バッドボーイズ RIDE OR DIE
刑事モノでバディモノの映画、最近では全然製作されなくなっちゃいましたね。
僕は「フレンチコネクション」とか「48時間」とか「リーサルウェポン」とかが大好きで、ここ10年で言ったら「エンド・オブ・ウォッチ」とかもすごく好きなんですよ。
というか、刑事が主役の映画が好きなので、そこにバディが加わるともう最高なんですよね。
今回観賞する映画は、そんな絶滅しそうな刑事バディモノでシリーズ最高興収の記録を持つと言われている「バッドボーイズ」の最新作。
アカデミー賞でのビンタ事件以降表舞台から遠ざかっているウィル・スミスが、これでようやく完全復活!?になるかもしれないと言われているので、あの事件を風化することはさておいて、彼のいつも通りの饒舌なセリフ回しと派手なアクションを堪能したいと思います。
というわけで、早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
ジェリー・ブラッカイマープロデュースの元、大ヒットを遂げた「バッドボーイズ」シリーズの第4作。
第2作までは「爆破王」マイケル・ベイを監督に、約20年ぶりに復活した第3作以降は、若手監督のアディル・エル・アルビとビラル・ファラーを起用し、それまでのシリーズ累計4億ドルの記録を1作品でたたき出し、大ヒットをおさめた。
そんな彼らを従えて製作された第4作は、過去シリーズにおいてもピンチの時に何度も彼らが唱えてきた合言葉「共に生き、共に死ぬ。一生悪友(バッドボーイズ)」の意味を込めたサブタイトルとなっており、年季の入った2人の掛け合いと、生きるか死ぬかの決死のアクションと共に、シリーズ史上最も強い2人の“絆”が描かれる。
汚職疑惑をかけられた亡き上司の無実を証明するため捜査をする2人が、敵の組織の罠によって容疑者とされてしまう状態の中、命がけの戦いを仕掛け汚名返上していく姿を、シリーズ史上最高のアクションで描く。
最強のバディであるマイクとマーカスによるカーチェイスや激しい銃撃戦が見どころの本作。
今回は「スカイアクション」に挑戦するという、正に命がけなアクションが繰り広げられる。
また恒例の舞台であるマイアミから離れて戦うのもポイントの一つ。
壮絶なアクションが期待される。
シリーズの主演であるウィル・スミスとマーティン・ローレンス、上司のハワード警部演じるジョー・パントリアーノ、バネッサ・ハジェンズなどが本作でも登場。
馴染みのあるメンバーが、バッドボーイズをさらに盛り立てていく。
あらすじ
マイアミ市警のバッドボーイズことマイク(ウィル・スミス)とマーカス(マーティン・ローレンス)の上司、故ハワード警部(ジョー・パントリアーノ)に麻薬カルテルと関係があったという汚職疑惑がかけられる。
無実の罪を着せられた彼のために、独自に捜査を始めた2人は、〈容疑者〉として警察からも敵組織からも追われる身に――。
上司が残した最後のメッセージ「内部に黒幕がいる。誰も信じるな!」という言葉を胸に、汚名返上のための命がけの戦いがマイアミを離れて繰り広げられる。
四面楚歌の中、頼れるのはお互いに一人だけ――。(HPより抜粋)
感想
#バッドボーイズ RIDE OR DIE観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) June 7, 2024
真のハリウッド映画!
恒例のやりとりで笑わせ、ド派手なアクション、無駄のない編集と切り方、そして何より抜群にキャラを活かしキャラに見せ場を作る!これをきっちり2時間で終わらせる!これだよ!最高だ!#バッドボーイズが大好きだ#バッドボーイズ試写会 pic.twitter.com/7KbY6efUOY
前作のおさらいまたは予習すればなお楽し。
老齢への道を歩むバッドな二人が、それでも正義と絆を貫きながらバカをやる。
最高じゃねえか。
監督の職人的な作りにも脱帽!!
これこそ真のハリウッド映画だ!!
