キャッシュトラック
現金輸送車を襲う強盗団が主役のクライムアクションてのは、それこそ西部劇から様々な切り口で描かれてきたと思います。
ですが、強盗から現金輸送車を守る側の物語、しかもその中にとんでもなく強い男がいる話ってのは、あまり思いつきません。
加えて、このとんでもなく強い男はどうやらワケアリの存在という・・・。
今回鑑賞する映画は、そんな素性のわからない警備員を主人公に、強奪計画を企む輩との激しい銃撃戦を繰り広げるクライムアクション。
味方なら安心、敵なら最悪なジェイソン・ステイサムが、英雄なのか悪党なのか全く読めない警備員を熱演します。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
スタイリッシュな編集とクールな演出、小粋なBGMと緻密な脚本で、イギリスの悪ガキたちをかっこよく描く男ガイ・リッチーが、長年タッグを組んできた俳優と16年ぶりに製作。
日々強盗に悩まされる現金輸送専門の警備会社に加入した男が、高い戦闘スキルで敵の悪行を阻止するも、素性のわからない彼に周囲は疑いの目をかけていく。
これまで多数に及ぶアクション映画で存在感を発揮してきたジェイソン・ステイサムが、おなじみの無双アクションで魅了。
さらに謎の男の目的と大金強奪計画が絡み合っていく監督の脚本力によって、二人の化学反応が炸裂。
「スナッチ」、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」以来の爽快感を味わうことになるだろう。
ゴールデンコンビが魅せるクライムアクションに痺れよう!
あらすじ
LAにある現金輸送専門の武装警備会社フォーティコ・セキュリティ社。日々、百貨店やカジノ、銀行などあらゆる場所から集められた現金を積んだ現金輸送車(キャッシュトラック)を運転するのは、特殊な訓練を受け厳しい試験をくぐり抜けた強者の警備員たち。
ヨーロッパの別の警備会社の倒産で職を失くし、フォーティコに雇われた新人パトリック・ヒル(ジェイソン・ステイサム)、通称“H”。
同僚の“ブレット”(ホルト・マッキャラニー)の指導のもと、試験をぎりぎりで合格した彼は周りから特に気に留められる存在ではなかった。
しかし、ある日彼の乗ったトラックが強盗に襲われ仲間が人質に取られた時、驚くほど高い戦闘スキルでそれを阻止する。
Hによって皆殺しにされた強盗への過剰防衛を疑うFBIも捜査に動くが、フォーティコの社長は仲間と現金を守り切った彼を英雄扱いする。
Hはフォーティコでの地位を徐々に確立していくが、その数カ月後、新たな強盗によってHの乗るトラックがまた襲われる。
しかし、今回は彼の顔を見た犯人たちがなぜか金も奪わずに逃げ出してしまった。
同僚のブレットやデイヴ(ジョシュ・ハートネット)は彼が一体何者なのかを疑い始め、Hの周囲は疑心暗鬼に陥る。
そんな中、感謝祭の次の金曜日、全米で最も現金が動く日とも称される“ブラック・フライデー”にフォーティコ社に集められる約1億8,000万ドルの大金を狙った緻密な強奪計画が、静かに進行していた…(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、ガイ・リッチー。
ステイサムとは「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」でキャスティングして以降、「スナッチ」、「リボルバー」などでタッグを組んできた間柄。
どうやら次回作もタッグを組むそうで、ここへきてどういう風の吹き回しなのか気になるところ。
モンキー的には早く「シャーロックホームズ3」を製作してほしいんですけどね!!
