッカーシーと共に脚本を製作したコメディ映画「タミー/Tammy」で初めて監督を務めています。
その後も、「メリッサ・マッカーシーinザ・ボス/世界で一番お金が好き!」や、「ライフ・オブ・ザ・パーティー」、「スーパーインテリジェンス」など、マッカーシー主演の作品を監督したり出演したりと公私共にべったりな模様。
きっと本作も奥さんをどう面白く美しくカッコよく見せるかを練りに練って作られたんでしょう。
マッカーシー、めっちゃ愛されてるなぁw
キャスト
親友を訪ねた結果スーパーパワーを手にしてしまうリディアを演じるのは、メリッサ・マッカーシー。
そして普通の人間に超能力を与える研究をする科学者メアリーを演じるのは、オクタヴィア・スペンサー。
まずマッカーシーに関して言えば、ボストンの麻薬組織を捜査する凸凹女性刑事コンビが奮闘する「デンジャラス・バディ」や、CIAの分析官がエージェントになり大活躍するアクションコメディ「SPY/スパイ」、さらには、ダメダメな女性4人組が幽霊退治で大暴れする名作のリブート作「ゴーストバスターズ(2016)」などに出演しており、見た目の体格で笑いを取りながら懸命にアクションする姿は想像できるんですよね。
ですが、相方のスペンサーに関して言えば、これまで「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」を筆頭に、「ドリーム」、「ギフテッド」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「魔女がいっぱい」など存在感ある脇役としてドラマメインで出演していた方。
だからこういうアクションを活かした作品に登場するのが非常に意外なんですよね。
今後もこういうタイプの作品に出演する希望でもあるんでしょうか。
恐らく2人の欠けないは絶対面白いこと間違いないでしょうし、なんてたって見た目のギャップから相当笑わせてくれるでしょう。
また彼女らを通じて、どんな人でもヒーローになれるといった使い古された言葉かもしれませんが、それなりのメッセージ性は秘めている気がします。
彼女たちの作品に関してはこちらもどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
街を悪に染めるキング役に、「トムとジェリー」、「アントマン」、「アイリッシュマン」のボビー・カナヴェイル。
キングの手下役に、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のポム・クレメンティエフ。
手がカニになっている謎の男役に、「ザ・ギフト」、「モンスター上司」のジェイソン・ぺイトマンなどが出演します。
予告編ではバスを放り投げたり、透明になってスタンガンをお見舞いする戦いぶりから、スーツを選択してないせいで臭いと言われてしまう、これまで突っ込まれてこなかったヒーローならではの笑いもたっぷり。
どんな内容になってるんでしょうか。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
いやぁ~くだらねえww(褒めてます)
コテコテのヒーローコメディなのにバディ感はしっかりでてましたよ!
以下、ネタバレします。
マッカーシーが笑かすね~w
1980年代、宇宙からの放射線を浴びたことにより、超人能力を持つ人間=ミスクリアンが蔓延る世界を舞台に、かつての親友同士の再会をきっかけにより、超人能力を手に入れた40代後半のふくよかな女性たちがシカゴを守る姿を、がっつりステレオタイプで軽妙なトークで脱線よろしく、ユルさとノリと友情パワーで悪者退治しちゃう痛快ヒーローコメディでございました。
僕の好みの問題なんですが、コメディでもないのに笑わせようと、本筋を止めてまで会話で笑わせようとする映画が好きではなくて。
例で言うと真面目な映画やってる時のタイカ・ワイティティとか、デヴィッド・リーチとか。
これさえなければすごくいい映画なのになぁって毎度思ってしまうんですよ。
でもですね、ちゃんとこれはコメディですという雰囲気をしっかり出していれば何の問題もないんです。
こういうヒーローものやエージェントモノのコメディだと「SPY/スパイ」とか「ゲットスマート」とか。
恐らく「どうせトークで面白おかしく下ネタぶっこんで笑わせようって魂胆ね、本筋はあるけど見どころはそっちだと」といった低いハードルで臨めるから。