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ。
前作で恋仲になった理学療法士のクリスティンとの結婚式へ向かうマイクとマーカス。
あまりの猛スピードにマーカスは「ジンジャーエールが飲みたい」と言いだす。
90秒だけ時間をやるとマイクの許しを得たマーカスは急いでコンビニへ。
するとそこには出来立てのホットドッグが。
匂いに釣られて一緒に購入しようとすると、そこへ拳銃を持った強盗が出現。
早く帰らないとマイクに怒られるから見逃してくれとマーカスはお願いするが、そんなこと耳すら貸してくれない強盗。
そこへマイクが登場し、いつもの調子でいとも簡単に強盗を成敗する。
結婚式には、マイクの同僚や上司、市長まで参列し大いににぎわう。
前作で命を落とした上司ハワードの家族もまた、マイクの結婚を祝っていた。
パーティータイムが始まり、ノリノリで踊り出すマーカスだったが、突然発作を起こして倒れ込んでしまう。
マーカスは自分の肉体と魂が分離される感覚に陥り、暗がりの海辺にたどり着くとハワード警部と対面。
彼から「まだここに来るのは早い」と背中を押され、無事生還する。
あまりの清々しさを得たマーカスは、屋上で生きていることの素晴らしさを讃え、マイクを困らせてしまう。
退院後、家に帰るとクリスティンやマーカスの家族が出向かう。
ようやく病院から出られた勢いで、お菓子を食べようとキッチンを漁るマーカスだったが、医者から塩分や糖分を控えるようきつく言われていたため、隠していたお菓子はすべて捨てられてしまっており、マーカスはご立腹。
一方某所。
何者かが銀行家と接触。故ハワード警部の銀行口座に黒い金を送金するよう指示する。
指示をしたのち、銀行家と愛人は何者の手によって射殺されてしまう。
その後故ハワード警部の口座に麻薬カルテルから金を受け取った報道が流れ、犯罪組織と関与していた罪が問われていく。
FBI捜査官の指揮の元捜査が行われていた部屋に、マイクとマーカスは「ありえない」と直談判。
その後ハワードの娘であるジュディ刑事も直談判しにやってくるが、手掛かりと思われえるマイクの息子・アルマンドの話をすると、ジュディの表情は一変。
父を殺した男を報復すると脅すのであった。
マイクとマーカスは手がかりを突き止めるため、前作で刑務所に送還された息子・アルマンドに話を聞きにいく。
ハワードが濡れ衣を着せられたのは、麻薬カルテルと戦ったことが原因ではないかとされており、アルマンドはその黒幕の顔こそ覚えているが、名前まではわからないと告げる。
銀行家を殺したものと仲間たちはネット上で足がつかないためのクリーニングをしている最中、あるメールが特定の人物へ自動的に送られていることを知る。
その相手はマイクとマーカスだった。
彼らのスマホに送られたメールは、亡きハワード警部の遺言だった。
「これを見ているということは俺は死んでいる、とにかく厚底メガネの巨人に会え」というメッセージを頼りに、厚底メガネと思しき人物で、かつての同僚フレッチャーに会いに行く。
彼の経営するクラブへ向かい、事情を話そうとする2人。
フレッチャーが「壁の液晶を見ろ」と告げた瞬間狙撃されてしまう。
クラブ内での銃撃の最中、散らばるジェリービーンズを頬張ろうとするマーカス。
マイクはすかさずツッコみながら、狙撃手たちを追うことに。
外の道路まで追いかけ、あと一歩のことろでマイクはパニック発作を起こす。
間一髪でマーカスに助けられたマイクだったが、動悸と汗が止まらない。
上司のリタへはハワードからの密告があった事実を伏せ、同僚であるドーンとケリーに事情を話し、壁の液晶に隠されたQRコードを解析させることに。
するとハワードから次のビデオメッセージが表示される。
ハワードは「麻薬カルテルを追っていたが、別の同僚が殺されてしまったことからマイクとマーカスには参加させなかった」という経緯を話し、さらに「カルテルと裏でつながっている人物が警察内部に要る可能性がある」と警告する。
一方刑務所内でトレーニングをしていたアルマンドは、囚人らに襲われてしまう。
黒幕へつながる唯一の手掛かりであるアルマンドを、マイクはヘリで移送するよう上に説得。
ヘリで出発することになった一行だったが、既に黒幕たちがヘリに乗っており、ハイジャックを敢行。
パイロットは脅されながらブラックボックスに救難メッセージを話し、殺されてしまう。
やがてマイクとマーカス、檻の中のアルマンドは彼らの襲撃に遭い、命がけの格闘を強いられることに。
先に脱出された黒幕たちをよそに、マイクたちは墜落しかけているヘリを何とか操縦士、湖に不時着させる。
警察は、パイロットが遺したブラックボックスを証拠に、マイクとマーカス、アルマンドを指名手配犯にし、さらに黒幕らは彼らをさらに追い込むため、懸賞金をかけギャングたちに追わせる計画を立てる。
果たしてマイクとマーカスは、亡きハワードの遺志を受け継ぎ、黒幕までたどり着けることができるのか。
そしてマイクは心を閉ざす息子との仲を取り戻すことができるのか。
・・・というのが、中盤までのあらすじです。
