モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「オッペンハイマー」のあらすじをわかりやすくネタバレ解説。ラストの意味とは。

映画「オッペンハイマー」を楽しく見るために

感想はこちらをどうぞ。

 

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上映時間3時間というボリューミーな映画「オッペンハイマー」。

本作は、沢山の登場人物が登場したり、時系列がノーラン映画史上一番乱れていることもあり、一度見ただけでは正直理解できません。

 

そんなストレスを少しでも解消するために、映画のヒントとなるような解説をしていこうと思います。

 

 

オッペンハイマー年表

  • 1904年4月22日 ドイツからのユダヤ系移民の子としてNYで誕生

 

  • 1911年 私立学校「倫理文化学園」に入学。子供の頃から鉱物や地質学に興味を持ち、数学や化学、18世紀の詩や数ヶ国の言語を学んでいた。

 

  • 1912年 弟フランク(演:ディラン・アーノルド)誕生。

 

  • 1922年 18歳 ハーバード大学に入学。化学を専攻。

 

  • 1925年 21歳 大学を3年で卒業 イギリスのケンブリッジ大学に留学し、理論物理学者のニールス・ボーア(演:ケネス・ブラナー)に出会い師事。実験を伴う化学から理論中心の物理学の世界へと入っていくことになる。この時、精神的に病んでしまい、後に統合失調症となる病名を診断される。

 

  • 1926年 22歳 ドイツのゲッティング大学のマックス・ボルン教授に研究を評価され、ゲッティング大学に移籍。

 

  • 1927年~1928年 23~24歳 ハーバード大学、その後カリフォルニア工科大学とカリフォルニア大学バークレー校でポストドクター研究員として研究を進める。

 

  • 1929年 25歳 カリフォルニア大学バークレー校と工科大学で物理学科の准教授を務める。

 

  • 1936年 32歳 教授に昇進。この頃、当時22歳だったスタンフォード大学の医学部生で共産党員のジーン・タトロック(演:フローレンス・ピュー)と出会い、交際に至る。

 

  • 1938年ごろ 34歳ごろ 中性子星やのちのブラックホール理論の研究を行い、注目される。

 

  • 1939年8月 35歳 植物学者のキティ(演:エミリー・ブラント)と出会う。

 

  • 1939年9月 第二次世界大戦勃発

 

  • 1940年 36歳 キティと結婚

 

  • 1942年 38歳 政府の極秘プロジェクト「マンハッタン計画」が始動。オッペンハイマーはロスアラモス国立研究所の初代所長に任命され、開発チームのリーダーを務める。

 

  • 1945年 41歳 

7月16日、アメリカで人類史上初の核実験「トリニティ実験」が行われる。

8月6日、広島に原子力爆弾「リトルボーイ」が投下される。

8月9日、長崎に原子力爆弾「ファット・マン」が投下される。

この惨状を知ったオッペンハイマーは、激しい後悔と自責の念に駆られ、核兵器の使用に懐疑的な姿勢を示すようになる。

8月14日、日本がポツダム宣言を受諾。9月2日に降伏文書に調印し、第二次世界大戦が終結。その後、東西冷戦時代に移行していく。

 

  • 1947年 43歳 プリンストン高等研究所の3代目所長となる。その後、新設された原子力委員会(AEC)の議長を6年間務める。加熱する軍拡競争の中、核兵器の国際的な管理を呼びかけ、水爆を始めとする核開発に反対の意を示したため、マンハッタン計画を共にしたエドワード・テラー(演:ベニー・サフディ)やAEC委員のルイス・ストローズ(演:ロバート・ダウニー・Jr.)らと対立するようになる。

 

  • 1950年~53年ごろ 冷戦を背景にジョセフ・マッカーシー上院議員らが「赤狩り」を強行。共産主義への恐怖を煽り、米国民から圧倒的な指示を受ける。

 

  • 1954年 50歳ごろ 

ソ連のスパイ容疑がかけられ、オッペンハイマー聴聞会が開かれる。水爆を推進していた原子力委員会(AEC)の委員の一人のストローズの怒りを買いFBIも加わり、オッペンハイマーに「共産主義者」のレッテル貼りが進んだ。

 

聴聞会でスパイ容疑の告訴を受けたオッペンハイマーは、アイゼンハワー大統領命により一切の国家機密から隔離。政府公職追放が決定。

以後、オッペンハイマーは危険人物と断定され、FBIによる尾行盗聴など、晩年まで厳しい監視下に置かれる。

 

