ファウンダー/ハンバーガー帝国のヒミツ
小さい子からおじいちゃんおばあちゃんまで、誰もが気軽に入ることができ、誰もがその味に満足する、世界的ハンバーガーチェーン・マクドナルド。
その誰からも愛されるようになるまでには、ある一人の男のビジネス戦略があったからだそうなんですが、どうやら色々あったようで、というお話。
私もう何年も食べてませんが、無性にマックポテトだけは食べたくなります。
ピロリ♪ピロリ♪
あれどうやら塩抜きでたのめるらしいですね。
揚げたては一度頼んだことあるんですけど。
とにかくこれを見た後マックに駆け込むことでしょうw
というわけで早速鑑賞してまいりました。
作品情報
日本国内でも多くの企業家達に多大な影響を与え続けている男、レイ・クロック。
ハンバーガー店を営んでいる兄弟が編み出した革新的システムにビジネスチャンスを見出し、資本主義社会や競争社会の中で野心をむき出しにし、手段を選ばぬやり方でアメリカン・ドリームを掴もうとしていく様を映す。
誰もが知ってるハンバーガー店は一体どのようにして巨大企業へと成長したのか。その誕生のウラと、男の情熱たる思いに隠された果てしない欲望の物語です。

成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)
- 作者: レイ・A.クロック,ロバートアンダーソン,野地秩嘉,孫正義,柳井正,Ray Albert Kroc,Robert Anderson,野崎稚恵
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2007/01/01
- メディア: 単行本
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あらすじ
1954年アメリカ。
52歳のレイ・クロック(マイケル・キートン)は、シェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回っていた。
ある日、ドライブインレストランから8台ものオーダーが入る。どんな店なのか興味を抱き向かうと、そこにはディック(ニック・オファーマン)&マック(ジョン・キャロル・リンチ)兄弟が経営するハンバーガー店<マクドナルド>があった。
合理的な流れ作業の“スピード・サービス・システム”や、コスト削減・高品質という革新的なコンセプトに勝機を見出したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつき、兄弟を説得し、契約を交わす。
次々にフランチャイズ化を成功させていくが、利益を追求するレイと、兄弟との関係は急速に悪化。
やがてレイは、自分だけのハンバーガー帝国を創るために、兄弟との全面対決へと突き進んでいくーー。(HPより抜粋)
監督
監督はジョン・リー・ハンコック。
名前までは知りませんでしたが、調べてみると作品は何作か鑑賞していて、一番最近で言うと「ウォルト・ディズニーの約束」なんてのがありましたね。
世界的ベストセラーである「メリー・ポピンズ」を何とか映画にしたいと情熱を燃やすウォルト・ディズニーが、頑固な原作者から許可を得るまでの悪戦苦闘ぶりを描いたヒューマンドラマで。
まぁ邦題と中身が全然違うというよくあるパターンではありますが、原作者が作り出した作品の真の意図を理解してもらえない苦悩という視点と、その意図を理解しようと模索するウォルトの奮闘振りを、面白く見せてくれる作品でありました。
監督は他にも、過酷な少年時代を過ごしながらも、ある家族との出会いによって才能ウを開花させ、ドラフト1巡目でNFLデビューした選手の感動実話を映画化した「しあわせの隠れ場所」、35歳にしてメジャーリーガーデビューした男の波乱の人生を描いた「オールド・ルーキー」など、実話を基にした感動のヒューマンドラマを得意とする監督さんであります。
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キャスト
主人公レイ・クロックを演じるのはマイケル・キートン。
このキャスティング、非常にぴったりだと思います。
この人の目ね、良い目にも見えるし、悪いこと考えてそうな目にも見えるw。
一体どんなパフォーマンスをしてくれるのか楽しみであります。
ここ最近は、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で賞レースを総ナメし、「スポットライト 世紀のスクープ」では、班をまとめる記者としていぶし銀の活躍を見せていました。
やはりバードマンでオスカーを獲れなかったせいか、今作は賞を意識しての製作や公開だったんだと思いますが、見事に空振りしましたね・・・。
でもまぁ、ここまで評価されたんだから遅かれ早かれオスカーを獲るのは時間の問題だとは思いますけどね。あとはタイミングでしょう!
そんなマイケルですが、かつてはバットマンとして、そしてバードマンとして映画界をにぎわせましたが、次回作はなんと悪役!「スパイダーマン・ホームカミング」でバルチャーというスパイディーとアイアンマンを憎む男を演じます。しかも空を飛びます!何たる偶然!!