監督作品はこちらもどうぞ。
キャラクター紹介
- パトリック・ヒル(通称H)(ジェイソン・ステイサム)・・・フォーティコ・セキュリティ社の新人。入社テストは平均点。無口で地味と周りからは評価されていた。しかし実践では驚くべき戦闘能力を見せたことから、同僚たちは彼が何かを企みをもって入社してきたのではないかと疑心暗鬼になる。彼の周辺にFBIやマフィアたちの存在も見え隠れしている。
- ブレット(ホルト・マッキャラニー)・・・フォーティコ・セキュリティ社のドライバー。指導係としてHに仕事を教えていく。Hが強盗を撃退した現場にも居合わせており、Hが信頼できる人物なのかどうか疑問を持ち始める。
- ボーイ・スウェット・デイヴ(ジョシュ・ハートネット)・・・フォーティコ・セキュリティ社のドライバー。後輩のHとペアを組んだ日に強盗に襲撃される。
- デイナ(ニーヴ・アルガー)・・・超男性社会のフォーティコ・セキュリティ社で働く唯一の女性警備員。Hと男女の関係を持つが…
- テリー(エディ・マーサン)・・・フォーティコ・セキュリティの車庫管理責任者。ドライバーにルートを割り当て、常に取引を監視している。
- ジャクソン(ジェフリー・ドノヴァン)・・・ブラック・フライデーに大金強奪を企むグループのリーダー。
- ジャン(スコット・イーストウッド)・・・強盗グループの1人。リーダーも手を焼く「危険な男」。(以上HPより)
久々のタッグ作品。
監督はステイサムをどういじるのか。むしろ逆か?
Hの素性も気になりますが、やっぱり怒涛のアクションを楽しみたいですね。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#キャッシュトラック 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年10月8日
んー…テンポ悪すぎる…
中盤で描いてることを、なぜ終盤で畳み掛けるように見せない。 pic.twitter.com/wE373ynLp3
ドでかい銃声音が鳴り響くシリアステイストなガンアクション!
執念で目的を達成する姿はかっこいいが、全体的にテンポ悪すぎて萎えた・・・。
以下、ネタバレします。
英雄か、悪党か。興味が湧かない・・・。
武装強盗によりスタッフも大金も含め、多大な損失を受け続ける現金輸送専門警備会社に、すい星のごとく現れた救世主Hの正体は果たして何者なのかを巡る物語は、ガイ・リッチー得意の時系列をいじくる手法と5章に渡る構成によって、丁寧に答えを紡いでいくミステリー調の展開で描いたものの、主人公と敵の過去に時間を費やし過ぎていることと、リッチーらしさがごっそり抜け落ちてしまっており、凡庸な作品に成り下がってしまった勿体ない作品でございました。
まず本作はフランス映画「ブルー・レクイエム」という映画のリメクだそうです。
リッチーはこの「ブルー・レクイエム」に独自のひねりを加えることで、リメイク版として完成させたとのこと。
こちらは未見のため、比較を含めた感想にできないんですが、それにしてももっと弄ることのできた作品だったように思えます。
物語は、警備会社に再就職したHが無双状態で敵の武装集団をやっつけるパート、数か月後の職務で敵の集団がHの顔を見るなり逃げ去ってしまうことで起きる周囲のHに対する疑惑、5か月前にHの身に起きた悲劇、小さな強盗ではなくデカい強盗をしようと企む武装集団の計画、彼らの過去を明かしたうえでいよいよ対峙するブラックフライデー当日の事件の顛末という5つの章に分けて描かれていました。
しかも予告編で描かれてる通り、H自体はFBIが25年もかけて追っていた要注意人物であり、そんな彼が大金が目の前にあるような場所で素性を隠して職務を全うしていることから、彼は警備会社の救世主なのか、それとも現金強奪を狙う悪党なのか読めないという興味をそそる物語として予想できるものになっていました。
なので序盤は、謎を秘めた男の寡黙な姿勢や一挙手一投足にドキドキするような展開となっており、クライマックスで起こるであろう大銃撃戦まで過程が楽しみなながれになっていました。
ジェイソン・ステイサムが主演ということは、これまでの主演作でご存じのとおり超ド級のアドレナリンを放出させてくれるアクションで魅了する俳優の一人であり、本作でもどうしてそんなに強いのか理解できないくらいの無双状態を見せており、ますます謎を知りたくなる男として描かれてました。
