タイラー・レイク 命の奪還
世界中が熱狂したマーベル・シネマテッィク・ユニバース。
ここまで魅了させてきたのは、役者たちが演じるキャラ以上に、監督であるルッソ兄弟の力も大きいのは事実。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」の功績から約1年、彼らのプロデュース作品がNetflix作品として配信されました。
ルッソ兄弟って、これまでのMCU作品を見てみると、結構ガチのアクションで楽しませるイメージがあるんですが、今回の作品も同じ匂いがします。
もしかしたら、似たようなシーンとかもあるのでしょうか。
過去作との比較をして見ても楽しめるのかもしれませんね。
とはいえ、彼らはプロデューサーと脚本として参加。
監督は別の方であります。
サム・ハーグレイブ?
ごめんなさい、誰だろう。
彼の詳細も含め、がっつり書いていこうと思います。
というわけで早速鑑賞いたしました!!
作品情報
激戦を潜り抜けてきた傭兵が、誘拐された犯罪組織の息子を救出するミッションを遂行していくサバイバルアクション。
これまで多数のアクション映画でアクションコーディネーターをしてきたスペシャリストが、今回初監督を務める。
また、製作陣には「アベンジャーズ」などを監督したアンソニー&ジョー・ルッソがプロデュースと脚本で参加。
手に汗握る肉弾戦やカーアクションなど、大迫力の映像が期待されるのはもちろん、傭兵と誘拐された息子とのやりとりから、主人公の内面に潜む過去を掘り起こすことで生まれるドラマ性にも期待が持てる作品だ。
果たして窮地に立たされた二人は、敵だらけの街から抜け出すことができるのか。
緊張感MAXにして骨太なアクション映画、是非ご堪能あれ。
あらすじ
裏社会の傭兵であるタイラー・レイク(クリス・ヘムズワース)は、バングラデシュの麻薬王の息子であるオヴィ(ルドラクチャ・ジェイスワル)を救出するよう命じられる。
救出は難なく成功するが、それによりタイラーは警察と組織の両方から狙われるようになる。
タイラーは仲間からオヴィを見捨てて逃げるよう説得されるが、過去に息子を失っていたタイラーは独断で彼を守ろうとする。(ウィキペディアより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、サム・ハーグレイブ。
今回初監督だそうなので、私のような映画素人が彼を知る由もありません。
いろいろ調べてみると、アクションに関してはもんのすごいお方だということが判明いたしました。
あの「ジョン・ウィック」を生んだアクションチーム「87イレブンアクションデザイン」のメンバーなんですって!
近年のアクション映画において、革命を起こしたともいえるこのアクション集団。
「アトミック・ブロンド」や「デッドプール」、「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」などを手掛けたデヴィッド・リーチに、「ジョン・ウィック」シリーズを牽引してきたチャド・スタエルスキ。
彼らに続いて現れた、まさにアクション集団「第3の刺客」ってことですね!
