モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ドクターデスの遺産」感想ネタバレあり解説 「つまらない」を通り越して楽しくなる理由。

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「人間には、生きる権利と、死ぬ権利が平等にあるのです」

 

日本国憲法にもある通り、我々には「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」があり、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。

 

我々が生きていくために、国がインフラを整えていたり、法として保証されていることに当たると思います。

 

 

法の観点から、我々には「生きる権利」が掲げられていますが、では我々には「死ぬ権利」があるのか?

 

道徳的に考えれば、そんな法律のある国家などありえないですし、これからそんな法案が出たらとんでもない大問題です。

 

しかし「死を望んでいる者」から考えるとどうだろうか。

延命措置を続け、痛みに苦しみながら生きている人は、わずかな収入で生活している貧困者は。

 

なぜ我々はそこまでして生きていかなければならないのか。

死を望むことに対して、法は何か保証してくれないのか。

 

 

今回鑑賞する作品は、末期患者から依頼されることで安楽死させる謎の男と、事件の真相を追う検挙率ナンバーワンの二人の刑事を描いた物語。

 

謎の男は救世主なのか、それともただの犯罪者なのか。

倫理観や人間の尊厳をも考えさせられる、スリリングな展開が楽しみな1本。

早速鑑賞してまいりました!

 

 

 

 

 

作品情報

 「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞に選ばれた中山七里原作小説で、刑事犬養隼人シリーズ第4作目「ドクター・デスの遺産」を映画化。

 

130人もの患者を安楽死させた、実在するアメリカの医師「ジャック・ケヴォーキアン」をモデルに描いた。

破天荒で直感型のタイプと冷静沈着な分析タイプという異なる二人の刑事が、安楽死を手口にする猟奇的な殺人犯「ドクター・デス」と名乗る男を追う、クライムサスペンス。

 

家族と本人の同意のもと実行される「安楽死」は、は殺人といえるのか。

同意を得て手を加えた者は、本当に罪に問われなければならないのか。

 

法の名の下に正義を振りかざす刑事と、善意の名の下に私的な正義で救う殺人犯。

「死ねない患者」の気持ちを尊重することが正しいのか、それでも生かすことが正しいのか。

 

「安楽死」が認められない日本で、あなたは倫理観や道徳観を揺さぶられることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

そのドクターは、救世主か、猟奇犯か。

 

 「苦しむことなく殺してさしあげます。」

 

ある闇サイトで依頼を受け、人を安楽死させる連続殺人犯ドクター・デス。

 

その人物の存在が明らかになったのは、「お父さんが殺された。」という少年からの通報がきっかけだった。

 

警視庁捜査一課のNo.1コンビ犬養(綾野剛)と高千穂(北川景子)は、さっそく捜査を開始。

すると似たような事件が次々と浮上する。

 

捜査チームのリーダー麻生(石黒賢)、新米刑事の沢田(岡田健史)、室岡(前野朋哉)、青木(青山美郷)と共に事件の解明を急ぐが、被害者遺族たちの証言は、どれも犯人を擁護するものばかりだった。

 

ドクター・デスは本当に猟奇殺人犯なのか?

それとも救いの神なのか?

 

そして、驚愕の事実と更なる悲劇が犬養と高千穂に降りかかる。(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

監督

本作を手掛けるのは、深川栄洋

 

2005年から商業映画で活躍されてる方で、僕も名前だったり手掛けた作品など存じ上げている方ですが、実は1作も見たことがありません…w

 

なんでしょうね、新作の予告を見て、誰が撮ってるんだろう、あ、深川監督か…で止まってしまうというw

 

この方だから見ないとかではないんですが、何となく食指が動かない理由でこれまで避けてきてしまいましたw

もしかしたら本作で初めて堪能するための軌跡だったのかも(んなわきゃないw)

 

 

