モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「猿の惑星キングダム」感想ネタバレあり解説 ずっと前から猿と人間の共存は無理だと思ってます。

猿の惑星 キングダム

宇宙飛行士が降り立った場所は「知的な猿が支配した星」だったという設定の下作られた「猿の惑星」。

主人公が最後に訪れた場所で膝から崩れ落ち叫ぶラストシーンは、映画史に残るラストとして今でも語り継がれるほど。

 

そんな猿の惑星、「ジェネシス 創世記」、「ライジング 新世紀」、そして「グレートウォー 聖戦記」と3部作としてリメイクされてきました。

シリーズを通して描かれるのは「人間と猿の異種間闘争」。

どちらが優れどちらが劣り、どちらが支配権を得るのか、異なる種族の共存への実現とその難しさをエンタメとして描いてきたわけであります。

 

そして物語は過去作でも描かれた「人間を奴隷にする猿」の世界へ。

前作では人間との最終決戦に挑むシーザーの姿、そして新世界への幕開けが描かれましたが、本作はそれから300年後の世界とのこと。

スタッフも一新し、新たな船出を図る「猿の惑星」、果たして面白くなってるのか!?(マット・リーヴス版はホントつまんなかったからさ…)

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

SF映画の金字塔「猿の惑星」シリーズ第10作、リブート版第4作目となる本作を、「メイズ・ランナー」シリーズ、そして「実写版ゼルダの伝説」の監督に抜擢されたウェス・ボール、「宇宙戦争」のジョシュ・フリードマンが脚本を担当した、新たな物語。

 

シーザーの指揮の元、人間との支配戦争に勝利した前作から300年後の地球を舞台に、野生化した人類を狩りながら文明を発展させ支配していく猿の王の姿、それに異を唱える若き猿と未来への鍵を握る人間の少女が対立していく姿を、徹底した音やVFX映像で描く。

 

宮﨑駿や「天元突破グレンラガン」など日本のアニメにも造詣が深いウェス・ボール監督は、第1作目でも描かれたような「猿と人間の立場が逆転した世界」という設定で「猿と人間は共存できるか」をテーマにして、物語の中で深掘りさせていった。

またグラフィックデザイナーやVFXアーティストなど様々なキャリアを持つ監督は、音楽をかけながら撮影をする手法を取って製作したそう。

 

キャストは、「To Leslie トゥ・レスリー」でレスリーの息子役を熱演したオーウェン・ティーグや、ネットフリックスオリジナルシリーズ「ウィッチャー」のフレイヤ・アーラン、「バタフライ・エフェクト」のケビン・デュランド、「君が生きた証」のウィリアム・H・メイシーなど、今後を担う俳優陣らが特殊メイクやモーションキャプチャーを駆使して熱演した。

 

 

前作を超えるスケールに、1作目の伝説のラストを超えるとも言われる衝撃の結末も用意されているなど、初めてでも楽しめるであろう本作。

何故文明は、人間ではなく猿を選んだのか。

その答えとは一体。

 

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あらすじ

 

“今”から300年後の世界。

文明化した猿たちが優位な世界で生きる若き猿・ノア(オーウェン・ティーグ)は、ある年老いたオランウータンから昔話を聞かされる。

それは、猿と人間の共存に関する話だった。

 

そしてノアは、ある日人間の女性メイ(フレイヤ・ノーラン)と出会う。

彼女は野生動物のような存在となった人間の中で“誰よりも賢い”とされ、猿たちから狙われていた。

 

彼女と共に行動することになったノアは、想像すらしたことのなかった本当の“人間”を知るうちに、今まさに誕生しようとしている“キングダム”に違和感を覚えていく。

 

人間との共存へと希望を持つ者。

絶対的支配を目論みキングダムを築こうとする者。

はたして、この世界で生き残るのは。

そしてノアが出会った人間の女性に隠された大きな秘密とは何なのか。(Fassion Pressより抜粋)

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キャラクター紹介

  • ノア(オーウェン・ティーグ)・・・独裁者のプロキシマス・シーザーによって村と家族を奪われた若き猿。人間のことは野生動物の一種として思っていなかったが、人間の女性・ノヴァと出会い“本当の人間”を知る。今まさに誕生しようとしているキングダムに違和感を覚え、人間との共存という新たな可能性に向けて立ち上がっていく。

