モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ブルービートル」感想ネタバレあり解説 家族への愛が俺を強くさせる!

ブルービートル

とうとうDC映画もビデオスルーになってしまうほどしぼんでしまったアメコミ興行。

 

例えば有名キャラの敵が主役の映画ならまだ需要があるかもしれませんが、新しいヒーローの誕生譚に興味を抱くのは、我々映画ファンだったりアメコミファンだったりするわけで。

 

それ以上に今や様々な映画が映画館でたくさんかけられてるという供給過多もあって、急に公開とかって難しいみたいですね。

 

だからといって、こういうタイプの映画は映画館で見てナンボってところがあるじゃないですか。

ビジネスとはいえ、そこはもうちょっとファンサービスじゃないけど、観賞する我々に配慮した配給をお願いしたいところです。

 

今回観賞する映画は、そんなDCコミックの新たなヒーローを描いた作品。

予告を見る限りね~見得を切るかのような登場ポーズがかっこいいんすわ~w

ただ青いカブトムシみたいなんが寄生するシーンは「うっ」ってなるんですけどw

 

早速自宅にて観賞しました!!

 

 

作品情報

バットマンやスーパーマンでおなじみ「DCコミックス」が新たに手掛けたコミック実写化作品。

 

古代異星人兵器「スカラベ」に寄生されたラテン系の青年が、ヒーロー「ブルービートル」として成長していく姿を、圧巻の映像と大迫力のアクションで描く。

 

ドラマ「コブラ会」シリーズで注目を集めた若手俳優ショロ・マリデュエニャが主演、ブラジル出身のモデルで俳優のブルーナ・マルケジーニがヒロインを務め、名優スーザン・サランドンや人気コメディアンのジョージ・ロペスが脇を固める。

 

DCコミックでは珍しい、家族との掛け合いも色濃く描いたヒーロー映画です。

 

ブルービートル

ブルービートル

  • ショロ・マリデュエニャ
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あらすじ

 

大学を卒業したばかりのハイメ・レイエス(ショロ・マリデュエニャ)は、将来への希望を胸に故郷に戻った。

 

世界における自分の目的を見つけようと模索する中、ハイメは思いがけずエイリアンのバイオテクノロジーが残された古代の遺物“スカラベ”を手にする。

スカラベが突然ハイメを共生宿主として選ぶと、ハイメは驚異的で予測不可能な力を持つアーマースーツを授かる。

 

そして、彼の運命は一変し、スーパーヒーロー“ブルービートル”となる(公式より抜粋)

youtu.be

 

 

 

感想

大学卒業後の職探し⇒ヒーローに!?

ラテン系のノリで家族ともども戦いに参加する、チームモノのヒーロー映画。

興行も批評家の評価もあまりよくないみたいだけど、アメコミ映画が向かうところはこういう場所なんじゃないかな。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

既視感はあれど、悪くない。

富裕層と貧困層がくっきり分かれたような街パルメラ・シティを舞台に、大学卒業を機に地元に戻ってきた主人公ハイメが、ひょんなことから出会った世界的軍事産業を営むコード社の社長ビクトリアの姪ジェニーと出会ったことがきっかけで、コード社が探していた「スカラベ」を預かることに。

しかし家に持ち帰ったハイメの体にスカラベが寄生!!

 

青いハイテクスーツを身に纏ったハイメは、スーツの意のままに町中をかけめぐらされ、とうとうスカラベと一体化してしまう。

 

一方コード社は、このスカラベを秘密裏に捜索しており、15年という長い歳月をかけやっとの思いで入手。

これを使えば、現在進行中の「未来を守る武器」、「OMAC」というプロジェクトを実現可能までこぎつけることができる。

 

そんな矢先、ビクトリアの姪で、前社長の娘であるジェニーが、未来を別の形で守りたいという亡き父の意志を継ぐために阻止するのだった。

 