そんな監督の代表作をサクッとご紹介。

狼少女」で商業映画デビューした監督は、2000年から続く人気応募企画をヒントに、人生の節目を迎えた3組の熟年夫婦の愛と人生を描いたドラマ「60歳のラブレター」で本格デビューします。

 

その後も、殺人事件を機に、被害者の息子と加害者の娘が辿る運命を、事件の真相を追う刑事の姿と共に描いた「百夜行」や、小さな病院で働く主人公が、地方医療の現実に苦しみながらも成長していく姿を、夫婦愛と共に描いた「神様のカルテ」、続編である「神様のカルテ2」など人間ドラマを中心に手掛けています。

 

近年では、大泉洋主演の北海道企画第3作目で、チーズ工房を経営する酪農家が一日限りのレストランを開くまでの奮闘を描いた「そらのレストラン」などがあります。

 

そらのレストラン

そらのレストラン

  • 発売日: 2019/07/10
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

 

登場人物紹介

 

  • 犬養隼人(綾野剛)…警視庁捜査一課・麻生班の刑事。相棒は後輩の高千穂。腎臓を患い入院中の11歳のひとり娘がいて、妻は他界しているため男手ひとつで育てている。刑事としては優秀だが破天荒な直感型の性格で、娘のこととなると感情的になってしまう危うさがある。ドクター・デスによって死んだ被害者とその遺族には難病の息子を死なせてしまった父親もいて、もしも自分だったら……と重ねて考えることもあるが、「ドクター・デスは神ではなく薄汚い連続殺人犯だ」と言いきり、強い信念で犯人逮捕に情熱を注ぐ。

 

  • 高千穂明日香(北川景子)…警視庁捜査一課・麻生班の刑事。犬養の相棒として彼が感情的に動いてしまうときも的確な判断で対処する、冷静沈着な分析型。捜査一課に配属される以前は似顔絵捜査員として働いていた時期があり、その時の経験を活かしてドクター・デスの犯人像を突き止める。犬養に対して、勤務中は基本敬語で接しているが、酒が入ると対等にしゃべる。華奢だが酒好きで実は大食い。自分とは真逆の犬養を理解しようと常に観察してサポートし、いざという時は犬養以上に大胆な行動に出る。

 

  • 沢田圭(岡田健史)…警視庁捜査一課の新米刑事。
  • 室岡純一(前野朋哉)…警視庁敏腕捜査チームの刑事。
  • 青木綾子(青山美郷)…警視庁敏腕捜査チームの刑事。
  • 麻生礼司(石黒賢)…警視庁敏腕捜査チーム班長。
  • ドクター・デス…???

(以上HPより)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクター・デスを一体誰が演じるのかは伏せられていますが、どうやらシークレットキャストは2人いる模様。

どちらが犯人なのか、それとも共犯なのか、はたまたミスリードで主要キャストの中の誰かが犯人なのか。

様々な予想をしながら展開を眺めることができそうですし、「安楽死」問題にも色々考えさせられそうな予感です。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

なんだこりゃ・・・

ツッコミどころあり過ぎて、寧ろ楽しいw

ドクターデスはただの薄汚い快楽殺人者なのか、それとも救世主か。

無能な刑事2人組が事件の真相を追うお話でした。

以下、思いっきりネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

case1・・・なぜ「安楽死」の是非を問わないのか。

少年の110番通報から発覚した「連続安楽死殺人事件」の真相を追う警視庁捜査チームの敏腕刑事コンビが、捜査に困難をきたしながらも、粘りと怒りと誰でもすぐわかるような推理で解決までを辿るクライムサスペンス・・・とは名ばかりの、ひたすら大根役者が過剰な演技とただ黙ってればいいだけの真剣なまなざしで終始芝居をし、それに何も疑問に持たずにTVサイズで製作する監督の味気ない演出、ドクターデスの正体を宣伝で隠しておきながら、かなり早い段階で誰なのかわかってしまうもったいぶらなさ、ひたすら矛盾だらけの脚本など、「つまらない」を通り越してこれ以上どんなツッコミどころがあるのか楽しくなるトンデモ映画でございました。

