エジソンズ・ゲーム
小学校の図書館によくおいてある伝記本。
野口英世にヘレン・ケラー、コロンブスやナイチンゲールなど、いわゆる歴上の偉人を小学生向けにわかりやすく理解できるよう解説したり、物語調に書かれた者が特徴です。
僕はよく「リンカーン」を好んで読んでいたのを覚えてます(概要は知ってるものの、内容は忘れたw)。
きっと誰もが、どれかは手にした伝記があるはず。
その中でも特に人気なのが「エジソン」だったりするんじゃないでしょうか。
エジソン。
世間一般的には「電気を発明した人」、というのが常識として認知されてるのかと思います。
僕もなんとなくですけど、努力とひらめきで発明王の名をほしいままにした人、ってイメージです。
「おどるポンポコリン」でも、「エジソンは、えらい人」なんて歌詞があるくらいですから、とにかくすげえ人なんだとw
実際今日の当たり前の暮らしがあるのも、彼のおかげなんですよね。
しかし、ホントのところ、彼って何者で、どんな性格なんでしょう?
今回鑑賞する映画は、発明王エジソンの知られざる過去と、電気の利権をめぐる凄まじい権力闘争を描いたお話。
え?エジソン以外にも電気作った人がいたの?どういうこと?
よく分からないまま臨むことになりそうですが、早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
今日の豊かな暮らしがあるのは、発明王エジソンの功績が大きい。
彼がいなければ日常で灯される伝統はおろか、パソコンやスマホ、ましてや映画も生まれなかったかもしれない。
我々が生きる当たり前の日常は、彼の「1%のひらめきと99%の努力」という恩恵を受けて生まれたものといっても過言ではない。
世界の偉人に相応しいエジソン。実は彼の裏の顔には「訴訟王」という異名が。
様々な発明をしてきた彼は、発明の権利を守るために、無数の訴訟を起こしまくったと言われている。
その中でも最も熾烈な争いを繰り広げたのが「アメリカ初の電力送電システム」を巡るビジネスバトル。
今作は、<頭脳で世界のトップに立つ世紀の発明王>トーマス・エジソンと、<戦略で支配を広げるカリスマ実業家>ウェスティングハウスによる電流戦争を描く。
白熱電球の特許権を巡る戦いは、ある事件をきっかけに直流を支持するエジソンと、交流を支持するウェスティングハウスの主張、どちらが安全かという争いにまで発展。
莫大な金が動く世紀の特許争奪戦はもちろんのこと、相手を陥れるためのずる賢い作戦やネガキャン、そして現れる第3の男出現に、さらに混沌としていく。
超一流の天才二人を、超一流の役者が演じる白熱の戦いの全貌が、今明かされる!
あらすじ
19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。
白熱電球の事業化を成功させたトーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)は天才発明家と崇められ、大統領からの仕事も平気で断る傲慢な男だった。
裕福な実業家ジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)は、大量の発電機が必要なエジソンの❝直流❞による送電方式より、遠くまで電気を送れて安価である❝交流❞による送電方式の方が優れていると考えていた。
若手発明家のテスラ(ニコラス・ボルト)も、効率的な❝交流❞の活用を提案するが、エジソンに一蹴されてしまう。
そんな中、ウェスティングハウスは❝交流❞での実演会を成功させ、話題をさらう。
そのニュースにエジソンは激怒、❝交流❞による送電方式は危険で人を殺すと、ネガティブ・キャンペーンで世論を誘導していく。
こうして世紀の❝電流戦争❞が幕を開けた!
訴訟や駆け引き、裏工作が横行する中、ウェスティングハウスはエジソンと決裂したテスラに近づく——。
果たしてこのビジネスバトルを制するのはどちらか!?(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、アルフォンソ・ゴメス=レホン。
お名前は存じ上げなかったのですが、「ぼくとアールと彼女のさよなら」の監督さんだったんですね!
グレッグとアールの映画オタクの二人が作る名作映画たちのパロディの楽しさにニンマリすることはもちろん、顔見知り程度だったレイチェルが、病気になったことをきっかけに友達になっていくというお話。
彼女と距離を縮めていくことによって価値観や心境が変化し、やがて彼女を通じて成長を遂げていく青春映画です。
レディ・プレイヤー1でヒロインを演じたオリヴィア・クックの好演に涙です!