妙なモノに憑りつかれたハイメを心配するレイエス一家一同。

しかしここは家族ひとつになってハイメをフォローすることを決意。

 

ハイメの叔父であるルディは政府の陰謀論に夢中な中年で、エンジニアに長けた人物。

彼が手掛けたガジェットを使って監視カメラをハッキングし、スカラベを取り外す手がかりとなる「テッドウォッチ」をコード社から盗むことに。

 

そこにビクトリアの側近で、OMACプロジェクトに参加しているイグナシオが立ちはだかります。

OMACは、人間のの肉体と機械を繋げた人間兵器のような兵士を作るプロジェクトで、それを完成させるにはスカラベのデータが必要だったのです。

イグナシオはプロトタイプとなった体を駆使してハイメに襲い掛かりますが、ハイメも負けてません。

カージ・ターなるオペレーターにカラダをコントロールされながらも、必死に抵抗や反撃をしていきます。

 

しかしハイメ自身「人を殺したくない」、「攻撃はしたくない」という意思が働くことで、思うような戦いに発展しません。

そうこうしてるうちにイグナシオに攻撃されピンチ。

 

ルディの助けもあって無事回避できたハイメは、ジェニーと共に誰も住んでいないコード邸に向かう。

するとそこは、かつてジェニーの父が「ブルービートル」という名のヒーローとして戦っていた時の住処と化していました。

かつてのスーツや様々な機会が並ぶ部屋で、ルディによる解析が始まります。

しかし出た答えは、「死ぬまでスカラベを外すことはできない」というもの。

 

なぜ自分がこんな目に合わなくてはならないのかと嘆いていた矢先、ビクトリアを乗せたヘリがレイエス邸に向かうのを目撃。

ハイメはブルービートルに変身し、家族を助けに向かいます。

 

果たしてハイメは、家族を守りビクトリアの計画を阻止できるのか。

 

・・・というのが半分くらいのあらすじ。

 

 

気が狂ってるんじゃないかというほど量産されてきた「アメコミ映画」。

そのきかっけは2008年に公開されたアイアンマンとダークナイトの大ヒットからではないでしょうか。

そこからMCUとDC映画は、同じヒーロー映画なのに全く違う路線で展開されてきました。

 

あれから15年、それまで幾多の形で感動をもたらしてきたアメコミ映画も陰りが見えてきました。

新たなヒーローが出るたびにワクワクするものの、それは一時の感情で、そこから新規のファンがつくこともなければ、既存のファンで冴えも「アメコミ疲れ」を感じてしまうほど息切れしてしまいました。

 

製作側の労働環境もかなりひどいというニュースを目にしましたし、ファン以前に現場も大変だったということです。

ディズニーのCEOボブ・アイガーは、量を優先したことによるファン離れや興行的失敗を鑑み、そうした悪循環を断ち切るために「質より量ではなく、量より質」という舵をきったそうです。

 

質を高めたところで、果たしてアメコミ映画は再び軌道を戻せるのか。

そんなこと正直やってみないとわかりません。

ただ個人的に思うのは、我々映画ファンがアメコミ映画に対して、過度な期待を持ってしまってることも原因ではないのかと思うんです。

 

確かにこれまで素晴らしいアメコミ映画たちに出会えたことは事実で、僕もオールタイムベスト級に好きなものがあります。

それを供給できたスタジオの凄さも知ってます。

しかし、こうしたいわゆる大作映画って、もっと気楽に見れるエンタメが基本なんじゃないのかと。

 

いちいちイースターエッグを散りばめたり、他の作品とのつながりを盛り込んだ内容、ユニバース構想による連続ドラマ感など、一つの作品を誰でも気軽に楽しめるような「単体としての娯楽映画」を目指すべきなんじゃないのかと。

 

今回この「ブルービートル」を見て思ったのは、正にこういうところなんだよなと感じたのです。

全く知らない俳優が、全く知らないヒーローになる。

確かにそこはついていけない。

 