 

 

そもそも僕がなぜこれを見てみたいと思ったのか。

理由は単純で、「安楽死」が認められないこの国で、法の名の下の正義がどこまで通用するのかに対し、個人的正義がどれほど誰かを救う役目を担っているかを突き詰めるようなプロットになっていると思ったからです。

 

日テレ製作映画としては、これまで法で裁けない犯罪者を死刑にすることができるノートを手にした天才高校生を描いた「デスノート」や経済界の大物が孫娘を殺した犯罪者に懸賞金をかけて一般市民に委ねる「藁の楯」など、法を超越した正義の是非を問うような作品を定期的に製作しているんですね。(内容の賛否はともかく)

 

加えて、「安楽死」を実際に行った医師が逮捕された事件もありました。

webronza.asahi.com

 

犯人は事件で逮捕されましたが、逮捕で終わっていいような事件では決してなかったはず。

 

こうした関心が高い中で、このような作品を公開する意義ってのは大きいと思うんです。

もちろん法律が正しいことは重々承知ですが、もっと議論しても良い時にうってつけの映画が公開されたことは、非常に大きいと思います。

 

実際海外でも今作とは大きくかけ離れますが、ビジランティズムをかざして敵と戦う「バットマン」のようなブロックバスターものでも、しっかり「正義の是非」や「法を超越する正義」についてを、しっかり作品に落とし込んでエンタメにしながら、果たしてそれが正しい事なのかを問題提起しているわけですから、日本でもやりようによっては是非や賛否によって話題となる作品がもっとあってもいい。

 

だから今作はタイミングもあって興味がわいたし、きっと面白くできる題材だろうと。

 

 

そう思ったわけですが、これがまぁびっくり。

「安楽死」を題材にしておきながら、結局犯人は特にこれといった大きな正義を掲げてるでもなく、ただ自分の快楽のために欲のために、介護している家族や重病患者を上手く丸め込んで犯罪を繰り返してるだけという非常に程度の低い犯人でした。

 

要するに「法の名の下の正義」の面しか描いてないということ。

犯人側が動機を語る場面などが描かれてますが、理由に耳を傾けても全然観衆に問題提起するような点は見当たらず、犬養が吠えるような「ただの薄汚い快楽殺人者」にしか聞こえない。

 

しかも物語の後半では腎臓を患っている犬養の娘をメンタルで追い込み安楽死と称して殺そうと画策してしまう点で、もはや犬養の言う通り「ただの薄汚い快楽殺人者」に成り下がってしまっているんですね。

 

 

非常にもったいないです。

 

ドクターデスによって救われた遺族が、ドクターデスの人相を正確に伝えない辺りで捜査に困難をきたす場面があるんです。

やっぱり彼らは「救われた」という気持ちが蔓延っており、法では何ともできない歯がゆさというモノを感じる部分ではあったんですね。

ドクターデスのしたことは完全に悪ではない、寧ろ誰かを救っていると。

 

こういう犯人側の主張にも筋の通った意義のようなものを見せれば、確かに一理あるよなぁくらいに思えるすが、どうもここを深く掘り下げていないというか。

 

例えばですよ、ドクターデスが捕まったことに対してSNSなどの画面を見せて、嘆いてる人達がたくさんいる、みたいな世間の反応を描写するとか、犬養もしくは高千穂が自らが掲げる正義に揺さぶられてしまう描写とか、もっと犯人以外が「安楽死」に対しての反応が思っていたものと違った、法では解決できないようなこともあるというようなシーンてあっても良かったのになぁと。

 

これも例えですけど、キラを崇める集団が死んだ後も絶たないみたいな「デスノート」の二番煎じでもいい。

 

もっと観た後でも議論する余地を残した作品にすれば、エンタメだけど社会派の一面も担えるのになぁと。

 

 

 

case2・・・ツッコミどころが満載で楽しい!

