モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「シンウルトラマン」感想ネタバレあり解説② 人間はまだまだやれることを彼は教えてくれた。

シン・ウルトラマン

感想その①はこちら。

 

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映画的としての評価は正直難しい面もありますが、幼少の頃に夢中になったウルトラマンを大スクリーンで体感した身としては、非常に満足度の高い作品でした。

 

個人的な想いは①に書きましたので、ここでは作品の解説やテーマ、小ネタなどを紹介しつつ自分の感じたことを語っていければと思います。

 

 

全体的な感想

本作は、成田亨氏がデザインしたウルトラマンや禍威獣をモチーフに、ほとんど3DCGを使って特撮映画を製作した作品でした。

かなりの予算と期間を使って製作されたこともあり、細部にわたってリアルなフォルムや実在しうる姿になっていたように思えます。

 

物語の内容としては、未だ未発達である我々人間のために、光の星の掟を破ってまで人間と融合し、人間を守りながらあらゆる禍威獣や外星人と戦う一方で、人間とは一体どういう存在でどういう生物なのかを探求していく姿、また果たして彼らを信じたり守る価値はあるのかという葛藤をしていく姿を描いていました。

 

そもそも人間は自然界において一番高い位に位置する捕食動物であり、他の動物と比べて知能も優れています。

故に自分たち以上の存在が出現したことも事実。

本作のように自分たちよりも脅威とみなす存在が現れれば、降伏や敗北せざるを得ないか、隷属になるしか方法はないのかもしれません。

 

確かに禍威獣や外星人の駆除や駆逐をするためには相当な財力や防衛力が必要であり、もし自分たちより科学や知能が発達した者たちから、高い科学力を搭載した物質や機械が与えられるのだとしたら心おきなく受け取るだろうし、友好関係を提案されれば遠慮なく手を握るでしょう。

 

実際メフィラスは、禍威獣が人間によって汚染や破壊された環境によって生まれた生物兵器だといってましたし、ザラブ同様それらを利用し暴力を使わずに人間の思考を停止させて支配下に置こうとしていました。

 

しかし、人間にはまだまだ伸びしろがあり、考える力があり、脅威に対抗できる賢さがあり、総じて進化する生物であると神永=ウルトラマンは、融合したことにより知るのです。

本来ならば見届けるのがルールですが、彼は掟を破ってまで我々人間に加担することを選択し、世界が一つになって外敵から身を守るために考えるきっかけをあたえる、希望を託す物語なのです。

 

 

まさかウルトラマンからこんなことを教えられるとは思いもしませんでした。

実際SNSによって言語や思いが匿名によって可視化されたことで、小さな存在である我々の様々な思いを知るいいきっかけになったと同時に、見たくもないことや罵詈雑言によって心を疲弊し、その傷や疲れも癒えぬまま現実社会で肉体的にも精神的にも疲弊してしまう辛い毎日を送っています。

 

人が疲れるとどうなるか。

思考が停止するんです。

何かを学ぶこともしなければ、娯楽も「ただ楽しめればいい」という考えに陥る始末。

人間がそうやって考えることをやめれば、いつの日か他の星の知的生命体が襲来してくるかもしれませんし、なんなら国家も世界も我々がぼーっとしてるうちに謝った道を進んでしまうかもしれません。

 

だから考えること行動することを「疲れた」からという理由で怠ってはいけないのではないだろうか、そんなことを「シン・ウルトラマン」は教えてくれたのかもしれません。

「シン・ゴジラ」でもゴジラを駆除するためにいろんな人たちが知恵を絞って考え撃退したではありませんか。

スクラップアンドビルドでこの国は何度も立て直してきたのですから、誰かに頼ることもいいですが、まずは自分たちの力で進化しようではないかと。

 

あとやっぱね、当時のウルトラマンの登場人物らがどんな気持ちで戦ってたかを考えると、ウルトラマンが現れなくとも必死で戦ってたんですよね。

時代的なものかもしれないのは百も承知ですけど、やっぱりあの頃の人たちが抱く「未来」と、今生きてる人たちの「未来」予想図って全然違くて。

 

やっぱりあの時代の人たちは「こういう時代が来るんだな」って不確かだけどビジョンが見えてたというか。

でも今は見えないですよね。

なんかそういう現代的な面も本作ではあった気もするんですよ。

 

だからこそのテーマ性なのかなと。

 

 

なんか説教臭い感想になりましたが、全体的にエンタメに特化した作品だったので、単純に超楽しい!でもいいんですけど、是非見たからには読み取れるところは読み取ってみてもいいのではと。

