モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「セラヴィ!」感想ネタバレあり解説 結婚式をテーマに人生の面白さを描いてみました。

セラヴィ!/C’est la vie!

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僕の勝手なイメージですが、フランス映画は女性が好みそうな映画、逆に男ならイギリス映画って思い込みがありまして。

決してそんな事はないとわかっているんですが、そのせいかなかなかフランス映画って手を出せない。

 

でもですね、今回の映画、僕が大好きな作品のひとつでもある「最強のふたり」の監督さんの最新作ということで、あ!これは見たい!と。

 

 しかも今回もコメディということで、大いに笑わせてもらおうと。

早速観賞してまいりました!!

 

作品情報

 2015年11月にパリで同時多発テロが発生。フランス国民に不安と恐怖と悲しみが蔓延していくのを見て、彼らに明るい笑顔と喜びを与えたい、お祭り騒ぎのような雰囲気の映画を作りたいという強い思いが監督に芽生え構想に着手。

 

結果フランス国内で記録的ヒットをたたき出し、世界50カ国以上で大喝采を浴びた作品に。

 

そんな今作は、引退を考え出したウェディングプランナーによる豪華絢爛な結婚式が、ポンコツのスタッフによってハチャメチャな結婚式になってしまうトラブルコメディ。

一体どんな顛末が用意され、私達をハッピーにさせてくれるのでしょうか。

 

 

 

 

あらすじ

 

結婚式は社会の縮図!?

人生は人に泣かされ、人に笑う。

ポンコツなウェディングスタッフが集まったパーティーはトラブル続出の大惨事。

 

ウェディングプランナーとして30年間、数え切れないほどの結婚式をプロデュースしてきたマックス(ジャン=ピエール・バクリ)は、そろそろ引退を考えていた。

 

そんなある日、17世紀の城を舞台にした豪華絢爛な結婚式の依頼が舞い込んだ。

いつも通り式を成功させようと、完璧な準備を整えたのだが、なんと集まったスタッフたちが全員ポンコツ!!

 

バンドのボーカルは新郎の希望と真逆の歌を熱唱しワンマンショー気取り、カメラマンは写真撮影よりもつまみ食い、ウェイターは新婦にうつつを抜かし、おしゃべりに夢中…。

 

マックスの努力も虚しく、次第に式は大惨事と化す…。

前途多難すぎる結婚式、果たして、チーム一丸となって成功させることはできるのか!?(HPより抜粋)

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監督

今作を手がけたのは、エリック・トレダノオリヴィエ・ナカシュ

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このふたりといえば、もちろん「最強のふたり」ですね。

 

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 首から下が麻痺の大富豪と貧困層の黒人が、介護を通じて身分も肌の色も越えて絆を深めていく、フレンドシップストーリー。

 

キチンと介護するかと思いきやイタズラされたりいじられたり、時に乱暴に扱われたりするんだけど、障碍者という目線でなく、一人の人間として接してくれるドリスに心を開いていくことで、、毎日を楽しく過ごしていくフィリップの姿に誰もが心動かされていく最高に楽しい作品です。

 

音楽もノリノリの70'sディスコサウンドを中心としたチョイスで、見てるうちに指を足を体を、心を揺らしてみることができると思います。

 

この作品によって大ブレイクしたオマール・シーを再び主演に向かえ、フランスで真面目に働くも国外退去させられそうになる移民青年と、彼を取り巻く周囲の人物の心温まる人間模様を綴ったハートフルドラマ「サンバ」などがあります。

 

過去作からもわかるとおり、基本はコメディでありますが、ただ笑わせるだけじゃなく、社会問題などもキチンと組み込んだ物語にもなってるんですよね。

今回は一体どんなテイストのコメディになってるのでしょうか。

 

 

 

キャスト

主人公のウェディングプランナーマックスを演じるのはジャン=ピエール・バクリ。

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フランス人は大体ジャン=ピエールかジャン=ポールなんで、誰が誰だかわかりませんw