  • 1961年 57歳ごろ ジョン・F・ケネディ大統領が誕生。オッペンハイマー支持者たちがケネディの側近となり、オッペンハイマーの公約名誉を回復させようとする動きが出始める。

 

  • 1963年 59歳 原子力委員会(AEC)が「科学者に与える最高の栄誉」として、オッペンハイマーにフェルミ賞の授与を決定する。

 

  • 1965年 61歳 咽頭がんが見つかる。
  • 1966年 62歳 プリンストン高等研究所の所長を辞任。アインシュタインに次いで名誉教授となる。

2月18日 ニュージャージー州のプリンストンの自宅にて死去。

 

  • 2022年12月16日 米エネルギー省のグランホルム長官が、オッペンハイマーを公職から追放した1954年の処分は「偏見に基づく不公正な手続きだった」として取り消したと発表。オッペンハイマーにスパイ容疑の罪を着せて資格をはく奪したことを公に謝罪した。

 

 

劇中の流れ

以上のことを踏まえ、映画ではどのように描かれていったのかを解説します。

 

物語の大きな時間軸は、1954年と1959年。

オッペンハイマーが共産主義者であるというスパイ容疑がかけられた聴聞会の様子と、商務長官任命に相応しいかどうかを定める公聴会に出席したストローズの様子が描かれていく。

 

オッペンハイマーはカラーで描き、ストローズはモノクロで描くという構成で映し出しながら、物語は2人が過去にどんな行いをしてきたかを、複雑な時系列の構成で描いていきます。

 

 

 

 

まず、オッペンハイマーの学生時代。

化学を専攻していたオッピーが苦手な実験に悪戦苦闘する姿、それを野次られた腹いせに、教授が食べようとしていたリンゴに青酸カリをいれて毒殺しようと企む姿が映し出されます(実際にはそういった行為はしてないらしい)。

 

理論物理学者のニールス・ボーア(演:ケネス・ブラナー)や、マックス・ボルン、量子力学に多大な貢献をしたハイゼンベックらに影響を受け、理論物理学を専攻。

ヨーロッパでの講義では、およそ6週間かけて習得したオランダ語で登壇するという姿が。

それに出席したイジドール・ラビ(演:デヴィッド・クラムホルツ)という物理学者と出会い、親交を深めていく。

 

 

一方、公聴会のでストローズ。

4年も前のことなど覚えてないと不貞腐れながらも、当時原子力委員会(AEC)の顧問に任命した頃は、多大な功績を買ってオッピーを慕ってたと語るストローズ。

その裏では、側近(演:オールデン・エアエンライク)との会話の中で、初対面した時のアインシュタインとの会話の件で、軽くあしらわれていたことを根に持っていることが判明する。

 

 

 

物語は1930年代に。

故郷へ戻ってきたオッピーは、カリフォルニア大学で教鞭をとっていく。

弟のフランクに誘われ、共産主義者が集まるパーティーに参加。

フランクに奥さんを紹介されるも、適当な挨拶だけで済ませる。

そこで作家のシュヴァリエ(演:ジェファーソン・ホール)や、後に恋仲となっていく共産党員のジーン・タトロックと知り合うことに。

 

大学では、隣の教室で物理学者の講義を行うアーネスト・ローレンス(演:ジョシュ・ハートネット)と親交を深め、自身の講義では少しずつ理論物理学に興味を示した学生が集っていく。

それと同時に、左翼的な意味合いを持つ組合を発足する動きを学内で始め、ローレンスから「学内での政治活動は歓迎できない」と忠告を受けていく。

 

 

1939年。

ナチスがポーランドへの侵攻を開始。第二次世界大戦が勃発。

ドイツの科学者が核分裂に成功したことを知り、ユダヤ人であるオッピーは強い憤りを感じると共に、自身の研究や活動を通して核分裂を応用した原子爆弾実現の可能性を感じていた。

 

物語はストローズのターンへ。

1959年の年の公聴会。

プリンストン高等研究所の所長にオッピーを任命した理由を語るストローズ。

その一方で側近には、連邦議会原子力合同委員会の元事務局長だったウィリアム・ボーデン(演:デヴィッド・ダストマルチャン)がFBIに「オッペンハイマーがアカであること」を密告した手紙を出していたことを明かす。

 

1954年の聴聞会が開かれたきっかけだったことが示唆される。

 

しかし、一体誰がボーデンに情報を流したのかは判明していない。

 

