モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」感想ネタバレあり解説 蓮壁家の犬でいいじゃん。

バスカヴィル家の犬

謎解きブームが今も尚続いてますが、やはりミステリーの王道と言えば「シャーロック・ホームズ」なのではないでしょうか。

…と言っては見たものの、俺ホームズ読んだことねえw

 

映画で言うならば、やはりガイ・リッチー監督の「シャーロック・ホームズ」は大好きで、それまであった紳士的なホームズのイメージをぶち壊し、偏屈で変態で泥まみれになりながらもアクションバリバリやっちゃうホームズが最高でした。

 

今回鑑賞する映画は、原作を基に日本でリメイクした「シャーロック/アントールドストーリーズ」の劇場版。

あらゆる点を日本仕様にしたそうで評判も良かったそうですが、僕自身ドラマは見てませんw

 

なので今回の感想はドラマを見ずに映画を見てどうだったかがメインの感想になります。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

世界的探偵小説「シャーロック・ホームズ」を原案とし、ベネディクト・カンバーバッチ主演で製作されたドラマ「シャーロック」でも話題を呼ぶなど、現在のミステリーブームに一役買っている「シャーロック」。

TVドラマで人気を博した本作が、初の劇場版となって帰ってくる。

 

ホームズシリーズ最高傑作と称された「バスカヴィル家の犬」をモチーフに、ディーン・フジオカ演じる名探偵・獅子雄と、岩田剛典演じる助手若宮が、華麗なる一族の闇に迫っていく。

 

TVドラマ「ガリレオ」初の劇場版「容疑者Xの献身」で、緻密に練られた犯罪と容疑者の献身的な振る舞いという二つの要素によって、観る者に刹那と爽快感を与えた西谷弘監督が、魅力的なキャラ、スタイリッシュな映像、そして軽快なテンポといった従来の持ち味はそのままに、映画ならではの重厚感と中毒性を注いだ。

 

日本映画の歴史に、背筋震わす本格推理ミステリーが誕生した!

 

 

 

 

あらすじ

 

瀬戸内海の離島。

日本有数の資産家が、莫大な遺産を遺して謎の変死を遂げる。

資産家は死の直前、美しき娘の誘拐未遂事件の犯人捜索を若宮(岩田剛典)に依頼していた。

 

真相を探るため、ある閉ざされた島に降り立つ獅子雄(ディーン・フジオカ)と若宮。

二人を待ち受けていたのは、異様な佇まいの洋館と、犬の遠吠え。

 

容疑者は、奇妙で華麗な一族の面々と、うそを重ねる怪しき関係者たち。

やがて島に伝わる呪いが囁かれると、新たな事件が連鎖し、一人、また一人消えてゆく。

底なし沼のような罠におちいる若宮。

謎解きを後悔する獅子雄。

 

これは開けてはいけない“パンドラの箱”だったのか?

その屋敷に、足を踏み入れてはいけない―― 。
終わらない謎へ、ようこそ。(HPより抜粋)

youtu.be

 

監督

本作を手掛けるのは、西谷弘

 

アマルフィ 女神の報酬」や「容疑者Xの献身」、「真夏の方程式」、「昼顔」など、織田裕二主演作品はじめ、TVドラマの劇場版を手掛けるのが通例のお方。

それもそのはずフジテレビに務めるドラマ制作の方だから。

 

正直当たり外れが大きな方だと思ってるんですが、ドラマの「劇場版」という意味をすごく大事にされてる方だと思ってて、映画だから劇場だからこそ味わえる臨場感やロケーションなどに重きを置いてる方なんじゃないかと僕は思ってます。

 

今回の作品もTVドラマでは描けない、映画でしか見ることができないという価値を見出したかったのか、非常にダークでシリアス、おどろおどろしい展開が予想されます。

「昼顔」のようなとんでもないラストだったら…と思うとゾクゾクしますねw

 

原作のあらすじなど一切情報を入れずに、監督の世界観含め楽しみたいと思います。

 