フランスでは有名な方だそうですが、今回僕は初めて彼の出演作を観賞することになります。

 

主な出演作は、リュック・ベッソン監督作品で近未来が舞台でパリの地下水同をエキセントリックに描いたSFアドベンチャー「サブウェイ」、毎週金曜日に集まるのが決まりの家族徐々にかみ合わなくなっていく様を綴ったコメディ「家族の気分」、往年のシャンソンやフレンチポップスに乗せて描かれる男女7人ラブストーリー「恋するシャンソン」、父娘の不器用な親子関係を軸に、主意の人物の真の内面をユーモアを交えて描いた「みんな誰かの愛しい人」などがあります。

脚本も手がけているそうです。さすがっすね!

 

 

他のキャストはこんな感じ。

バンドボーカル兼司会ジェームス役に、ジル・ルルーシュ

ウェディングスタッフのジョジアーヌ役に、「わたしはロランス」、「Mommy/マミー」とグザヴィエ・ドラン作品に欠かせないスザンヌ・クレマン

新郎ピエール役に、国立劇団「コメディ・フランセーズ」の団員、バジャマン・ラヴェルヌ

カメラマンのギイ役に、「エディット・ピアフ~愛の賛歌~」のジャン=ポール・ルーヴ

マックスの義理の弟でウェディングスタッフのジュリアン役に、「女っ気なし」、「やさしい人」のヴァンサン・マケーニュなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

セラヴィとはこれも人生さ!という意味だそうですが、この言葉がどんな魔法をかけてくれるのか。何かに行き急ぎ疲弊してしまっている僕らに、一体どんな人生観を与えてくれるのでしょうか。

ここから観賞後の感想です!!!

 

感想

結婚とは人生の縮図なのか・・・。

カタブツ上司とポンコツ部下たちが結婚式をハチャメチャにしてしまう小笑い連発のフレンチコメディでした!!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お仕事はいつだって大変。

引退を考えているウェディングプランナーの主人公が、最高の式にしようと気合を入れるも、想定外のトラブルや新郎の我儘、ポンコツ過ぎる部下たちのいざこざ、そして自身の家庭事情と愛人事情に悩まされ、ハチャメチャになっていくも大感動のフィナーレへと昇華していく様を、誰もが楽しくみられるようにと願いを込めた監督の渾身のユーモア描写が炸裂したフレンチコメディでございました。

 

結婚式に主役としても客としても縁の無いモンキーですが、今回この映画を見たことで、ウェディングプランナーという職業が、また式場スタッフの人たちが、どれだけ新郎の我儘に心労を重ね疲弊しているのか、華やかな表舞台とは裏腹に様々な問題をいかに対処し切り抜け、それがバレないように最善の策を考え実行していくかが手に取るようにわかる映画だったように思えます。

 

 

冒頭から豪勢に式を挙げたいけど予算は抑えたいという超ワガママカップルに、どうしようじゃあこうしよう!

まず前菜カット!いやメインディッシュもカットしちゃおう!あれだ!みんなにメシもってこさせよう!

で、装飾もあれだ!撃ちの姪っ子に花飾り作ってもらおう!

いいね!ガンガンコストカットできるね!

あと何?デザート?あれだ、フルーツ煮たやつ作ってさ・・・といいたい放題。

 

それもそのはず、沢山人数を呼んでパーッとやりたいんですから、それなりの予算はかかるのは承知のはず。なのに、あれはダメこれもダメと妥協を許さないカップルに、一生懸命案を出すのに、発想力が足りないといわれちゃあウェディングプランナーとして腹が立つ。

最近じゃ、結婚式を黒字にしたくてそこまでうまくもない料理で振る舞い、ご祝儀を浮かして、それをハネムーンに充てようという腹黒い輩がいるようですが、そんなのハナッから式なんかやるんじゃねえと僕は言いたい。

