モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ミンナのウタ」感想ネタバレあり解説 GENERATIONS出演よりもお母さんがマジ怖くて。

ミンナのウタ

本人が出演、しかも主演という作品て最近あまりないよなぁと思い、別にLDHのファンではないんですけど、興味本位で見に行ったらなかなかの怖さだったので、書き記しておこうと思います。

なので、イントロダクション省略で早速感想です。

 

 

あらすじ

 

人気ラジオ番組のパーソナリティを務める、GENERATIONSの小森隼。
収録前にラジオ局の倉庫で30年前に届いたまま放置されていた「ミンナノウタ」と書かれた一本のカセットテープを発見する。
その後、収録中に不穏なノイズと共に「カセットテープ、届き…ま…した…?」という声を耳にした彼は、数日後にライブを控える中、突然姿を消してしまう。

マネージャーの凛は、事態を早急且つ秘密裏に解決するため、元刑事の探偵・権田に捜査を依頼。
メンバー全員に聞き取り調査を進めるが、失踪した小森がラジオ収録の際に聞いた「女性の鼻歌のような、妙なメロディーが頭から離れない」と言っていたことが判る。
そして、リハーサル中に他のメンバーたちも“少女の霊”を見たと証言。
ライブ本番までのタイムリミットが迫る中、リーダーの白濱亜嵐、凛、権田は捜索に乗り出す。
やがて、少女の霊の正体は、“さな”という女子中学生だということが判明するが、彼女が奏でる
“呪いのメロディー”による恐怖の連鎖が始まり・・・。

一体、彼らに何が起こっているのか? この先に待ち受ける、 想像を絶する結末とは。(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

感想

物語としては及第点ですし、メンバー全員出演してない時点でどうなん?とは思いますが、中々の怖さでした。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

皆を引き込みたい

EXILEを始め多数のダンスパフォーマーとシンガーを抱える事務所LDHの中で、10周年というアニバーサリーイヤーを盛り上げるために作ったであろう「本人役として出演」した本作は、かつて歌手を夢見た少女がラジオ局に送った1本のカセットテープによって、メンバーがどんどん消えていく奇怪な現象、そしてその少女に一体何があったのかを探るミステリーの要素を含みつつ、監督である清水崇の過去作に通じる点や意外とギャグのセンスもあるんだと知れた、中々の作品でございました。

 

書く気がなかったのでザックリな感想にありますが、基本的には「感染」や「リング」といった往年のJホラー要素を踏襲しながら、少女の出自を追いかけてくことで彼女の本性と対峙し慄くという内容の物でした。

 

たまたま倉庫を片付けることになったAD、そしてそこにたまたま顔を出したメンバー小森隼が見つけた1本のカセットテープ。

聴いてもいないのにメロディーが脳内にこびりつき、やがて小森の日常生活にも支障をきたすほど憑りつかれていくわけであります。

 

そして行方不明となった子守を探すために雇われた元刑事の探偵・権田が、メンバー全員に取り調べ。

ライブを控えてるために猶予は3日間しかないという短い期間の中で、権田はメンバーの顔と名前を何とか覚えながらも、カセットテープの存在や耳にこびりつくほど鳴りやまない謎のメロディーが一体何なのかを探っていくのであります。

 

このシーンの中で、それぞれが細かいところで妙な動きをしたり、カーテンの嘘りに少女の影があったり、自販機で飲み物を買おうとすると現れたりと、この取り調べの時点で全員が少女に憑りつかれてることが見えてきます。

 

このテープの歌のメロディー、どれだけの浸透力があるかというと、テープそのものを聴かなくとも、誰かが口ずさんだメロディーを聴くだけで憑りつかれるという中々の威力。

だから序盤では小森が口ずさんだメロディーを亜嵐が聴き、それを見たメンディーも聴いてしまうことで少女を見てしまったりと、どんどん派生していくんですね。

 

特にメンディーに至っては、相当脳内で鬼リピされてるのか、避難場所として用意したホテルの一室で爆音で音を鳴らしても全く効果がないほどやられてる始末。

玲於も取り調べ中に無意識に口ずさんだりと、どんどん寝食されていくのであります。

 

 

結局この少女は、30年前に権田が通っていた時の中学の同級生であることが発覚。

私が作った歌でみんなの魂を引きつけたいという作文から、歌手を夢見ていることが窺えましたが、実際は「人間や動物の最後の魂の叫びを録音する」というとてつもなく奇怪な行動をとるおかしな子だったのであります。

 

歌を入れたカセットテープをリスナーに聴かせれば万事解決するかと思ったこの案件は、結果的に誰も明けてはいけない呪いのカセットテープだったというわけです。

 

もうこの少女、マジでドン引きなんですけど、同級生を屋上から飛び降ろさせて、その声を録音してたり、猫の首を絞めて泣き声を録音したり、お腹の中にいる自分の弟までも泣き声を録音したりと、とにかくヤバい奴だったんですね。

 