彼の過去作はこちら。
こっちでも悪役をやってますw。
他のキャストはこんな感じ。
クロックと対決することになるマクドナルド兄弟の弟ディック役に、ニック・オファーマン。
その兄マック役に、「ファーゴ」で注目を浴びてから、数々の映画に出演しているジョン・・キャロル・リンチ。
クロックの妻。レセル役に「ジュラシック・パーク」や「アイ・アム・サム」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のローラ・ダーンなどが出演します。
果たしてこの男は英雄なのか、怪物なのか。
ヒューマンドラマを得意とする監督がどんな作品に仕上げ、ベテラン俳優がどんな熟練された演技を見せてくれるのか。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
成功するには犠牲はつきものなのか?
アメリカンドリームの光と影が詰まった、成り上がりストーリー!
以下、核心に触れずネタバレします。
こうでもしないと成功ってつかめないの?
52歳セールスマン。
周りの同年代は余生を過ごすべくゴルフとディナーを満喫する中、大きなシェイクミキサーを担いで、過程を顧みずひたすら商売。
成功するには根気が一番大事と、啓発トークの入ったレコードを擦り減るほど毎日聞いて頑張ってきた彼に、一筋の光が差し込んでくる。
それは画期的なスピードシステムを開発したハンバーガーショップだった。
辺りにはハンバーガーをほおばりながら笑顔になる大人や子供たち。
注文すれば30秒で出来上がり、味もしっかりしていておいしいと来たもんだ。
そんな店に一瞬にして虜になったセールスマンが、店の経営者を口説きに口説きフランチャイズに成功。
順風満帆にことは進んでいくはずだったが、彼の前に借金と破ることのできない契約、そしてシステムを生み出した経営者の首を縦に振らない頑固な性格が立ちはだかる。
事実を基に作られた話って、映画を見るときよく目にするかと思います。
そういう作品って大抵美談だったり、隠された真実が日の目を浴びないことに悔しかったりすることがあって非常に好きなパターンではありますが、今作は何とも言い難い気持ちになる作品でした。
キレイごとだけじゃ成り上がることはできないことなんてわかってはいるものの、ここまで汚い手を使ってでも、惚れたものを手にして自分のものにして事業を展開していく様をみると、やはり腹が立つし苛立つし、通り越して笑うしかない。
呆れてモノも言えないくらい、レイ・クロックという男には近づきたくないし、加えて近寄りがたい。
今作のキャッチコピー通り怪物でしたよ。
こんな奴が開発者から乗っ取って世界的にチェーン展開していたということに、どうしても開発者であるマクドナルド兄弟に肩入れしてしまう反面、ヤベェ今日金ないな・・・とか、ランチどうしよう手堅くいくかとか、子供や孫をどこに連れていけば満足してくれるかとか、何を食すかという選択をするときに、浮かび上がってしまうほど、我々の生活には欠かせない存在にまでなっているマクドナルドへの思いは深いものがあるわけで、彼がいなければ今日のマクドナルドは実現しなかったのですから何とも言えなくなります。
しかも創業者って意味のファウンダーをタイトルに着けるのがまた皮肉で、ほんとなら「ファウンダー?」が正しいんじゃないの?と思ってしまうほどレイ・クロックは何かを生み出したわけでもなく、自分自身で道を切り開いたわけでもなく、アイディアを出したわけでもない。
でも彼の人を寄せ付ける力だったり、何が何でも成し遂げようとする根気は本物で、それが実を結ぶわけですから、どこぞのアイドルがいつも言う「努力は必ず報われる」って言葉は伊達じゃないです、ほんとに。
つかみが最高!
