海獣の子供
昔レンタルビデオ店で働いていた頃、それこそコミックレンタルが導入された時。
この本に興味を惹かれたものの、同僚にこれ面白いよと言われたものの、結果読むことはなく時は過ぎていってました。
映画を好きになり、技術の向上によってアニメーション映画の地位と必然性を感じるようになった今、とうとうこの作品と触れる時が来たんだな、そんな気持ちを抱えております。
とかなんとか言っちゃって、概要が全く見えてこない今作。
もちろん海中シーンの映像に至っては予告編の段階でトリハダレベルであることは一目瞭然で、そこに今をときめく米津玄師の優雅で幻想的な主題歌がかぶさることで、この映画の神々しさにしてやられるという凄さ。
やはり原作を読んでから見に行った方がいいのか、それとも読まずに観た時の感覚を大事にした方がいいのか、悩みに悩んで結局時間が無いって理由で後者を選んだ私モンキー。
今回ばかりはどんなお話でどんなことを伝える内容なのか予測がつきません。
それも映画を楽しむための一つの見方ってことで、期待したいと思ってます。
早速鑑賞してまいりました!!!
作品情報
五十嵐大介初の長編作である同名コミックを、最先端の映像表現で観衆を魅了し続ける制作スタジオ「STUDIO4℃」によってアニメーション映画化。
自然世界への畏敬を下地に、コミュニケーションがうまくできずにいる14歳の少女が、ジュゴンに育てられたという2人の兄弟とのひと夏の出会いを綴っていく。
海の静けさと荒々しさや匂いを感じさせるような映像と音楽によって、正に原作そのものを浴びるような作品に仕上がった今作。
少年少女のボーイミーツガールな冒険譚にして、私たちはどのようにして生まれたのかを紐解いていく壮大にして唯一無二の物語が誕生した。
いちばん大切な約束は言葉では交わさない、とはどういう意味なのか。
私たちは海の深さと凄さをこの映画で思い知らされる。
あらすじ
光を放ちながら、地球の隅々から集う海の生物たち。
巨大なザトウクジラは“ソング”を奏でながら海底へと消えていく。
<本番>に向けて、海のすべてが移動を始めた―――。
自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花(声:芦田愛菜)は、夏休み初日に部活でチームメイトと問題を起こしてしまう。
母親(声:蒼井優)と距離を置いていた彼女は、長い夏の間、学校でも家でも自らの居場所を失うことに。
そんな琉花が、父(声:稲垣吾郎)が働いている水族館へと足を運び、両親との思い出の詰まった大水槽に佇んでいた時、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海”(声:石橋陽彩)とその兄“空”(声:浦上最周)と出会う。
琉花の父は言った――「彼等は、ジュゴンに育てられたんだ。」
明るく純真無垢な“海”と何もかも見透かしたような怖さを秘めた“空”。
琉花は彼らに導かれるように、それまで見たことのなかった不思議な世界に触れていく。
三人の出会いをきかっけに、地球上では様々な現象が起こり始める。
夜空から光り輝く彗星が海へと堕ちた後、海のすべての生き物たちが日本へ移動を始めた。
そして、巨大なザトウクジラまでもが現れ、“ソング”とともに海の生き物たちに「祭りの<本番>が近い」ことを伝え始める。
“海と空”が超常現象と関係していると知り、彼等を利用しようとする者。
そんな二人を守る海洋学者のジム(声:田中泯)やアングラード(声:森崎ウィン)。
それぞれの思惑が交錯する人間たちは、生命の謎を解き明かすことができるのか。
“海と空”はどこから来たのか、<本番>とは何か。
これは、琉花が触れた
生命 の物語。(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、渡辺歩。
劇場長編としては4作目になるそうです。
作品のファン故に、原作が持つ懐の深さや好奇心を刺激するところ、作者が放つテーマ性、漫画が持つ圧倒的な画力などの世界観を大切に手掛けたと仰る監督。
原作の魅力である読者に解釈を預けるという点を重要視したそうで、感覚的な違いを許容できる余白を残したそう。
果たしてその真意とはどんなものなのか、楽しみです。
そんな監督の作品をサクッとご紹介。
シンエイ動画でドラえもんの多くの作品に携わってきた監督は、ドラえもん長編映画シリーズ第1作のリメイクとなった「ドラえもん のび太の恐竜2006」で初の長編アニメ映画監督として携わります。
その後も、古田足日の児童文学作品をアニメーション映画化した「大きな1年生と小さな2年生」や、幼い頃に誓った夢に向かうため、いくつもの困難を乗り越えて一歩ずつ進んでいく兄弟の物語のエピソード0にあたるアニメ映画「宇宙兄弟#0」などを手掛けています。
キャラクター紹介
左上より
- 安海琉花(声:芦田愛菜)・・・自分の気持ちをうまく言葉にできず、学校ではトラブルを抱える中学二年生。父親は別居中で、ともに暮らす母とも距離を置いている。
- 海(声:石橋陽彩)・・・10年前にフィリピンの沖合で保護され、今は琉花の父が働く水族館に身を寄せている。偶然、琉花と出会い、琉花に対し好奇心を抱く。
- 空(浦上最周)・・・「海」と共にジュゴンに育てられたとされる。彼の兄として育ち、自らの出生の秘密を探るため、ジムに協力する一面も。
- アングラード(声:森崎ウィン)・・・若き天才海洋学者。かつてはジムの相棒であったが、現在は異なる立場で「海」と「空」を謎を追う。
- 安海正明(声:稲垣吾郎)・・・琉花の父。水族館職員。家族とは別居中だが2人のことを大事に思っている。
- 安海加奈子(声:蒼井優)・・・琉花の母。思春期の娘とも夫とも関係がうまくいかない。かつては正明と同じ水族館職員だった。
- 先生(声:渡辺徹)・・・琉花の所属するハンドボール部の顧問。チームメイトや対戦相手と度々トラブルを起こす琉花に手を焼いている。
- ジム(声:田中泯)・・・海洋生物学者。「海」と「空」の謎に迫るため二人を❝保護❞、❝研究❞している。
- デデ(声:富司純子)・・・世界樹をたった一人で航海する「海のなんでも屋」。ジュゴンと共に、❝捕獲❞された「海」と「空」の謎を見守る。
一体海と空は何者で琉花との出会いが彼らに何をもたらすのか、そして琉花は彼らから何を教えられるのでしょうか。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
壮大にして難解!
