土竜の唄 香港狂騒曲
完結編はこちら。
前作「土竜の唄」は正直面白いとは思わなかった。でも関ジャニ∞の主題歌は好き。だが、久々の三池監督作品の続編ということは、なんだかんだで人気がよく、興行収入オッケー、キャスティングオッケー、企画オッケーてな具合で公開までいたったのだろうと。
とりあえずクドカンが引き続き脚本というのが最大の要因ですかね。おっしゃあ!!見届けてやるぜ!と、鼻息荒くしながら観てまいりました。
作品紹介
現在も「ビックコミックスピリッツ」で連載され、累計発行部数680万部を突破する大人気コミック「土竜の唄」。
そんな超人気漫画を、人気俳優×人気監督×人気脚本家が揃い、もういいかげんにしたら?と感じながらも、テレビ局が製作に名を連ねたことで、推しに推した宣伝が功を奏しできた作品「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」が大ヒット。
おバカでどスケベで童貞だけど正義感の強い警察官が、ヤクザの組長を逮捕すべく、犯罪組織に潜入捜査=モグラになり悪を撲滅していく痛快バイオレンスコメディの続編です。
あらすじ
交番勤務のダメ巡査、菊川玲二(生田斗真)は、ある日突然クビになり超キケンな犯罪組織への潜入捜査官すなわち“モグラ”になることを任命され、広域指定暴力団・数奇矢会に潜りこんだ。
何度も死にかけながらも、間にちゃっかり童貞を卒業、ケーサツである身分もなんとかバレずに生き抜いた玲二。
最終ターゲットである数奇矢会会長・轟周宝(岩城晃一)は挙げられなかったものの、“クレイジーパピヨン”こと日浦匡也(堤真一)に気に入られ、兄弟の契りを交わしてしまった玲二は、極道の世界に深く潜っていくハメに・・・
それから、
警視庁組織犯罪対策部のエースとして正義感溢れるエリート警官・兜真矢(瑛太)が就任。警察官とヤクザの癒着の撲滅を目指す兜にとって数奇矢会とつながる玲二は許せない存在だった。
その頃、玲二は轟周宝からビッグミッションが!それは、極悪非道のチャイニーズマフィア・仙骨竜(古田新太)を叩きのめすこと。そして、轟周宝と、その娘にして奇跡の処女・轟迦蓮(本田翼)のボディーガードになることだった!
まさかの任務を与えられた玲二警察の中から海の外からかつてない危機が次々と襲いかかる!
そしてその裏では、日本中をも巻き込むような巨大な陰謀が動き始めていた。
“本気”と書いて“マジ”と読む男の新たなる潜入伝説が幕を開ける――!(HPより抜粋)
監督
監督は前作「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」に引き続き三池崇史。
この方に関しては今年公開した映画「テラフォーマーズ」にて言及していますのでよかったらそちらをどうぞ。
監督の待機作として、来年GWには木村拓哉主演の時代劇「無限の住人」が、そして夏には「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第1章」が公開予定です。どっちも問題作になるでしょうねおそらく。個人的にはキムタク時代劇は楽しみなんですよ、うん。原作読んでないけどね。
キャスト
主演の潜入捜査官ことモグラ・菊川怜二を演じるのは前作に引き続き生田斗真。
こちらに関してもですね、今年公開した映画「秘密 THE TOP SECRET」にて言及しておりますので、よろしければどうぞ。決して手抜きじゃぁございやせんよw
彼も待機作が目白押し。
まず来年2月には「かもめ食堂」の萩上直子監督最新作「彼らが本気で編むときは」でトランスジェンダーの役という難役に挑戦、秋にはショートカットになったことで話題になった広瀬すずと共演、生徒と教師の学園ラブストーリー「先生!」で教師役として演じる予定です。
ちゃんと紹介するか・・・。玲二を疑うエリート刑事・兜真矢役には瑛太。
昔に比べるとふっくらしましたよね。おそらく結婚してからか。「まほろ駅前多田狂騒曲」の時のベッドシーンのメタボ腹はひどかったもんなぁ。最近は大きな役柄やヒット作に出演という目立ったモノはありませんでしたが、「殿、利息でござる!」で準主役として出演してました。あ、「ロクヨン」も出てたか。見てないや。
モデルから俳優業へ転身した彼の主な代表作として、クーラーのリモコンを取り戻しに昨日にタイムトラベル、それが原因でめんどくさいことになっていくSF青春コメディ「サマータイムマシンブルース」で初主演。
その後、本屋を襲って広辞苑を奪うという隣人の奇妙な計画に巻き込まれた青年が、その真意を知るまでの顛末をユーモアも交えトリッキーにかつハートフルに描いた「アヒルと鴨のコインロッカー」ではおかしな隣人を演じ、
2009年には、小さな村で住民から信頼されていた医者が行方をくらましたことで巻き起こる騒動を描いた「ディア・ドクター」に研修医の役として出演、出演作品が重なったこともあり、その年の賞レースに軒並み名を連ねる快挙を成し遂げ、俳優として飛躍の年となりました。
べぇ師匠はいい意味でほんとずるいわ。
待機作として、プロレス団体を陰で支える女と、その女に養ってもらっている売れない俳優2人を中心に、光に当たらない人たちがもがく様を描いた「リングサイド・ストーリー」が来年春に、三浦しをんの小説を「まほろ駅前多田便利軒」の大森立嗣が監督する「光」が来援秋に公開予定とのこと。
あとはざっくりいきます!
