モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「旅と日々」感想ネタバレあり解説 李が実際にいたらと思うとこの映画は面白く思える。

旅と日々

「夜明けのすべて」に「ケイコ 目を澄ませて」と、立て続けに心の琴線に触れてくれる三宅唱監督の新たな作品は、正味90分の短いお話。

 

旬の女優を使うあたりがあざといとも思えてしまいますが、作品の中身はきっとあざとくはないのでしょう。

 早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

『ケイコ 目を澄ませて』(22)、『夜明けのすべて』(24)などで映画賞を席巻し、現代日本映画界を牽引する三宅唱監督の最新作『旅と日々』。

原作は、つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」。

2020年フランスのアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞に輝いた稀代の漫画家の、初版から50年以上を経た2作を三宅監督が見事な手腕で現代的にアップデートした。

 

そして、世界で最も歴史ある国際映画祭の一つであるロカルノ国際映画祭にて日本映画では18 年ぶりとなる金豹賞《グランプリ》に加え、ヤング審査員賞特別賞をW受賞。

既にUS、フランス、韓国、中国、台湾、香港、インドネシア、ポルトガル、ギリシャでの配給も決定するなど、世界が最も注目している日本映画監督と言っても過言ではない。

 

主人公・李を演じるのは、『新聞記者』(19)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞し、韓国出身ながら日本映画界に不可欠な俳優シム・ウンギョン。

共演に映画、テレビ、舞台と縦横無尽に活躍する堤真一、2024年の映画賞を多々受賞した河合優実、話題作への出演が続く髙田万作、さらに、つげ義春作品に欠かせない俳優・佐野史郎を加え、屈指の実力派俳優陣が集結した。

(公式HPより抜粋)

 

 

 

 

あらすじ

 

強い日差しが照りつける夏の海。

海岸でぼんやりと過ごしていた夏男(高田万作)はどこか陰のある女・渚(河合優美)に出会う。

何を語るでもなく、なんとなく島を散策する二人。

 

翌日、浜辺で顔を合わせた二人は、台風が近づくなか雨に打たれながら、波打つ海で泳ぐのだった......。

 

海で出会った二人の姿が、大学の講義室のスクリーンに映し出されている。

つげ義春の漫画「海辺の叙景」を原作に脚本家の李(シム・ウンギョン)が脚本を書いた映画を、授業の一環で上映していたのだった。

 

上映後、李は学生から映画の感想を問われ、「私には才能がないな、と思いました」と答える。

 

講義を終えた廊下で、李は魚沼教授(佐野史郎)と立ち話をする。

浮かない顔の李に「気晴らしに旅行にでも行くといいですよ」と飄々とした口調で声をかける教授。

ほどなく、魚沼教授が急逝したという知らせが届く。

李は弔問のため、教授の弟の家を訪れる。

あっけない最期に戸惑う李に、弟は教授の形見のフィルムカメラを半ば押しつけるように手渡す。

 

長いトンネルを抜けると、そこには一面の銀世界が広がっていた。

無計画のまま降り立った町で、宿も見つけられずにさまよううち、李はひとつの古びた宿にたどり着く。

屋根には雪が積もり、今にも崩れそうなその宿を営むのは、ものぐさな主人・べん造(堤真一)。

暖房もなく、まともな食事も出ず、布団すら自分で敷かなければならない。

 

ある夜、べん造は「錦鯉のいる池を見に行くか」と李を夜の雪の原へと連れ出すのだった......。(公式HPより抜粋)

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感想

二つの作品を一つにまとめた本作。

前半ミューズと化す河合優美、限界を感じた脚本家が過ごした奇妙でほのかに笑える日々。

旅はまだまだ続くのだから、孤独なんてあっという間に過ぎ去っていくさ。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

歯ごたえはない。

つげ義春を全く知らないので、どんな物語になるかそこそこ期待してましたが、正直過去作と比べると、味気ないというかこの映画の良さというモノを全く見いだせずに劇場を後にし、今、これから何を書けばいいのか迷走中ですw

 

二つの話をどう一つにつなげるのか、大体そういうパターンの映画は話が分離され過ぎていて上手くいかない作品が多いなという印象を持っていたのですが、これはこれで巧い使い方だったなとは思います。

 

つげ作品を脚本担当したものの、つい学生たちの前で行われたティーチインで「自分は才能がないと思いました」なんて、口が裂けても言ってはいけないよなぁ、といきなりダメ出ししてしまう俺。

それで金もらってんだろ、プロならプロらしく振る舞え、反省やダメ出しなら誰もいないところでいつでもできる、客前では絶対やってはいけない行為だ!

 

・・・と、これから映画の世界に羽ばたこうと勉学に勤しむ学生たちの前でしょんぼりな李。

確かに「海辺の叙景」には夏なのにどこか孤独というか後ろめたさを感じる気配が漂っていて、その孤独感を抱え海を見て黄昏る河合優美が、まぁ~美しい。

 

美しいというか、かなりのエロスを感じましたよ。

おんなじことを佐野史郎演じる教授も言ってましたけど。

原作がどのような物語なのか知らないので、なぜこれを脚本化した李が自信を無くしたのかは正直、映画から読み取れません。

単に彼女が告白した「事実」しかない。

 

この辺から俺は取り残されていきました。

・・・・というか、海辺の叙景自体もよくわかんなかったんだけどね。

 

海辺で青年と出会い、互いの話を少しずつ打ち明けながら、翌日土砂降りの雨の中、水着に着替えて二人で泳ぐ、というもの。

夏そのものに様々なイメージを浮かべるが、それとは真逆の暗さ。

出会うべくして出会った青春恋愛モノとは違い、まるで何かに引き寄せられたように出会ってしまった二人が織りなす独特の空気感。

あの青年は、彼女に何を期待したのだろうか、そして彼女は青年に何をさせたかったんだろうか。

 

