モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「パームスプリングス」感想ネタバレあり解説 誰かと「今日」を越えていけたら。

パーム・スプリングス

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 7時起床、17時退社、0時に寝る。

7時起床、17時退社、0時に寝る。

 

 

まるで機械のように同じ日々を過ごす日常。

毎日毎日同じで生きてる気がしないんだ!!

 

こんな時、「痛み」を与えることで生きていることを実感させてくれる「テリーとドリー」のテリーがいたらなぁ…。

「生きてるって何だろ、生きてるってなぁに?」ってさ。

 

 

・・・ええ今回鑑賞する映画は、繰り返す毎日から抜け出せなくなったカップルが繰り出す「タイムループ」映画。

 

タイムループものの作品は「恋はデジャヴ」や「バタフライエフェクト」、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」に、「アバウト・タイム」など探してみれば結構ありまして。

ぶっちゃけネタ枯れしてるんじゃね?なんて思うんですけど、本作は果たして。

 

 

毎日が退屈な僕ですが、そりゃ最高の1日を歳をとらずに何度も送れたらそこにずっと留まっていたい気持ちはあります。

劇中のカップルはきっとそんな気持ちなのかな。

 

とりあえず、これを見て退屈な日常という名のタイムループから脱出させてほしいと願いつつ、早速鑑賞してまいりました!

 

 

 

 

作品情報

サンダンス映画祭で注目を浴び、米映画批評サイト「ロッテントマト」でも94%と高い評価を獲得、ゴールデングローブ賞にもノミネートされた作品。

 

砂漠のリゾート地で出会った男性と同じ毎日を繰り返す「タイムループ」にハマってしまった女性を通じて、明日への渇望を見出していく「バカンス満喫型タイムループ・ラブコメディ」。

 

「タイムループ」という一見使い古されたジャンルに、ポップなラブコメ、量子物理学、ファンタジー、そして胸に沁みるヒューマンドラマをミックスさせた本作は、現在世界中で孤立を強いられた今に退屈を感じている人に刺さり、圧倒的満足度を得る事だろう。

 

米人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で活躍したコメディ俳優と、ドラマシリーズやミュージカルで高く評価されている女優が、どのようなエンドレスハッピーな日常を送るかにも注目。

 

 

本作を見て、「明日」に恋をし、「今日」を愛そう。

 

 

 

 

あらすじ

 

舞台は砂漠のリゾート地、パーム・スプリングス。

 

妹の結婚式で幸せムードに馴染めずにいたサラ(クリスティン・ミリオティ)は、一見お調子者だが全てを見通したようなナイルズ(アンディ・サムバーグ)に興味を抱く。

 

いい雰囲気になる2人だが、謎の老人が突如ナイルズを襲撃に!

負傷したナイルズは近くの奇妙な洞窟へ逃げ込んでいく。

 

ナイルズの制止を聞かずサラも洞窟に入ってしまい、一度眠りに落ちると結婚式の日の朝にリセットされる“タイムループ”に閉じ込められてしまった!

 

しかもナイルズはすでにループにハマっていて、数え切れないほど同じ日を繰り返しているという。

 

2人で過ごす無限の今日は最高に楽しいものに思えたが、明日がこない日々は本当に大切なものを気づかせていく。

 

果たして2人は、永遠に続く時間の迷宮から抜け出し、未来を掴むことができるのか!?(HPより抜粋)

 

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監督

本作を手掛けるのは、マックス・バーバコウ

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毎度ながらどなたか存じ上げませんw

サンダンス映画祭で注目を浴びたのだから無理もないか。

 

一応本作が長編映画デビュー作になるそうですが、これまで大学在籍時に手掛けたドキュメンタリー「Mommy, I’m a Bastard!」がサンタバーバラ国際映画祭でプレミア上映されたのを皮切りに、いくつかの作品が他の映画祭でプレミア上映されているようです。

 

今後はジェイソン・モモア主演の大作映画に携わることが明かされており、今、名前を覚えておくべき逸材といっても過言ではないでしょう。

 

監督曰く「タイムリープしたくなければ洞窟に近づかないこと(笑)」とのこと。

またリゾート地として有名な場所を再現した風景にも注目してほしいそう。

 

いろんなジャンルが詰まった作品ですが、監督は素材をどう活かして調理したのか、楽しみです。

 

 

 

 