そこで1949年に行われた公聴会の様子が映し出される。

アイソトープの輸出に反対していたストローズに対しオッピーは、「シャベルだって、ビール瓶だって原子力のために使えます。放射性同位元素は重要ですよ、ビタミンに比べれば。」と小バカにした反論を展開。

ストローズは苛立ちの表情を見せる。

 

 

時は1942年。

グローヴス准将(演:マット・デイモン)から呼び出しを受けたオッピーは、国家機密プロジェクトである「マンハッタン計画」のリーダーに任命される。

オッピーは、あらゆる機関(シカゴの原子炉など)が交差しやすい地点に、家族と共に住めるような環境ができる場所を進言。

ニューメキシコ州のロスアラモスに、広大な研究所を作り上げていく。

 

ナチスから迫害を受けている理由からユダヤ系の科学者を始め、オッピーを慕う者たちが一堂に会した。

その中には、かつての恩師ボーアや、友人のラビ、理論部門のトップであるハンス・ボーテ(演:グスタフ・スカルスガルド)、後に水爆の父と呼ばれるエドワード・テラーなどが参加し、原爆開発への議論を重ねていく。

 

しかしラビからは、この計画がその後の世界にどんな影響をもたらすか忠告を受ける。

それを解っていながらオッピーは、ナチスよりも先に作ることが先決と前を向く姿勢を見せる。

 

テラーは、ある理論を発見。核分裂での連鎖反応によって全ての大気を燃やしてとんでもない爆発が起きてしまう危険性があることを告げる。

しかし計算し直すと間違いがあり、ニアゼロ(可能性は0に近い)と足蹴にするのだった。

ただ、この件をアインシュタインに話すと、彼だけは正しかった時の対処を考慮すべきだと助言を受ける。

 

ロスアラモスでの生活を始めたオッピーは、大きな花瓶とワイングラスの中にビー玉を敷き詰めながら、ウランとプルトニウムを濃縮させた二つの爆弾を作っていくことを発表。

テラーは水爆を推奨するが、実践的ではないと却下される。

 

 

物語は一度ストローズサイドへ。

当時ロシアが原爆実験に成功したことを受け、自国にスパイがいたのではないかと疑いをかけていく。

 

 

当時オッピーの周囲には、弟や妻のキティ、恋仲だったジーンや友人のシュヴァリエなど共産党員だらけだった。

オッピー自身は共産主義に共感を示していたものの、自由主義と近いという観点のみの興味で、実際に入党はしていなかった。

 

だがそうした交友関係の過去から、グローヴスの部下であるニコルス中佐(演:デイン・デハーン)は水面下でオッピーの身辺調査をしていたのだった。

 

 

徐々に規模が大きくなっていく研究所では人員も比例して増えていき、秘密を保持するのが困難になっていたこと、さらにはオッピー自身が勝手に別の研究所とコンタクトを取っていたことなど、外から見ればオッピーは怪しい動きばかりしていた。

 

共産党員を排除したい軍の意向を理解しつつも、爆弾の開発は急務。

そうした板挟みにあいながらも、グローヴスはオッピーを擁護した状態が続くのだった。

 

 

とある大学でニコルズ大佐に解雇された連絡係のロマニッツに会いに来たオッピーは、防諜部将校のボリス・バッシュ(演:ケイシー・アフレック)と面会。

彼に身辺調査で問い詰められたオッピーは、組合に所属していたエルテントンの名を明かし、仲介者の名を伏せた。

 

それと同じくしてジーンと再会。

まだ彼女が自分の事を愛していたことを知りながらも、再び会うだけの関係に留めたオッピー。

その後彼女は自殺したのだった。(オッピーが見た幻視は黒い手袋でバスタブにジーンの頭を突っ込んだ映像が出る。おそらくパッシュ)

 

酷く落ち込んだオッピーを、キティが鼓舞する。

世界を変えるために、こんなことでくよくよしてる場合じゃない。

戦いなさい。

オッピーは再び開発に没頭していく。

 

 

物語は1949年に行われた原子力委員会でのシーンへ。

ここではオッピーやストローズ、ローレンスやラビなどのメンバーが集って会議をしていた。

水爆開発を推進する国の意向に唯一反対の意思を示すオッピーを、ストローズは攻め立てていた。

ここでオッピーは、後にFBIに密告するボーデンと対面する。

 

1945年。ドイツが降伏。

原爆開発反対の声を受け、オッピーは彼らに「まだ日本がある」と構想を語りながら反発の声を鎮めていく。

 

