バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生
2016年はヒーロー同士のガチンコ対決が2連発!!
その第1弾ともいえる世紀の対決が満を持して公開というわけで、アメコミ大好きな私としては今年最初のピークを迎えることになります。
DCコミックとしては今後マーベルのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に対抗すべくジャスティス・リーグの映画化に向けて本格的に動き出したので、是非内容的にも興行的にも満足のいく出来であってほしいと願っております。
あらすじ
クリプトン星から異星人たちの地球での戦いにより、人々は戦いに勝利したスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)を英雄と称える一方で、ニューヨークを木っ端微塵にしてしまう市の破壊力に恐れを持つ人々もいた。
その戦いを間近でみていた、一大企業の社長であり自警団として夜の街を守るバットマンことブルース・ウェイン(ベン・アフレック)もまた彼を敵対視していた。
次第に世論がスーパーマン不要という空気の中、スーパーマンの地球人の仮の姿であり新聞記者でもあるクラーク・ケントは自身の存在にもがき苦しんでいく。
果たして、力では及ばないバットマンはいかにしてスーパーマンと戦うのか。スーパーマンはヒーローとして返り咲くことができるのか。
そして、そんな二人に新たなる脅威が立ちはだかる。
映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』特別映像【HD】2016年3月25日公開
監督・キャスト
監督は前作である「マン・オブ・スティール」に続きザック・スナイダー。
私の勝手な思い込みですけど、紀里谷和明監督ってこの人の真似してるのかなぁ~って。主人公の内面を掘り下げるような作風とか極彩色と影を濃くした映像とか。もちろん雲泥の差ですけどもwww なんかふと思っちゃいました。
というようにこの方の特徴はなんといっても映像のビジュアル。非常にくっきりはっきりとした色や影の強弱を多用することで人物や背景に重みのある映像をこれでもかと見せ付けます。
ホラー映画の鬼才・ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」をリメイクしたドーン・オブ・ザ・デッドで監督デビューした後、100万の大軍をわずか300人で迎え撃ったスパルタ軍の史実を描いた歴史スペクタクル作品「300(スリー・ハンドレッド)」、20世紀のあらゆる歴史的な出来事の裏で暗躍していたヒーローたちが何者かに命を狙われていき、彼らの歴史と葛藤そして謎を追ったヒーローミステリー「ウォッチメン」、精神病院から脱出すべく5人の女たちが現実の世界を空想し抜け出すためのアイテムを手に入れていくファンタジーアクション「エンジェルウォーズ」、
そしてクリストファー・ノーラン製作指揮の下、ついに動き出したDCコミックのジャスティス・リーグに向けた映画プロジェクトの序章となる、スーパーマンの生い立ちから地球での戦いを描いた前作「マン・オブ・スティール」からの続投となります。
この映画クソ長いです!!でも、ヒーローものとしては一線を画したクションサスペンスです。
あらすじは、かつて、〈ウォッチメン〉と呼ばれた者たちが世界の重大事件に関わり、見守ってきていたものの、ある条約により活動禁止になりそれを機に引退するものもいれば水面下で活動してた者もいたりとそれぞれの生活を送っていた。しかし、コメディアンという名で活動していた男が何者かによって殺されたことで何かしらの陰謀があると睨んだ当時の仲間ロールシャッハはすぐさま行動に移る。というもの。
勧善懲悪なヒーロー映画とは違い、アメリカの近代史を皮肉っているかのような設定からヒーロー殺しの謎を追うサスペンス性やヒーロー同士のラブ要素、そしてヒーローが故の葛藤、理想の隙間を揶揄し現実を描いたドラマ性をザック色で作り上げた傑作です。アメリカとウォッチメンを密接にしたことで大国が行ってきた事に警鐘を鳴らしたメッセージも含まれているのではないでしょうか。
前作「マン・オブ・スティール」に引き続きスーパーマン/クラーク・ケントを演じるのはヘンリー・カヴィル。
何度も言います。彼は伊藤英明にしか見えない!誰も同意見な人見かけないんだよなぁ~。まぁいいけど。
彼に関しては、去年公開した「コードネーム U.N.C.L.E.」にて書きましたのでそちらでどうぞ。
そして、今作からバットマン/ブルース・ウェインを演じるのが,ベン・アフレック。
私は彼のミドルネームをいつも尻アゴなんて小ばかにしてますが大好きなバットマンを演じることに敬意を表して今回はやめときますwww
マット・デイモンと親友であることは有名ですが、そのマットと売れるべく手がけたのが、天才的な頭脳を持ちながらトラウマから逃れられない青年と心理学者の交流を描いたヒューマンドラマ「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」。これを共同執筆し、アカデミー賞脚本賞を受賞したことで知名度を上げます。