キャスト

タイムループを満喫している男、ナイルズを演じるのはアンディ・サムバーグ。

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コメディグループ「ザ・ロンリー・アイランド」として8度もエミー賞にノミネートされた経歴を持つサムバーグ。

グループとして音楽活動もされていたようで、レディ・ガガとも共演を果たしたとか。

 

映画に関しては、結婚式を目前に控えた男が介添人探しに没頭するコメディ「40歳のバージンロード」、セフレに発展したカップルが恋と友情のはざまで揺れ動く姿を、NYとロスのカルチャーギャップネタでユーモラスに綴ったロマコメ「ステイ・フレンズ」などに出演。

生まれてすぐ誘拐され外の世界を知らずに育った青年が、初めての世界に戸惑いながらも周囲の人たちの優しさによって成長していく姿をハートフルに描いた「ブリグズビー・ベア」では、出演のほか、ザ・ロンリー・アイランドとして製作にも携わってるそうです。

 

ブリグズビー・ベア (字幕版)

ブリグズビー・ベア (字幕版)

  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: Prime Video
 

 

コメディアンとして、また映画俳優として多くのコメディやロマコメに出演しているので、本作も才能をいかんなく発揮してくれることでしょう。

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

タイムループに巻き込まれる女性サラ役に、「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」、ドラマシリーズ「モダン・ラブ~今日もNYの街角で」のクリスティン・ミリオティ。

何度もナイルズを襲撃しに来る男ロイ役に、「スパイダーマン」、「セッション」のJ.K.シモンズ

ミスティ役に、「ブライト・バーン/恐怖の拡散者」、「HITS」のメレディス・ハグナー

タラ役に、ドラマシリーズ「リバーデイル」に出演しているカミラ・メンデス

エイブ役に、DCEUのドラマシリーズに多く出演し、「フィフティ・シェイズ・フリード」にも出演したタイラー・ホークリン

ハワード役に、「セックスと嘘とビデオテープ」、「ショート・カッツ」、「アメリカン・ビューティー」のピーター・ギャラガーなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

コロナでどこにも行けない分、リゾート地でバカンスをしている2人をみるだけでも楽しそうな予感。

2人がどんなことして笑わせてくれるのかにも注目です。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

タイムループモノとしてはよく出来たお話。

好きな人と今日を越えていけたら、明日は最高だよね。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日」を飽きるほど満喫。

リゾート地を舞台に、繰り返す「今日」をタイムループしてしまう男女の、能天気な日もあれば憂鬱な日もある日常を繰り返しつつ明日を渇望してく姿を、バカバカしくも真のあるやりとり、実験的な行動、羽目を外しまくる大暴れな時など、様々なシチュエーションをコミカル且つテンポよく描くかと思えば、多元宇宙論が飛び出すことで科学的にアプローチしてく大真面目なシーンもあり、一人で見るよりも誰かと観たくなる非常に楽しい作品でございました。

 

 

90分という上映時間をハイテンポで進めた割には、かなり濃厚な映画体験をした感覚です。

その大きな理由はナイルズとサラが非常にユニークだからだと思います。

 

この2人のハイテンションな演技と緩急ついたトークがなければ、話が尻すぼみになっていたようにも思えます。

 

 

 

さて、冒頭で挙げた「タイムループ」モノの映画って、どれも一人で体験するような作品なんですけど、この映画は2人でタイムループするってのが大きな違い。

 

一体いつから「11月9日」を繰り返してるのかわからないナイルズが、なんでも知ってるかのような達観ぶりをみせているんです。

 

見終わった後脳内で作品をリピートしてみると、ナイルズはサラに相当チャレンジしたと思うし、劇中では言えないこともやってるはず。

劇中でもカミングアウトしてますが、幾ら性に好奇心を持ってるからってそこに手を出すかwってくらいですから。

そんなことを考えると、もう一度見て検証したくなる仕掛けにもなっていましたね。

 

 

確かに同じ毎日を繰り返す状態になったら、まずはこの状態を楽しむために何をするかって思考になっていくと思うんですよ。

どうせ明日目覚めたらリセットするわけですから、多少の失敗やハメを外すことくらいチャレンジしたくなるというか。

 

ナイルズが毎日アロハシャツで、しかもその格好で結婚式に出てしまうってのは、周囲の人が自分をどう見ていようが気にしないって現れですよね。

 

そんな彼がこのタイムループした空間の中で、一体どんなことをしてきたのかというと。

  • 式場にいる女性を口説くこと。
  • 女性では飽きたのか男性とヤってみる。
  • ブリトーを購入した代金に加え、チップを多めに払う(どうせ次の日には財布に戻ってるから)
  • 寝ないで遠くまで行ってみる(赤道ギニアにまで行ったとか)