彼の経歴ですが、様々な作品でアクションコーディネートをしてきたようです。
ベン・アフレックが会計士と裏の顔を持つ「ザ・コンサルタント」に、ジェニファー・ローレンスが一躍人気になったサバイバルアクション「ハンガー・ゲーム」などで活躍。
上でも書いたルッソ兄弟の代表作「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」や、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」でもアクションコーディネートを手掛けていたようで、このつながりが今作を生んだと言っても過言ではないでしょう。
YouTube動画「ゆるキネちゃんねる」の管理人である、しーまんさんは、根っからのアクション映画好きでして、毎度お会いする際に、彼からお勉強させてもらってますw
きっと今作も僕以上に楽しみにしておられることでしょう。
近日中にアクション解説動画をアップすると思うので、是非立ち寄ってみてください。
なので、僕はアクションに関しては詳しく説明できないことを、ここで言っておきますw
キャスト
主人公の傭兵、タイラー・レイクを演じるのはクリス・ヘムズワース。
彼の作品としては、「メン・イン・ブラック:インターナショナル」以来になるでしょうか。
「ゴーストバスターズ」以降、ゴリマッチョイケメン俳優だけでなく、彼のコメディセンスも評価されましたよね。
「マイティ・ソー/バトルロイヤル」でもセンスは強化され、とにかく笑わせてもらいました。
なので今のクリスは、シリアスでもコミカルでもどっちでも器用に演じられる強みがあり、今回シリアスな芝居になるとは思いますが、成熟した演技を堪能できそうです。
今後はハルク・ホーガンの伝記映画をNetflixで製作予定だそうで、あのマッチョがさらにモリモリになることでしょう。
他のキャストはこんな感じ。
麻薬王の息子オヴィ役に、ルクドラシャ・ジャイスワル。
タイラーに依頼する女性ニク・カーン役に、「ワールド・オブ・ライズ」、「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」のゴルシフテ・ファラハニ。
サジュ役に、「タイガー・バレット」に出演、今作でハリウッド初進出となるランディープ・フーダー。
ギャスパー役に、Netflix作品「ストレンジャー・シングス」、「ヘルボーイ」、「ブラック・ウィドウ」に出演予定のデヴィッド・ハーバーなどが出演します。
一体どんな革新的なアクションが見られるのか、敵だらけの中どうやって逃げ切るのか。
ハラハラドキドキの予感です。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
市内でのドンパチに屋内でのスピーディーなワンカット風アクション!
さすがアクションコーディネートしてるだけあって見ごたえ抜群!
しかしお話は妙にあっさり・・・。
以下、ネタバレします。
ザックリ解説
30mもある崖の上から寝起きに酒煽ってダイブしてしまう、勇気ある傭兵タイラーさん。
水中座禅までして何やら考え事か。
傭兵だからムチャできるんだろうと見えますが、どうやらワケアリな様子。
一方その頃インドムンバイでは、麻薬王の息子オヴィ君の学校生活。
人を殺して麻薬裁いて得たお金でお坊ちゃま学校に通うって一体どんな気持ちですか、オヴィ君。
・・・僕の私見はさておき、組織の手下の送迎もあり、カフェで寄り道したって万全のセキュリティ。
でも家に帰れば、お父さんの直近の部下であるサジュの目が光ります。
だってお父さんは刑務所で刑期を全うしてるので、サジュはいわゆる教育係のような存在。
彼に何かあったら自分の命が危ないわけです。
とはいえ、こんなガチガチに監視された状態じゃ俺の青春鳥かごの中。
こんな10代送りたくないってことで、こっそり家を抜け出し夜のお遊びにバーへ向かいます。
イイよね~親に黙って、大人ぶったことしちゃう興奮と罪悪感。
背伸びしたっていいじゃない、ってんで、お外でみんなと一服かまそうぜ!と思ったらお巡りさん!
しまった!と思ったら、ホントにしまった・・・
お巡りさんはオヴィ君を拉致して誘拐してしまうではありませんか。
困ったサヴィはとりあえず親父に報告。
もちろん親父はカンカンで、しかも誘拐したのはダッカという街を仕切ってる商売敵。
身代金だぁ?
何でウチが金払わなアカンねん、この落とし前は教育係のお前がきっちりとらなアカンのとちゃうん?
妙なことしてみい、お前んとこの坊っちゃん、いまいくつやったかのぉ~?