当時の先生も他の人の前では本音を隠してましたが、彼女はどこか不気味で近づきがたかったと証言しており、それを聞いた権田もまた、当時噂レベルでしか彼女の存在を知らなかった故、どう対処すべきか考えつつもその恐怖におびえたのであります。

 

 

終いには少女は掃除機のコードを首に巻いてるのをわからないように親に引っ張らせることで自決。

それを録音して「ミンナのウタ」を完成させたのであります。

 

 

一応メンバーみんな帰ってきてライブ成功ハッピーエンド…で終わるかと思いきや、で終わるんですけど、そんなことよりも鬼怖いシーンがあったのでそれを開設したいと思います。

 

劇中、少女が住んでいた家を探す、亜嵐とメンディーと裕太。

もちろん今はだれも住んでいないが、インターホンを鳴らすとノイズ混じりで誰かが底にいる気配のする物音が聞こえ出す。

もちろん返答はないため、近所から事情を聞こうとするが、誰も何も話してはくれない。

そりゃあんなやべえ事件で相当聞き込みもあったろうからストレスだわな。

 

一人車の中で待機していた裕太だったが、玄関の下の階段に小さな男の子がしゃがんでこっちを見ているのを見つける。

その子が例の家に入っていったのを見かけたので、恐る恐る玄関を開けて中に入っていく。

すると彼が見た風景は、全く寂れた様子のない誰かが住んでるかのような状態で、奥から少女の母親らしき人が大きなおなかを抱えて玄関へとやってくる。

 

「あ、どうもすいません ちょっと待ってもらえますか。

さな~、自分の部屋くらいさっさと掃除しなさ~い」

裕太は自然と「急にお邪魔してすいません」と返答するが、母親はすぐさま奥の部屋へ入ってしまう。

 

少女が二階の部屋から降りてくるかと思ったら、再び母親が現れ、同じ会話を繰り返す。

 

この会話ループが、徐々に恐怖を増幅させていくんですよね。

最初から裕太が見ているのは霊の仕業であることは明確なのですが、まさか何度も見せられることになるとは裕太自身も思ってなく、もちろん俺らもそうなるとは思わず。

 

そして終いにはこの母親、急に「わたしの赤ちゃん返してよおおおおおお!!!!」とダッシュで裕太に近づいてくるんですよ。

これがマジで怖え!!

 

ジワジワ恐怖心を与えながら、緩急つけてブチ怖いのを押し付けてくるこの演出は、マジで神がかってます。

他にもそこそこ怖いシーンンはあったものの、正直インパクトに欠けるモノばかりだったんですが、ここだけは、ここだけは本当にビビりました。

 

私の赤ちゃん返して、という母親の言いぐさは、この後自分の娘が何かやらかしたのでしょうか。

階段の前に座り込んでいたのはきっとさなの弟でしたし、あそこまで育ったけど、きっと謎の死を遂げたりしたんでしょう。

 

 

まぁこれくらいしか褒めるようなところは残念ながらなくて、権田とGENERATIONSのメンバーが別行動取ってるせいで、話が2周になってしまってるところとか、校長先生に会っておきながら、急に真相を理解した権田がその日の夜に再び校長先生呼び出すとか面倒なことしてるとか、そもそもGENERATIONSのメンバー全員が本人役で出演してるわけだけど、数原だけはライブ以外登場しないところとか、色々腑に落ちない流れだったり設定はあります。

 

特に今回10周年というアニバーサリーイヤーにも拘らず、メンバーである数原が「お芝居でなく音楽で」というモットーを掲げ、それをメンバー全員が尊重するために出演しない方向でこの企画を進めること自体が、僕としては妙でしかなく。

 

いやもう彼らは十分売れてるんですよ。

だからできないことを無理してしなくていい。

でもだ、ファンが喜ぶようなことをするのがエンターテイナーで、しかもアニバーサリーなのだから、一人のメンバーを尊重するとかでなく、団体行動なんだからそこはしっかり統一しろよと。

何で彼だけ特別扱いで、それを他のメンバーは許して、アニバーサリーとか迎えてんのと。

一人が演技いやだったら、全員で出演とかするなよと。

 

まぁ外野の俺がああだこうだ言うのはおかしなことで、それでファンが喜んでるのなら十分な事ですけどね。

 

 

最後に

さなちゃんが掃除機のコードで首絞めた表情のドアップもなかなかでしたけど、やっぱりお母さんのアレは本作のベストシーンですね。

 

マキタスポーツも小汚いおっさん探偵という役柄でいい味出してましたけど、結局探偵としての役割ってそんなに機能してないんですよねw

神田川の解散コンサートを盗撮したテープの中に女の声が聞こえるとか、逆再生するとまた聞こえるとか、B面というヒントから謎を解こうとするあたりで、昭和世代だからたどり着けるってのはありましたけども。

 

そういやラジオブースでみんなが見たのがADだったのに対して、マネージャーだけがさなちゃんだったのなあぜなあぜ?w

後メンバーみんな消えてる間はどこにいたんでしょうね。

やっぱり解決策をしっかり見つけるような行動を明確にして物語を導くのが良いと思うんで、そこはどうにかしてほしかったなぁ。

 

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10