少々真面目に語ってしまいましたw

 

ここからはどうして「つまらない」のに寧ろ楽しいのかを解説したいと思います。

 

ズバリですが、ツッコミどころが満載だからです。

一体どこがどうツッコんでしまうのか、いくつかブロックに分けて説明いたします。

 

case2-1・・・設定が活かされていない。

今作の主人公犬養と高千穂は、警視庁の中でも検挙率ナンバーワンで頭脳明晰であると、映画の宣伝では謳ってるんですね。

この設定が全くと言っていいほど嘘で、劇中で機能していないんです。

 

犬養は結構乱暴な捜査をしがちなんです。

火葬場で火葬される遺体を、火葬される寸前で引っ張り出して鑑識に回すとか、執拗に遺族の勤務先に居座ったり、娘の病院でデカい声出したり走り回ったり(これは仕方ないか)、何かと頭より体が先に動くタイプ。

 

あぁこういう刑事って、よくTVドラマか何かで査問委員会にかけられちゃうけど、この粗暴な捜査があるからいっぱい逮捕できるんだよね~、ってのは透けて見えるんですが、決して実績が劇中で描かれてるわけでもなければ説明もない。

 

高千穂も犬養の後輩という点から犬養の捜査についていくんですけど、犬養の無謀な捜査の仕方を制止はするものの、高千穂の機転の利いた聞き込みだとか犯人像を絞り出すような頭のキレるシーンてどこにもなくて。

 

一応対照的なバディなのだから、相手ができないことをすることで事件が前に進むとか、そこから捜査方針でいがみ合うけど、互いが必要としているような絆もなく。

高千穂に至っては、足の遅い犬養を自分の武力でカバーするような場面があるわけで、それじゃあ頭脳明晰じゃないじゃん!と。

 

また似顔絵捜査員を経験していたという設定が事件で発揮されるんですが、別に人相を絞り出すのを婦警なんかにやらせずに、最初から自分で書けばいいじゃん。

無駄なんですよシーンが。

 

言い訳としては、婦警が書いた人相がみんなバラバラで遺族がかばっているということを強調するためのシーンだったと思いますけど、別に高千穂が最初からやった時に、遺族がかばおうとしている、でも私がそれを見抜いて犯人像を特定しました、って方が、頭脳明晰な面も遺族の気持ちも理解できるから一石二鳥だと思うんですけどね。

 

 

case2-2・・・警視庁のデスクが時代遅れ

麻生を筆頭に捜査チームが捜査会議をしているシーンが多々描かれてるんですが、この令和という時代に、いかにも昭和感の漂うデスク周りといいますか、なんともデジタルな雰囲気ではないんですね。

 

多分これはここ最近の刑事ドラマの観すぎから違和感を持ってしまった部分もありますが、にしてももっと美術的な観点から現代的な工夫があってもいいのでは、と。

 

ホワイトボードや机、PCなんてのは確かに存在するんですが、なんていうんでしょう、いかにも古いんですよ(うまく言えないw)。

もっと洗練された室内にした方が雰囲気が出るというか。

せっかく捜査チームとして選ばれたわけですから、オフィスの雰囲気も選ばれた!って感じの作りの方が。

刑事ってかっこいいな!って思わせるのも大事じゃない?

