ゴールデン・リバー
おい、見ろよこのメンツ!!!
いいおっさんたちが揃いも剃って埃まみれの中、黄金探ししていく中で友情に築いていくだぜ!
でもってなんだ、夢に目がくらむ?
あぁそうさ、金に目がくらむんだよ!
きっと我先にキラキラ光った黄金に食いついて、友情なんてあっという間に砕け散るんだ!
所詮この世は金なのさ、それさえありゃあ友達も女も家族も兄弟も必要なんかねえのさ!!
金こそ全て!!
オールユーニードイズマネーなのさ!!!
・・・取り乱しました。
演技派4人が織りなすウェスタンサスペンスってことで、どんなアンサンブルを見せてくれるのか観たくて今回チョイスしました。
方やキングコングで存在感を発揮した男、方やあの偉大なるヴィラン、ジョーカーを演じる予定の男、方やスペースオペラのスピンオフで大活躍した男、さらに今年、満を持してクモ男の適役に抜擢された男。
この4人がインディペンデント系の映画に揃ってバチバチさせていくんだからつまらないわけがない。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
金脈を探し当て一攫千金を狙う採掘者が殺到した、いわゆるゴールドラッシュ時のオレゴンを舞台に、殺し屋兄弟とその連絡係、黄金を生み出す科学者がひょんなことから出会い、手を組み、一つの目標に向かって友情を築き上げていく中で起こってしまう欲望による衝突を、予測不能の展開で導くウェスタンサスペンス。
パトリック・デウィット原作のミステリー小説「シスターズ・ブラザーズ」を、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した監督により映画化。
原作の設定への変更や、フランス人が見るアメリカという視点を加えることで、新鮮な西部劇を生み出すことに成功。
また、ハリウッドが誇る個性派ぞろいの俳優陣が一堂に揃ったことで、かつてないサスペンス映画に仕上がった。
出会うはずのなかった男たちに生まれる確かな友情が、絡みあう欲望の果てにたどり着いた先は。
人間の底なしの欲をあぶりだした心理サスペンスをご堪能あれ。
あらすじ
「俺たちはシスターズ兄弟だ」──その言葉に誰もが震えあがる、最強の殺し屋兄弟がいる。
1851年、オレゴン。兄の名前はイーライ(ジョン・C・ライリー)、弟はチャーリー(ホアキン・フェニックス)、雇い主はあたり一帯を取り仕切る提督だ。
度胸があり提督からの信頼も得ているチャーリーが、リーダーとして仕事を仕切り、兄はそんな弟のワガママをぼやきながらも、身の回りの世話を引き受けていた。
彼らに与えられた新たな仕事は、連絡係のモリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出すウォーム(リズ・アーメッド)という男を始末すること。
とりとめのないバカ話をしながら、サンフランシスコへ南下する。兄弟が馬で山を越えていた頃、モリスは南へ数キロ先のマートル・クリークで、ウォームを見つける。
時はゴールド・ラッシュ、金脈を求めて群れをなす採掘者の中に、ウォームの姿もあったのだ。
2日後、次の町ウルフ・クリークで、モリスはいきなりウォームから「前に会った?」と声を掛けられ、慌てて「人違いだ」と答える。
だが、屈託なくモリスの笑顔を褒める人懐こいウォームに、作戦を変えて昼食をおごると誘う。
うまい具合に話は進み、ウォームと一緒にジャクソンビルへ砂金を採りに行くことになったモリスは、シスターズ兄弟に「急がれたし」と手紙を残す。
旅の途中でウォームはモリスに、にわかに信じがたい話を打ち明ける。
自分は化学者で、金を見分ける“予言者の薬”を作る化学式を発見したというのだ。
だが、ジャクソンビルに到着し、モリスの動きに不信を抱いたウォームが、彼のカバンを探ったことから、モリスの正体と目的がバレてしまう。
モリスはウォームを拘束するが、雇い主の目的は化学式を奪うことで彼が化学式を教えるまで兄弟に拷問されるだろうと知って動揺する。