上段左上から。玲二が惚れた女・若木純奈役は中尾明慶の嫁!仲里依紗、玲二と義兄弟のクレイジーパピヨン・日浦匡也役は、来年正月公開の「本能寺ホテル」が控える堤真一、日浦の男気に惚れた全身ヒョウ柄ヒットマン・黒河剣太役は、もう紳助パワーは残ってません!上地雄輔。
そして今作から登場する新キャラは下段左から。一見清純そうだが中身はじゃじゃ馬・轟周宝の娘にして奇跡の処女・轟迦漣役に、こいつは何でブレイクしたんだ?本田翼、キレレと手が付けられない暴走モモンガ・桜罵百治役には、劇団新幹線の顔!古田新太、チャイニーズマフィア・仙骨竜のヒットガール・胡蜂役には、もう悪役以外の役をやれ!菜々緒が出演します。
原作でも人気と謳われる「チャイニーズマフィア編」を実写続編として描く今作。香港を舞台としながらも実は全部日本で撮影されるという、まさかの予算削減にバッチコーイ!!とはいえない展開に、次回続編やるなら「君の名は。」で稼いだお金を回してもらってくださいwwと願うばかりです。そもそもコレ当たんないと無いか続編w
はい!というわけでどこまでハイテンションな映画に仕上がっているのか?クドカンの笑いを監督はちゃんと映像に収められたのか?
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
はっきり言おう、つまらない!と。
監督の手抜きっぷりが半端ない駄作でした。
以下、核心に触れずネタバレします。
今年は監督の前作「テラフォーマーズ」がワースト級につまらなく、今年の最下位争いをしている作品だったわけですが、それに匹敵するほど面白くない、笑えない作品でした。
笑えない、ということに対しては個人差があるので、正確に言えば、私に合わなかった、というのが正しいでしょうか。会場では怒号が響くような笑いはありませんでしたが、各方面でフフフッとこぼれる程度だったので、私と同じような笑えない感覚になった人は少なくないのかな、と。
とにかく会話での状況説明、カメラ固定で役者任せの芝居。テンポの悪い流れ、盛り上げる気のない構成、などなど挙げればキリがない。
せっかくクドカンが書いた脚本なのにこんなにテンポが悪いと、ここまで笑えないのか、と。この人の笑いは畳みかけてナンボみたいな、勢いあってこその笑いが強みだったりするんだけど、監督は完全に笑いを殺している。
なぜ流れを壊してまで、顔をドアップ、カメラ固定で長々と一部始終説明させてしまうんだろう。しかもくどい。
例えば、モモンガと戦っている怜二の前にヒットガールの菜々緒が現れ、せっかくボルテージが上がったのに、彼女の過去の話が始まる。彼女も犠牲者だった、という流れの話なわけだけど、さらっと一言で済ませればいいのに、急に紙芝居調の回想シーンが始まり延々と続く。元に戻ると、モモンガは別の立ち位置に変わっており、さっきまでのバトルの雰囲気などどこにもない。
こんなのがあちこちであるんだから、気持ちがノるわけがない。
他にも、事務所がらみでキャスティングされたグラビアアイドルがちょっとでも映るように、どうでもいい件を思いっきり間を取ってバトルの勢いを遮ったり、怜二と迦蓮の車中のシーンでも、抱く抱かないの気持ちのせめぎあいが繰り広げるわけですが、急に怜二の妄想で純奈が登場し葛藤を始める部分など、とにかくいらないシーンがてんこ盛り。
すごく長く感じた上映時間でありました。
そんな流れの悪さに拍車をかけるように話の合間合間に入れてくる下ネタ。素っ裸で股間にモノがぶつかったり、おっ勃つときに効果音として流れるリコーダーの間抜けな音色はまだいい。小学生でも笑える下ネタだからほのぼのとしていて、ここはつい笑ってしまったわけだが、物語で扱っている題材に人身売買が絡んでくるのはどうなんだろう。しかも組長の娘を拉致しレイプしようとする件や、無駄にパンチラの多いショットも重なり、いかにも女性軽視な考えを持つ人の撮り方というか話というか。しかも女優がキレイに見えない撮り方。同じ系統で大根仁もそれにあたるけど、あの人は自分の撮りたいショットをわかってる分全然マシ。