素晴らしい職人監督。
これね、まず大前提として、俺「バッドボーイズ」シリーズを大好きってわけではないんでんすよw
一応全部見てるし、2人の掛け合い好きだし、アクションもめちゃんこド派手だから、な~んも考えずに観れるって意味で「好き」って程度なんですよ。
やっぱりマイケル・ベイってのがね、きついわけですよ、1と2は。
どうでもいいところばかり尺取って、とにかく濃度の高いアクションをみせるわけですよ。
好きな人は良いですよ。ずっとベイのアクション見てられるんですから。
でもさ、モノには限度ってのがあるんですよ。
それが俺的にはきつかったんですよね、ベイが作ったバッドボーイズ。
そして前作は17年ぶりの新作ってことで、懐かしさと巧さが際立った作品ではあったものの、急にベイ臭が薄まると、「あれ…」って感じだったんですね。
濃い味の食べ物ばっか食ってたもんだから、急にマイルドだったり薄味だったりすると、口が淋しくなるみたいな。
そんな気持ちから、正直本作も『そつなく楽しい」程度の期待をして臨んだんです。
そしたら!!
まぁ~~~面白い!!!
こう感じたのにはいろいろな経緯が僕の中にあるのだと思います。
それこそコロナ禍が明けたと思ったらストライキと、ハリウッド映画がとことんピンチで、それでいてメジャースタジオが、客にではなく株主に向けたラインナップばかりになりがち、そこにこの10年以上大事にされてきた「多様性」を重んじる作劇を求められ、俺としてはどうも「窮屈」に思えて仕方ないハリウッド映画ばかりに思えてたんですよね。
中々、一昔前の「超娯楽大作」且つ「傑作」レベル、さらには職人監督による巧い作りってのを感じなくて、寂しかったんですよね。
もちろん面白いのはたくさんあったけど、僕が面白いと思える作品の根底には、監督の腕ってのがめちゃくちゃ大事だなと。
そして久々に出会えたのがこの「バッドボーイズRIDE OR DIE」だったわけです。
もうね、冒頭から素晴らしいんですよ。
いつもの如くマイクとマーカスが運転しながら舌戦を繰り広げていると、色んな輩に絡まれて、口論にまで発展するけど、ナイスコンビプレイでタイトルがどん!ってかんじなんですよね。
今回もそれに倣って同じような展開で始まるんだけど、いつもよりもタイトに仕上がってたんですよね。
タイトというよりは、コンパクトな尺でありながらインパクトに残るユーモア描写とスパッと決める攻撃。
ここで、「あれ?なんかいい感じだぞ?」と思えたんですよ。
そこからというもの、上司が遺したメッセージに従って単独捜査に踏み込み、あれよあれよと敵の術中にハマりながらド派手なアクションを展開していくわけです。
もちろんその間にマイクとマーカスのしょうもない会話を挟むから、丁度いい塩梅の緩急が保たれていく。
こういう風に語ると「いつもと同じじゃん」となるんだけど、とにかく無駄な所がないうえに、潔くカットして次のシーンにすぐさま入るんですよ。
マイケルベイではできない尺の詰め方というか。
これが凄く職人的で、俺ちょっと感動しちゃったんですよ。
この詰め方のせいでものすごくテンポが良いんです。
今回マイクには「息子との不和の解消」と「パニック発作」が課題となってるんですね。
マーカスもぶっ倒れてるので、食事制限やら塩分当分制限やらと半分ん病人的なキャラになってしまってるんですが、一度の死の淵から蘇ったことで「死」に対しての恐怖がないんですよ。
前作とえらい違いじゃないかwと思いがちですけど、「守る者ができたことで起こる不安」と「死ぬことなんて怖くない」というネガとポジを持ったコンビになっているわけです。
こうした差をつけたコンビだからこそ助け合いながらも茶々入れつつ鼓舞し合っていく関係性が、これまで以上に凄く魅力的なんですよね。
もちろん彼らが主役だから彼らが活躍すればいいんですけど、今回は今まで以上にサブキャラにもスポットが当たる、キャラとキャラが対峙し決着や和解をするといった関係性が構築され、さらに「見せ場」も用意されてるからもう最高。
僕が映画に求める事絶対欠けてはいけないと思っているのが「キャラの見せ場」なんです。
それこそこういうシリーズものは、回数を増やせば増やすほどキャラも増えていくわけです。
そうなると、別に登場しなくていいのに出さなくてはいけないパターンもあれば、登場してるにもかかわらず大した活躍をしない、みたいな作品をよく見かけるんです。
でも本作は、そうしたキャラの見せ場をしっかり作ってるんですよ。
マイクはアルマンドとの関係を、マーカスはそんなマイクをしっかり支えながらコメディリリーフとして体が余り動けない分笑いで掴む。
アルマンドは、ハワード警部の娘と対峙をするけど、孫娘を救うことで手打ちに持っていく。
マイクとマーカスの上司のリタは、旦那である市長が黒幕であることを知り、けじめをつけていく。
そんな彼らを今回恋仲が発覚したドーンとケリーがサポートし、しっかりアクションもこなす。
前作と同じ尺の中に、こうしたキャラの見せ場をちゃんと自然に作っているのが、僕が求めてる映画の形としてものすごく感動したんですよね。
で!