監督は他にも「glee/グリー」や「アメリカン・ホラー・ストーリー」といったドラマシリーズの監督や、マーティン・スコセッシ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作品の第二班監督も務めた過去がある実力者。
どんな手腕を見せてくれるのか楽しみですね。
キャスト
今作の主人公トーマス・エジソンを演じるのは、ベネディクト・カンバーバッチ。
舞台にTVドラマに映画にと、ものすご~く大忙しなカンバーバッチ。
きっと映画やTVでは物足りなくて舞台も見たい!!ってファンの方も多いのでは。
僕は彼に関しては「裏切りのサーカス」で知ったのが最初。
以降、「スタートレック/イントゥ・ダークネス」のカーンや、「それでも夜は明ける」、「8月の家族たち」と敵役や脇で魅せる役者なんだなぁ…なんて思ってた矢先に、「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」で、さらに彼を好きになり、「ドクター・ストレンジ」でようこそMCUへ!と。
イメージとしては、あまり娯楽大作に出るような人じゃないよなぁなんて思ってたので、MCU入りはホントに意外で驚きで。
もっと言えば、最近の彼ってアベンジャーズ以外で見てなかったってのもあって、久々にこういう作品での主演作をお目にかかれるのは、貴重だなと。
今回かなり傲慢で強引なやり口で周囲を惑わす役柄だそうですし、一癖ある役ばかり演じてきた彼の新たな一面が見れそうです。
他のキャストはこんな感じ。
エジソンの宿敵ジョージ・ウェスティングハウス役に、「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」のマイケル・シャノン。
電気技師ニコラ・テスラ役に、「X-MEN/ファースト・ジェネレーション」、「マッド・マックス/怒りのデス・ロード」のニコラス・ホルト。
エジソンの助手、サミュエル・インサル役に、「インポッシブル」、「スパイダーマン」のピーター・パーカー役で人気を博したトム・ホランド。
マーガリート・ウェスティングハウス役に、「インヒアレント・ヴァイス」、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」のキャサリン・ウォーターストン。
メアリー・エジソン役に、「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」、「ダウントン・アビー」のタペンス・ミドルトン。
フランクリン・ポープ役に、「父の祈りを」、「マダム・フローレンス!夢見るふたり」のスタンリー・ダウンゼント。
JPモルガン役に、「プライドと偏見」、「ロビン・フッド」のマシュー・マクファディンなどが出演します。
天才対実業家の、意地と意地をかけたバチバチの全面戦争。
エジソンの知らない側面を見たら、感電しちゃうかも?w
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
もっとフィクションにして、エジソンを悪い奴にしちゃえばよかったのに。
送電方法を巡る戦いの結末に、なるほどね~くらいしか感想がないです…。
以下、ネタバレします。
画作りとかいいんだけどね。
様々な発明により既に人気者であるエジソンが次に挑んだ発明は「電器の送電」。
直流で電気流した方がすげえぜ!ってのに対して、いやいや交流の方が低コストで広範囲に送電できますよと声を上げたのがウェスティングハウス。
エジソンの気持ちを代弁するならば
「お前、俺が考えたアイディアなのに、茶々入れんじゃねえよ!」
と。
こうなったら中身がどうであれ、俺が正しいということを世間にアピールしてやるぜ、と大々的にネガティブキャンペーンをしてしまうエジソン。
もし交流で送電したら、誰か死んじゃうかもね~、って記者さん書いといて、と堂々と風評被害を起こすのであります。
こんな感じで始まる「電流戦争」。
後半ではエジソンの最愛の妻が亡くなり、ウェスティングハウスも相棒を事故で失うといった心の深手を負いますが、何が何でもこの戦争には勝たねばならないという覚悟をさらに高めていくんですね~。
他にもエジソンに憧れ彼の下で働くも、意見を流され、挙句の果てには邪険に扱われ彼のもとを去るテスラが、物語のカギを握っていき、ウェスティングハウスの方へとついたり。
果たして勝者はどちらに?
というのがザックリなあらすじなんですが。
冒頭の白銀の世界に佇むエジソンだったり、汽車止めて灯り消して見せるパフォーマンスだったり、アメリカ国内の電流勢力図を模型にして、直流と交流、どの州で使われてるかを現したり、照明によって照らされたエジソンとウェスティングハウスが、どういう心情なのかを映し出すあたり、またNY証券取引所での点灯式とクライマックスでのシカゴ万博での点灯式の模様や明るさの対比だったり、万博での点灯式の模様と電気椅子での死刑執行を分割画面で見せる辺りなどなど、何かと映画的な画作りがオシャレだったり輝いてたりしたんですよね。
年号と場所の字体とかもよかったな。
またカンバーバッチとトムホランドが実業家と秘書の関係で演じているのも、MCUファンとしては楽しみだったひとつ。
どうしたそのもみ上げw尾崎紀世彦かwてくらい、ぶっといもみ上げのトムホに驚きだし、彼を顎で使うカンバーバッチだけどトムホにあれこれ窘められて黙っちゃうカンバーバッチ、万博でのプレゼンテーションで自分がいけない代わりに徹底的にプレゼンのコツと必勝法を伝授する2人が、顔を近づけてひそひそ話してる姿なんて、ファンとしてはたまらなかったんじゃないでしょうか。
何がいけなかったのだろう。
序盤こそ、エジソンが突如現れた商売敵に対して、卑怯な手を使っていく姿を見て、
お~俺の知ってるエジソンじゃな~い!