その後ブルース・ウィリスと共に出演し、小惑星が地球に衝突するのを避けるため選ばれた石油採掘のスペシャリストが宇宙に向かい小惑星の爆破に挑む感動巨編「アルマゲドン」では素質がありながらも若さゆえ自信過剰な主人公の部下を演じ、
第二次世界大戦での真珠湾攻撃を舞台にした主人公たちの恋愛模様と闘いを当時の最先端の技術で描いた「パール・ハーバー」では主演のレイフを好演しました。
しかしその後、出る作品出る作品が大コケしキャリア低迷期に入ります。女関係が悪かったなんて話もありますがww
それでも彼には映画作家としての才能がありました。
弟のケイシー・アフレックを主演に迎え、少女誘拐事件の手助けをすることになった私立探偵がその背景にあるアメリカ社会の闇に直面し苦悩と葛藤していくさまを描いた問題作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」では監督として高く評価され、
続けて挑んだ監督作「ザ・タウン」では地元でもあるボストンを舞台に、家業のように受け継がれる泥棒としての人生から離れるべく、街から抜け出したい男が強盗事件により人質となった女と恋に落ち、街を出ようとするも仲間との絆と彼女の間で揺れる男を本人主演で手がけ、これも高評価に。
そして第3作目として、実際に起きたイランのアメリカ大使館での占拠人質事件で、間一髪逃れた大使館員を国外へ逃げ出すべく、架空のSF映画の製作という嘘をでっちあげ救出するというとんでもない作戦を、緊張感あふれる演出でスリリングに描いたポリティカルサスペンス「アルゴ」で見事アカデミー賞作品賞に輝くという快挙を成し遂げた。
それと平行して俳優業も増えていき、中でも幸せな夫婦の生活が妻の失踪により一変し、夫が妻を殺害した容疑にかけられていくが、その真相に度肝を抜いた後味の悪いデヴィッド・フィンチャー監督の傑作「ゴーン・ガール」でも素で演じてるかのような情けない夫役を見事に演じていました。
個人としては、俳優としてのベンよりも監督としての彼の方が好きですね。どれもおススメです。しかも自分が主演してることでよりいきいきしてる感じがしますし。
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他にも、スーパーマンの宿敵となるレックス・ルーサー役に「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ、ケントの恋人・ロイス役を前作に引き続きエイミー・アダムス、ケントの上司ベリー・ホワイト役にマトリックスシリーズのモーフィアス役でおなじみローレンス・フィッシュバーン、ブルースの執事・アルフレッド役をジェレミー・アイアンズ、ケントの地球での育ての母・マーサを前作同様ダイアン・レインが演じます。
マン・オブ・スティールは見ておくこと必須。
昔からあるスーパーマン像を払拭すべくリブートされ、ここからDCコミックの映画プロジェクトが幕を開けていきます。その前に作られたクリストファーノーラン監督のバットマン三部作はブルースが別の俳優が演じるということもありおそらく無関係なのだと思われます。
地球から遠く離れたクリプトン星。採掘過多による内部爆発により星は木っ端微塵に。その間際に一人の子供が地球へと送られた。地球人の夫婦に育てられた男はクラーク・ケントと名づけられ人間と同じ生活をしていく。
並外れた運動神経と力を人助けに使おうとするも周りの人は恐れをなし、やがて居場所をなくしていく。
父との約束により人前でパワーを使わないと誓った矢先、嵐に巻き込まれた父を、約束した手前助けることができずクラークはひどく傷つく。
そして自分が何のために地球に来たのか探すべくクラークは一人答え探しの旅に出る。
そして正体を知り、自分の力を地球の人々の為に使うと誓ったクラークの前に滅びたはずのクリプトン星から父を殺したゾッド将軍がクラークを取り戻しにやってきたのであった・・・。
序章に相応しく、生い立ちから語られる序盤から 徐々に主人公が経験することで形成され在るべき姿を描き、
終盤のバトルでは、是非ドラゴンボールをもう一度実写でやるならザックスナイダーにやってもらいたいと思えるほどの空中戦を多用し、街を次々と破壊しながら炎をあげる大掛かりな描写、スピードを調節した細かいカット割りでの組み手、圧倒的なスケールの大きさにこれぞスーパーマンと納得のいく仕上がりだと思います。
今作の予告ではスーパーマンとゾッド将軍の戦いを近くで見ていたブルースのスーパーマンに対する鋭い眼差しが見て取れます。他にも予告ではゾッド将軍の遺体が運ばれるシーン、新たなるヒーローたちの姿も映っているので2人が戦うだけの作品にはなってないと思います。
というわけで、ついにDCコミック映画第2章はどんな内容なのか、果たしてどちらが勝つのか!?
ここから感想です!!!