レイ・クロックという人物に対して好感触はありませんでしたが、映画的にはどうかというと非常に面白くできていると感じました。
とにかくオープニングから、彼がフランチャイズ化を提案するまでの流れが非常に楽しくできているんです。
既に我々はハンバーガーショップに行けば、注文すればすぐ商品が出てくるということが当たり前という固定概念があります。
まずはそれを取っ払わなければいけないと考えたのでしょう、監督は。
だからいかに1954年当時のハンバーガーショップが、不潔で、不良のたまり場で、ローラースケートを履いたウェイトレスが車までメニューを運んで、しかもそれが全然違うメニューで、それでいて注文してからかなり待たされるっていう状況を、クロックが訪問販売しながらサラッと説明してくれるんですね。
もうこれを見てしまうと、我々からしたらハンバーガー行きたくなくなるって思ってしまうほど劣悪な環境であることが分かります。
ちょっとおしゃれなカフェに行くと、普段のハンバーガーショップとは断然違う大きさで、より一層おいしいハンバーガーが食べられたりしますが、マクドナルドをはじめとするファーストフードは紙に包まれた状態で渡されるのが普通。
これも当時はトレーにフォークとナイフがついていて、それでハンバーガーを食べていたんですね~。
こうした当時の状況を見せることで、いかにマクドナルド兄弟が構築したスピードサービスシステムが優れていて凄いかわかるように映画が構成されてるんですね~。
そこから、どうやってこのシステムを発明したのか、その経緯を兄弟がクロックに話すのですが、これも兄弟の性格が読み取れるし、それまでの過程がワクワクするような流れになっていました。
兄のマックは、どちらかというと夢想家であることがわかります。
映画会社で働きたくて会社の運転手として働き、後に事業を立ち上げますが、世界恐慌で会社は倒産。
たまたま近くのホットドッグ屋が評判だからということで飲食業に着目。
とにかく事業で成功したいという思いが感じられます。
しかし、思いだけでは物事はうまくいかない、
その手助けをするのが弟のディックでした。
彼は兄とは真逆の石橋を叩いて渡るタイプで、アイディアマンで、こうでなければいけないという頑固者でもありました。
そんな弟の斬新なアイディアを見せるシーンが、厨房の導線をどう設計していくかといいうのを、テニスコートに書いて、実際にスタッフに料理することを想定してシミュレーションしていくシーンでした。
何度も何度もスタッフたちを叱咤し、そのフォローを兄がする、正に飴と鞭の存在。
そうやってスタッフたちを鼓舞しながら、自分たちは夢の実現に向けてあらゆるパターンで厨房の導線を考えていたという回想シーンは、見ていてワクワクしました。
この時の自分はきっとクロックと同じ気持ちだったのかもしれません。
電話でのやり取りも今どちらが優位なのかが読み取れるシーンでした。
フランチャイズ契約をしたクロックは、自分でどんどん店舗を拡大していくのですが、やはり問題は生じるわけで、その都度マクドナルド兄弟に電話で許可を取ろうとするんです。
元々フランチャイズに後ろ向きだった兄弟は、クロックの契約に反するやり方に首を縦に振ることもなく、ノーの一点張り。
それにムシャクシャして、話の途中なのに、一方的にクロックの方から電話を叩きつけて切ってしまう、というのが序盤では何度もあります。
これが後半、徐々にクロックの力が強くなっていくと、今度は兄弟の方から電話するんですね~。
店の内装も、メニューも、外装のゴールデンアーチも全て同じでなければフランチャイズの意味がない、品質を維持することが何より優先だと思っている兄弟。
だが、ミルクシェイクを管理する冷凍庫の電気代のコストが高く、中なか利益が得られないという問題が生じます。
そこで、粉ミルクを水に溶かした商品があることを知ったクロックは、これを兄弟の許可なしに兄弟の店以外に使うようにするんですね~。
これに憤慨した兄弟はクロックに電話。
はい、もうおわかりですね~。
電話をかけたほうが怒って勝手に切るというパターンがついに逆転する瞬間です。
どちらが主導権を握っているか、優位に立っているかがわかる、象徴的なシーンでした。
やはり映画ですから、このような構成や画で伝えていくような描写が面白くないと入り込めませんからね。
こういった部分はほんと楽しく鑑賞できた理由の一つです。
最後に
おそらく企業家になりたい人や、ビジネスで成功したい人は、この主人公に痛く共感し、彼のようになろう!なんて思う人もいるかもしれない。
それとは逆に私のような上昇志向の少ない人は、この主人公に虫唾が走って、結果映画自体つまらない!なんて思ってしまう人もいたりと、自分の立ち位置に置き換えてみてしまうと、全然違う感想になるような作品なのかもしれません。
しかしながら、サクセスストーリーすべてがキレイごとばかりでないことは当たり前。物事の裏側を見ることも大事なわけです。
そして、クロックがなぜマクドナルドにこだわったのか、というオチがまたあっさりでいて深いのでそこも見どころです。
だってシステムの話を彼は聞いてるんだから、パクっちゃえばいいだけにも感じませんか?
それでは成功しないってクロックはわかってたんですね~。
彼はシステムももちろんですが、他にも乗っ取りたいくらい欲しかったものがあったんです。
見終わった後なるほど確かにね~、となるかと思います。
公開数が少ないのでなかなか見る機会が難しいかもしれませんが、非常に面白い作品でした!
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10