 

 

作品解説

ここからは具体的な解説に入りたいと思います。

 

ウルトラマンについて

本作は上でも書いたように、当時デザインを担当した成田亨氏を尊重して作られました。

胸のカラータイマーを無くし、ファスナーを隠すための背びれを無くし、視界を作るために開けられた目の穴を無くし、デザイン当初の姿になりました。

 

ここで疑問になるのが、「カラータイマーを無くしたことでウルトラマンの活動時間は永久になるのか」問題です。

劇中では、動力源となるスペシウム133という元素によってウルトラマンは活動できるのですが、人間と融合していることや地球で活動することで激しいエネルギーを消耗してしまうことが明かされています。

 

実際エネルギーが消耗すると、赤いラインの入ったウルトラマンが、徐々に緑色に変色していくんですね。

カラータイマーが赤く点滅するのと同じ原理だと思っていただければと思います。

 

そもそもカラータイマーは特撮現場でかかる予算を削減するため、または30分番組として成立させるための「大人の事情」によって作られた装置で、成田氏は最後まで反対したとのこと。

本作はそれを無くすことで、成田氏が求めた理想のウルトラマン像を作り上げたということです。

 

 

ファーストアクションでは、はるか上空から1万2000キロもの時速で飛来し降着。

しかも予告編で見ていた銀色に赤いラインの見慣れた姿ではなく、全身銀色でした。

神永と融合してから赤いラインが入ったということです。

要は人間の血が混じったという解釈になるのではないでしょうか。

 

体長は60m、体重は2900トンと語られており、初代マンの「身長40m、体重3万5000トン」という設定ではありませんでした。

 

神永がウルトラマンに変身する際に使うアイテム「ベーターカプセル」ですが、赤い部分は人間を巨大化する力があります。

ベーターカプセルはコンパクトになったものですが、メフィラスはそれよりも大きな装置「ベータ―システム」を保管してます。

ウルトラマンが地球にやってきたことで脅威と感じる為政者たちの心理を突いて、このシステムを対外星人用の自衛策と称して提供し、自分を人間よりも上の存在としてほしいと提案を持ち掛けます。

 

必殺技もしっかりお披露目。

対ネロンガ戦では登場するや否や右腕に高エネルギーを集中し、十字を作って一気に光波熱線として発射。

俗に言う「スペシウム光線」です。

効果音も光線の形状も当時のモノと一緒でしたし、実際光線画を描かれたのは当時担当された飯塚さんが描いたモノとのこと。

ファンには溜まらない瞬間でした。

 

他にも対ガボラ戦では、発射される放射熱線を自身の体内で受け止め、放射線量を除去する力を発揮。

飛行して着地する際には、回転を利用して蹴りをお見舞いしてましたし、その際の効果音もウルトラマンが回転している時に流れる音と一緒でしたね。

 

対ザラブ戦では、ニセウルトラマンと格闘。

脳天チョップで攻撃するウルトラマンでしたが、ザラブ星人が偽装光線によって変装していた姿のため、あまりの頭の固さに居たくて手を振ってしまう仕草が見られました。

あれはウルトラマン第18話「遊星から来た兄弟」で描かれたシーンと全く一緒なんですよね。

既にみていた人なら大爆笑モノのシーンだったことでしょう。

 

ザラブ星人に戻ってからは、逃亡を図るザラブを飛行して追走するウルトラマンの姿が。

横須賀という市街地のビル群をギリギリで飛行するウルトラマンはとにかくカッコイイです。

最後は八つ裂き光輪でとどめを射す最高のアクションでした。

 

対メフィラス戦もまた、ウルトラマン第33話「禁じられた言葉」と同じ対戦。

八つ裂き光輪を投げても効かず、エネルギーを消耗しながらスペシウム光線を放つ流れ。

一旦間をおいて互いが光波熱線を放つシーンは胸アツでしたね。

当時の放送も引き分けでしたが、今回は違う理由で引き分けとなりました。

 

そして最後のゼットン戦。

天体制圧最終兵器と称されたゼットンを破壊すべく、術も持たぬまま一人立ち向かうウルトラマン。

ウルトラマン最終話「さらばウルトラマン」でもそうでしたが、ウルトラマンが何度も必殺技を出しても、ゼットンの持つバリヤーの防御力が非常に高く、今回も全く歯が立たない事態。