などなど、どうせ次の日にはリセットされるからとやりたい放題。

 

実際ず~っとお酒飲んでるし、結婚式のスピーチでは「みんな迷い子」だと言ったり、やることなすことリセットされるんだから何やったって無意味だと、色々なことに対して「諦めている」姿が見て取れます。

 

そんなナイルズを見ていると、不思議と自分の日常生活と重なってくるんですよね。

冒頭で書いた通り、暦の上では時間が進んでいるのに、同じ毎日を過ごしてるかのようなルーティーンによって、どこか「惰性」で過ごしている自分がいます。

 

朝起きて仕事に行き、夜映画を観て寝る。

休日はこうやって新作映画を観てブログを書いて1日が終わる。

気が付けばこの数年間この繰り返しです。

やりがいは、ないわけではないけれど、始めたころに比べたら熱意だったり熱量を注ぐほどの情熱は薄れてきているのかも。

 

この「パームスプリングス」は、こんな生活をしている僕と同じようにナイルズもまた毎日を惰性で生きてるんですよね。

どうせ明日も同じなんだから、と。

 

でも「タイムループ」に巻き込んでしまったサラという他者と同じ毎日を過ごしていくうちに、ある変化があとずれていくわけです。

 

 

これまでナイルズはサラを口説いて夜を共にしたことを後々打ち明けます。

何をやっても無意味ってのは、夜を重ねても次の日には自分と過ごした夜を忘れているから、一緒に時を刻むことができず情も沸かなくなってしまう。

 

しかし、同じ毎日を工夫しながら生きていく中で、彼女の良い面も悪い面も心に刻まれていく。

劇中では記憶は残るって言ってましたけど、サラがナイルズにしたこと、ナイルズがサラに打ち明けたことは、脳内に残るんですよね。

 

要するに誰かと過ごすことで、これまで惰性で生きてきたことに彩りが増し、いつもと違う明日を彼女と生きたくなるという心境の変化が生まれるんですね。

 

 

誰かと過ごしたいと思うことで今日を共に越えてたいと思う人生ってなんて素敵なことなのか。

正直自分も独り身で一緒に過ごす相手なんて何年もいないことから、誰かと過ごすことなんてとっくに考えもしなくなりましたが、歳をとったから、そんなに若くないからと諦めている自分の背中を押してくれた作品だったと思います。

 

だから、なんだろ。

とりあえずいい人探すかw

 

サラのぶっとび具合がクール!

ナイルズを自分に当てはめてみていると、不思議とサラという女性の魅力に取ハマっている自分がいましたw

 

最初こそ、なにかに憑りつかれたような憂鬱な表情をしていたのに、何か全ての事を解っているようなナイルズと夜を過ごし、吸い寄せられるように洞窟に入ると、結婚式当日の朝に戻っているではありませんか。

 

両親に「結婚式昨日やったのにまたやるの!?」と言っても、「結婚式は今日だろ?」と言われ、徐々に脳内がパニックに。

一体誰が私をこんな目に遭わすんだ・・・と窓の外を覗くと昨日のアイツ!

プールでプカプカ浮かびながらビールをカッ喰らってるナイルズに、鬼の形相で問い詰めながらビール缶をプールに投げ込み、終いには自分も飛び込んでくってかかるサラ。

 

何故昨日が繰り返されるのか、どうすれば元に戻れるのか、ナイルズをボウガンで襲ったおっさんは誰?

色々疑問が浮かんだあと、決死の逃避行!

とりあえず寝ないで遠くまで行けば、再びあの場所に戻ることはないだろう!

珈琲をがぶ飲みしながらのドライブはテキサス州にまで足を延ばし、自宅と思しき場所にまで向かうことができた。

カーテンを開け、差し込む朝日を浴びれば、まだ眠くはならないだろ…と目を瞑った瞬間、再び結婚式の場所に!