登場人物紹介

  • 誉獅子雄(ディーン・フジオカ)・・・若い頃から不可解な事件や事象の謎を解いてきた天才である一方、一歩間違えば自身も犯罪者になりかねない犯罪衝動を抱えた危険な男。警察や個々のクライアントから舞い込む依頼の中から、興味のあるものだけを請け負う自由気ままなスタイルを貫いていて常に金欠。実家の誉家は名家だが没交渉となっている。名前は、Sherlock Holmes のイニシャルが由来。

 

  • 若宮潤一(岩田剛典)・・・元々は都内の病院で精神科医として勤務していた青年。同僚の死亡事件で容疑者として獅子雄と運命的な出会いを果たし、容疑は晴れたものの国家試験のカンニングが明るみとなり失職し、獅子雄が部屋に転がり込んでくる形で仕事を手伝うことに。冷静で善良に見えるが、虚栄心も情熱も強い人間で傷つきやすい。名前は、John Watson のイニシャルが由来。

 

  • 蓮壁紅(新木優子)・・・資産家・蓮壁千鶴男と依羅の娘で、美大に通う大学生。何者かに誘拐されるも解放される。
  • 冨楽朗子(広末涼子)・・・夫とともにリフォーム店を営む業者で、蓮壁家を担当している。
  • 蓮壁千里(村上虹郎)・・・蓮壁家の長男で、東京の大学の薬学部に通う大学生。父・千鶴男の突然の死に居合わせる。
  • 冨楽雷太(渋川清彦)・・・朗子の夫で、リフォーム会社経営。
  • 蓮壁千鶴男(西村まさ彦)・・・蓮壁家の当主で依羅の夫。資産家。

 

  • 小暮クミコ(山田真歩)・・・警視庁・捜査一課の巡査部長。江藤の部下。獅子雄と若宮が江藤とつながっていることを非常に冷めた目で見ている。
  • 江藤礼二(佐々木蔵之介)・・・警視庁捜査一課長。難事件に誉獅子雄をうまく乗せて捜査に乗り出させ、手柄を自分のモノにするどこか憎めない刑事。

 

  • 捨井遥人(小泉孝太郎)・・・大学准教授で地震の研究者。千里の元家庭教師で、今でもよく蓮壁家に出入りをしている。
  • 蓮壁依羅(稲森いずみ)・・・千鶴男の妻。車椅子での生活を送っている。
  • 馬場杜夫(椎名桔平)・・・蓮壁家の使用人。執事として従順に仕える。

(以上HPより)

 

 

 

 

 

 

一体どんな謎なのか、そして犯人は。

何故推理を後悔するほどの事件なのでしょうか。

ホームズ全然わかんないし、TVドラマも見てないのでど素人気分で楽しみます!!

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

これ「容疑者Xの献身」の監督だよね?

ミステリーとして雑すぎやしないか?

若宮要らんやん。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮壁家の犬でいいじゃん

田舎の島の資産家から依頼された「誘拐事件」から「遺産相続」を絡めた連続殺人事件の真相を、イケメン探偵コンビが捜査していく本作は、TVドラマで描かれていたであろうコンビのユーモア性含めた関係性や掛け合いを入れながらも、劇場版ならではの「悲哀」に満ちたミステリーにしたかったのだろうが、緻密な演出や構成がスペシャルドラマレベルになっており、映画だからこそ体感できる満足度には程遠く、獅子雄の言葉を借りるならば「30点」の作品でございました。

 

TVドラマ未視聴の僕がどれだけ楽しめるのかいささか不安がありましたが、そういう不安ではなく単純に「映画」としてつまんなかったなぁという印象をずっと抱きながら鑑賞してしまった本作。

 

全体的にはこれがTVだったら「なるほどね~」で一定の満足度を得たかもしれないが、結局TVのパッケージのままスクリーンで見せられて、しかもほとんどのシーンが「獅子雄の単独行動」でバディとしての掛け合いが序盤だけ。

 

ちんぷんかんぷんな若宮に対して獅子雄だけズバズバ推理を的中させることで、見てるこっちは若宮にシンクロして「なるほど」と思えるのに、それすらさせない推理ショー。

 