途中八つ裂き光輪を10個作って一斉に攻撃したり、巨大な八つ裂き光輪を作って攻撃するなど、バリエーションを変えて攻撃しても全く歯が立たないという・・・。

最強の敵とだけあって、この時ばかりは僕も「やっぱりな…」と落胆してましたw

あとあれ、一兆度ねw

火の玉光線でしたっけ?あれが設定だと一兆度なんですよねw

そこもリアルな計算で滝くんが話してくれたのは笑ってしまったw

 

 

また本作では、米津玄師が歌う主題歌「M八七」でフラグが立った通りゾフィーが登場。

ただゾーフィと言ってましたね。

見た目は金色に青いラインが入った姿で、胸にある複数のふくらみは消去されてました。

彼がやってきた理由は、ただウルトラマンを連れて帰るためだけに現れたのではなく、「他の知的生命体との融合としてはいけない」という光の星の掟を破ったことと、マルチバースの知的生命体が融合が可能であることを知ってしまったために、今のうちに地球を刈り取らなければいけないという裁定を下しにやってきたのです。

 

当初のゾフィーをよく知る身としては中々冷酷なことをするじゃねえか!とイラッとしましたが(笑)、これは想定外でしたね。

実際メフィラスはウルトラマンと激闘している際にゾーフィの姿を確認したことで引き下がったわけで、宇宙の掟は中々厳しいモノなんだなと感じた瞬間でもありましたw

 

 

さてウルトラマンのフォルムに関してですが、とにかく美しいの一言に尽きます。

劇中の浅見もつい口からこぼれてましたが、スラッと細身の体型に浮き上がった骨格によって形成される曲線がたまりません。

 

身体も最初は全身銀色なんですけど、神永の姿になってからは赤いラインが入り、エネルギーが消耗すると緑色に、プランクブレーンに突入してからは黒いラインが入ったりと様々な色に変色してました。

よく見ると、体が銀色ということもあって、周囲の景色がうっすら反射してるのが見受けられます。

これも当時のウルトラマンからは考えられない技術です。

あと、若干口が開いてる時がありましたよね。

昔のウルトラマンはA~Cタイプと言われるスーツがあって、初期は口が開いてるAタイプなんですよね。

初登場時も若干口が開いてたんですよ。

話が進むにつれてタイプが変わっていたように思えます。

 

 

また格闘シーンも秀逸。

正拳突きも美しかったし、夜の市街地を飛行する姿も寄りで描いてくれたのでたまりません。

もちろん光線などの必殺技もカッコよかったし、構えのポーズも「あ~よくやってた!」って思ったし、ガボラ戦でのドリル掴んでの攻防戦も近距離で見せてくれて最高でした。

 

実はもっと取っ組み合いの喧嘩をしてほしかったんですが、色々都合があったのでしょう、これはこれで大正解です。

 

あと高橋一生が、ウルトラマンの声を担当してましたね。

最後ゾーフィと会話する時なんですが、あそこだけ高橋一生さんでした。

 

登場人物について解説

神永新二について

僕は当初「ウルトラセブン」のモロボシダンのように、既に人間の姿で地球に潜入していて禍特対に入ったのではないかと予想していたんですが、実際は、ウルトラマン降着の際の衝撃波が原因。

少年を守るために自分の命を犠牲にした神永を見て、人間を理解したい一心で神永の姿を借りたという設定です。

なので実際の神永は命を落としており、森の中で遺体となっていた姿が描かれてます。

 

まだウルトラマンになる前は、元公安という素性の知れない感じを出しつつも、まだどこか人間的な理性が感じられましたが、ウルトラマン初登場以降の神永は、とにかく辞書やシュタイナーの本などを猛スピードで読み漁るという非人間的な姿を見せています。

 

また浅見が出港した際には「バディとは相棒と捉えていいか」や「ここにいる者たちをどう呼べばいい」と、一緒に仕事してきた仲間たちをどう認識していいのか理解できてない姿が見受けられ、我々もこの辺りで「既にウルトラマンになっている」ことを確信します。

 

やはり禍特対の面々が作戦を練ってたり実行したりする時にはもうそこにはおらず、単独で行動してウルトラマンに変身してましたねw

 

ザラブに拉致された時には先手を打って、浅見にベーターカプセルを託すことで、バディを信用することを試した節が見えます。

その際浅見から「あなたは人間なの?外星人なの?」と問われ、「両方だ」と返答。

これはウルトラマン第33話「禁じられた言葉」でメフィラス星人がハヤタ隊員に言った質問とほぼ同様のやり取りでした。

 