 

何をやっても無意味だ、とナイルズに諭されたサラは、こうなったらとことん満喫だ!と、ナイルズとバカバカしいことをやり続けます。

ヘンテコなダンスを練習したり、セーブしていた酒をガンガン飲み、どうせ死んでもリセットされるんだからと、対向車のトレーラーに車ごとツッコんだり、飛行機を盗んで、そのまま墜落したり、ヘンテコなダンスをバーのど真ん中で披露して変な目で見られたりとやりたい放題。

 

そう、どうせ何をやっても無意味なんだからと、若干自暴自棄にも見えますが、共に毎日を過ごすナイルズがいる安心感から、クレイジーでハッピーな表情へと変化していきます。

 

挙句の果てにはスピード違反を起こしてパトカーに捕まるんですが、テーザー銃を突き付けられても自信満々の態度で、ほら!撃ってみなさいよ!と。

さらには、警察官のふりしてナイルズを殺しにやってきた謎のおじさん、ロイを車で轢いたりする暴挙にまで発展。

 

このようにハチャメチャなことをしでかすんですが、その表情がとてもキュートに見えて仕方ありません。

僕自身こういうぶっ飛んだ子が大好きでして、観ていくうちに惹かれていく自分がいましたw

 

謎のおじさん、ロイ

本作は、何をやっても無意味と悟るナイルズと過ごすうちに、やっぱり自分の人生なのだからちゃんと元に戻りたいと願うサラと、「タイムループ」する毎日に対し価値観がズレていきます。

 

何とかして戻りたいサラは忽然と姿を消す一方で、ナイルズはどんどん落ち込んでいきます。

 

これまで自分なりにこの繰り返す毎日を楽しんできたけれど、彼女がいなくなった途端何かが違う気がしてきたんですね。

 

彼は思いたって自分をひたすら追いかけてくる謎のおじさん、ロイに会って話を聞くことに。

 

いったい彼は何者なのかといいますと、サラのお父さんの親戚にあたる人物。

式場でロイと出会ったナイルズは、結婚なんて悲しみしかないと語り意気投合。

式場にいた男が隠し持っていたクスリを奪い取り、二人でラリッて楽しく過ごすことに。

そのまま岩場まで赴き、友情を深めていくと、二人で洞窟へ足を運びます。

ここを潜るとタイムループしてしまう生活になってしまうことを理解してるのに、ラリッているせいで思考が止まっているナイルズは、ロイを道連れにしてしまうんですね。

 

ナイルズのせいでタイムループ生活に突入してしまったロイは心底彼を憎んでおり、執拗に彼を追い詰めていたわけです。

 

ナイルズは、そんな自分の大敵であるロイに、今の自分の心境を打ち明けます。

 

ここ数日ロイはナイルズを追いかけることをしませんでした。

きっかけは、サラに車で轢かれたせいで、眠ることを許されないままICUで治療をしたことです。

 

そのおかげで、彼はこのタイムループしている生活の中で、自分の奥さんが一番輝ている状態でともに過ごせることや、老いた歳で生まれた双子の子供たちをずっと眺めて見られる、この瞬間が何よりも愛おしいことに気付いたからです。

 

恐らくロイに家族がいなければ、これまで通りナイルズを執拗に追いかけまわしていたことでしょう。

しかしナイルズが後に気付く様に、例え繰り返される毎日だったとしても、そうでなくても、誰かといる時間や空間が存在することの大きさに気付いたロイは、今自分が一番居たい場所に留まることを決意したわけです。

 

 

サラが人生を取り戻りたいと思う考えと、何をやっても無意味と考えるナイルズ以外に、この空間に留まったとしても居続けたい意志を持つロイという人物がいることで、自分にとって何がベストな時間の過ごし方なのかを提示したのは、本作の良い所のように思えます。

 

 

最後に

タイムループモノってどうしても矛盾が生まれるんですけど、今回僕が思った矛盾は、サラが死んでリセットされると、死んでないナイルズもリセットされちゃうのか?ってところ。

その場にいないロイも入れると、タイムループしてる3人は何があっても、リセットされるタイミングは一緒なんでしょうか?

別の時間軸が生まれるってことにはならないのかな。

 

例えば一人目が早々に眠ってしまった場合、二人目、三人目が眠るか死ぬまで、一人目はずっと眠ったままの状態になるのか。

その辺りが「ん?」って思っちゃいました。

 

またラストでは11月10日になってチャンチャン、なんですけど、年齢はそのままなんですよね。

元の世界に戻るのではなく、そのまま時間が進むってのは多元宇宙論的には合ってるんですかね。

あ、エンドゲームでもそうだったから合ってるってことでいいのか。

あ~よくわからんw

 

自分に置き換えて見ることができた分、楽しく見ることができましたが、もっとタイムループを活かした展開があっても良かったかなぁとは思います。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10