翌朝、モリスはウォームと逃げ出すことを選び、連れ立って出発する2人。道中、ウォームはモリスに、手に入れた金で「野蛮な世界を終わらせ、理想郷を作る計画」について語る。はじめは半信半疑で聞いていたモリスだが、次第に彼の話に引き込まれ、その思想に心酔していく。やがてモリスは。亡き父の遺産を資金に、ウォームの夢に加わることにする。モリスを信じてメイフィールドまで来た兄弟は、その町に自分の名前を付けた権力者が、ウォームの化学式を奪うべく部下を放ったと聞き、初めてモリスの裏切りを知る。普通の暮らしにあこがれていたイーライは、これを聞か気に引退しようと持ち掛ける。だが、裏社会でトップに野望を抱くチャーリーには論外だった。サンフランシスコに到着した兄弟は二人の居所を突き止めるが、追手を予測していた彼らに捕らえられる。やがてメイフィールドの部下も現れ、二人はやむなく兄弟の力を借りて、彼らを撃退するのだった。ウォームからの提案で、黄金を採るために、手を組むことになる四人。はじめは互いに疑心暗鬼だった2組だが、兄弟もまたモリスと同じようにウォームのカリスマ性に魅せられ、奇妙な友情と絆が生まれていく。だが、いよいよ❝薬❞を川に流したその時、、黄金と一緒にそれぞれの思わぬ欲望が、ギラギラと浮かび上がる——(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、ジャック・オーディアール。
調べたらカンヌ国際映画祭では常連の監督さんなんですね。
僕は「君と歩く世界」しか観てないんですけど、聞いたことある作品をこの方が監督していたなんて、まだまだ勉強不足です、はい。
そんな監督の過去作をサクッとご紹介。
脚本家として活躍後、ある事件に関わった男たちの微妙な愛情関係を綴った「天使が隣で眠る夜」で監督デビューした彼は、難聴によって孤独になった少女が前科者と恋に落ち犯罪に手を染めていくラブサスペンス「リード・マイ・リップス」でフランスのアカデミー賞とも言われるセザール賞で3部門を獲得。
他にも裏社会で生きる男がかつての夢であったピアニストへの道を目指す姿をスタイリッシュに描いた「真夜中のピアニスト」でベルリン国際映画祭銀熊賞(音楽賞)を獲得したり、刑務所で生きるためにのし上がっていく青年の姿を描いたノワール作品「預言者」でカンヌ国際映画祭グランプリを、両足を失った女性と粗暴なシングルファーザーの不器用ながらも飾らない恋愛模様を描いた「君と歩く世界」、内戦を逃れ、赤の他人と家族を装うことでフランスへ入国しようと試みる兵士の過酷な姿を描いた社会派サスペンス「ディーパンの闘い」では、カンヌ国際映画祭で念願のパルムドールを獲得しました。
キャスト
殺し屋兄弟の兄、イーライ・シスターズを演じるのは、ジョン・C・ライリー。
コメディ俳優のイメージが強い彼ですが、シリアスな演技もしっかり演じ存在感を発揮する彼。
とはいえ僕はコメディ映画のイメージが強く、それこそ「俺たちステップブラザーズ」とか「ウォーク・ハード」、「ロブスター」などここ10年くらいのコメディ映画での出演が印象的。
て事は、彼の昔の代表作観てない・・・ってことなんですがw
こちらも勉強不足ですなぁw
彼に関しての紹介はまた今度ってことで。
他のキャストはこんな感じ。
殺し屋兄弟の弟、チャーリー・シスターズ役に、「ザ・マスター」、「ウォーク・ザ・ライン~君につづく道~」、「ジョーカー」の公開が控えるホアキン・フェニックス。
殺し屋兄弟の連絡係、ジョン・モリス役に「エンド・オブ・ウォッチ」、「ナイトクローラー」、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」が絶賛航海中のジェイク・ギレンホール。
黄金を生み出す方程式を見つけた化学者ハーマン・カーミット・ウォーム役に、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」、「ヴェノム」のリズ・アーメッドなどが出演します。
個性派俳優たちによる、人間の欲に溺れたサスペンス型西部劇。いったいどんな結末が待っているのでしょうか!!
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
う~んまたもや邦題の罠・・・。
西部劇というよりもブロマンス要素の強い兄弟のお話でした!