確かにお金の部分は大事ですが、一生に一度の晴れ舞台なんですから金がかかって当然なんです。そしてあなたたちを祝いにお客さんたちはやってくるのですからそれ相応に振る舞わなければいけないのです。

 

 

話はズレれましたが、そんな様々なクライアントの我儘を何とか対処してきたウェディングプランナーのマックス。

仕事に誇りを持っている彼も、その積み重ねによりその日の式を最後に引退を考えていたのです。他に大きな問題もあってかなりおつかれのよう。

 

午前中にワガママカップルの案件を片づけ午後は古城を式場に仕立て上げての大々的な結婚パーティー会場へ。

準備は万端だったはずですが、様々なトラブルが。

  • 頼んでいたDJが来れないため代理で頼んだバンドのボーカルのクセが凄い。
  • 中年が故に電子機器の扱いになれていなく、スタッフを用意してくれといったのに来なくていいというメールを右腕のアデルに送ってしまったために、1人欠員状態。
  • そんなボーカルのジェームスとアデルが犬猿状態
  • 旧友のカメラマンのタバコがリンゴ飴くさい

などなどあらゆる問題が生じてきます。

 

まぁこんなのは序の口でお前ら大人なんだからプロなんだから何とかしなさいと一蹴すればいいだけの話。

欠員も補充できたし、さあ本番!と思ったら、本番前にこれまた大きな問題発生!!

  • アデルが代役で呼んだ奴がいきなり呼ばれたから身なりが汚く、シェーバーで髭を剃ったのはいいが、プラグを使っていたのが冷蔵庫のコンセントが刺さっていたところで、そのおかげで冷蔵庫に入っていた羊の肉が腐る。
  • 本番前のスタッフの食事を式と同じものでと要求したバンドメンバーが、その羊の肉を食べてしまい相次ぎ腹痛。
  • 羊の肉が腐ったせいで、メインディッシュがない。
  • 旧友のカメラマンが本番中写真も取らずにオードブルをひたすらつまみ食い。
  • マックスの義理の弟(うつ病)をスタッフとして同行したのはいいが、新婦がかつて好きだった人だった。
  • 怒り心頭のマックスもまた、自分の愛人から愛想をつかされ、自分の目の前で若いスタッフといちゃついてる姿を見せられイライラ。

などなど、あれよあれよと負の連鎖が続きます。

 

そして新郎もまた一癖も二癖もあるめんどくさい男で、この式を格式高く清楚で品があるスタイルでいきたい、という割にはてめえで論文並みのスピーチ原稿を容姿それを読もうというKYなことをする始末。

そして準備や計画していたことと実際違うことに対してあれこれ文句を言ってくる。

 

この危機的状況を長年の経験から得た策で切り抜くマックスの采配は見事なもので、特にメインディッシュを調達するまでの策として、アンチョビで味付けしたパイと炭酸水を出すアイディアはなるほど!と。

塩気が強く腹持ちのいいパイを炭酸水で流し込めば、みんなお腹いっぱいになって空腹は免れると。

皆さんもし結婚式でそういう料理が真っ先に出て来たら、裏ではそういう事態になっているということを頭に入れておきましょうww

 

ただしそんな問題をその場しのぎで解決しても降りかかる問題の数々。

果たしてマックス達スタッフはこの式を無事成功させることができるのか。

 

結婚式を人生の縮図に見立てた内容。

フランスといえば様々な人種が生活している国。

もちろんこのスタッフたちもフランス人だけでなく、イタリア人やパキスタン人がいたり、もっと言えば肌の色も違う人たちがいるから、いわゆるアフリカ系だったり中東系だったりと様々。

そんな彼らが一つの場所で仕事をし、ケンカをし仲直りをし、笑ったり楽しんだりする姿はどこか国を象徴している、または生きていく上で体験する出来事を凝縮したような設定だったように思えます。