・・・サヴィ、ビビる。
とりあえずサヴィは家に帰り妻と危機的状況にあることを報告。
刑務所にいるからって親父は何もできない訳じゃない、簡単に人を葬ることだってできてしまう力を持ってる。
身代金用意するにしたって、親父の金だし、しかも麻薬取締局が応酬してるから使えない・・・
どうしよう、こうしよう、法外だけど傭兵雇おう。
というわけで、タイラーの同僚であるニックに依頼が入り、ショボい小屋で犬と鶏を飼っているタイラーに任務が言い渡されるわけです。
ここでタイラーは、今回の任務が敵のシマに単独で向かうのがあまりにも危険すぎることを伝えられますが、カネが要るからやる、で片づけてしまいます。
冒頭のダイブや、酒に酔ってる状態で簡単に任務を受けてしまうあたりを見ると、百戦錬磨の傭兵だから危険な任務に慣れてる、というわけではなく、どこ歌詞の場所を探しているようにも見えてきます。
死にたくても死ねないくらい強くなってしまった自分には、とにかく「絶対不可能」くらいのレベルでないと、みたいな。
現地に入り、簡単な場所と落ち合う場所を頭に入れ、早速向かうタイラー。
すぐさま敵に拉致され、オヴィ君の生存確認をし、救出に。
ここでも銃口を向けられても銃創が入ってないことを見抜き、微動だにしないタイラーの姿を見せることで、きっとあっさりオヴィ君を助けて逃げるんだろうなぁと、見ていて確信。
あ、ちゃんとオヴィ君生きてますね、わかりました、お金用意するんで帰りま~す、と外へ向かおうとした矢先、タイラーの猛攻撃が始まります。
目隠ししてるのに相手の動きを読み、サクサク手下を片づけていく所作は鮮やか過ぎて見惚れてしまいますね。
一方、ダッカ市の子供たちを屋上に並ばせ脅かす男の姿。
今回オヴィ君を誘拐した組織のトップでした。
運よく殺されずに済んだ少年に色々諭したはいいものの、二人の間に割って入ってきた軍の大佐から悲しいお知らせ。
すいません誘拐した少年が何者かによって逃げられてしまいました…
うし、じゃあ、交通網も橋も封鎖して探して。
え、ええ~・・・ちょっと厳しいっすね…難しいっすね、てか、無理っすね・・・
できるできないじゃない、やるの。
はっ!
このシーンで非情なまでに子供を屋上から突き落としたり、それを見て決断し命拾いした少年に、鋭い眼光で生きる術を語り、徹底的にオヴィを探す命令を下す敵のボスの飽くなき執念と残忍性が窺えます。
これはタイラー、簡単には逃げられねえぞ、という瞬間です。
見事に脱出し落ち合う場所まで向かおうと森の中をひた走るタイラーとオヴィ。
ただニックの方で異変が。
人質の生存確認ができたはずなのに、報酬の2回目の送金がされてこないことから、依頼人であるサジュにハメられたと決断。
それと同時に、逃亡用の船にも異変が生じ、ボイラー室で船長がサジュに殺されてしまいます。
森の中でサジュからハメられたことを聞かされたタイラーは一気に緊張感を高めます。
船を見張っていた仲間も殺され、船に向っても待ちかまえられてるだけと判断したタイラーは、とにかく走って逃げることを選択。
ここからタイラーは、誘拐した麻薬組織と、彼らが指揮をする警察、そしてダマした依頼人であるサジュと、3つのグループから追われる身となってしまいます。
一体どうやって抜け出すのでしょうか、というのが序盤のあらすじでございます。
怒涛のアクションシーン
さすがアクションコーディネーターであるだけあって、銃撃戦も接近戦もお見事なシーンの連続でした。
見せ場は大きく3つでしょうか。
一つはオヴィを救出するシーン。
もう一つはサジュと警察から逃げながら戦うシーン。
最後は橋を横断するためのクライマックス。
オヴィを救出するシーンは、細かくカット割りをすることで、スタイリッシュに相手をやっつける、タイラーのお手並み拝見的なアクションシーンだったように思えます。
ピヨッた相手の顔めがけて机を蹴飛ばしてトドメさしたり、穴の開いた壁めがけて突き飛ばして失神させたり、終いには武器として使った熊手の先端が折れ、それを力づくで相手の顔めがけてぶっ刺すという、なかなか見てられない倒し方。
一連のアクションが終わった後、子供が銃を取ってタイラーに向けるんですが、ここはタイラー、子供を殺めようとはしません。
これもいくら傭兵だからと言って女子供には手を出さない、以上の理由が後に明かされる伏線にもなってたように思えます。