このキャラの使い方の中で一番最高だったのが、マーカスの娘婿であるレジーが大活躍するところ。
これまでマーカスとマイクに脅されてばかりで、大した活躍もなくいじられてきたキャラでしたけど、今回はマーカスの留守中に家に侵入してきた敵を、軍人上がりの格闘術で一網打尽するんですよね。
それを分割された監視カメラのモニター画面越しで見せてくれるので、どこかゲームっぽい映像になってるんですけど、あまりの強さとそれが「ゲームキャラ」に見えてくるという笑いに繋がっていて、ものすごく楽しく見れるんですよね。
ほんと、こういうキャラの使い方と見せ場を自然に物語に組み込んで見せ、さらにタイトに編集して詰めながらテンポよく楽しませる本作。
僕が求める「真のハリウッド映画」に認定したいくらい最高でした。
最後に
他にもアカデミー賞で問題となったウィル・スミスの「ビンタ騒動」を本作で自虐的に描くシーンもあったり、マーカスが飼い主でマイクがロバだというよくわからん例え、過去作に通じるネタやキャラがちょいちょい出たりと、単発の物語だけどしっかりシリーズとして繋がってるのも、ファンとしては堪らなかったんじゃないでしょうか。
これは多分僕しか唱えてない説なんですけど、配給のソニーピクチャーズって、ここ数年大作モノに関して言うと、一昔前の「娯楽映画」を今凄く追及してると思うんです。
だからと言ってシステムとか多様性とかが一昔前の体質なんではなく、あくまで「作品の中身」。
ゴーストバスターズにしても、マダムウェブにしてもヴェノムにしても、はっきり言って「テーマ性」や「メッセージ性」ってものすごく薄いんですよ。
もちろん描いてはいるんだけど、そこよりも「スペクタクルな瞬間」とか「シリーズものだけど続編からでも問題なく楽しめる」ような、誰でも気軽に色々考える必要もなく、あくまで「映像そのものを楽しんでもらう」所を重視してるというか。
今の映画って、映画そのものが描く中身を紐解かないといけない風潮ってあると思うんです。「これは○○の事を背景に描いてる」って。
そういうのも正直大事だし、今を映すのが映画の役割だったりするし、自分もそこに視点を向けるようにしてるけど、ぶっちゃけ「疲れる」。
本来ハリウッド映画が我々に見せてきたモノ、もしくは根底にあるモノって「楽しさ=娯楽」だと思うんです。
ソニピク、もしくはコロンビア映画が100周年という節目に、こうしたバッドボーイズはじめ、「一昔前の娯楽に特化した映画」を甦らそうとしてるんじゃないかって説をね、もっと知ってほしいというか気づいてほしいというか。
だから正直つまらなかったとしても僕は応援したいんですよねw
こんなもんでいいだろうっていう寛容な受け止め方。
その中でも本作は、マジで俺が求めてた真のハリウッド映画=職人気質な監督による娯楽特化型映画として、最高の映画だったんじゃないかと。
ぶっちゃけ内容に関して全然触れてないんですけど、マジで編集が巧くてテンポが良くて、キャラの見せ場があって、それでいてずっと笑えて楽しく、アクションも最高にかっこいいっていう。
こういう映画、ホントにもっと増えてほしい。
できればシリーズものでなく、オリジナル映画で。
がんばれソニピク!!!
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★8/10