とにかく笑ったのは、メフィラスの暗躍を阻止するために禍特対のメンバーを招集して作戦を練るシーン。

メフィラスが保有するベータ―システムを奪うことがミッションの目的なんですが、別次元のプランクブレーンに隠蔽されてるため探し様がない。

滝の頭脳でも解析するのが無理な問題でしたが、船縁の「匂いなら数値化できない」という非科学的なやり方で探すことを選択。

神永は、一度ベータ―システムで巨大化した浅見からわずかに放たれる匂いを嗅いで探しに行くんですね。

 

で、浅見はあまりの忙しさでシャワーを浴びてないせいで、自身の体臭を気にしており、真顔が体中を嗅ぎまくる神永に苦虫を噛んだような顔で見つめるというシーンでしたw

やはり外星人だからその辺が遠慮ないしリアクションもないわけですよ。

だからそのギャップがめちゃくちゃ笑えて仕方ないw

 

当時のウルトラマンも実相寺昭雄監督回はかなりシュールで笑えるものが多く、こういうユーモラスな場面はもしかしたら監督オマージュの意味も込められてたのかもしれませんw

 

浅見弘子について

公安調査庁から出向した浅見は、基本的にはバリバリのキャリアウーマンな様子。

出勤時にはいていたスニーカーをハイヒールに履き替える姿や、初出勤時にはメンバーのパーソナルな部分までインプットしている有能な姿が見受けられます。

 

自分だけコーヒーを運んでくる気の利かない神永にツッコんだり、いざ出動という時には自分のお尻を叩いて気合を入れるなど思ったことや動くときにはつい口や手が出てしまう面もあるのかなと思います。

 

そんな浅見は、ウルトラマンを調査するために出向を命じられた存在。

報告書には「正体不明」というある意味の潔さを見せ好感を持たれてましたねw

 

バディである神永に振り回されっぱなしの浅見ですが、彼がベーターカプセルを託した辺りから彼の見方に変化が現れます。

ニセウルトラマンにさらわれた時に助けられたり、メフィラスと仲睦まじくブランコに乗ってた時は「バディのくせに他の人とくっついて!」とどこか恋人のような市区になってたりと、徐々に神永に惹かれていってるようにも見えました。

実際ゼットンに単独で立ち向かった結果、海に不時着し昏睡状態の神永を看病していたのは浅見でしたし、ファイナルミッションで彼を見送る際に激励するのも彼女一人でした。

 

劇中での人物描写に深みがないせいか、あまりバディ感が感じられなかったのが残念でしたが、こうやって拾っていくと神永に対する浅見の心境の変化がしっかり描かれていたように感じます。

 

 

しかし浅見演じる長澤まさみが大好きなんでしょうか、監督のフェチシズムが全開な作品でしたねw

なんてたって巨大化長澤まさみが視れるとは予想すらしてませんでしたw

 

一応説明すると、無断欠勤の続いていた浅見が丸の内で発見されたと報告が入るんですが、現場へ行ってみるとなんと巨大化していたという流れ。

これはメフィラスによる「人間もウルトラマンのように巨大化できるよ」というデモンストレーションであることが明らかになります。

 

この時街を練り歩く浅見を真下のアングルで映しており、スカートの中身が見えてしまうんじゃないかとさえ思ってしまう光景になってます。

しかもその後肘でビルのガラスをぶち破り、隣のビルを踏みつぶそうとするギリギリのところで制止。

よって結構なスカートラインから足が見えているという…。

 

この巨大化浅見弘子に関してはウルトラマン第33話「禁じられた言葉」でフジアキコ隊員が巨大化したことに対するオマージュとなっており、庵野秀明自身もこのエピソードは企画当初から是非やりたいと推していたそうです。

確かに普通の人間が巨大化することで起きる非現実感を表現出来るわけですから、採用されてもおかしくないかと。

 

この巨大化浅見弘子を激写した一般市民らのSNSへの投稿シーンは笑いましたねw

インスタのストーリーからYouTubeにいたるまで、ありとあらゆる媒体で注目されており、YouTubeに至っては世界のベスト10を独占するという快挙w

監督~!長澤まさみで遊び過ぎですよww

 

実際浅見自身は相当嫌がっており、メフィラスに対して激しい憎悪の念を抱いてましたが、よく見るとまんざらでもない感じに見えたのは自分だけでしょうかww

 

フェチシズムに関しては他にも、神永に体中の匂いを嗅がせるというシーンまであり、長澤まさみはよくこの役を引き受けたなぁとw

 

