モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「君たちはどう生きるか」感想ネタバレあり解説 宮崎駿の説教を聞きたかった。

君たちはどう生きるか

作っては引退を繰り返すアニメーション作家・宮崎駿

風立ちぬ」から10年の時を経て、巨匠の新たな作品ををまだ生きてるうちに拝めることを、僕は喜びたいと思います。

 

とはいえ今回の新作、全くもって情報が無い。

時に情報は「ネタバレ」ともとられ、作品を誰よりも楽しみにするために概要自体をシャットダウンする人もいれば、その作品がどれだけ面白いのか、お金を出してでも見て良いモノなのかという価値を見出すために必要とする人もいるわけで、今回のプロモーションは個人的には色々試されているように思います。

 

15秒の予告でファンに期待を煽り、声優陣の発表時は炎上騒ぎに発展した井上雄彦監督の「SLAM DUNK」は、結果フタを開けてみれば鬼ヒットという素晴らしい興行を収めたわけですが、今回の「君たちはどう生きるか」は、この戦略に倣って宣伝展開。

 

作画監督や音楽の担当者は公表されてるものの、予告もない、キャストの公開もない、公式サイトすらないなど、ここは「昭和」か?とも思えるような情報の無さに、個人的には非常に戸惑っております。

 

とはいうものの、「あの宮崎駿の新作」というだけのブランド性は非常に魅力的であり、誰もが「いちいち調べなくとも見に行くっしょ!」という気にさせるのは、ホントすげえなと。

 

これが大ヒットすれば、公開前の情報で飛び交うヤジにストレスを抱く作り手たちにもいい影響を与えるだろうし、何より宣伝費の削減にもつながるってことで、新たなビジネスフォーマットになる、かもしれません。

てか、公開した途端トレンドになることは間違いないでしょうね。

 

何はともあれ、見てみなければ何も言えない…ってことで早速観賞してまいりました!!

 

作品情報

前作「風立ちぬ」での引退宣言を撤回したアニメーション作家・宮崎駿が、新たな冒険活劇ファンタジーを生み出す。

 

本作は、勇気、いじめ、貧困、格差、教養など昔も今も変わらない人生のテーマに真摯に向き合う主人公と叔父さんを描いた児童文学者・吉野源三郎原作の小説と同名であるが、あくまでタイトルのみが元ネタとして使われ、作品の内容とは一切関係ない。

 

既存の映画ではあらゆる媒体を使っての宣伝、プロモーションが通例だが、本作は全ての情報を非公開にしており、長年スタジオジブリのプロデューサーを務める鈴木敏夫は、宮崎駿というブランドとこれまでの彼の実力のみで観客を動員しようという前代未聞の試みとなっている。

 

とはいうものの、作画監督には「エヴァンゲリオン」シリーズの本田雄、音楽はジブリ作品でお馴染み久石譲が担当することが明らかになっており、作品への期待値がさらに高まる要因となっている。

 

監督の自伝的要素が強いとも言われている本作。

果たして巨匠が新たに生み出した物語は、我々の生活にどんな教訓を与えるのか。

 

 

 

 

 

感想

原作の再解釈なのか、それともハヤオ先生の自分語りなのか。

前半ワクワクだけど後半?が出まくり。

今までで一番難解かもしれない。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

ざっくりあらすじ

第二次世界大戦下、主人公牧眞人(CV:山時聡真)は、夜の空襲で目を覚ます。

辺り一面炎に包まれた光景に驚く眞人は、母の病院が燃えていることに気付き家を飛び出す父(CV:木村拓哉)と共に、病院へ向かう。

 

町の人たちが逃げたり水を求めている中、必死に走る眞人の目に映るのは、禍々しいほど揺らめく炎だった。

 

結局母を亡くした眞人は数年後、母の妹であるナツコ(CV:木村佳乃)が住む町へ疎開。

父は、ナツコとの間に子を授かっており、結婚するという。

迎えに来たナツコに表向きは礼儀正しく接する眞人だったが、内心複雑な思いを抱いていた。

 

父は自身が運営する飛行機工場の視察に向かい、眞人はナツコと共に自宅へ向かうことに。

途中出兵する青年を見送った後、たどり着いた家は大きなお屋敷だった。

 

7人の老婆の召使に招かれたのち、自分の部屋を案内された眞人は、旅の疲れかついベッドで眠ってしまう。

失った母に想いを馳せる眞人は、夢の中でも戦時下の炎をフラッシュバックし、涙を流して目を覚ましたのだった。

 