ぶっちゃけあのまま男は溺死してしまうんじゃねえのかななんて思ったけども。

 

 

はっきり言ってこの後の物語に後半の物語がどれだけ密接なのかは、よくわからない。

夏を描いた海辺の叙景よりも、後半のエピソードの方が温かみがありユーモアもある。

それが李に足りなかったモノ、なのだろうか。

 

後半、べん造さんの宿に泊まってからは、べん造が妙なことを言い出してから少しだけ物語が明るくなる。

「俺も脚本考えてみた」と。

 

こんな古びた宿を経営する、仕事に精を出してなさそうなおっさんが、何を急に客の仕事に興味示して一枚噛もうとしてるのか。

それ自体がちょっとしたユーモアになってて愉快だった。

 

彼の兆候はこの前夜にもあって。

脚本を書いていると告げる李に対して、俺はユーモアのあるドラマが好きだな、でもそれだけじゃ面白くねえ、人の悲しみも描いてねえと、と言いだす。

 

この発言自体が、李の過ごした旅の日々として描かれていく構成が楽しかった。

その後、自分の宿屋を物語にしたらと提案するべん造のために付きあう李。

あのウサギ小屋に書いてある「ぴょんちゃん」て名前、誰が名付けたんですか。

あのふすまは誰が書いたのですか。

 

せっかく脚本のネタにしようと質問してるのに、はぐらかして応える気がないべん造。

お前は人の家をジロジロ見過ぎだ。

おめえが言い出したんだろwww

 

仕事に精を出さないでいるべん造さんと、楽しくなるような幸せになるようなことはないのかについて語る李。

やがて、立派な家の錦鯉を取りに行くぞと言いだすべん造さんは、李を巻き込んで錦鯉を盗みに行くという流れに。

 

しかし盗みに行った場所は、前の嫁さんが住んでる家で、離れ離れの娘に再会してしまうべん造。

カメラをどこかになくしたせいで通報され、警察の厄介になってしまう。

そして二人は「盗んだ」ことは黙って、通りがかりにカメラを落としてしまったことにし、高熱を出してしまったべん造は、おまわりさんに病院に連れてってもらう。

いつ帰ってくるかわからないべん造を待つわけにもいかず、掃除と布団を畳んで帰る支度をする李。

 

そんな感じで幕を閉じる本作。

 

え、これで終わり?

困ったな、よくわからん…。

 

 

李にとっては「失敗作」となる「海辺の叙景」は、監督の腕が良かったからまだ見れたということなのか。

実際悪くはなかったけど、日が落ちたら真っ暗で被写体が良く見えないし、見えないけど2人の距離は親密になっていて、それが妙なドキドキを生むけど、それは李が指示した部分なんじゃねえのか。違うか。

 

監督の腕で言えば、何か凄いショットがあったかと言われると正直内容に感じた。

後半の雪景色も特に「おおお~」と思える部分は見当たらなかったし、何せこの夜のシーンも暗くて映えない。

錦鯉を盗んだ家の今に黒猫がいたってさ、わかんねえよ。そこは白猫じゃねえの?

 

しかし、まぁ李の物語として見ていくと、べん造さんに出会ったのは大きな出来事だったよなと。

彼のアドバイスがあって、奇妙な日々を送れたからこそユーモアと人の悲しみがしっかり描かれた時間だった。

だからこの映画は、李が実際にいたと仮定して振り返ると、脚本家・李はスランプから脱することに成功したのではないか、と、映画を見終えた後でもこの映画が身近に感じるテイストになっていたのではないだろうか。

 

・・・というこじつけで解釈したいと思いますw

 

やっぱさ、前々筆が進まなかった李が、最後はニコニコしながら書いてるって、きっと自分がべん造さんと過ごした「日々」を書いたと思うんだよ。

旅をして休んだらいい、と言葉を残して亡くなってしまった教授の言うとおりだったってことだ。

 

しかし教授、まさか双子だなんてずるいわw

佐野史郎の遺影が映った後、佐野史郎が出てくるって、多分誰もが「???」だったと思うよw

これはどういうことだ?時間が遡ったのか?みたいな。

 

 

最後に

すいませんロクな事書いてなくてw

正直ウトウトしてたんですよね、前半。

海辺の叙景がいかにも味気なくて。

そりゃ李も才能ないですって言っちゃいそうなくらい眠かった。

 

でも、河合優美が「泳ごうかな」って一旦瞬間一気に眼が冴えたんですよw

いけませんね、ほんと、いけません。

何で目が覚めたのかはご想像にお任せしますが、男性陣はきっと目が覚めたでしょう。

 

それ以前に、彼女のワンピース姿が、へそ出しルックにひざ上スカートが、夏の湿った風に揺れてまぁセクシーだったんですよ。

海辺の田舎町で出くわしそうな、なんとも言えない「出会い」を体感させてもらいました。

 

李は生き急いでいたのかもしれないですね。

韓国から日本にやってきては苦闘の連続だったんじゃないだろうか。

慣れない場所で慣れない言葉を武器に戦い没頭したものの、限界を感じてしまう。

そんな人にこそ、旅をすることで思いがけない喜びが手に入るのかもしれない。

 

死を予感させる海辺の叙景から比べると、明らかに李の心境の変化が見て取れたのではないでしょうか。

そういう意味では上手に一つにまとめたよなぁ。

 

色々手抜き感満載の感想ではありますが、ごめんなさい監督、俺は夜明けのすべての方が好きです…。

というか、「君の鳥はうたえる」くらいビビッドな青春映画を作ってほしいです、はい。。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10