全く何を考えてんだか…でしたけど、むっちゃ面白かったですw

 

田村、滝、船縁について

禍特対の班長・田村は、室長の宗像とメンバーの間に入って色々取り仕切るという役柄。

神永がウルトラマンだと知った時は、理性で理解するという苦悩を見せたりしますが、いざ命令とあらば例え偽物のウルトラマンだろうと闘わなくてならないという意志や、最後の作戦では命を落としかねないことを知ると、神永の命を優先し作戦を中止しようと話しかけるなど、終始頼れる班長という感じでした。

 

 

滝は実は今回結構なキーパーソンだったように思えます。

 

非粒子物理学者として禍特対のメンバーに招集された彼は、根っからのSFオタク。

メンバーが集う室内にはスタートレックのエンタープライズ号やサンダーバードなどのフィギュアが飾られており、私物化してますw

ネロンガ登場の際には透明であることに苦戦する皆の表情の中、サーモグラフィでしっかりくっくり姿が見えてしまってることに落胆。

「これじゃ透明じゃねえじゃん」と愚痴をこぼす一面もあり、仕事をしている傍らどこか楽しんでるようにも見えますw

 

しかしザラブやメフィラス、ウルトラマンなど未知の生命体や高度の知能や科学力を間近で見るにつれ、少しづつ自信を無くしていく姿も。

ゼットンによって地球滅亡の危機にさらされた際には、完全にさじを投げ「ウルトラマンに頼るのが最適解ですよ」と言い放ち部屋を飛び出ていく始末。

一人階段の隅で蹲り手すりを殴るシーンは、案外泣けるんですよね・・・。

 

そんな彼に神永は一つの希望を託し、ゼットンを破壊するためのプランを提案。

ようやく人間が高度な科学技術に対抗できる手段を見つけるのです。

 

滝を演じた有岡大貴くんは、恐らく今までで一番大きな役。

あれだけの難しい用語をスラスラ言ったり、長い数式をスラスラ書いたりと物理学者としてしっかり演じていたように思えます。

これからに期待ですね。

 

 

そして汎用生物学者の船縁由美。

既婚者で、ストレスに弱くお菓子をむさぼる姿が印象的な彼女ですが、メンバーの中では禍威獣を生物学の観点から分析する役割を担ってました。

禍威獣第3号ペギラの時に、女性生物学者の弱点発見が決め手となったというテロップが出てましたが、もしかしたら彼女の活躍かもしれません。

 

禍威獣第6号パゴスと第8号ガボラの顔が同じことから、何らかの接点があるのではないかという観点も生物学者らしい一面でしたね。

 

そんな船縁さんは、メンバーの中では滝くん同様仕事を楽しみつつも、希望を捨てずに任務を全うするキャラ出たように思えます。

放射能をまき散らすガボラの時には、ガボラの放射熱線を「激ヤバ光線」といったり、自衛隊が管轄している現場にやってくる際には「すいませ~んおあじゃましま~す」などと軽い感じでセリフを言うのが印象的。

また山岳地帯に赴く際には、虫が嫌だと言ってましたが、ハエを振り払うあたりからホントに生物学者かよ!wとツッコみたくなる一面もありましたw

 

メフィラスについて

今回一番意外な搭乗をしたのが、山本耕史演じるメフィラス。

実際ウルトラマンでは「メフィラス星人」というキャラで登場していたので、まさか生身の人間を使って外星人をやらせるとは思いもよらず。

 

実際のメフィラス星人は「暴力嫌い!」といっておきながら恐喝まがいの交渉で支配を試みる狡猾で残忍な性格。

今回のメフィラスも一見紳士的な振る舞いを見せながらも、外星人第0号と自称していた通り綿密な計画をしての実行をしており、侮れない外星人として本作一番の目立ちようでした。

 

彼はウルトラマンをおびき寄せるために、眠っていた禍威獣を目覚めさせ、ザラブも現地調達、それらを人間たちに見せつけることで知恵でも暴力でも敵わないことを本能的に知らしめ、さらにベータ―システムによって自分の思うままに操れることを伏せながら密約を交わすことで、地球を他の知的生命体に取られる前に独占管理してしまおうという算段でした。

 

これを神永に説明するのに、なぜか公営住宅の前のブランコに乗って交渉したり、場所を変えようと言って移動した先は浅草の居酒屋というシュールな映像の数々w

日本酒を飲み交わしながらカウンターで、地球規模の話をするというこれぞ空想特撮!な瞬間でした。

 

それこそウルトラセブンの「狙われた街」でやった「ボロアパートのちゃぶ台を挟んでの宇宙人同士の会話」を彷彿とさせるシュールな映像。

終いには神永に「ここは割り勘でどうだろう」と言い放つ最高の締めの言葉!!

