モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「アリータ/バトルエンジェル」感想ネタバレあり解説 戦って、思い出して、恋をして。

アリータ:バトルエンジェル

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話に関してはよくあるSF,のような気もしますが、そこは製作・脚本を務めたジェームズ・キャメロンがとんでもない映像革命をしてくれることでしょう。

 

キャメロンが脚本ってことは、いくつものピンチを抜け出したと思ったらまたピンチ!ってパターンが何度も用意されていることで、ずっとハラハラしながら楽しめるような内容になっている気がします。

ぶっちゃけ大味なんですけどね、いつも。

エイリアン2」も「アバター」も「ターミネーター2」もそうだった。

 

それでもいいんです、楽しいことに変わりはないのですから。

 

そして今回の主人公アリータ。

目が大きい!!

こんな目の大きい人間いるんですか?

あれですか?

整形ですか?

いやいやさすがにCGです。

原作コミックの主人公もこんな感じで目が大きいようで、そこもしっかり忠実に映像化したんだとか。

ネットで検索すると「気持ち悪い」って出てくるんですけど、みんな目を大きく見せることしてんじゃんw

 

というわけで早速鑑賞してまいりました!!

 

作品情報

1990年から95年にかけて「ビジネスジャンプ」にて連載された木城ゆきとのSFコミック「銃夢」。

荒廃した未来の世界で、空中都市とそこからでた廃棄物にまみれたクズ鉄町を舞台に、主人公のサイボーグ少女が、様々な敵と戦いを繰り広げていくSF格闘コミックである。

この漫画を、兼ねてより日本のサブカルチャーを愛してやまないギレルモ・デル・トロ監督から紹介されたジェームズ・キャメロンは、その世界観と斬新な設定に痛くほれ込み映画化権をすぐに獲得。

20年という長い構想期間を経てようやく完成させた。

 

この作品を「シン・シティ」などでスピード感溢れるアクションとスタイリッシュな映像で魅了し続けるロバート・ロドリゲス監督が、映像に命を吹き込み、より原作の持つ世界観を具現化させた。

 

ハリウッドが誇る2大巨匠によって誰も見たことのないスペクタクルアドベンチャー。

主人公アリータが分断された世界の運命に立ち向かう!

 

 

 

あらすじ

 

天空に浮かぶユートピア都市“ザレム”と、“ザレム”から排出された廃棄物が堆積して山をなす荒廃したクズ鉄町“アイアンシティ”。

大戦後の未来は、“支配する者”と、“支配される者”の2つの世界に分断されていた。

“アイアンシティ”に暮らすサイバー医師のイド(クリストフ・ヴァルツ)は、クズ鉄の山から少女の頭部を発見し拾い上げる。

彼女はなんと300年前のサイボーグだった。

奇跡的に脳は生きていたものの、長い休眠状態により過去の記憶を失っていた。

イドによって新しい機械の身体を手に入れたそのサイボーグの少女は、アリータ(ローサ・サラザール)と名づけられ、イドの元で大切に育てられる。

 

ある日、アリータは襲ってきた敵からイドを守るために戦った際、自分の中にコントロールできないほどの戦闘能力が備わっていることに気づいてしまう。

実は彼女は、300年前対戦中に失われたテクノロジーで作られた“最終兵器”だったのだ。

 

果たしてアリータと分断された世界の過去に隠された秘密とは・・・。

人々の温かさに触れ、感情が芽生えた心を持ったサイボーグの少女アリータは自分の命の意味を見つけるため、そして、大切な人を守るため、二つに分断された世界の秩序に立ち向かう。(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

監督

今作の監督はロバート・ロドリゲス。

 

 

僕の彼の作品のイメージは、めっちゃ抽象的ですが、いわゆる男の子が「かっこいい」と思えるような映画です。

 

それは主人公とか登場人物のキャラもそうだし、生き様とかもそうだし、アクションとかもそうだし、ガジェットもとにかく男が「かっこいい」と思える映画ばかり作っている気がします。

 

もうひとつはなんだろう、バカなところでしょうかw

これは頭が悪い「バカ」ではなく、なんちゅうもん作るんだ「バカ」みたいなバカです。

 

ギターがマシンガンになったり片足がマシンガンになったりと、中々でしょう。

普通の人ならそんな映画作りません。

監督ならではのアイディアですし、それを映像にしてしまうのは彼のようなバカしかいません。(めっちゃ褒めてます)

 

こんなバカでかっこいい映画ばかり作る最高にクールな監督が、キャメロンにいちいち指図されてイライラしなかったのか是非聞いてみたいですねw

オレはお前の犬じじゃねえ!って陰で言ってそうな気がするのはオレだけか?