 

ほんとね「はぐれ刑事純情派」みたいな古い感じなんですよ。

もしくはどこかの寂れた雑誌の編集室みたいな感じで。

 

 

case2-3・・・演者のセリフがきつい

これはどちらかというと、岡田健史や前野朋哉に関することなんですけど。

2人ともそれなりに作品に出ているし、存在感も出てる良い役者なんですよ。

特に前野君なんて脇役としてすごく稀有な存在だと思うんです。

 

でも全然いいい部分を発揮できてない。

「~に関して聞き込みをして見ましたが、収穫はありませんでした」とか、「~によると、~だったそうでもう一度聞き込みにあたります」みたいな捜査の報告をするシーンがあるんですけど、セリフを文節ごとに区切って喋るから、すごく棒読みに聞こえるんですね。

 

あくまで例えですけど「~に関して、聞き込みをして見ましたが、収穫は、ありませんでした」みたいな。

こういう時って息継ぎせずに一気に言う方が、抑揚も出るし捜査の本気度が伝わるというか。

如何にも刑事って感じがするじゃないですか、焦ってる感じとか、捜査に行き詰まっちゃいましたみたいな空気感。

そういうのがどこにもなかったんですよね。

 

逆に綾野剛と北川景子は色々人物像を作り過ぎて過剰になっちゃってた感じがします。

特に綾野剛は声色を変えてましたよね。

のどを引き締めて濁声にしてるんですけど、別に普通にしゃれっても何ら問題ないでしょう。

北川景子も黙ってホワイトボードやら似顔絵見つめてりゃ、頭脳明晰っぽく見えるってだけにしか見えず、本当に頭で考えてるのかよくわかりませんでしたね。

 

他にも居酒屋での絡み酒のシーンや、予告でもあった平手打ちやボディブローのシーンも別に必要ないですし、平手打ちやボディブローまでできちゃう関係性が他に見たらないので、やる意味あったのか。

 

 

case2-4・・・ドクターデスが誰なのかあっさりし過ぎ。

これは物語の中で一番興味をそそる部分なんですが、序盤で誰がやってるのかわかってしまうし、この人を宣伝で隠すほどの大物なのか?というガッカリ感がありました。

 

まず男性の医師が誰なのか、それは最初の遺族の供述のシーンで回想に突入するんですが、「一時間後に息を引き取ります」みたいなセリフを男性の医師が言うんです。

もちろんこの時点で顔が隠れてるのではっきりとはわかりません。

ですが、この声で誰が演じてるのかがわかってしまうというw

 

もう隠す素振りねえじゃん!wて。

はい、この男性の医師、柄本明が演じてます。

非常に声に特徴のある俳優さんですよね。

 

その後も声でみんなわかっちゃったよね~くらいの開き直りなのか、重病患者に遺書のような動画を撮影するシーンがあるんですが、カメラを構えてはいるものの、しっかり顔を拝めてしまうというw

 

一体何のために隠していたのかよくわかりません。

 

そして実はもう一人キャストが隠れてるんです。

この男性医師と共に看護師が存在しまして、彼女が一体誰なのかってのも、序盤で判明してしまいます。

この看護師を演じてるのが木村佳乃です。

ファンの方には非常に申し訳ないんですが、うん、なるほど止まりですよね。

的確なキャスティングだけど意外性もないし、隠すほどの大物かと。

 

2人がどれほどの位置なのかは置いといて、宣伝で隠すのであれば、やっぱり物語の終盤に明かすような配慮ってあっての良かったのかなと。

 

case2-5・・・色々矛盾し過ぎ

さて、物語のツッコミどころも終盤を迎えました。

一体どこがヘンなのか、色々説明したいと思います。

 

まずは、木村佳乃演じる看護師を任意で引っ張る件。

犬養と高千穂は、ようやく警察に協力してくれた遺族の情報をもとに探すんですが、あっという間に見つかります。

小田急線町田駅から○○までの道中で10日ほど前に観掛けました、という情報なんですが、この過程をすっぽかして、いきなり養鶏場でのシーンへ突入し、木村佳乃を探し出してしまうんです。

さすが優秀な刑事・・・ではなくて、もうちょっと過程をさ、楽しましてよ!重要参考人なんだから!

