ガール・オン・ザ・トレイン
さて今回は、あの胸クソ悪いのにめちゃめちゃおもろかった「ゴーン・ガール」の再来!
ラストの展開に激震!
などと宣伝されているサスペンス映画です。
全米では1位を取るなどしてヒットしていますが、日本では公開スクリーン少ないですねぇ。
なんせタイトルがダサい・・・。
エミリーはガールって年じゃねぇ!!
そんな文句をたらしながら早速見てまいりました。
あらすじ
愛する夫と離婚し、傷心の日々を送るレイチェル(エミリー・ブラント)。落ち込む彼女の唯一の慰めは、通勤電車の窓から見える“理想の夫婦”だった。幸せそうな二人は、かつてレイチェルが夫のトム(ジャスティン・セロー)と暮していた家の近くに住んでいた。トムは今その家で、妻のアナ(レベッカ・ファーガソン)と生まれたばかりの娘と新しい人生を始めている。
ある朝、レイチェルはいつもの車窓から衝撃的な場面を目撃する。それは、“理想の妻”の不倫現場だった。翌日、レイチェルは夫婦の様子が気になり、確認するべく駅を降りる。しかし、彼らの家へ向かったところから記憶がなくなり、気が付けば自分の部屋で大けがをして倒れていた。まもなく“理想の妻”は、死体で発見される。
なぜか周囲から疑惑の目を向けられるレイチェル。どうやら、あの日の“空白の時間”に原因があるらしい。レイチェルが記憶を取り戻そうとすると、関わる人々の思いがけない秘密が明かされていく──。(HPより抜粋)
監督・キャスト
このベストセラー小説を映像化したのは、テイト・テイラー。
名前を聞いてもピンときませんでしたが、調べてみると「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」の監督を務めたということで、この人だったか!と。
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この原作を書いたキャスリン・ストケットと古い友人とうこともあり、映画化権を彼に渡していた経緯から、テイラーが脚本と監督、製作総指揮を担ったようです。
人種差別が根強く残っていた1960年代のアメリカ南部を舞台にしたヒューマンストーリーで、作家志望の若い白人女性とメイドとして働く黒人女性たちとの友情の軌跡、そして彼女たちの勇気ある行動を綴った物語です。
まだブレイクしたてのエマ・ストーンや、お高くとまった白人婦人役のブライス・ダラス・ハワード、ちょっと浮いている存在のジェシカ・チャスティンや、この物語の肝である黒人メイド役のヴィオラ・ディヴィスとキャストも豪華でどの女優も会心の演技です。
個人的にお気に入りのシーンはハワード演じるヒリーに、メイドのミニーが頭にきてアレをまぜたパイを食べさせるというシーン。ここは爆笑しましたね。ざまあみろ!と心でつぶやきましたよ。
当時黒人はトイレも別にされてたんなてこの映画で初めて知りました。とはいっても全然重苦しくなく明るいコメディ調に作られているので、全般的に楽しく、クライマックスは涙なしでは見られない作品だと思います。
監督はこの映画で名を上げ、今回4作目の作品になるようです。
心理ミステリーとあって、どんな描写を施すのか楽しみですね。
主演のレイチェルを演じるのはエミリー・ブラント。
「プラダを着た悪魔」ではアン・ハサウェイの影で存在感を発揮し、「LOOPER/ルーパー」では、特殊能力を持つ子供を守るためパワフルで妖艶な母ちゃんを演じ、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」では肉体改造し孤高のヒロインに、はたまた「イントゥ・ザ・ウッズ」では美声まで披露と、多ジャンルで才能を開花させる女優さんであります。
近年では、麻薬組織に立ち向かう捜査官が正義の境界線に葛藤する「ボーダーライン」で心の内面をうまく表現した演技を見せていたと思います。
今回、彼女は夫と離婚したことで電車の窓から理想の夫婦を眺めては現実逃避し、あれよあれよで事件に巻き込まれていくという、最近演じた役柄とは対となる精神的に弱い女性という役どころなわけですが。このおっきな瞳でどんな表情をしてくれるのか楽しみですね。
彼女に関してはこちらもどうぞ。
共演者は他に、レイチェルの前夫・トム役を「アイアンマン2」の脚本や「ズーランダー」「マイアミ・バイス」などに出演していたジャスティン・セロー、
レイチェルが車窓から覗いていた❝理想の夫婦❞の妻・メガン役を、来年公開である「荒野の七人」のリメイク作「マグニフィセント・セブン」や、超人的身体能力の男の視点で描かれ話題となったFPS的アクション映画で、個人的にも非常に楽しみな作品「ハードコア」に出演するヘイリー・ベネット、
スコット役に「ドラキュラZERO」や来年公開予定の「美女と野獣」に出演するルーク・エバンス、
前夫・トムの現在の妻アナ役を、「ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション」でその美しいスタイルでトムや観客を魅了したレベッカ・ファーガソン、
カマル役を「X-ミッション」でのアクロバティックなアクションを見せてくれたエドガー・ラミレスが演じます。
いろいろとワケありそうな主人公はじめ登場する女性たちの秘密とは一体何なのか、なくした記憶を求めたどりついた衝撃のラストとは!?