すると部屋の窓から青サギ(CV:菅田将暉)がこちらを挑発するかのように見つめていた。

外に出て青サギを追いかけていると、屋敷の奥にそびえ立つ古びた洋館に入っていくのを見かける。

洋館はガレキ出入り口がふさがれており、中に入ることができないでいた。

途中拾った青サギの羽は、洋館から出ると消えてしまっていた。

 

翌朝、父の車で転校先の学校へ転入した眞人は、帰り道生徒に出くわし取っ組み合いの喧嘩をすることに。

土で汚れた眞人は、被害者を装うつもりか自分で自分の頭に石をぶつけ血を流す。

 

酷いケガの状態で帰った眞人は、発熱し寝込んでしまう。

心配して帰宅した父は敵討ちだと息巻き、その足で学校の校長の元へ向かった。

 

徐々に体調が回復した眞人は、常に挑発してくる青サギを鬱陶しく思ったのか、トイレの用具入れに遭った木刀を持って、青サギ退治をしに外へ向かう。

すると青サギは「お母さんは生きてまっせ、死んでなんかいませんぜ」と語りかけるのだった。

 

やがて魚たちが「おいでやす」と口をパクパクしながら連呼し、眞人の体をカエルたちが覆っていく。

迎えに来たナツコと老婆は、眞人を再び部屋へ運ぶ。

 

目が覚めると父が現れ、「学校に300円寄付してやった」と眞人の喧嘩のカタをつけたようだった。

眞人の病状が良くなった半面、今度はつわりがひどくなったナツコが体調を崩し寝込んでいることを聞かされる。

見舞ってほしいと頼まれた眞人は、ナツコの部屋へ行き、まるでうわべでモノを言ってるかのような口調で「早く良くなってください」と告げる。

その隙にタバコを盗み、召使のじいさんにナイフを研いでもらうことに。

 

それを見た召使の老婆の一人でタバコが大好きなキリコは、竹で弓矢を作っている眞人の姿を見て、「この屋敷には本物の弓矢がありますよ、教えてあげる代わりにタバコをめぐんでくださいな」と近寄る。

2本しか入っていなかったタバコをじいさんにあげてしまったと告げた眞人は、キリコをあしらい、黙々と弓矢を作り続けるのだった。

 

なかなかうまく飛ばない弓矢に苦戦していた眞人だったが、青サギの羽を矢に付けると、想った以上の威力を発揮することに驚く。

 

その間、ナツコが森の中へと入ってい行く姿を見かけた。

 

夕方、皆がナツコを探す姿を目撃。

弓矢を持って、森の中へ向かうと、洋館の裏口に繋がっていることに気付く。

一緒についてきたキリコは眞人を必死に制止する。

「この中へは入ってはいけません、呪われてるんですこの場所は」

 

かつて母とナツコの大叔父にあたる人が建てたというこの洋館は、書物が山のように積まれた場所で、大叔父はそこで消えてしまったという。

危険だということで誰も入れないように入り口をふさいだはずの洋館に、明かりが灯った。

 

中へ入ると、青サギが「ナツコさんはここにいまっせ」と促す。

長椅子に寝そべったナツコの姿に眞人は、あまりに母に似ていたのか「母さん」と呼んでしまう。

触れると水のように溶けていったナツコの姿に驚いた眞人は、それが青サギの仕業だったことに腹を立て、持っていた弓矢で青サギを攻撃。

巧く避けた青サギだったが、自分の羽がついた矢であることに気付くと、必死に逃げ出す。

 

矢は青サギのくちばしを貫いたことで、彼の飛行能力を奪ったのだった。

徐々に鳥の姿からおじさんのような容姿へと変異した青サギは、洋館の上層階にいた謎の老人に言われるがままに、ナツコを救いに異世界へと向かうのだった。

 

 

異世界。

海に囲まれた島にたどり着いた眞人は、「ワレヲ学ぶモノハシス」と書かれた扉の前に向かう。

すると無数のペリカンに押されるがままに扉の中に入り、連なった岩の前に倒れてしまう。

海の中で舟をこいでいた女性が、扉を破った眞人を見て助けに向かう。

ペリカンを追い払った女性は、眞人にここから離れるよう促し、やがて彼を海へ連れ出すのだった。

 