本作は正に僕が望んだ低いハードルのヒーローものでした。
大体大きな体の女性が軽やかにアクションするとも思ってなかったですし、監督とマッカーシーの作品をこれまで見てないとはいえ、ポール・フェイグ監督の系譜だろう予測できたし、どれだけ監督がマッカーシーを愛でていて、彼女を使って笑わせたいかってのは見る前からなんとなくわかるだろうと。
別に愚痴ってないですw
恐らく全然アクション面白くねえ!とか、話が脱線して退屈だとか言う方がいると思うんで、この映画はこういう風に楽しむのがベストなんじゃないか?という提案といいますか。
ま、余計なお世話ですよねw
一応マッカーシーとスペンサーのW主演みたいに見えますけど、やはり主人公はマッカーシー演じるリディアです。
彼女がどれだけ向こう見ずで無計画で猪突猛進で、それでいてユーモアに長けているかってのを、真逆の性格であるスペンサーが時に冷静に時に一緒にノるなどして、彼女を立てるという立ち位置。
そうすることでヒーローものでありながら、友情を秘めた成長譚で、尚且つバディムービーの要素を入れながら、外見はバリバリ会話で笑かすトークタイプのコメディ映画だと。
とにかくマッカーシーが笑わせてくれるのが最高です。
例えばこんなの。
- 冒頭の回想シーンから単数形と複数形の違いが全然分かってないリディアが、エミリーをいじめる悪ガキに暴言吐いたりぶん殴ったりする姿。
- ビール片手にシリアル食べながら、牛乳が腐ってるのかシリアルが腐ってるのかわからず、ごまかす他j目にシリアルにビール入れてそれでも腐ってるとぶつぶつ言いながら食べる。
- エミリーの研究室を勝手にいじり出して血清を売ってしまったことで超人能力を手にれるんだけど、ちゃんと機能するまで毎日トレーニングと注射を打たなくてはいけないシーンでは、ハンマーゲームの際にハンマーが鼠蹊部にあたったことを強調して、みんな持ってる?とか言っちゃう辺り。
- 薬がようやく効き始めると、鶏の生肉が無性に食べたくなる体質へと変化。食べてる姿がまるで怪物と言われてしまう。
- 酒屋強盗を繰り返すミスクリアン、ザ・クラブと恋が芽生えてしまうシーンでは、急に場面が暗転し、二人してバレエを始めて求愛し合うという超脱線。
- スーパースーツが洗濯できないことから、着るたびに臭いが強烈になり、ザ・キングとの対決で思いがけない効果を発揮するギャグ。
- お披露目会見で写真撮影は100ドルと冗談を言い、エミリーが訂正するも、ホントは無料で100ドル寄付よと切り返すフットワークの軽さ。
- ラボで働くトニーをトレーニングとわかっていても、やたらと痛めつけてしまう。
これはほんのごく一部で、時折ザ・クラブが割って入って笑いを持っていくシーンがあるんですけど(オ、オ~って返事するところとか、カニ歩きして逃げるとことか)、終始マッカーシーの独壇場でにぎわった内容なんですよね。
久々に彼女主演の映画を観たんですけど、「ブライズメイズ」の頃からホント変わってねえなぁと思うくらい笑かしてくれた作品でした。
コテコテのステレオタイプ
唯一気になったのは、2人の女性の設定でしょうか。
冒頭でも書いた通り、ヒーロー映画が溢れる昨今で、多様性を尊重し様々な人種の俳優たちがヒーローとして抜擢される傾向にあるんですけど、マッカーシーやスペンサーのようなアクションに不向きで年齢もかなり上の役者がヒーローに抜擢されることってこれまで例を見ないことは良いと思います。
またガールズエンパワーメントにも配慮した設定ってのも現代的でよろしいかと思います。
実際アクションはあれど、ワイヤー使ったりカット割りして大きく動いたり技を回避したりする程度で、基本的には一発KOで敵を倒したり、近年のアクション映画と比較すると、速さとか動きに関しては雲泥の差。
ではアクションの鈍さなどをどうカバーするかってのがトークでのユーモア描写だったり、備わった能力をうまく活かしたあたりだと。
ただですね、せめて彼女たちの設定はそろそろ変えることはできないのかと。
リディアは、白人で太っていて貧困層でバカで頭より先に手が出ちゃうタイプで、へヴィメタやハードロック大好き、野球にバスケと地元のスポーツ団体をこよなく愛すなど、典型的なアメリカ人。
逆にエミリーは、太っているのは共通だけど、黒人でがり勉でなくインテリ、学があるから富裕層で、グレン・フライやソウル歌手のシールといった音楽を好む。