 

そんな監督の代表作をサクッとご紹介。

メキシコのマリアッチ(流しの歌手)が暗殺者に間違われ狙われる姿を描いた「エル・マリアッチ」で監督デビューした彼は、これを予算増加によってセルフリメイクした「デスぺラード」、その続編でジョニー・デップも参加した「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」という「マリアッチ3部作」が有名。

それ以外でも、幼い姉弟がスパイである両親をガジェットを駆使して助けに向かうスパイコメディ映画「スパイキッズ」も、4作作られるほどの人気に。

 

 

 

また彼はクエンティン・タランティーノ監督と親交が深く、彼と共に作品を制作することも有名。

 

兄弟強盗が待ち合わせに使った酒場でとんでもない事態へと発展していまうギャングスプラッター映画「フロム・タスク・ティル・ドーン」、ゾンビに片足を奪われたヒロインがマシンガンを装着して挑むセクシーバイオレンスアクション「プラネット・テラーinグラインドハウス」、罪の町で繰り広げられる3人の男の愛と復讐をモノクロをベースに斬新な色使いで描き、コミックライターのフランク・ミラーと共同で監督した「シン・シティ」、その続編「シン・シティ/復讐の女神」など、どれもバイオレンスでありながら馬鹿馬鹿しさも混ざった作品が多いです。

 

シン・シティ(字幕版)

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キャラクター紹介 

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左上より。

  • アリータ(ローサ・サラザール)・・・300年前に失われたテクノロジーで創られた、記憶を失ったサイボーグの少女。クズ鉄の中から、奇跡的に脳だけ生きていた状態のところをイドに拾われた。

 

  • イド(クッリストフ・ヴァルツ)・・・アリータの名付け親であるサイバー医師。新しい機械の体を与えてアリータを蘇らせ、父親のようにやさしく見守っている。

 

  • チレン(ジェニファー・コネリー)・・・イドの前妻。モーターボール選手の調整技師(チューナー)で、ベクターと共に行動する。

 

  • ベクター(マハーシャラ・アリ)・・・ファクトリーのオーナーで、モーターボールの支配者。アリータを破壊しようと目論む。

 

  • ヒューゴ(キーアン・ジョンソン)・・・ザレムへ行くことを夢見るアイアンシティの若者。アリータに好意を持ち、失った過去の記憶を取り戻す手助けをする。

 

  • ザパン(エド・スクレイン)・・・アリータに敵対心を持つ、非道なハンター戦士。

 

  • グリュシュカ(ジャッキー・アール・ヘイリー)・・・伸縮自在のカギ爪を操る巨大なサイボーグ。ベクターの配下にあり、アリータを襲う。

 

 

 

 

 

 

 

 

いわゆる富裕層と貧困層に分断された世界って聞くと「エリジウム」を思い出すような設定ですが、あれよりももっと未来志向な映画であると共に、少女のアイデンティティ探しや冒険、しかも武器とか防具とか僕らがワクワクしそうなアイテムも出てきたり、最後はモーターボールって何!?って聞いたことない競技まで出る始末。

キャメロンは自身の娘をこの映画に投影したようですが、それよりも舞台設定が現代を象徴しているかのようで、社会面への痛烈なメッセージにもなっている気がします。

一体どこまで面白いのか!?

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

感想

上いかねえのかよw

少女から大人へと成長し、己の存在意義を確信していく序章的物語でした!!