 

そして木村佳乃演じる看護師は、男性医師に2万で雇われただけで、致死量の薬物を打ってたなんて私にはわかりませんでした!と供述するんです。

クスリの入った瓶には、ラベルが全て剥がされてるから、看護師経験のある私でもほんとにわからないんです!と。

 

でも、明らかに遺書めいたものを撮影している場に立ち会ってるし、しかも男性医師を津特定するために彼女を敢えて釈放する最後のシーンで、患者の最後の姿は美しかったですって言ってるんですよ。

待て待て、彼女、明らかにこの医者が安楽死していることわかってついていってるよね?

自分が何を注射したかは、いくつも安楽死させるために付き添ってるからわかってるよね?

何故犬養と高千穂は彼女の嘘に気付かずシャバに放ってしまうのか。

 

 

さらに矛盾する点がいくつも存在します。

この供述で犬養は自分の娘が重病を患っていることを明かしてしまいます。

看護師は自分のやってることを全否定されたことに怒りの念を抱き、彼女を標的に犬養を苦しめるんですね。

そう、ドクターデスは男性医師ではなく、この看護師だったわけです。

 

娘に近づき、まんまと彼女に「死にたい」と思わせるんですが、ここで娘が「安楽死請負サイト」に依頼してしまうんです。

待て待て、この時点で「安楽死殺人事件」はメディアで大きく報道されているんです。

しかもサイトを特定してニュースに流してる。

普通警察がサーバーに依頼して閉鎖させませんか?

なんでまだ機能してるんですか?

 

またメディアで大きく扱われてるのに、警察は捜査チームの5人で捜査させてるんですね。

これも普通捜査員をたくさん動員して大掛かりな捜査をするんじゃないんですか?

なんかおかしいよなぁ…。

 

また、終盤では犬養が単独で娘を誘拐した場所に赴くんです。

高千穂は彼を追いかけて場所に向かうんですが、この場所が犬養の家族の思い出の場所で。

だから犬養しか知らないんですよ。

でも高千穂は見事に場所を特定してたどり着く。

 

ん?なんで高千穂は犬養の家族の思い出の場所を知ってるんだ?

一応最後に高千穂が「だって犬養さんの娘さんの思い出の場所じゃないですか、わかりますよそれくらい」みたいなことを台詞で言うんですが、劇中で高千穂が娘とそんな話してましたっけ?

(ここはもしかしたら覚えてないだけかもしれません…)

 

他にも、事件手被害届け出ないと捜査できないんじゃない?誰が被害届出したの?あの110番通報した子供?それとも安楽死を望んだ母親?

しかも勝手に遺体を解剖するからと言って、警察が介入してましたけどあれって遺族の承認得なくても勝手にできるんでしたっけ?

 

そもそも110番通報をしたのが子供で、それを警視庁の敏腕刑事2人が捜査に乗り出すってのも不思議でしょうがない・・・。

 

 

最後に

安楽死の是非を問うのに格好のタイミングと題材だったわけですが、なぜか正義は勝つ!みたいな持って生き方と、犯人の崇高な個人的正義がどんどんブレてきて、結局「安楽死」がただの殺しの動機だけになってしまっているのには、さすがにひどいとしか言えません。

 

とはいえ、このぶっ飛んだプロットを見ながら心の中で突っ込んでいくと、「つまらない」という感情を超越した快楽が待ち受けています。

棒読みの演者に過剰演出の演者、おきっぱなしの定点カメラや古びたセット、依頼されたからやってみました程度の志の低い監督、宣伝の謎に、矛盾したアレコレなどなど、ここまでモノを言いたくなる映画もなかなかありません。

 

ただこれにお金を払ってまで見て!とは強く言えないのが悔しい所。

 

続編とかマジで勘弁してください。

やるならもっと社会問題を鋭く切り込んで問題提起するような内容でお願いします。

変に一線引く必要なんてありません。

特にTV局が製作なら尚更です。

 

しかしつまんなかったなぁ~w

というわけで以上!あざっしたっ!!

笑えたので甘め。

満足度☆☆☆★★★★★★★3/10