菊川怜二は童貞でスケベでバカだけど、その熱いまっすぐな正義感があるから好感が持てた。潜入捜査にもかかわらず、命を張って仕事している男が死ぬ前に純奈を抱きたいと、と懇願するシーンといった青春の要素が盛り込まれていたから前作は楽しめたのだが、今作は完全に暴力団組織の裏側をブラックに描いてるのでなく、どの世代でも楽しめるような明るいタッチで描いてる分タチが悪い。
番宣で生田斗真が「子供でも楽しめる」なんていってたけど私が親ならこれは子供には見せたくない。まだ層を絞って歌舞伎町を守る男たちを描いた「新宿スワン」の方が楽しめる。
キャラに関してもイマイチだ。
今回は前作にもまして怜二演じた生田斗真の体を張った演技と顔のリアクションで押し切ったような作品でした。たしかにクドカン作品ドラマだったり、イケメンパラダイスなんかでもその3枚目ぶりはお墨付きなわけだけど、終始うわあああぁぁぁ!!!とかいやああああぁぁぁ!!!とかぎゃあああぁぁぁぁ!!!のオンパレードで疲れてしまう。そしてシリアスにきめたのに、監督のせいでギャグになってしまう締まりのない終わり方。ん?これはキャラに文句でなく監督に文句だな。
轟組長の娘が人質にとられ、組長引退を迫られる父・轟周宝は、結果自分の身を守る。やはりとんでもない悪なのだから非道な考えだというのはわかるが、その非道な演出が弱い。言葉で片づけているのだから重みのあるセリフにしてほしかったが説得力が感じられない。で、肝心のこの部分を怜二は聞いていない。彼が聞けば益々あいつを野放しにできない!と闘志を燃やす、みたいな流れが作れるわけなんだけど。
しかも娘のへその緒を食べるという気味の悪い演出付き。親子の縁を断つという意味合いと捉えたわけですが、ほかの演出はなかったのか。ぐっと唇を噛むとかこぶしを握るとか苦渋の決断をする男の表情だけで十分じゃないか?
兜もダークサイドに墜ちた正義を持ち、怜二と対峙するわけですが、いかんせんここも言葉で状況やら過去の説明をするもんだから気持ちが入らない。
潜入捜査官に警察官だった父を殺されたということで怜二を憎むわけですが、ん?じゃあ警察を憎むべくヤクザの道にいけべいいんじゃね?と。これに関してはもう映画にぐったりモードだったため、ちゃんと説明してたのかもしれませんが思い出せない・・・。これも監督の手抜きと余計なギャグのせいだ!!
ちょっと愚痴というか悪いことばっかりだったので、どこかほめる部分を。
男性陣なら迦蓮演じた本田翼が車中で怜二にまたがり素股をするというシーンは必見です。もちろん服の上からですけど。ただここ腹立つのが、一回こすったら怜二の顔、そしてもう一回こすったら怜二の顔と、寸止めもいいとこです。そこは助手席からのカメラ固定で会話を挟みながらでいいでしょう!!そのほうがエロいってもんでしょうw相変わらずわかってねぇなぁ。
他には、兜演じた瑛太の悪い顔が貫禄が出ていてよかったですね~。目が細い上にちょっと太ったから、悪い顔が似合う男になったなぁと。
仲里依紗は今回出番少なめ。もう彼女はヒロインとしての魅力は結婚したせいか無くなっちゃいましたね。顔もちょっと老けた。今回ドアップで映るので余計感じてしまった。あ~またけなしてしまった。
最後に
これで楽しい、笑えるという人の意見もわかります。そういう気分にさせるように作ったわけですから。でもやり方によってはもっと面白くできたはず。
予算も少ない時間も少ない中で、やれることをやる監督の志は買いますが、この完成度で世に放つのはほんと勘弁してほしい。
今年の三池映画は非常に残念でした。来年の無限の住人、ジョジョの奇妙な冒険が怖いなぁ。案外こっちの準備に時間を割いたのかなぁ。
きっと続編はないでしょう。おまけ映像もなかったし。
これはさすがに次は見ないです。見るとしてもテレビで十分。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆★★★★★★★★2/10