でも、明らかにどこかで見たことのあるような展開で、明らかにどこかで見たことあるようなアクションやアイテムが満載なんですよ。

 

その上、本作は家族の愛がテーマ。

お父さんが見ても、お母さんが見ても、叔父さんが見ても、お婆ちゃんが見ても、そして妹が見ても、感情移入できるようなキャラクターが置かれ、尚且つ見せ場もある。

そしてみんなが「家族」の未来のために力を合わせてハイメに協力する物語なんですよ。

 

でもって敵はいわゆる帝国主義的な考えを持つ富裕層の人間で、貧困層であるレイエス一家が彼女の目的を阻止するっていう典型的な形なわけで、誰が見ても楽しいと思えるような流れになってたと思うんですよ。

 

正直都合のいいように事が運ばれ、上手くいかないことで躓き、大きな喪失を受け、それでも立ち上がるという、どこをどう見ても目新しい所のないヒーロー誕生譚なんですよw

 

だけど、これでいいじゃないって思うわけです。

それこそ、何の気なしに一人で見ても良いし、彼女と見ても楽しめるし、家族が主題だからファミリー映画でもある。

本来あるべき娯楽映画の要素がふんだんに詰まった作品だったと思うんですよね。

 

レイエス一家めっちゃええやん!

もうさ、本作の何が良いって、ハイメがめっちゃ家族想いなんですよね。

レイエス一家から初めて大学卒業する人間が出たってことで、家族総出で空港に出迎えしてくれるんですよ。

俺だったらよ?そんなの恥ずかしくてマジでやめろってイライラするんだけど、ハイメは家族が出迎えてくれたことに大感激するんですよね。

 

こういう冒頭のシーンから、レイエス一家の人たちは、とにかく家族を大事にするひとったちなんだなということが表現されてると思います。

 

一応父親は心臓発作で倒れていたことや、事業に失敗したり、ジェントリふふぃけ―ションに伴う家賃の高騰で、家を追い出されてしまうことが決まってるという、せっかくハイメが帰郷したのに散々な仕打ちであることが明かされます。

 

それでも父親は「きっとうまくいく」とか「金の心配は明日する」みたいなケセラセラな態度をするんだけど、家族みんなが笑って過ごしてるんですよね。

一応舞台となる街は架空の町みたいですけど、住んでる人たちや登場人物らはメキシコ系の人たちで構成された中南米の人種であることが理解できると思います。

 

それこそリメンバーミーだったり、イン・ザ・ハイツだったりと彼らが主役の映画がたくさん作られてきましたけど、ホント彼らって家族を大事にする人種で、色んな苦楽も家族がいれば幸せみたいな考えを持ってるように見えるんですよね。

 

そこに飛び切りの明るさで、見てる僕らを和ませてくれるんですよ。

ホントね、とにかくノリがいいんですわw

 

ハイメがジェニーから招待を受けてコード社に仕事をもらいに行くんだけど、ここでも家族総出で会社の前でお見送りするんですよねw

これ俺だったらよ!本気で怒りますよw

良い大人がなんで会社の前で家族から「頑張れ~!!」って大声でエール受けなきゃいけないんだよw

マジで恥ずかしいからw

 

それでも怒らずに「やめてよ~」程度で済ますハイメは、素晴らしい人間だなと。

 

スカラベと一体化したハイメが疲労困憊で帰宅したシーンでは、スーツから解放されるとなぜか全裸になってしまうという事態に。

ヘロヘロの状態で寝そべっていると、みんながみんなスッポンポンのハイメをマジマジと見ては「あら、生まれた時のままね」とか「チョリソーくっつけた毛布はもうおまえのものだ」とか、寄生されてしまったハイメの事などお構いなしに、下ネタでいじりまくるという内輪ネタを披露。

 