あの言葉によっていかにこいつが狡猾な奴が分かるんですよ!!

お前が誘ったんだからそこはお前が払えや!!ww

 

他にも「郷に入っては郷に従え 好きな言葉です」

「呉越同舟 好きな言葉です」

など、いちいち好きな言葉や嫌いな言葉を主張する辺りがツボw

そうやって日本人の懐に入ってく辺りが狡猾ですw

 

シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバースはあるのか

本作で一番注目されるのが、庵野秀明製作作品によるプロジェクト「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」がどう展開されるのかです。

 

劇中には嶋田久作演じる大隈総理大臣の姿がありましたが、嶋田さんは「シン・ゴジラ」で片山外務大臣を演じてました。

役名は違えど、同じや役者が起用されるのは何か関係があるのではないかと勘ぐってしまいます。

 

また主演の神永を演じた斎藤工も「シン・ゴジラ」で自衛隊の副隊長・池田を演じていたし、ニセウルトラマン登場時の現場にいた自衛隊の朝倉役を、「シン・ゴジラ」で石倉陸自幕僚長を演じていた國本鐘達さんが演じてました。

 

さらには「シン・ゴジラ」で赤坂秀樹を演じた竹野内豊が、「政府の男」という役で登場。

メフィラスと密談をしていたり、神永を国連に差し出そうとしたりと政府の裏で色々調整を図っている仕事を担っていました。

役名こそ「政府の男」ですが、芝居の仕方がどうみても赤坂にしか見えません。

 

一体これはどういうことなのか。

もしかしたらウルトラマンが人間と融合したことにより出来てしまった並行宇宙=マルチバースが絡んでるのかもしれません。

ウルトラマンが現実世界を歪ませたのだとしたら、政府の男も朝倉も大隈総理も、並行宇宙では赤坂であり石倉であり、片山なのかもしれません。

 

本作の冒頭では当時のウルトラマンのオープニング同様、前作「ウルトラQ」にあやかって「シン・ゴジラ」とタイトルが出たりしましたし、敵性大型生物第6号「パゴス」駆除の際には、「シン・ゴジラ」でやった「ヤシオリ作戦」のような血液凝固剤と活動抑制剤を経口投与して凍結させたかのような姿が一瞬見えます。

 

直接的に繋がってないとはいえ、これだけの材料がそろってるわけですから、全く繋がってないとは言い切れません。

 

またこれは超憶測ですが、「シン・仮面ライダー」のヒロインである緑川ルリ子が着ているロングコートの後ろ姿が、巨大化浅見弘子を見物している野次馬の中に映ってるんですよ。

実際本人かどうかはわかりません。

確証もありません。

しかしもしかしたら、あれ?と思ってしまったのです。

 

だって、ウルトラマンと分離したとはいえ、神永にはもしかしたらウルトラマンの知能が残ってるかもしれない。

もしかしたら人間を巨大化できるベータ―システムを開発できるかもしれない。

誰が作るって?

城北大学の滝だよ!!

仮面ライダーと言えば城北大学だよ!!!

んでもって滝だよ!!

だから仮面ライダーも巨大化できるんだよ!!!

…これは妄想です!!

鵜呑みにしないでくださいww

 

 

最後に

本作を見て「ツギハギ感」とか「詰め込み過ぎ」とか言って批判する方もいるかと思います。

その意見は尊重しますが、もしよかったら初代ウルトラマンを1話でもいいから見てほしい。

あれもツギハギ感満載ですよ。

あの淡々と進んでいくのが当時のウルトラマンでさ、それを何話も見せていくからキャラクターに個性が見いだせたんじゃないですかね~。

 

また、本来ならこれを39話で構成したら面白いのかもしれないけど、1つの作品にするのは仕方のないことだったのかもしれません。

だって、あれも出てほしいし、あの怪獣も出てほしいってなるじゃないですか。

さすがに1体だけじゃねぇ…。

 

 

とにかく僕にとっては最高の映画でした。

童心に帰った瞬間でもあり、もっとも古い記憶だった「ウルトラマンとの思い出」が、こうして現在と重なったことで、なんだか人生を周回してるかのような気持ちになった瞬間でもありました。

庵野さんと樋口監督には感謝しかありません。

本当にありがとうございました。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★9/10