タイムリミットが設定されていく。

日本に脅威を見せつけるため、ポツダム宣言が行われる7月に設定。

三位一体を意味するトリニティ実験が開始。

弟のフランクを招集し、広大な土地を使っての準備が始まっていく。

 

グローヴスの目を盗んで物理学者のシラードが接触してくる。

用件は核反対運動の署名だ。

助手のヒル(演:ラミ・マレック)がペンを渡そうとするも、突き返す様に拒むオッピー。

その後の原爆投下の決定会議でも、核の恐ろしさを伝える姿勢を見せるが、頑なに原爆投下を拒否するような姿はない。

 

 

トリニティ実験直前。

激しい雨が実行を遮る。

大金を投入して行われる実験を失敗すれば、更なる資金の必要はおろか、戦争を終結すらできない。

研究員たちに極度の緊張が走っていく。

 

早朝5時半に決行。

研究員たちは体を伏せたり、ガラスを通じて爆破を見つめる。

実験は大成功し、爆弾が運ばれていく。

 

ついに広島と長崎に原爆が投下されたことを知るオッピー。

研究員の前で成功を祝福するが、オッピーを幻覚が襲う。

女の叫び声が聞こえ、目の前で喜ぶ女性の肌がただれ、足元には黒焦げの死体が転がる。

 

トルーマン大統領(演:ゲイリー・オールドマン)と面会したオッピーは、自分の手が血で汚れていると発言。

あまりに根性のない彼に対し、大統領は「日本から責め立てられるのはお前じゃなく俺だ」とハンカチを渡す素振りをしながら吐き捨てる。

 

 

 

物語は核心へと迫っていきます。

1959年の公聴会での休憩中。

全て仕組んだのは自分だと語るストローズ。

 

原爆を作っておきながらそれに反対、周りの人物は皆アカだらけ、にもかかわらず行動をやめないオッピーを陥れるべく、ボーデンを使ってFBIに密告したのだった。

裁判ではなく身辺調査の一環という形で聴聞すれば、法的にも面倒なことはなく、オッピーに「疑惑」が残る。

 

 

 

聴聞会の夜。

キティはストローズが元凶であることを強く言及する。

始めから勝てる立場にないことや、周囲の連中も協力してくれない。

こちらが用意した弁護士でさえ、裁判でないと一蹴され、反撃できない。

 

 

物語は、オッピーがストローズの術中にハマっていく中、1959年の公聴会へと移り変わる。

そこにはフェルミの助手で、かつて原爆反対の署名運動を行っていたデヴィッド・L・ヒルの姿が。

彼は全てのきっかけは、ストローズがオッペンハイマーにバカにされたことを恨んで仕組んだことだと強調。

場内は騒然とする。

 

 

ストローズは裏で激昂する。

結果、彼の昇進は見送られたのだった。

 

 

そしてエンディング。

ストローズが邪険にされたアインシュタインとの会話のシーン。

何故アインシュタインはストローズからかけられた声に無反応だったのか。

それは、かつてアインシュタインがそうだったように、原爆を作ったことへの称賛とそれに対する反発や決着は、まだまだ先の事で、それまで辛抱することだと。

 

それに対しオッピーは、かつてアインシュタインに、連鎖反応して大爆破を起こすかもしれないことを相談したことの続きを話す。

可能性はニアゼロだったと言ったが、多分ゼロではなかった、うまくいったかもしれない、「世界を破壊した」と。

 

この言葉に愕然としたアインシュタインは、声をかけてきたストローズを無視する形になってしまった。

 

奇しくも、世界に核開発競争という連鎖反応を引き起こしてしまったことを解っていながら作り上げたオッピーの本音と、それを聞いたアインシュタイン、その二人に無視されたストローズという光景が、核の如く分裂する引き金になった瞬間だった。

 

・・・というのが具体的な物語の流れです。

誠に勝手ながら、こちらの記事を参考にさせていただきました。

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登場人物も覚えよう

本作には、沢山の登場人物が現れます。

役職やオッピーとの関係性などを事前に入れておくと、物語が楽しめるのではないでしょうか。

 

というわけで、どうぞ。

 

  • J・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)…原爆の父。マンハッタン計画で化学部門のリーダーに抜擢されその手腕を発揮。性格は内向的だが彼を慕う研究員らを見事に先導しリーダーシップを図った。共産主義に傾倒するも党員ではない。女好きであり、劇中ではキティと結婚しているにも拘らず、ジーンやシュヴァリエ夫人と不倫をしていたことが発覚する。

 