重厚なBGMや重く鳴り響く銃声音も手伝って、Hのハードボイルドな一面にはうっとり。
手慣れたガンアクションで一網打尽にしてしまう一連の所作は、アクション映画好きにはたまらない姿であったことでしょう。
無論僕も興奮しながら鑑賞してました。
しかし、「なぜ彼は素性を隠して警備会社で働いてるのか」という理由が少しづつ明かされる中盤の章から、僕の中では雲行きが怪しくなっていきました。
本作の冒頭では現金輸送車が襲われ、警備員が殺されてしまうシーンが映し出されます。
中盤のエピソードは、Hの身に起きた出来事がここへ直結していく運びになっているんです。
ここでHのバイオレンスな一面や一つのことに執着する性格が見え始め、彼を絶対怒らせてはいけない怖さが浮き彫りになっていくことで、物語は終局へと向かうのだろう、そして壮絶な銃撃戦へと流れていくのだろうと思ったんです。
ただ、物事を順序よく、しかも丁寧に描くことで、ここから尺を使い過ぎてやしないかと思うようになり、4章である敵の武装集団のエピソードからは「この映画微妙じゃね?」という疑惑が確信へと変わっていきます。
4章ではリスクの大きい割に稼ぎの悪い仕事をするくらいならデカいヤマをあてようと、現金輸送車を襲うミッションに変更する武装集団の姿が描かれています。
ここで警備会社に協力者がいることが明かされ、何故現金輸送車が何度も襲われてしまうのかという理由が明確になっていきます。
さらにメンバーの一人であるジャンの本性も描くことで、Hの怨念の理由や真の標的が浮かび上がってきます。
ただこの4章でも、敵のメンバー同士のやり取りを順序良く丁寧に描きすぎていて、非常にテンポがよろしくない。
ぶっちゃけリーダーとジャン以外はキャラを描く必要は皆無で、もっと端折って尺を縮めることも可能だよねと思い始めました。
最終章ではすさまじい銃撃戦を描いることや、裏切りの連続めいた楽しさもあって楽しめた部分はありました。
ただ、どうしても構成とテンポの悪さには不満が残ります。
Hと敵メンバーの回想を3と4章に放り込む「ひねり」を加えた監督。
これまでの彼の過去作を知ってる方ならご存知かと思いますが、彼の持ち味は0コンマ単位のカット映像を見せることで、心地よいテンポを味わえる演出がウリだったと思うんです。
しかも「オチはこんなでした」という伏線の回収もあっという間に見せるのも彼の持ち味。
本作ではそれが全く見当たりません。
これまでの監督ならば、3と4で描いたエピソードをもっと凝縮した映像にして、最後に持ってくるのが当然なのに、なぜこんなにも時間をかけて見せているのだろうと不思議で仕方ありませんでした。
他にも協力者なんてキャラをぶっ込んで来るのであれば、1本取られた!と思えるような展開にしてほしかった。
さすがにこれは読めてしまいます。
名前が名前ですし。
他のキャラに至っても上手な使い方をできてないように感じます。
特にジョシュ・ハートネット演じるデイヴは、これといった活躍がありません。
新人であるHに先輩風を吹かせてるのに、いざとなったら超ビビリなキャラという序盤の姿はいいですが、終盤ではなぜか男を見せて敵に立ち向かう。
なぜ彼が奮い立ったのかのきっかけが微妙です。
もちろんHの一言で「何クソ!」と思ったからだと思いますが、もっと活かせるキャラにもかかわらず、もったいないなぁと。
いがみ合ってるけど共通の敵が目の前にいるのだから共闘するくらいの熱い展開があれば上手にキャラを消化できるのになぁと。
最後に
終盤の銃撃戦は白熱した描写で、警備員たちも敵のメンバーも余韻を持たせることなく倒れていく流れは楽しいのに、そこに至るまでの過程がどうしてもテンポが悪く、こんな感想になってしまいました。
正直、Hの過去の悲劇よりも、敵の協力者の正体よりも、FBIの上官を演じていたのがアンディ・ガルシアだったのが一番驚きでした。
日本の公式はなぜキャストに彼を入れなかったのか不思議で仕方ありません。
大人の事情でもあったのでしょうか。
正直ステイサムに大しての思い入れがあまりないのもダメだった理由かもしれません。
強くて怖くて恐ろしい存在であったことは良かったんですけども。
どうやら二人は次回作でもタッグを組んで作品を製作するそうなので、僕はそちらに気持ちを向けたいと思います。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10