ここから鑑賞後の感想です!!!
酔って記憶をなくす方は必見の、ちょっとビターなミステリー。
以下、核心に触れずネタバレします。
難しい推理劇ではない。
まずは率直な感想を。
不倫現場をのぞいちゃったアル中女。
その不倫していた女がいなくなっちゃった!
現場に行ったがその後の記憶がない!
真相を探ろうと首を突っ込んだのが悪かった!
あれよあれよと周りの人に迷惑をかけ大ピンチ!
どうなるアル中女!
ざっくりこんな感じでありましたが、これが意外と面白かった!
アタシに未来なんてないわ、いっそあの夫婦を眺めて妄想に浸って人生を送ろう…と絶盤感MAXに加え、アル中によって記憶喪失という設定が、ネタ枯れしつつあるミステリー映画に新たなパターンを生み出した良作でありました。
そんなメンタルの弱い女がなくした記憶を取り戻し、本当の自分を取り戻す物語でもありました。
そして、恋愛、結婚、出産、不倫、DV、といったF1層狙いのテレビドラマのような、ドロドロな展開じゃないこれ⁉︎になっていくような要素を散らばせたかと思いきや、蓋を開けてみればフェミニズムなお話になっていたではないか!
男でもこんなに食い入るように観ちゃうとは予想だにしてませんでしたね。
各駅停車並みのペース。
もういきなりどよ〜ん…とした空気から始まり、どよ〜んという空気で終わる。
緩急をつけるような演出はなく、真実がわかってきた時も、うお〜っ衝撃!!とはならない。
ラストはそういう意味でない衝撃はありましたけども。
映画のタイトルに結びつけるならば、急行でも準急でもなく各駅停車ペースの物語でありました。
それじゃあミステリーとして退屈じゃない?
いやいや、これがまた入り口からどんどんのめり込めるような運びになっていて。
本編開始ギリギリまで場内の暖房にやられ、ウトウトしかけた私でしたが、冒頭からレイチェル、メガン、アナと3人の女が順番ずつエピソードが語られ、それぞれが抱える問題を明確にし、そこから初めて話が進んでいく。
これがいい具合に切り替わることでゆっくり話が進むんだけど、決してダレることなく、場内の暖房による睡魔に襲われることなく見ることができました。
でもここでつまづいたら、あとはつまんなく感じてしまうかも。
その後もレイチェルがアル中によって、やらかしてしまった過去の失態の数々が要所要所に入ることで、失踪事件のお手伝いが超余計なお世話と化していくあたりなんか、これはもう手に負えにゃ〜い!