若宮も若宮で紅に密かな恋心を寄せてるくせに、二人のシーンは大してない。

だからこそ紅に不幸な目を合わせたくない、彼女の悲痛な半生を知った時に見てるこっちはが初めて感情を露わにできるのに、終盤若宮の気持ちは台詞のみ。

多分一番悔しがるのは彼のはずなのに、ちゃんと隅々まで推理できなかった獅子雄の方が悔しがる。

 

なんだこれと。

 

他にも細かい点でおかしな部分がいくつかあって。

それこそ新聞の切り抜きなんか、なんであんなところに隠してんだよとか、焼却炉の中にあんな綺麗に切れ端残ってるわけねえだろとか、狂犬病のウィルスを闇サイトから取り寄せたとか唐突過ぎて意味が解りません。

 

そもそも眼だけで自分の子供かわかるって、母親だから見分けられる特性だと思うんですよ。

だったら、誘拐されたチラシを紅に見せるのではなく、DNA鑑定の結果を見せるべきじゃないんですかね。

で、それを見せられた紅は、部屋に籠って涙を流すのではなく、もっとトチ狂うのが普通じゃないですかね。

百歩譲って取り乱したとしても、「なにこれどういうこと!?私はあの家の娘じゃないの!?なんで今まで探せなかったのよ!?」くらいのレベルであの二人に問い詰めるのが筋だと思うんですけどね。

 

あとは小泉孝太郎演じる地質学者の存在って…。

彼ぶっちゃけ本筋には大して重要なキャラじゃないんですよ。

だから若宮同様密かな恋心故に犯した罪ではあるから、最後ああやって覚悟を決めて現れるのは良い登場の仕方だと思ってて。

 

そしたら何ちゅう終わり方すんねん!と。

恋心を寄せる中年としてでなく、予測が的中してしまった地質学者の末路を見せられるというオチよ。

あの終わり方をするならさ、変に恋心を抱く中年なんて設定すんなよと。

 

あとなんだろなぁ、紅の扱いですよね。

犯人から語られた彼女の過去から推測するに、本当の親子でないという理由から愛情を祖sがれることなく育った割りには、実家を出て自立することもなくのうのうと親の金で美大に通うってさぁ。

それで自立したいから近所のキャバクラで働いて金貯めるって説得力ねえからw

 

しかも序盤では母親に対しては何かしらの憎悪たらしめる部分が垣間見えたわけだけど、普通にみんなと接してるし。

何なら一番腹が立ってるの弟っていうね。

だったら弟と子供の頃に喧嘩ばかりしてたとか回想入れればいいのに。

 

遺言書も確かに勝手に開封しちゃいけないけど、白紙の状態で読んで印象操作させちゃってさぁ。

あれもし紅にも遺産相続するってもっと早く分かってればこんなことにならなかったんじゃないの?

そこは獅子雄さんさぁ、推測でことを進めて良かったことなの?

 

 

何よりも予告詐欺だなぁと。

謎解きを後悔するという文言をつけ、TV版とは明らかに違うダークなトーンと不気味さが漂い、いかにも後悔している獅子雄の姿を最後に見せるという興味をそそる予告編。

 

ですが、ふたを開けてみれば、TVサイズの構図に紫色のライトにスモーク焚いて不気味さを表現する予算の少なそうな演出、別行動をしたことによって獅子雄パートはサクサク推理したりヒントを見せていくのとは逆に、若宮パートは全然進展のない家族たちとの絡み、故に下手な編集。

 

獅子雄もどんどん単独行動していくから、地質学者に目をつけるのは良いとして、急にリフォーム業者夫婦の家に行くとか、ユーチューバ―が繋がってたとかどこにヒントあったよ!