音楽やスポーツは置いといて、白人=貧困層、黒人=インテリみたいな設定、そろそろ別の設定にしませんかと。
実際能力面も、リディアが怪力ってのが、いかにも頭の悪い力任せで解決しそうな白人貧困層ならではの発想で、黒人はインテリだから頭を使って敵と戦うための不可視性インヴィジブルレディって発想に思えて仕方なくて。
せめて能力逆だったら理解できるんですけど、いかにもステレオタイプで色々決めてないかい?と。
実際アメリカ人でもないし、マイノリティがどれだけ差別を受けてきたのか肌で感じてない故の軽い発言のようにも聞こえますけど、逆の人もいるだろうよと。
リベラル派でないといけないエンタメ稼業ですし、これまでの保守的な設定だとリベラルが猛反発してしまうわけですから、仕方のないことなのかもしれませんが。
また敵であるザ・キングの設定もトランプを意識したかのような設定。
シカゴ市長の座を狙う・ザキングは、手下のミスクリアンであるレーザーを、さもテロリストや悪党に見立てて自分の講演を攻撃させメディアに向けて英雄ぶりをアピールする魂胆。
情報操作やメディアを扇動させる手口は、正にトランプそのものでしょう。
しかも対抗馬が黒人の女性ってのもコテコテですし。
これらの設定ばかりが増えてる昨今のアメリカ映画を皮肉るような笑いがひとつでもあったらいいんですけどね。
スーパーパワーはいたって普通。
一応ヒーロー映画なんで、彼女たちの特徴を。
リディアはいわゆる怪力と回復力でしょうか。
たまたま入ってしまった研究室で血清をを注入してしまったことから、超人能力を手に入れます。
最初はまだ体になじんでいないためか、能力を発揮しませんが、トレーニング後の注射を続けることで、徐々に怪力を手に入れます。
80キロの砲丸も片手で遠くのビルまで届くし、パンチ一発で相手を10mくらい吹っ飛ばす。
パンチングボールも彼女がすれば、隣の部屋の壁を突き抜けるほど。
ハンマーゲームも最初は全然弾まないけど、効果を発揮しだすと天井を突き抜けてしまうほど。
さらにはバスも両手で遠くまで放り投げてしまう怪力。
逆にエミリーはというと、不可視性能力、いわゆる透明人間。
相手の背後に近づき、娘が作った強力テーザー銃で一撃必殺。
ただしテーザー銃があまりにも強力なため、使用時は姿が見えてしまう欠点も。
どちらかというと補助系の能力ではありますが、基礎的なトレーニングはリディアと共に積んでるので、敵とのサシでの対決は、能力をミックスすれば、そこそこの打撃を与える程度の強さはあります。
またエミリーの娘も能力を持っていたなんてサプライズも。
母親をフォローしようと、現場に駆けつける娘は、なんとX-MENのクイックシルバーよろしく、超高速移動ができる能力を持っているんですね。
他にもザ・キングは目を光らせることでリディア同様怪力を発揮するミスクリアン。
普段は隠しているけれど、黒幕であるだけの力はもってるということですね。
手下であるレーザーは、その名の通りレーザーのような飛び道具を出せる女性。
家屋を破壊できるほどのパワーも出せれば、ロープ上に変化し相手を拘束することも可能。
ザ・クラブは、元妻と出会った場所でスキューバダイビングに誘われた時に、放射線を浴びたカニに局部を刺されたことから、腕がカニになってしまう羽目に。
悪の道に走ったモノのハーフ・クリアン、いわゆる中立的な立場だと話しており、リディアと出会ったことで、考えを改めていく立場です。
一応カニばさみはそこそこの握力を持ってるようで、カクテルグラスをそ~っと掴まないと割れてしまうくらい。
せっかくなら、リディアとエミリーのコンビプレイだったり、色んなミスクリアンが搭乗しても良かったかなぁとは思いますが、出過ぎもよくないか。
最後に
こういう映画だとか、こういう設定はもういいんじゃない?とか結局褒めてるのか貶してるのかわかんない感想ですが、褒めてますw
やっぱりこの手の映画は、脱線した時や中断してまで演者が受け狙いでトークするシーンで、どれだけ笑えるかが良いか悪いかの分かれ目なのかなと。
僕としてはくだらないながらも笑えた作品でしたので、〇としたいところ。
とはいえ、高い満足度ではないかなw
ネットフリックスですから、家でお菓子でも食べながら寝っ転がって見るのがちょうどいい映画かもしれません。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10