 

  • メイ/ノヴァ(フレイヤ・ノーラン)・・・野生動物と化した人間と共に暮らしているが、人間の中で誰よりも賢いとされている女性。森で迷う中、仲間を助けるため旅をしていたノアと出会う。完全に逆転した人間と猿の関係性に大きな影響をもたらすある“秘密”を握っている。

 

  • プロキシマス・シーザー(ケビン・デュランド)・・・猿が支配権を握るキングダムのリーダーで独裁者。地球における“進化”は人間ではなく猿を選んだと強く思っている。自身の帝国を築くため、衰退した人間を徹底的に排除。この世界の真の支配を計画する。

 

  • ラカ(ピーター・メイコン)・・・ノアの仲間の賢く高潔なオランウータン。
  • アナヤ(トラヴィス・ジェフリー)・・・ノアの友人であるチンパンジー。
  • スーナ(リディア・ベッカム)・・・ノアの友人であるメスのチンパンジー。
  • コロ(ニーナ・サンディランズ)・・・ノアの父であり部族の長老であるチンパンジー。
  • トレヴァサン(ウィリアム・H・メイシー)・・・プロキシマス・シーザーの一族側につく人間。

(以上、FasionPress、Wikipediaより抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

シーザーという名前でも、過去作のシーザーとはまるで別猿の暴君。

300年の間に猿たちの中で一体何があったのか、そして大いなる秘密とはなんなのか。

・・・ホントに衝撃的なのかな。

ここから観賞後の感想です!!

 

 

感想

猿VS猿&人間(??)。

わかってはいたが、またもや決着後回し!!!

衝撃のラストと謳っているけど、そんなに衝撃度はなかった…

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

ざっくりあらすじ。

シーザーが命を削って新世界を創世してから300年の月日が流れた地球。

かつて都市部だった場所は、草木が生い茂っており字のごとく「ビルの森」と化していた。

 

ノア、アナヤ、スーナの3匹は、儀式が来るまでに「鷲のたまご」を持ち帰る試練の最中だった。

鳥の巣にたどり着いたものの、必ず1つは残して帰るという掟に倣って、アナヤ、スーナに卵を譲るノア。

しかし、さらに高い場所でもう一つの鳥の巣を発見。

巣から真っ逆さまに墜ちるも、見事に卵を持ち帰ることに成功する。

 

馬が待っている場所に戻ると、掛けてあった毛布が見当たらない。

猿影か人影の気配を感じた3匹は、一目散に追いかけるも、その先を通ってはいけないと言われるトンネルを前に、脅えて後を絶つ。

 

彼らはイーグル族として「鷲使い」になることで一人前とされてきた種族だった。

ノアの父は鳥使いの師匠として君臨しており、ノアもいつか父のように立派になりたいと強く願っていた。

持ち帰った毛布には「エコー」の血が付着していたことから、父と長老で話し合いをし、仲間を現地へ行かせることにした。

 

夜中、母から頼まれた魚を干す物干しざおを修理していたノアは、近くで気配を感じる。

すると、人間の女性が隠れていることに気付く。

彼女を追ってトンネルまで向かうと、偵察に行っていた仲間が何者かによって殺されていた。

 

そこにはお面を被った猿たちが、人間を探していたのだった。

木陰に隠れピンチを切り抜けたノアだったが、先ほどの猿たちが村を破壊していたのだった。

どうやら人間を匿っていると思い込まれ、村猿たちを捕らえ強引に聞き込みをしていたのだった。

鳥使いの父は、必死に鳥たちを逃がしていた。

ノアも手伝うが、猿のリーダーが行く手を阻む。

父と協力して抗うも、相手の力が勝っていたため歯が立たず、父は命を落としてしまう。

 

気を失っていたノアは、焼け野原と化した村を後に、連れていかれた村猿たちを探しに一人旅に出る。

 

トンネルの先を出たノアは、オランウータンのラカと出会う。

彼もまたバディを失い途方に暮れていた。

ラカは知性と過去を重んじるタイプの猿で、ノアの知らない猿の歴史を語ってくれた。

 