  • キティ・オッペンハイマー(エミリー・ブラント)…生物学者、植物学者。サンフランシスコのガーデンパーティーでオッペンハイマーと意気投合。既婚者であったがオッピーの子を身ごもったタイミングで離婚。二児の母としてオッピー一家を支える。劇中では、子育てに苦悩してアルコールに溺れるみすぼらしい姿を見せるも、いずれ世界を動かすだろう夫のために「戦う」ことを鼓舞する姿勢を見せる。

 

  • レズリー・グローヴス(マット・デイモン)…アメリカ陸軍工兵隊の優秀な将校。オッペンハイマーと政治思想は異なるも、彼の天才的な発想に惹かれ、マンハッタン計画のリーダーに抜擢する。実際共産党員への疑惑がかかるオッピーだったにもかかわらず、仕事を信頼している姿が、劇中では描かれている。

 

  • ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニーJr.)…原子量委員会の創設委員。卑しい靴商人という底辺から今の地位まで上り詰めた。プリンストン高等研究所の所長としてオッペンハイマーを抜擢したが、彼とは対照的な道を歩んできたことなどからくるコンプレックスが、彼への嫉妬心と敵対心を生むことになっていく。

 

  • ジーン・タトロック(フローレンス・ピュー)…スタンフォード大学で教育を受けた精神科医。弟のフランクに連れられてやってきた共産党員との集まりで、オッピーと恋に落ちる。花束を持ってやってくるオッピーに激しく叱責して花束を捨てる行動をするも、ベッドでは思いっきり甘えるメンヘラチックな人物。そんな精神不安定な面が強まり、後に自殺を遂げる。

 

  • アーネスト・ローレンス(ジョシュ・ハートネット)…内向的なオッピーとは違い、社交的な物理学者。カリフォルニア大学バークレー校で物理学を教える。オッピートは教室が隣であったことから親しい関係になっていく。しかし聴聞会では彼がシュヴァリエ夫人と不倫関係にあったことなどオッピーに振りな証言をする姿勢を見せる。

 

  • ニールス・ボーア(ケネス・ブラナー)…1922年のノーベル物理学賞受賞者。原子の構造に関する研究と、量子力学に関する有名な「コペンハーゲン解釈」によって、オッピーやその他の科学者に崇拝されていた。劇中ではオッピーをゲッティング大学へと導いたり、ロスアラモスへ出向き励ましと注意喚起を促す役目を果たす。

 

  • ボリス・バッシュ(ケイシー・アフレック)・・・アメリカ陸軍大佐。劇中では共産主義者かどうかを調査する任務に務めており、大学へやってきたオッピーに激しく追及する。

 

  • デヴィッド・L・ヒル(ラミ・マレック)・・・エンリコ・フェルミの助手。マンハッタン計画に参加するが、原爆使用に反対する署名運動も行っている。物語終盤、ストローズの企みを公聴会で証言席に座って暴露する。

 

  • フランク・オッペンハイマー(ディラン・アーノルド)・・・ロバートの弟。元共産党員。素粒子物理学者。地元の土地勘に優れていることで兄からトリニティ実験に招かれる。

 

  • エドワード・テラー(ベニー・サフディ)・・・後に水爆の父として語られる物理学者。マンハッタン計画ではオッピーや他の面々の足を引っ張るかのように原子爆弾より強力な水素爆弾の開発を促す。原子力委員会でもソ連との水爆開発競争に勝つため開発を推進する。聴聞会で保身に走った姿をオッピーの妻キティに睨まれ、フェルミ賞を受賞した時も、オッピートは握手をするも、キティからは拒まれた。

 

  • ハンス・ベーテ(グスタフ・スカルスガルド)・・・マンハッタン計画の理論部門のトップ。トリニティ実験と長崎に投下した原爆を設計した人物。
  • イジドール・ラビ(デヴィッド・クラムホルツ)・・・核物理学と科学の分野で卓越した人物。大学時代にオッピーと知り合い親友に。マンハッタン計画では爆弾作りに倫理的に反対。不参加を表明するも、コンサルタント的な立場として協力した。
  • ヴァネヴァー・ブッシュ(マシュー・モディーン)・・・技師で発明家。軍事目的の科学研究を担った米国研究開発局のトップとして、マンハッタン計画の初期段階を率いた。原爆投下を決める会議では、投下への強い姿勢を見せた。

 