レイチェルいたぁ〜い!踏んだり蹴ったり!ってなってきて。
しかもここら辺は回想シーンや 過去のエピソード、現在を心地いいペースで、しかも新しい展開がポンポン放り込まれてくるから非常に観やすい。
そして記憶の断片を少しずつ紐解くこと、これがレイチェルがレイチェルであることを意味していき事件は核心へと向かっていくんです。
エミリーブラントらが見事。
初っ端からエミリーブラントの顔色が青白くて老けたなぁとか思っちゃったんですが、気がついたら鼻の上が赤い!あれなんかチューチュー吸って飲んでる。あ、お酒だw
とにかく飲んで暴れて日中だる〜いなレイチェルを好演しておりました。
手の震えとか些細な部分で禁断症状を表し、泣きじゃくったり怒ったりと情緒不安定な部分を観衆に見せつけることで心理的に訴えてく演技、見事でしたね。
メガンを演じたヘイリーベネットもエミリーブラント同様、ある問題を抱えながら生活している女性を体をはって演じていました。
どことなく顔がジェニファーローレンスみたいで、色っぽく艶っぽくて。
アナ演じたレベッカファーガソンも、ミッションインポッシブルとは違った一面が観れた気がします。
最初髪の色が違うからわからんかったしね。
彼女もまた他の2人まではいきませんが、ナーバスになっている表情を随所に見せたことでアクションだけじゃない所を覗けた気がします。
3人の女たちが抱える問題。
ちょっと突っ込んだ部分になるのでご注意を。
レイチェルはなぜ電車で窓の外を覗きながら物思いにふけているのか。それは自身が蒔いた種により、幸せだった結婚生活を終わらせてしまったことでした。
トムと家庭を築いていこうと子作りに励んでいたレイチェル。
なかなか子宝に恵まれず人工授精まで試みたものの結果は失敗に。
これ以上続けたらお金も尽きてしまう、でも子供が欲しい。
そんなジレンマによってレイチェルは酒に溺れていきます。
酩酊状態の時のレイチェルは良き朝起きると、その時の記憶がありませんでした。
翌日トムから話を聞いてみれば、トムが務める会社のボスのホームパーティで、ボスの奥さんの手料理に文句をつけては壁に投げつけ、それがきっかけでトムは会社をクビになったり、
夜な夜なゴルフのクラブを振り回し、家をめちゃくちゃにしたりととんでもないことを繰り返していました。
しかもトムは浮気もしていました。
トムのパソコンから浮気相手とのいくつものメールのやりとりを見つけてしまい、結果離婚。
レイチェルはその後もアルコールに溺れ、トムはその女性と新しい家庭を築いていきます。
その女性かアナでした。
アナはレイチェルとトムが住んでいた家に住み、子宝に恵まれ幸せな生活を送っていました。
しかし、1つの問題を抱えていました。
それはレイチェルのことでした。
レイチェルは一度アナの子供を誘拐未遂していました。
それからというものレイチェルに対し不安感を募らせる日々を送ります。
確証はないものの複数の無言電話に悩まされ、レイチェルの仕業と決めつけたり、トムに執拗に連絡してくるレイチェルを恐ろしく感じていました。
そんなアナにとって安らぎを与えてくれるのがベビーシッターをしてくれたメガンです。
メガンはトムとアナの家の2軒隣に住む夫婦の奥さんです。
彼女もまた問題に悩まされていました。
それは夫に対しての不満と、過去の職業からくる依存性、そして事故。
精神科医に相談しても中々良好にはならなかったが、ひとつの希望が生まれます。
だがそれは悲劇始まりでもありました。
そのメガン夫婦を車窓から“理想の夫婦”として覗き見、そして不倫現場を目撃したのがレイチェルというように繋がっていきます。
遠いようで近しい存在の3人の女が事件に巻き込まれ、真実を知った時、彼女たちはどんな行動をとるのか、クライマックスを目に焼き付けて下さい。
というわけで、ギリギリ核心につかないよう書いてみました。
まあアル中じゃなけりゃ話は簡単に済むんですけど、それじゃあ話にならないじゃないwと野暮なことは考えずに、作品に身を寄せてどっぷりミステリーに浸っていただければと思います。
最後はスッキリとまではいきませんが、余韻の残るラストです。カップルで見に行くなら男性は心して見るように!ゴーンガールだって言われてることに納得する、かも。
というわけで以上!あざっした!