かつて猿が築いた世界では、猿が猿を殺すようなことはなかったり、人間(エコー)と共存した時代があった。

しかし今は、創造主であるシーザーの名を受け継ぎ、彼の思想を歪曲し、強権政治を働く暴君として猿たちを支配していたのだった。

 

また人間はウィルスによって知能が低下し、猿よりも言語を突くことができない生物になっており、シーザーはそんな人間たちをも支配しようと企んでいたのだった。

 

二匹で旅に出ると、三度人間の女性を発見する。

ラカは彼女を「ノヴァ」と呼び、後を突いてくる彼女の行動を様子見しながら監視することに。

 

ノアは警戒をしながらも、ラカのノヴァへの寛容な態度に倣って、彼女に食べ物や毛布を差し出すのだった。

 

一行は、シーザー一派の猿たちに見つかり追われてしまうが、ノヴァが初めて声を発したことを機に、ノアは彼女を助け敵を撒くことに成功する。

 

彼女の名はメイ。

彼女もまた仲間を探すため彷徨っていたが、猿たちに協力してもらおうと後を追っていたのだった。

また、素性を隠すために言語を使うことを伏せていたことも明かす。

 

人間自体を信じきれないノアだったが、彼女のカミングアウトを境に距離を縮めていく。

 

しかし吊り橋で挟み撃ちに遭った一行は、川に流されてしまったラカを救出することはおろか、シーザーの手下に捕らえられてしまう。

たどり着いた場所は、プロキシマス・シーザーが猿たちを支配する海沿いの場所。

大きな扉のある建物や、寂れた貨物船が並ぶ住処で、メイはシーザーに仕える人間トレヴァサンに遭遇する。

 

もはや人間が支配していた時代は過去、今は彼らの時代なのだから仕えるのが普通。

そんな考えを持つトレヴァサンに説得されるも、頑なに拒否するメイ。

 

外ではプロキシマス・シーザーが「なんて素晴らしい日だ!!」の掛け声の元、猿たちを集め、大きな扉をこじ開ける作業を見守っていく。

失敗に終わった後、シーザーに呼び出されるノア。

彼はノアの賢さを買っており、自身が掲げる野望「猿の進化」への協力を要請する。

 

またメイを探していた理由は、彼女たちの仲間を殺した際にメイが持っていた「地図」が「猿の進化」への鍵となることを予見したことからだった。

シーザーにとって2人の協力は必要不可欠だったのだ。

 

このまま彼の言うとおり、触れ伏すことしかできないのか。

自問自答したノアは、一大決心をする。

メイに全てを吐かせたノアは、再会したアナヤ、スーナに協力を依頼し、ある作戦に打って出る。

 

果たしてノアは、シーザーの野望を打ち砕き、かつての創造主シーザーが掲げた「猿と人間が共存する世界」を再び創造することができるのだろうか。

 

・・・というのが、ざっくりしたあらすじです。

 

可もなく不可もない新シリーズ

前シリーズと比べると、明らかに重さや暗さは失せつつも、驚異のVFXとモーションキャプチャーによって、文字通り見違えるほど「見やすくなった」猿の惑星。

アクション面に関しては長回しを多用することで、前シリーズではほぼみられなかった「猿の特性を活かしたハイスピードなアクション」を実現することに成功していました。

 

また技術が向上したことで、猿たちの喜怒哀楽の表情が非常に繊細に描かれてるのも素晴らしい。

そもそも猿はそんな顔しねえよ!と言えばそれまでですが、文明を持った猿だったらそれくらいの表情しても何の違和感もねえんだなこれがというほど人間らしい表情でドラマを作り出しておりました。

 

ノアがシーザーを憎んでいく構成や、メイが人間のしたたかさをしっかり秘めながら、あくまで「協力する」立場としてノアをを利用していく姿も面白く、互いの目的を実行していく流れも面白かったと思います。

 

また暴君シーザーのインパクトも絶大。

ただでさえ図体のデカい猿が「進化したい」とぬかす姿は、一見野心的にも見えますが、俯瞰で見ると「何言ってんだこいつ、猿が空飛ぶとか数千年早えわ」と思えてしまう部分もあって、かつての王様気取りな人間と何ら変わらない姿が印象的でしたね。

 