 

アデルは黒人でジェームスは白人。いきなりこの二人はすごい剣幕でけんかするんですね。あれこれ荷物を運ぶリフトをバンドメンバーが独占していることで仕事に支障をきたすから止めてくれというアデルの言い分に、俺らだって荷物運ばなきゃならねえんだ!と一歩も譲らないジェームス。

まさに今の人種問題を投影しているかのよう。

その後も古城というとこで電気系統がままならない状況を、うまく使い分けあって進攻しようと提案するも、これまた一歩も譲らないジェームスにぶち切れるアデル。

さすがに見かねたマックスはお前らいい加減にしろ、握手だ握手!!というですが、中々握手をしない。ようやく手を差し出したかと思えばタッチで終わり。

ダメダメダメダメ、よしハグだハグ。

ウソでしょ!勘弁しいぇよ!という空気の中、勢いでハグをすると・・・あれ、なんだこの気持ち・・・すごく心地いいじゃないか・・・あれだけ僕らいがみ合ってきたのに・・・なんだろうこの気持ち・・・、と二人の間に何かが芽生えてくんですね。

そうです2人の間に愛が芽生え始めていくんです。

いやいや唐突!!

とは思ってしまうんですが、そういう人種問題も実はこうやって抱き合えば解決するんじゃない?愛が芽生えるんじゃない?っていう監督の意図した演出にも見えて非常に感激しました。

 

こんなサイドストーリーもありながら進んでいく物語。

退屈しのぎに出会い系アプリをいじっていたら自分に興味雄ある人物がすぐ近くにいて、いきなり出会ってしまうというのも、どこか実生活に繋がるものがあるし、

その出会い系アプリで暇つぶししていたカメラマンが、目の前で起こっていることがものすごく悪い時だった時、人生を相対的に考えれば、その悪い出来事ってのはほんの一瞬の出来事でトータルで見たら大したことないぜって考えるようにしてるってポジティブシンキングがまたステキな言葉で。

この物語も最初こそ問題だらけでよくないことばかり、失敗の連続で思い通りにいかないことばかりなんだけど、最後には笑顔で幕が閉じられることを考えると、彼の言うことが凄く活きてくる、でもってタイトルである「セラヴィ!」これも人生さ!ってのに繋がるのではないかと。

 

人生いいことばかりではないんですけど、生きてりゃこんなハッピーなことも起きるぜ!ってのを、クライマックスではポンコツな全く人種の違うスタッフが考えて素晴らしいケミストリーを起こすんですね。

それを間近で見たマックスが心変わりしていくことで、引退=人生をリタイアするのではなく続けて行こうと決心していき、ああなんて人生は素晴らしいのだろうというのを結婚式を通して描いた楽しくて素敵なお話だったなと。

 

最後に

まぁ半ば強引な解釈を書いてみましたが、単純に楽しい映画であることには変わりありません。

誰かを傷つけるような笑いではなく、ちょっとした失敗だったり、ダメダメな仕事っぷりを重ねる登場人物たちの姿に笑ってしまう映画でございました。

何といっても新郎のクライマックスのサプライズは見ものです。俺絶対あんなこと式でやりたくないし、ゲストとしても観たくないww

どんだけ自分好きなんだこいつはwwと思ってしまうクライマックスでした。

 

まぁここまで褒めておきながら、大笑いするような映画ではなかったためにちょっと消化不良というか、作品としてのもったいなさというか、「最強のふたり」と比較してしまったこととかが積み重なって、そこまでの評価にはなってないのが現実でして。

何というか喜劇にするならもっとハチャメチャでよかったし、ちょこちょこハプニングを出すのもいいんだけど、一つのトラブルが数珠つなぎになって大きな災いをもたらすような仕掛けとかあると僕は大笑いしたのかなぁと。

まぁそこは好みの問題ということでお察しください。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10