  • ウィリアム・ボーデン(デヴィッド・ダストマルチャン)・・・原子力エネルギーに関する連邦議会合同委員会の事務局長だった。任期の終わりにはオッペンハイマーがソ連のスパイである考えに凝り固まった。
  • アルベルト・アインシュタイン(トム・コンティ)・・・相対性理論で物理学のビッグバンを引き起こし、核爆弾を可能にした科学者。友人の学者シラードに頼まれ大統領に核爆弾の開発を急ぐ旨の手紙を出した。それによりマンハッタン計画は動いたのだった。オッピーとは友人関係であり、劇中では本作における重要な会話をする人物として登場する。

 

  • ケネス・ニコルス中佐(デイン・デハーン)・・・グローヴスの部下でアメリカ陸軍技官。劇中では、オッピーが共産主義者であるかどうかの身辺調査を行っていた。後に、ストローズと結託、ボーデンに密告書を書かせFBI長官であるフーバーに送る役目を果たす。
  • ロージャー・ロッブ(ジェイソン・クラーク)・・・ストローズがオッピーを陥れるべく聴聞会へ送り込んだ弁護士。聴聞会では証言席に座るオッピーはじめ多数の証言者へ激しい追及をする。
  • トルーマン大統領(ゲイリー・オールドマン)・・・第二次世界大戦終結時の大統領。劇中では面会をするオッピーを祝福するが、自分のしでかした過ちから後ろ向きな発言するオッピーを見て苛立ち、側近に「あいつを二度と呼ぶな」と叱責する。

 

以上が主な登場人物です。

 

 

まとめ

これだけ抑えていれば、物語を追うことができるかと思います。

個人的にはノーランへの映画話法や技法に飽き飽きした内容だったため、全く面白みを感じなかった作品でしたが、オッペンハイマーの「罪と罰」を通じて、今後の未来で核爆弾という危険分子が連鎖反応し、世界を破滅に導かないように現代人が意識しなくてはならないことを伝える作品だったように思えます。

 

複雑化した物語構成に関しても、序盤はオッペンハイマーの性格や人付き合いが、のちの彼に重くのしかかってくるような仕組みになっていたり、ストローズが何をきっかけにオッペンハイマーを共産主義者のスパイと仕向けたのかを、じっくりあぶりだしていきます。

 

中盤はマンハッタン計画とスパイ疑惑を中心に描き、後半はオッペンハイマーが一体どこで罪の意識を覚えたのかを深く掘り下げていく作業へと向かい、終盤は、二つの軸となる人物の末路を映し出していく形でした。

 

 

本作のラストに関して。

アインシュタインとの会話で、ニアゼロ(限りなく0に近い可能性)と断言していたにもかかわらず、きっと成功していたかもしれないと語るオペンハイマー。

人類滅亡を防ぐことも考慮しろとアドバイスをしていたアインシュタインは、オッペンハイマーが「滅亡よりも開発を優先」していたことに落胆した姿が映し出される。

 

本音を告白したオッペンハイマーは目の前の湖から、世界中で核ミサイルが発射される世界を見出す。

実際に大気をすべて燃やし尽くす原爆ではなかったが、その後の「核開発競争」による最悪の事態(どの保有国もミサイルのボタンを押すという連鎖反応)を見据えてしまう表情で幕を閉じます。

 

 

本作は、原作の原題「アメリカン・プロメテウス」という言葉に沿うような物語でもありました。

ゼウスから炎を盗み、人類に与えた罪を背負い、激しい罰を受けるギリシャ神話の英雄プロメテウスの如く、オッピーに重い罪と罰が与えられていく物語です。

 

彼が世界にもたらしたものは、核開発競争へと発展する悲しいマラソンへと向かい、「存在すればボタンを押す者もいる」という危険性まで生み出してしまったわけです。

もしボタンが押されれば、別の国でも押され、世界は一気に破滅へと向かいます。

一体それの何が「平和維持」なのか。

そんな世界を作ってしまったオッペンハイマーの罪深さなども考えながら、物語を見つめて貰えればと思います。

 

また、広島や長崎に原爆を投下する会話が劇中では登場しますが、実際に投下されるシーンは登場しません。

きっとその是非を見た方が言及されると思いますが、本作はあくまで「オッペンハイマー」の視点で描かれてる物語です。

よって、そうしたシーンを描く必然性は全くなく、それが日本を軽んじたような排除でもありません。

それを描かなくとも、核の恐ろしさをオッペンハイマーの視点と彼の思考の変化で十分描かれています。

是非、それらを踏まえたうえで楽しんでもらえればと思います。

 

というわけで以上!あざっしたっ!!