それにしてもつまんねえ・・・。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映像はとんでもなく素晴らしい。

最終都市からごみ溜めの街へと落ちてきた一人の少女が、過去に大きな傷を負った医師に体と心を与えられることで、自身が何者なのかを追求し使命を全うしていく覚悟を決めていく物語を、キャメロン印の大味すぎる脚本のひどさにあっけにとられながらも、最新鋭のVFX技術によって、サイバーパンクな街並からモーターボールでの格闘戦、果ては主人公の細かな動きから質感、表情に至るまでを瑞々しく表現することで、実際に存在するのではないかと感じる作品でございました。

 

まず特筆すべきなのは、アリータという一人の少女、いや最終兵器を細胞レベルで表現できたことへとの驚き。

冒頭目覚めのシーンのアップから彼女にどんどん引き込まれていくことは容易で、大きな目はもちろんのこと、オレンジを食べた時のこめかみが動く反応から、ヒューゴとのファーストタッチで起きる「赤い実はじけた」感、潜在意識レベルで動くアクションの反射神経、

そして肝心のアクションに至っては、とにかく素早い動きでアクションをこなし決め技スローモーションで顔ドアップする度に監督得意のダイナミックなアクションが炸裂する展開に胸アツに。

さらにはモーターボールでの四面楚歌的展開では、序盤でのアクションをさらにグレードアップさせたハイスピードなスケーティングと一発KOの快感。

 

要は何が言いたいって、アリータというアンドロイドがしっかりそこにいて、青い血を脈々と打ち、鼓動し、呼吸している姿を大きなスクリーンで感じられるということ。

誰だ!目が大きくて気持ち悪いとか言ってたやつは!

こんなのかわいいに決まってるだろ!!

野良犬にあんなに微笑んで、オレンジをあんな食べ方して、ヒューゴにMajiでKoiする5秒前的表情で見つめて(モーターボールはちょっと苦手~)、そんな彼女が徐々に記憶取り戻すたびに戦士の顔になってくんだよ!

最高じゃねえか!

やっぱりキャメロンは戦う女を描いたら一級品ですな。

 

おっと、話が逸れた。

映像に関してですな。

街並みもブレードランナーのような暗く湿ったような世界観ではなく、きちんと太陽があって夕陽が差し込み、その上にデカデカと最終都市ザレムが浮かんでいて、現実と非現実がうまくマッチした世界だったのではないでしょうか。

何だ結局映像のことじゃないじゃないか。

もういいや。

 

まぁ映像はとにかくキレイであることにかわりはありません。キャメロンとロドリゲスが目指した最新鋭の映像だったということです。

ただ今回IMAX3Dで鑑賞したんですが、これ3Dの意味あるのかってくらいショボかったです。普通に2Dでもいいかもしれません。

 

話は全然盛り上がらない。

僕はてっきりアリータが上と下で別れた世界の境界線を壊す救世主になる物語だと想像していましたが、これがなかなかその展開にならない。

むしろ、その覚悟をするまでの話であったということにがっかりしました。

 

中心になるのは、アリータが覚醒する過程の部分で、生まれ、育ち、恋をし、親に反発し、我を通し、大人の戦士になっていく、ということ。

なんですが、どうしても恋愛描写がついて回るせいで目的がよく分からなくなってくるんですね。

 

すっかり恋に落ちたアリータはヒューゴの夢である「ザレムへ行くこと」の手助けをするんです。どうやって行くかってのが「モーターボールで優勝すること」。

それはいかん!と止めるイドを説得し、ようやくモーターボールに出場するんですが、ヒューゴにはある事情があり、レースを途中中断してヒューゴの元へ行くわけです。

まぁ助けに行くんですけど。

で、これはこれで別にいいんです。

いいじゃないですか、初めて好きになった男の夢を是が非でも叶えたいアリータ。

ほら私の心臓見て?これを売ればあなたはザレムに行けるしお釣りも来るわ!

もう見てられないですよ、ノボせすぎて。乙女すぎます。

というか、恋の暴走が過ぎましたよね、アリータ。

 

で、僕が言いたいのは、このアイアンシティ、そこまで息苦しい場所なのか?と。

確かにお金を作るのに苦労しそうな世界ではあります。不幸せな人たちも多いでしょう。

でもみんながみんなザレムに是が非でも行きたい!みたいな世界じゃないんですよね。

絶対いけないとわかっているからあきらめてはいるものの、モーターボールで優勝すれば行けるってわかってるわけですから、結構な人たちがムチャしているシーンがあってもいいと思うんです。

それでいいはずなのに、序盤から女性狩りの犯人捕まえたり、ハンター戦士になるとかダメとかの件だったり。

 

で、本気でザレムへ行きたいチレンもその本気度がよくわからんのです。

アリータをうまく手籠めにして利用すればイケるとわかっていながら、失敗しても焦らないしムキにならないし、エゴイスティックにならない。

う~ん燃えない。

 