そんな彼が手に入れたい「進化」が、大きな扉の中に隠されていることから、物語はの後メイが協力して扉の中の建物そのものを破壊する作戦へと向かって行くことに。

そこで初めて知る猿の本来の立ち位置や、人間が作り上げた数々の技術に、猿たちは驚かされていくのが、これまでの猿の惑星シリーズにはなかった感覚だったりすると思います。

 

 

とはいうものの、前作から300年後の世界ってのが、よく言えば「世界や物語をリセット」できる一方で、「300年後にしてはおかしくない?」と思える部分も多々あり。

扉の中の施設には様々な武器や残された文明が発見されていました。

特に目を引いたのは戦車があったこと。

前作でそんなの出てこなかった気がするんですが、仮にそれがまだ存在してるのであれば、武力という観点で考えると猿たちとの戦いに人間は勝利できたのではと思ってしまうんですよね。

 

また肝心なのは、退化し人間を猿たちが檻に入れたり殺戮を繰り返すような描写がほとんどないこと。

劇中ではシマウマと戯れていた人間たちにメイが近づくところで、猿たちが彼らを襲うというシーンが登場しますが、猿が人間を襲うのはそれだけ。

またメイは普通の人間同様言語も知識も豊富でしたし、猿側に付いたトレヴァサンも特に退化様子はなく、あくまで「抗う側と従う側になった人間」として描かれてて、それ以外の「退化した人間」て出てこないんですよ。

 

ラストシーンでは防護服を着た人間にメイがあるモノを渡したことで、各地域で未だ生存している人間たちと連絡が取れるようになるというシーンが挿入されますが、ここまで「退化した人間」を見せない意味って結局何だったんでしょうか。

 

もしかしたら猿が作り上げたデタラメなのかもしれないと思う一方で、ちゃんと言語を使えなそうな人間は一応モブキャラとして登場するんで、その辺のリアリティを統一してほしかったですね。

 

 

他にもプロキシマス・シーザーがあの王国をどういう経緯で建国し、猿たちを支配していったのかという背景もよくわからず。

他の猿たちを支配できるほどの力を持ってるのかもよくわからないし、何か弱みを握ってるようにも見えない。

単純に村を襲って支配下に置くことで成り立ってるような世界にしか見えないし、結局のところ武力だけで支配してたのかとなると、あまり魅力がないなと。

 

例えばマッドマックス怒りのデスロードのようで描かれた「水を牛耳る」みたいな、猿に欠かせない資源を独占してるとかだったら非常にわかりやすいんですけど、そういった部分が欠落してるんですよね。

だから何を持って王国を築き上げたのかを明確に描いてほしかったですね。

 

とはいえ、トレヴァサンから古代ローマを教わっている背景が見えるので、そこから帝王学でも学んだのかなと。

 

 

最後に

猿と人間の共存は実現できるのか、そんなテーマを孕みながらも結局後回し。

ま、現実世界でも人間同士が共存できてないんで、そりゃ後回しするよねw

 

人間は絶対あきらめない=どんな手を使ってでも勝利を導く。

ノアは人間が持つしたたかな性格を学ぶ一方で、あれだけメイに秘密を隠されていたのにまだ信じようとする純粋な心がまた痛々しく感じたラストでしたね。

 

きっと猿だって人間に近づけば、人間と同じように腹黒い部分とか邪心が芽生えると思うので、このテーマはひたすらこすりながら続編で引っ張っていくんでしょうね。

 

しかしあれですね、300年も経ってるのに猿の進化ってあの程度でしかないのかと思うと、進化の歴史ってめちゃめちゃ時間のかかることだったんだなと思わされる話でしたね。

火薬の使い方もなってないんですからw

それくらいは発見できると思うし、武器だって電流ビリビリ棒よりももっと機能的なモノを生み出せる気がするんだけどなぁ。

やはりそれをさせないために人間たちが必死こいて伏せたって背景があるから、シーザーは扉の向こう側に執着したんでしょうね。

 

それこそ猿たちの中で宗教が生まれてもいいですよね。

創造主シーザー教と、プロキシマス・シーザーみたいな信仰。そういう二極化した世界で見せると、より現代社会に通じて良い気もするんだけどなぁ。

 

まぁ壮大に見せかけて規模の小さい話だったな…

とりあえず前シリーズより、というかマット・リーヴス版より全然見やすかったです。

それだけで満足

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10