わからない?それでいいんだよ!
だってこの世はわからないことだらけなんだから。
以下、核心に触れずネタバレします。
いや、ほんとわからないのよ。
中学生の主人公がジュゴンに育てられた二人の男子の出会いをきっかけに、海で起こる不可解な現象を目の当たりにしたひと夏の体験記を、原作特有の力強く美しい作画タッチにCGを融合させることで深海や海の生物たちの底知れぬ美しさと恐ろしさを余すことなく描き、人間の気持ちを伝えること受け取ることの難しさ、逆に言葉を持たない生物たちの情報伝達の多さを語りながら、海の祭りから読み取れる生命とは何か、命の根源はどこからなのかを、メインシーンであえて言葉を少なく我々に伝える、非常に意欲的かつ挑戦的な映画でございました。
一応ない頭絞って大まかな説明をさせていただきましたが、ぶっちゃけな~んにもわかっていません。
この手の映画、毎回言い訳と称していってますが、僕は基本娯楽映画特にハリウッドのブロックバスターモノが大好物でして、こういう芸術的、とは今作はまた違う分野に入るけど、情報量があまりにも少なく受け手側に理解を委ねるような作品はマジで苦手ですw
でも苦手だからといって避けて生きるのはやはり違うと思うんですよ。
それこそ昨日鑑賞した「町田くんの世界」でもお父さんが「わからないことがあるから世界は素晴らしい」と言ってるし、この映画でもそれと似たようなことを提示しているわけですよ。
この世界まだまだ分からないことだらけで、それを探求するから面白いわけで発展や進化といった伸びしろがあるわけで、まだまだ世の中捨てたもんじゃねえと。
まぁ話が逸れましたが、とりあえず一旦すべてを受け止める精神で鑑賞したわけです。見ない、という選択肢よりかはマシだと。
と、強気なこと言っても結局のことろわかりましぇ~んでした。
物語の構造を無視して観るとですよ?
琉花が楽しみにしていた夏休みが自分の振る舞いによっておとり潰しになっちゃった、あ~あ折角の夏休みどうしよ、あ、お父さんの水族館行こ!
すると天津甘栗のような小麦色の肌をしたいがぐり坊主とロン毛金髪全身純白の美少年と出会うことになって、この夏何かが起きる気がする、的なボーイミーツガールストーリーに見えなくもない。
実際に?チューとか?してるし?意味深な?シーンとか?あるし。
あながち間違ってはないと思いますけど、こんなこと原作ファンの人に言ったらナメとんかワレ!と怒られるので、こういう見方はしない方が賢明です、はい。
ほんとなんなんでしょうね、全体を通して思うのは観て感じてその後考えてなんですよね。
で、受け止めたものの結局インプットしたものを言語化できないで困ってしまってワンワンワンなわけで。
この「わからない」の具体的なことは、海と空は結局何者なのか?とか、琉花が体験した祭りは一体何だったのか、人魂とは、といったとこでしょうか。
途中デデなるばあさんが、地球は子宮だとか星は精子だとかいうので、祭りの正体はいわゆる性交みたいなことで、琉花がザトウクジラの中で見たものは、まさしく生命の誕生であることは間違いないとは思うんですね。
実際染色体のようなものが細胞分裂して少しづつ形成させれるようなシーンもあれば、DNAも映し出されてくるわけで。
で、この祭りの後ちゃんとハッピーバースデーのオルゴールが鳴りながら赤ちゃんが生まれるんですから、やはりそういうことだよなぁと。
でまぁ空は宇宙で海は海そのもので、そこには計り知れない神秘と未知が渦巻いていて、これ見てあれはこうだ、なんて分かり切ったこと言えないよなぁと。
あとはなんだろなぁ、伝えることの何たるか、って部分もこの話は言ってるわけで、人間て言葉を操れる唯一の動物だから、その言葉を使う使わないって取捨選択できるし、何より言葉で説明しないと伝わらないめんどくさい生き物で、琉花や母ちゃんはそこが不器用だからなかなか難しい人種って描かれてるんだけど、父ちゃんと母ちゃんはその言葉を越えたもので通じ合ったからああいう結末を迎えたってのがステキだよなぁ、クジラのようなソナー的な情報伝達も人間てできんのかぁ、みたいな。
最後に
はい、今日は手短に!
だって難解なんだものw
ここまで難しく、しかも生命の何たるかを描いたアニメ映画は「レッドタートル」以来かもしれません。
しかし、今作はわからないのは当たり前だ、だって世界のほとんどはそうなんだから、というのを前提に、ああいう描写にしたのかなぁと。
できることなら「観る」という選択肢をとって、この映画を受け止めてほしいと、この映画がよく分からなかった代表モンキーは声を大にして言いたいと思います。
なんだそりゃw
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10