要はアイアンシティの皆々がザレムに憧れ持ってるような設定になってないので、ヒューゴがザレムへ行きたい理由が明確に感じないんです

てか恋人出来たんだからまずそこを楽しめよと。

それで次のステップに行けよと。

ベクターも言ってましたけど、今上に行っても下の身分のまま、だったら下で支配した方がよくないか?と。

そう、ヒューゴとチレンくらいしか上に行く野心が見えないから、そこにアリータが彼氏のために!と言ってもなんだかなぁと。

 

で、この流れの中で、アリータの記憶探しの話も入ってくる。

なぜ私はこんなに強いのか。戦った時でないと記憶が蘇らない。

強くなることを求めて記憶を取り戻すことを考えハンター戦士になる。

ケンカを買った相手との再戦、敗北。

で強化スーツ手に入れてしまったから、ここからはもう彼女がピンチになることが少なくなってくる。

 

例えば、ヒューゴが実はアリータの300年前の時と何かしら関係があってアリータが恋愛する過程で記憶を呼び覚ますとかだったら、恋愛描写は効果があると思うんですが、結局戦士の記憶を取り戻す過程と恋愛が全く別になってるので二つの線を追わないといけないし、最後これが混ざったところでいかにも強引にたたみ過ぎてて、もうヒューゴの存在必要ねえじゃん、と。

そこイドの存在が無くなるって風にしたほうが話がうまくまとまるじゃんと。

 

 

イド=キャメロン?

そう、僕が思ったのは、これ父と娘の話限定にすればよかったのにと。

多分、イドはキャメロンそのものだと思うんです。

キャメロンは結婚離婚を繰り返している人なんですが、それでも娘にはそれなりの愛情を持っていたんだと思います。

それがこの映画に強く現れていたように感じます。

 

アリータを蘇らせた当初は、遠くへ行くな、夜になる前に帰ってこい、といっぱしのお父さんぽい言葉をアリータに言いますが、これは結局娘を自分の檻の中に閉じ込めているだけなんですよね。外の世界は危険だから見せない方が娘のため、みたいな。

でも好奇心がどんどん膨らんでいくアリータは、父の本当の姿が気になりついていく。

少しづつ互いの過去や本性を話し合うことで距離が縮まっていくかと思いきや、またもや娘アリータと衝突。

アタシは戦うと思い出す、この強化スーツを着たらもう大丈夫、だからお願いこれを接続して!と。

でも、イドお父さんはこれを拒否。

ダメダメ、君は今のままで十分なんだ、と。

娘を持ったパパあるあるですかね~。

 

でまぁ結局根負けして許しちゃうお父さん。

強化スーツを着て少女から大人の女性へと変貌を遂げていくアリータとともに、イドお父さんは嫁入り前の娘を見るかのような眼差し。

 

キャメロンにもこういう葛藤がきっとあったと思うんですよね。

自分のカワイイ娘を手放したくなくて、かごの中の鳥のような育て方をしたけど、羽ばたきたいわけですよ娘は。で、結局押しに押されて許しちゃうみたいな。

 

これをもっと軸にして親子の話にした方が面白かったと思うんですよね。

もっと言えばヒューゴと付き合うことに猛反対するイドの姿ってのがあったら、よりアリータが少女から大人の女性へなるのに説得力があるというか。

いや、何だろうもっと身近な親子の姿に感じられるからアリータが戦士だとかアンドロイドとか忘れさせる要因にもなるというか。

 

 

最後に

途中でも書きましたがキャメロンの脚本は大味なんですよね。

なんだけど、主人公が難関をクリアする度にすぐ難関が押し寄せるからハラハラドキドキするんです。

なのに今回はそれが全く感じられない。

アクションは確かにすごい。すごいんだけどそこまで。そのすごい!って気持ちを次のシーンで打ち消しちゃうというか引きずらせてくれない。

だから気持ちが高ぶらない。

アリータの成長物語にしたかったのはわかるんですが、どうもゴチャゴチャだなぁこれと。目的が全然見えてこなくてがっかりでした。

 

とりあえずマハーシャラ・アリに眼福。

 

 

原作読んでませんのでどうかファンの方お手柔らかにお願いします。

というわけで以上!あざっした!!

 

 

 

満足度☆☆☆★★★★★★★3/10