道中、大きな魚を釣って家に帰ると、そこには「わらわら」と呼ばれる不思議な生物が待っていた。

大きな魚を彼らに食べさせるということで、眞人は魚を捌くことに。

はらわたをこぼしてしまった眞人は、ぐったりと眠ってしまう。

眞人の周りには、ナツコの召使の老婆にそっくりな人形に囲まれていた。

 

そう、眞人を助けた女性は、ともに洋館に入り異世界に来てしまったキリコ(CV:柴咲コウ)の若かりし姿だった。

夜になると、魚を食べたわらわらたちが急に膨らみだし、空へはばたく。

まるで遺伝子のようにらせん状の形を作って空へと向かうわらわらは、上の世界で生まれ変わるのだという。

 

しかしそこにペリカンたちが現れ、わらわらたちを食べてしまう。

彼らを食い縁にしていたペリカンを追い払おうとするが、キリコではどうしようもできなかった。

すると、海の向こうで花火を打ちあげる女性を見つける。

放たれた花火はペリカンの体を焦がし、慄いたペリカンたちはいっせいに逃げ出したのだった。

 

彼女はヒミ(CV:あいみょん)と呼ばれ、この世界の住人の様子だった。

わらわらが空に舞うのを見届けた後、再び眠りにつく眞人は、外の物音に気付く。

すると大怪我追ったペリカンが狼狽えていた。

魚を主食として生息していたペリカンだったが、減ってしまった魚によって食べ物にありつけず、結果わらわらを食べることで生きながらえていたのだった。

眞人に殺してくれとせっつくペリカンは、そのまま息絶えた。

 

やがて青サギが現れることで、ナツコ探しを再開。

インコたちが生息する城に向かう眞人は、無事ナツコを救うことができるのか。

 

・・・というのが、大体半分くらいのあらすじです。

 

率直な感想

君たちはどう生きるか。

このタイトルと青サギが映ったポスタービジュアルだけで公開した本作。

 

一体どんな中身なのだろうとワクワクしながら臨んだわけですが、単刀直入に申し上げると「よくわからなかった」というのが率直な感想でした。

 

宮崎駿作品は、僕の感覚から言うと「もののけ姫」辺りから内容ががらりと変わった印象で、幼少期にたくさんみたトトロや魔女の宅急便、ナウシカやラピュタのような作品はもうあまり見られないのだろうと当時は思ったものです。

 

だからきっと今回もちょっと小難しいファンタジーモノなんだろうと覚悟して臨んだわけですが、ハウルや風立ちぬ、千と千尋の神隠しから、さらに独創性豊かな世界観と物語性になっており、前半はものすごくよかったんですが、異世界に向かった後半からはマジで「何を物語っているんだろう」とちんぷんかんぷん。

 

おおまかにいうのであれば、新しい母として眞人の前に現れたナツコを母として認めていく話だったり、頭に石をぶつけて大けがを負わされたと嘘をついた自分を認め、自分が生きている世界でちゃんと世界という名の積み木を積み上げていけというハヤオなりのメッセージが込められた話だったのかなと。

 

個人的にはこの押しつけがましいタイトルなんだから、もっと真正面にじいさんとしてのお説教を長々と見せてほしかったわけで、中年を迎えながらも未だ人生といういう道に迷っている何者にもなれてない俺にガツンと言ってほしかったんですよね~w

 

そもそもこれからの世代である子どもたちに見せたいってのは大前提としてビジョンがあったんでしょうけど、だとしてもこれ子供たちに伝わるかなぁと。

とはいうものの、恐らく次の作品が作られることは難しいでしょうし、これが最後の作品としての集大成だったんだろうと思わせる画力はまじまじと感じましたし、何より第二次大戦下が舞台とあって、どこかしら母への思いを馳せた彼の自伝的な要素も盛り込まれていたんでしょう。

 

やはりこの辺はパンフレットなり本人や近しい人物の解説なしでは、本作を理解するのはかなり難しい作品だったんじゃないかなぁと。

 

そして一番大事なのは、本作を見て答えを自分で導き出せってことなんだろうなと。

実際吉野さんの原作でもそういうニュアンスの内容だそうですし、我々は「考えること」をもっとしなければならないということなのかなと。

 

しかし本作、前半は、戦争の恐ろしさを全面的に見せたり、キャラクターが何を考えてるのかを表情や行間で表現していたし、青サギの挑発を始めとした謎を与えていることで、見る側を引き付ける要素が多々あったにも拘らず、異世界へ向かった途端、ロクな説明もなければ終盤は急に尺を削るかのように場面転換や話を途切れ途切れで見せたりと、構成としてどうなんだ?って部分が多々あったんですよね。