全部急すぎるんだよ展開が。

あれだけ点を転がしてるのに、急に「実はこうだった」ってのはミステリーとしてやっちゃいけないパターンなんじゃないんでんすかね。

 

何も全部フラグ立てろって言ってるんじゃなくて、見てるこっちが見落としてし待ってた部分を種明かしで「あ~!」とさせるからミステリーは面白いのであって、あれは伏線だったのかと思わせてくれるから名探偵の推理と種明かしは面白いのだと思うんですよ。

だから回想シーンを見せて「実はこうだった」とかじゃ爽快感も満足感も薄れちゃうよねと。

バスカヴィル家の犬の原作がどうなのかは知らないけど、魔犬の祟りとか醸し出しといて全然祟りのように見えないんだから、もはやこのタイトル使わずに「蓮壁家の犬」ってタイトルでいいじゃんと。

 

獅子雄はかっこいいですよ

さっきから愚痴ばかりこぼしてますが、ディーン・フジオカ演じる獅子雄のキャラクター像はかっこよかったのではないでしょうか。

 

若宮の推理を「0点」と罵り、こいつは蓮壁家の面倒だけ見てもらってあとは俺一人で解決してやるとばかりに、勝手に捜査。

紅の勤め先であるキャバクラを見つけ、そこで働くベテラン嬢をいとも簡単に釣り上げ色々質問しながら「この島で何があったのか」を探っていく。

 

地質学の准教授には一目で紅に惚れていることを見抜き、「無邪気な恋なら応援できる、邪気がないからな」ってセリフは今回一番グッとくるセリフでしたね。

だから最後彼が現れた時に背中を押す一言を投げられる。

こういうところがカッコイイです。

 

だぼだぼの衣装にグルグルマフラー、それでいてパーマで髪の毛もグルグルってのがプードルみたいな感じにも見えますが、目も言葉も全て鋭くてギャップ萌え。

 

島の輩に絡まれたら俊敏な運動神経であっという間に殴り倒してしまう感じもまたカッコイイ。

 

細かいところで言えばひとつひとつの細かい所作がカッコイイですね。

准教授の部屋で「実はお前なんだろ?あの手紙」といいながら部屋を物色。

常に肌身離さず持っているペン(万年筆?)であらゆるものをツンツンしながら、めぼしいモノを発見していく感じ。

 

黒犬の像が置かれているお墓のシーンでも、さりげなく周囲を警戒しながら土の匂いを嗅いだり物的証拠を探し当てていく感じ。

軽妙なトークをしながらでも決して警戒心と頭脳をフル回転させているんだな、と思わせてくれる所作をしているから名探偵なんだなと感心しました。

 

その辺をきっとおディーン様は理解していて、演技で発揮しているんでしょうね。

 

 

最後に

結局のところ、捜査と答え合わせの配分がおかしいんですよ。

前半で全部捜査を終わらせて、後半は獅子雄の推理語りからの犯人自供による回想、そして悲劇。

で。終るかと思いきや、さらに急展開の事実。

そこで再び回想パート。

 

要するに終盤二つの回想シーンをを見せなくてはいけないので、捜査の部分が短いんですよね。

しかも最後の答えに関しては獅子雄も見抜けなかったということもあり、あまりに急な答え合わせになってしまってる。

 

確かに紅の事を考えるとあまりにも不憫な話で、そりゃ許せない。

そこに双方の視点を挟むことで犯してしまった罪の理由を与えられ、しかも自害までしてしまうもんだから一体誰が悪いのかと考えさせられる。

また小さな町の権力者故に、途中まで隠されていたもう一つの誘拐事件の捜査を簡単にもみ消してしまうのが妙にリアル。

まああそこはさ、江藤が先に教えてくれてても良いと思ったんだけどw

 

傑作と呼ばれるミステリーにはたいていこういう悲しい過去が定番なので、推理の爽快感とセットなんですけど、今回ばかりはどうもうまくハマってない構成と演出というか…。

 

とりあえずTVドラマファンの方には読んでいて不快になる内容になってしまったのは申し訳ありませんが、「容疑者Xの献身」を手掛けた監督ならこの手のパターンの映画をもっとうまく作れるはずなのに、という悔しさ込みの感想になりました。

 

 

収穫は新木優子が超絶カワイイ(まさかの幸せパンチ!)のと、ビーチボーイズ以来と思われる広末涼子と稲森いずみの共演ですね。

そういうキャステイングはフジテレビらしいなぁと。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆★★★★★★★3/10