中々の頑固野郎だな!
自分がよけりゃ何でもいいのか!
資金集め必死だな!
とか、発明家としての顔でなく、なんとしてでもビジネスを成功させたい実業家の裏の顔を覗けたのはすごく面白そうな展開だったんです。
後は徹底して「人を殺す武器など作らない!」と豪語していた彼の譲れない面てのも知れてよかったし。
で、これが後の争点になってくってのも、お、いいじゃんいいじゃんと。
しかし中盤以降話自体がトーンダウンしていっちゃったなぁ~というのが、今回のざっくりした感想。
多分ですね、会話の面が段々多くなっていくことで、こちらが受け取らなきゃいけない情報量が増えていくのがちょっと辛かったのかなと。
テスラが登場し、ずっと脳内で描いていたモーターの発明を講演会で発表する辺りから、僕はちょっと睡魔が襲ってきてしまい・・・w
情報量の多い映画で、尚且つ睡魔が襲ってきたら、そりゃあ印象度も変わってくるし話にもついていけなくなるわけで、映画が悪いんじゃなくて僕が悪いという・・・。
あとあれだ、ウェスティングハウスの回想シーンの意図がよく分かりませんでしたw
戦時中の話ですかね、背後を取られて銃を突きつけられるウェスティングハウスが、銃の説明をしながら隙を作って相手を銃で仕留めるという回想だったんですけど、アレが劇中でどういう意味があったのか・・・。
また、調べればどちらがこの戦争に勝ったのかわかるのは置いといて、概要を知らずとも途中でこれどっちが勝つかわかっちゃうよね~って流れも、僕としてはいただけなかったなぁ。
あと、製作の背景として「ワインスタイン・カンパニー」が絡んでたそうで、今やセクハラの代名詞となってしまったハーヴェイ・ワインスタインが、製作に関してあれこれ修正を要求してきたとか何とかで、監督はだいぶまいってしまったそう。
結局ワインスタインのセクハラ告発により彼は作品制作から消え、監督のお師匠さんでもあるスコセッシが救いの手を差し伸べ、何とか形にできたんだとか。
こうなっちゃうと映画の中身も大変なことになっちゃうよね~。
上へのお伺いとか、金出してくれるスポンサーに媚びを売らなきゃなんないのも仕方のない事なんだろうけど、作り手の気持ちを無視しちゃダメよね~。
最後に
モンキー的には、もっとバチバチの男クサい火花を散らせた仁義なき戦いになるものかと思ってたんですが、「スタートレック/カーンの逆襲」くらい、二人が対面するシーンはなく、目には目を歯には歯を的な、やられたらやり返せな、どっちも卑怯な手を使っての攻防を見せてれるんじゃないかと期待していたんですが、さすがに事実に着想を得た作品とはいえ改変し過ぎは先人に失礼だったのでしょう、案外普通だったなと。
それでもエジソンという男の側面を、偏屈な男の芝居させたらピカイチのカンバーバッチが見事に演じていたし、真顔ひとつで色んな表情ができるマイケルシャノンの佇まいも映画に味をつけてたし、トムホもウォーターストンも可愛かったし、なんていうんだろ、ビジュアルだけでも見て損はないかと(テキトーw)
直流か交流か、確かの理科の授業で習ったはずなのに、僕といったらさっぱりわからなかったので、ここは是非今作がどういう背景にあり、どういう技術を用いた話なのかって解説を、twitterでやり取りさせていただいてるJoshua(ジョシュア)さんが書いたレビューをご覧くださいませ。
ホントこの人凄いから!
あ、最後にどうでもいい話。
映画館で鑑賞する際、特に意識もなくバットマンのシルエットとDCコミックのマークが描かれたTシャツを着ていったんですが、よくよく考えたら「DC」って直流の略称じゃないですか。
だから、俺の姿を端から見たら、直流送電を主張するエジソンを支持してる人みたいに観られてないかなぁ・・・ってw
これ書きながらふと自分の姿を鏡で見た時に気付きまして、すげ~恥ずかしかったですw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10