ファンなら興奮!映画としては期待外れ
以下、確信に触れずネタバレします。
正義VS正義の対立
冒頭ブルースの過去から幕を開けた物語は、如何にして彼の正義が生まれたのかを描くものでした。
これは、バットマンシリーズでは散々描かれてきた過去ですが、やけにクローズアップされる母の名前に違和感を感じるかもしれませんが、重要なキーワードとなっているので覚えておくといいと思います。
月日は一気にゾッド将軍とスーパーマンの壮絶バトルまで進みます。
自分が子供の頃見ていたウルトラマンを筆頭としたヒーローものなんて、怪獣がやられようが街が破壊されようが、そこで生じる問題なんて語られることなんか無くて、逆に意識すらしなかったもんでしたが、
今は違う視点を見せてヒーローとしての在り方を問うような部分も見せることで葛藤させることで人物像を深く掘り下げるんですよね。
今作でもブルースの視点から見たスーパーマンとゾッド将軍の戦いがどれだけの被害者を出し尊い命が奪われていったのかを描いていることで、世界を救った神のような存在=スーパーマンを徐々に悪という存在へと観衆に導線を作っていきます。
それを確信的なものにするのが、アフリカのテロ組織に取材に行ったロイスを助けるため現れたスーパーマンの行動でした。この事件後ロイスは引っ掛かりを見せ何か裏があるのでは?と独自に調査していくんですが、
彼女を助けたことで被害を被った村人たちの声が次第に大きくなっていき、ついに世論はスーパーマンに責任をとるような流れへと変わっていきます。
一方のブルースもロシア人グループの不穏な動きを察知し行動していくとたどり着いた先はルーサーの会社でした。
そして、レックスコープのイベントでクラークとブルース、ルーサーが初顔合わせに。
ここから世紀の対決を望む者、仕掛ける者、仕掛けられる者がメトロポリスを舞台に壮絶バトルを繰り広げていくわけですが。
別に見なくてもわかるんですけど、このバットマンとスーパーマン、正義に対する定義が根本的に違いますよね。
スーパーマンてのは、困った人を助ける典型的な正義の味方で、腹が減ったら顔をちぎって差し出すアンパンマンとなんら変わりないんですよ。極端に言えば病気になったら薬を出す医者と一緒か?
でも、バットマンの正義ってのは、てめー俺の街で悪いことすんなら黙ってねーぞコラ、ただじゃおかねえぞ!と夜な夜な目を光らせて悪者から市民を守るっていうもので。これも極端な話悪さをしたら捕まえる警察みたいなもんですかね。
というように対立しやすい構図になってるわけです。
劇中でも親から教わった格言も違うし、何よりお互いの行動に疑問を持っている。
市民は自由な存在なのに脅してどうする?と嘆くクラークに対し、何でもかんでもおたくの新聞、スーパーマン擁護してばっかりじゃん、違う視点で書けねーの?と突っ込むブルース。
極め付けはクラークのいるメトロポリスは富裕層中心の街でゴッサムシティは貧困層中心の街、
など対立の構図をきちんと描いています。
ファン以外は切り捨てかい?
近年のアメコミ映画ブームに加え、バットマン三部作に魂を持って行かれた人たちはきっと詳しい人でない限り、ヒーロー対ヒーローの今作にかなりの期待を寄せているんだと思います。私のその一人なわけですが。
ところが、そんなにわかなファンでさえ置き去りにする説明のなさにガッカリでした。
観に行く人は最低限絶対マン・オブ・スティールは見ておかないとさっぱりわからないです。
一応マーベルでいうとこのアベンジャーズのようなヒーローチーム、ジャスティスリーグへの足がかりになると言われていたのでその辺も小出しにして含ませながらの今作かと思いきや、後半はガッツリそっち方面です。
前半こそ、徐々にスーパーマンとバットマンの対決へと沸点まで上昇し、神と崇められたスーパーマンが市民からどんな裁きを受けるのか、それとも新たな答えを導くのか、なんてのを期待してましたがとんでもない!
中盤とある事件をきっかけに急に前半の話は忘れ去られます。
観終わった後真っ先に思ったのは被害者たちの気持ちはどこへいった!?でしたから。
最後にサプライズが待っているわけですがそれで片付けてもカタルシスなんか生まれねーぞ!!と若干怒り気味で退場したくらい。
後はどの人物にも感情移入できないし、導線作ったまま結びつかないのが多々あったし。全てが続編のために説明もなく中途半端になっている。せっかくノーラン製作総指揮なんだからうまくまとめろよ!
クリプトナイトもにわかファンは理解できていないと思います。
説明するとすればあれは、スーパーマンの故郷クリプトン星の鉱物なんですが、地球で育った彼にとってはクリプトン星のものは逆に体に合わず本来の力を発揮することができないもので、
アイテムとしては過去作品でもさんざんルーサーが使ってスーパーマンを懲らしめていた有名なものです。
今回はそれをインド洋で宇宙船の残骸から見つけ、ゾッド将軍の死体で研究したところ、細胞に変化が生じたことでルーサーは神だと奉られてるスーパーマンが何かした時の抑止力になると考え、陰謀を企てていく流れになっています。
他にも、メタヒューマンというファイルから出てくる謎の人物。別にあれ見せなくてもよかったよなー。最後の人物まではわかりませんが、フラッシュとアクアマンは出てきてましたね。アレも続編のためだけに入れたシーンであって、あそこはもっとワンダーウーマンに時間を割くべきところだと思います。
そう、そのワンダーウーマンの説明が一番無いです。こそこそブルースの周りを嗅ぎ回っては、危ない場面でいきなり登場。で、スゲーパワーの持ち主。そりゃあバットマンもスーパーマンもお前の仲間か?なんて見つめ合っちゃいますよww
そんなファン以外置き去りにしていく今作は映画としては全く成立しないものでした。