以下、核心に触れずネタバレします。
兄弟の冒険と帰還。
提督からの依頼のために化学者を追う旅に出た兄弟が、足を引っ張ったりほっこりするエピソードを散りばめながら、まるで性格が正反対ながら、この人にこの人アリ、という絆を魅せ、連絡係&化学者コンビと相見えるも一つの目標に向かって仲を深めていくおっさんワチャワチャや、欲にまみれた末を喪失感、覚悟を決めた兄弟の末路を、ドンパチやグロ描写目いっぱいで描かれた西部劇でした。
はい、今回は手短にですいません。
残念ながら前半所々眠ってしまってうろ覚えでの感想になります…。
正直前半ね、なかなか本題に入らないせいで体感時間も長く感じ、兄弟VS連絡係&化学者の構図になるまでのエピソードが退屈で・・・。
といってもですよ、ここで提督にかわいがられるもその凶暴性や短気な部分が災いしてあれこれやってしまう弟、それに対し慎重派で不運で気の優しい兄って対比がいかにもバディ要素たっぷりで、嫌いにはなれません。
連絡係のウォーム&ジョンも、どこか怪しげなウォームに対し、真面目さも見えるジョンがどんどんウォームの話に乗ってきて、このまま二人で兄弟から逃れ理想郷を作ってやろうじゃないか!って気持ちになっていくのが、丁寧に物語を描いていて。
特に兄のイーライがねぇ、ほっこりさせてくれるんですよ。
となりで弟が寝てる隙に、女性からもらった赤いスカーフ(ショールって言ってましたね)の匂いを嗅いで眠りにつく乙女というか少年というか、いい年して何やってんだよwっていう。もちろんこの後弟にからかわれますがw
初めての歯磨きをする件も、説明書読みながらシャカシャカ磨いてる姿が可愛らしいし、え、なに、ジョンも歯磨きしてるの?奇遇だね~俺も何だよ、スースーして気持ちいよね!ってやり取りをアイコンタクトだけでするシーンもほっこり。
その後も寝てる時に蜘蛛が口の中に入って翌朝気分悪くなって顔パンパン状態。
ここもなんだかんだ言って兄をケアする弟の姿が印象的。
不運なことに自分の馬が寝ている時にクマにやられて深手を負ってしまうんですね。
それこそこの馬を駄馬とか言ったり仕事するときはもっといい馬じゃないと、とかあれこれ文句言ってたのにめっちゃ愛着わいてて、苦しそうな馬の姿観て頑張れとかもう少し、とか言ってサポートして。彼の最期も立っていることもままならないくらい落ち込むイーライの姿がありました。
もうね、良い兄貴ですよ。
冒頭だって納屋が焼かれてるのに馬助けに行ったりするし、終盤では弟の方が強いイメージでしたけど、一目置かれている殺し屋兄弟の兄ってのを体現した強さを見せてくれましたよね。
それに引き換え弟のチャーリーはまぁやらかすやらかす。
酒飲んで店で暴れまわったり、兄貴と口論になってレストランのテーブルひっくり返して、挙句の果てにそれ覚えてねえとか言って。
とにかく酒と性格が災いして兄貴に迷惑をかけるダメな役柄として、作品で映えています。
この性格がですね、後に怒る金探しで悪い方向へ行ってしまうのが今作の悲哀な部分を生み出すので、欲は怖いなと。
ちなみに肝心の金探しによって金を見つけ出す件ですが、僕はここでこれは俺のだ!と4人が欲に駆られて自己中に陥った結果、敵対視してドンパチやり合うんじゃないかと予想してたんですが、実はそうではないってところが良い意味で裏切られました。
やはり最初こそ彼らを追い変えてきたものの、話してみたら意外といい奴で、しかもウォーム殺しても報酬はない、じゃあ彼らに協力して金探し手伝った方がいいじゃんてなって、チャーリーが一人で見張りして寝かせてるのに、火を消さずにゲラゲラ盛り上がってる3人てのがいいんですよ。
しかも朝までやって。たくさん夢とか笑い話とか語り合ったんでしょうね。
もはやキャンプだ!
他にも冒頭ので夜襲のシーンでは、真っ暗な中で突如光る銃口とかなり大きめの銃声が響くことで、西部劇らしさを生み出していたし、お茶目でダメなとこある兄弟だけどいざ決戦となったらその嗅覚で敵をバッタバッタと倒していく姿、そして終盤兄貴の決死の銃撃戦での強さには、まだ西部劇の「せ」の字もわからん未熟者ですが、非常に見ごたえがありました。
最後に
ゴールデンリバーという邦題によって、いろんな妄想をして臨んだ今作でしたが、あくまでそれは後半過ぎくらいまでのお話で、全体的に見ると、やはり凹凸な二人だけどなんだかんだで兄弟あっての2人で、互いが互いをカバーして初めて殺し屋兄弟なんだなってのを描いたお話だったなと。
最後はそんな2人の行きついた先での朗らかで癒される姿に笑みを浮かべながら幕を閉じていきます。
欲望が先行した結果損失は大きかったけど、彼らにとっては大きな旅だったことでしょう。
彼らはまた殺し屋家業をやるのかな、いや、ないね。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10