そりゃ俺みたいな平凡な知能指数しか持ってない奴には理解できねえし、やさしくねえなあと。

 

結局大叔父は書物読みまくった結果、自分だけの世界を構築して眞人にそれを継承したいってのは建前で、眞人が拒否してこそ正しい選択だってことをあれだけの大きな仕掛けを施して伝えたかったのか。

 

実際変なキャラと仲良くなったり、若かりし頃の母親と出会っていろんな経験して一皮むけた眞人を最後は見せてくれるので、そういった意味ではこれまでのハヤオ作品と何ら変わりはないのだけれど、そこまでの組み立て方だったり、何より物語として巧く機能してない点が散見するんですよね~。

要するに主人公の成長譚としてグッと来ないっていうか。

 

 

もう箇条書きになってますけど、ファンタジー要素としては楽しいんですよね。

今回とにかく鳥がたくさん画面上を羽ばたいてるわけですよ。

青サギのビジュアルなんて最初は鳥そのものでしたけど、段々化けの皮が剥がれておっさんみたいな風貌になってくし、そこそこ大きなペリカンがわっさわさやってくるし、口をパクパクさせて連呼する魚も、眞人の体中に張り付くカエルも、異世界で生息するインコたちもやたら不気味で気味悪いんですよねw

しかもあいつらめちゃくちゃフンを垂れ流すっていうw

 

インコなんか普通に包丁研いで眞人を切り刻もうとしてますからねw

普通に怖いですよw

 

ジャムを塗ったパンも、今にもこぼれそうなほど塗りたくったジャムがまぁ巧そうですし、それを口の周りに一杯つけて頬張る眞人とかジブリっぽくていいじゃないですか。

またジャムのようなドロッとした液体や、大粒の涙の表現もアニメーションとしては目を見張るものがあったり、冒頭の揺らめく炎の表現なんてめちゃめちゃ「恐ろしいもの」としてしっかり表現されてましたよね。

 

他にもわらわらっていう愛くるしいキャラまで登場させる点においては正にジブリらしさが現れた部分だったんじゃないですかね。

 

また背景も水彩画みたいな画なんですよね。

特に異世界のシーンでは、背景が全部それになってて、それがキリコ曰く幻っていうくらいなんで、余計それが強調されたというか。

 

また声優さんに関してですが、今回も多数の芸能人を起用しての座組でしたね。

主人公の方は最初「また神木隆之介か…」なんて最初想いましたけど、段々「あれ、山田裕貴かな?」ってなってきたけど、どちらもなんか違うな、誰だろみたいに聞いてて。

結局全然知らない方でしたw

 

それ以外は結構特徴的な声の持ち主ばかりだったので、すぐピンときましたね。

キムタクはもろでしたけど、ハウルの時から年齢を重ねたこともあって「お父さん」らしい声だったなぁと。

木村佳乃もすぐわかったし、菅田将暉も最初はわざと声をダミ声にして演じてましたけど、甲高い声を出した瞬間ピンときましたねw

 

ただあいみょんだけはわからなかったw

恐らくヒミの声を担当したんだと思うんですが、最初ヒミは高畑充希に聞こえて。

でもすごく違和感があって、結局誰だったんだろうとエンドロールを見たら彼女の名前が見つかって、え!?サプライズすぎるだろとw

 

他にも国村準はすぐわかりましたし、柴咲コウも結構わかりやすかったですね。

エンドロールには、風吹ジュンや竹下景子、大竹しのぶの名前が挙がってましたが、恐らく老婆たちの声を担当したのかな?

あれはさすがに聞き分けがつかないw

 

 

最後に

まあこのブログは「感想」ブログなんで、本作が何を意図した作品だとか、考察めいた記事ではないので、それ目当てでやってきた方には大変申し訳ありませんと、この場で謝っておきますw

結局ね、俺も頭良くないんでw

 

多分皆さんこれを見た後、頭にたくさん?を浮かべることになるんでしょうけど、やはり「どう生きるか」=もっと考えろってことに尽きる作品だったのかなと。

なので、俺もこの後「こうだったんじゃないかな」「ああだったんじゃないかな」と考えながら、作品と向き合おうと思います…が、多分無理だなぁw

 

やっぱり俺はトトロが好きですw

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10