家族から局部をガン見されていじられるって、中々の屈辱ですからねw

それでも反抗しないハイメはホント家族思いですw

 

そして物語は、ハイミが寄生されたことで、コード社から家族ごと狙われてしまうという状態に。

家をめちゃくちゃにされるのは当たり前で、寄生したスカラベの奪還のためならば癖で家族を殺そうとするくらいコード社の連中は狂っています。

貧困層なんて別にいなくなっても社会は何も変わらない、くらいに思ってるんでしょう。

さらには、これをきっかけに発作が再発した父親が命を落としてしまう事態に。

 

悲痛な面持ちの家族でしたが、亡き父親の意志を継ぐために、涙を拭いてハイメの救出へと向かうのであります。

 

正にワンフォアオール、オールフォアワンであるチーム家族。

すっげえ素晴らしい家族ですよ。

だってお婆ちゃんも「孫のために一肌脱ぐよ!」って感じで気合十分なんですからw

 

因みにこのお婆ちゃん、かつて帝国主義と戦ってきたという過去もあってか、ノリノリで銃をぶっ放すという素晴らしい見せ場があるので、最高なキャラですw

 

ルディおじさんもエンジニアとしてバグの形をした乗り物の運転からあらゆる機械の操作までやってくれるし、ハイメがピンチの時には自ら囮になるほど。

お母さんもボロボロのハイメをきつく抱きしめたり、お婆ちゃんと一緒に銃で応戦するくらい活躍します。

妹に至っては、ジェニーのお父さんが使っていたグローブを使って、伏兵を一掃する姿もあります。

 

こうしてしっかり家族が一丸となってハイメを救出するために戦う姿が、なんとも微笑ましいのであります。

 

 

最後に

ブルービートルは、カージ・ターという自我を持った個体と一体化して戦うスタイルで、基本バトル全般をサポートしてくれるんです。

合体当初はハイメの意志に反して行動したりしますが、終盤ではハイメが怒り任せに暴走してしまうんですよね。

それを制御する意思も持っているので、ただのAIめいたものではないのが良かったです。

 

またハイメがイメージした武器を具現化してくれるので、あまりにアバウトな注文でも即座に出してくれるんですね。

拳を大きくしたグローブを出したり、羽根をシールドとして使ったり、刀も二刀流の時もあれば、大きなソードを作ってくれたりもする。

敵を殺さない程度にという注文にもしっかり対応して、殺傷能力の低い打撃を出せる配慮もできるし、時にはリアクターに力を集中させて、思いっきり敵を吹っ飛ばすこともできちゃう、非常に何でもありの力を持ったヒーローでした。

 

どうやらこのハイメは「2代目」だか「3代目」という設定のようですが、原作もそういう形で代々受け継いでヒーロー稼業してるようで、まるでアントマンやんwと。

ぶっちゃけ軍事産業から足を洗おうとする側と貫く側という対立構造や、アーマー化したヴィランと戦うってあたりがモロにアイアンマンだなぁ、そして亡くなった父親から遺言を受け継いでヒーローとしての自覚を持って変化していく様は、見事にスパイダーマンだなと、非常にマーベルヒーローに寄せた設定でもありました。

 

それが決して悪いことなんかではなくて、そういう設定にラテン系特有のノリと家族への思いを詰め込んだ、また新たな形のヒーロー映画でもあったよなと。

実際やってることって、正義のためとかでなく、家族を守るってだけですもんね。

なのにあの強さを持ってるって、正直力と舞台の規模が伴ってねえんだけどw

 

まぁなにはともあれ、ジェームズ・ガンによってDCはリニューアルされてしまうわけで、ぶっちゃけ大監督でもないガンに、このユニバースをまとめることができるんだろうかと。

俺はやっぱりザック・スナイダーにそのまま任せるべきだったと思うけどね~w

 

ま、もし続編があれば見たいと思いますが、作ってくれるよね?ジェームズ?

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10