2つ目のアクションシーンは、サヴィや警察から必死に逃げるタイラーのシーン。
ここでは手持ちカメラでワンカット風に見せる撮影方法で視聴者を圧倒させます。
車で逃走する2人を後部座席から取り、二人が喋ってるときは前方を、敵が襲ってくるときは横に後ろにカメラをパンして撮影。
車をバックして追跡車両に衝突させた後は、近くのマンションに逃げ込みます。
まだワンカット風に撮影。
一体どこに隠れたのかわからないため、見てるこっちはドキドキしながらアクションが始まるのを待っている状態。
突如ナイフで襲ってくるタイラーにビックリしながら、彼の瞬殺テクニックをまじまじと見せられていきます。
人んちにどんどん土足で入って逃げたり、通路で待ち伏せしたりと、武装した警察たちを一網打尽していくタイラーさん。
終いには屋上へ向かい隣のマンションへ大ジャンプ。オヴィに適当な確認をして投げる手荒なエスコートがちょっと笑えます。
ここもカメラが二人を追いながら撮影してるので、一緒に飛んでるんですよね。
カメラマンも大変だこと。
となりに移ったはいいものの、今度はサジュが襲い掛かって、つかみ合いから二人とも地上へ落ちてしまう展開。
これもどこでスタントマンと入れ替えてるんだろう?それも計算され尽した撮影で、お見事としか言いようがありません。
最後はクライマックスでの銃撃戦。
約30分に渡って繰り広げられるんですが、これも渋滞した車だらけの中、どういうカメラの配置割りで撮影したのか全く想像つきません。
タイラーはサジュに協力を依頼して検問を突破しようとするので、このシーンはタイラーのエピソードと、サジュ&オヴィのエピソードと分けて進んでいきます。
まず大きな山場は、身を隠して2つ目の検問を突破するも、警察に存在がバレてしまい、サジュが孤軍奮闘して敵を撃ちまくるシーン。
ガンガン銃を撃ったり、ナイフでサクサク刺し殺したりと、サジュの見せ場が満載です。
ちなみにサジュの風貌、いかつい顔で長い髪の毛を上に束ねており、しかも真っ黒な服装のため、どこか坂口拓に見えて仕方ありません。
アクションも様になってるので、どっかで入れ替わってるんじゃないか?とさえ思ってしまうほど。
そんなことはないはずですけどw
一方のタイラーも1つ目の検問を片づけ2つ目の検問がある橋へ向かいます。
ここでは四方八方から飛んでくる銃弾やらロケットランチャーに苦戦し、傷だらけで突破しようと試みるタイラーの辛さが垣間見えます。
体力がかなり消耗した状態で橋に向かい、銃弾を食らってもオヴィを助けようと前へ進もうとするタイラーの意地と根性が映し出されます。
もはや罪滅ぼしなのか
今回の任務、サジュの家族を守りたいという気持ちから、タイラーたちはハメられたという展開だったわけですが、普通の雇われ傭兵なら自分の命が最優先ですから誘拐されたオヴィなんかほっといて、敵だらけの街から脱出する方が最優先なわけです。
しかしタイラーは頑なにオヴィと共に逃げることを選択するんですね。
その理由として、リンパ腫によって失ってしまった亡き息子への想いがずっと心に引っかかっていたから、ということが劇中明かされます。
ただ亡くしてしまったのではなく、タイラーは自ら志願しアフガニスタンへ出征したことから、息子の死を恐れて逃げてしまったという負い目から、この任務は何としてでもオヴィのため、そして自分のためにオヴィを生きたまま連れて帰ることにこだわってたわけです。
これまで死に場所を探してるかのようなタイラーの行動や言動も一致しますし、逃げてしまった自分に対する罪悪感や後悔を晴らすために、罪滅ぼしをしようとしている姿が見て取れます。
この話を聞いたオヴィは「溺れるのは川に落ちたからじゃない、沈むからだ」と語ります。
冒頭のダイブでは落ちた後しばらく沈んだ状態のタイラーが映っており、オヴィの話とつながりが生まれますよね。
すると最後の川に落ちるタイラーのシーン、そして飛び込み台からプールへダイブするオヴィのラストカット、ぼやけて映る人の正体は、ようやく罪滅ぼしをし、安らぎを得たタイラー本人ではないか、と、ちょっと希望が持てる終わり方のような気もします。
最後に
ハーグレイブ監督がこれまで携わった作品でもみたことあるなぁ、と、既視感のあるアクションシーンばかりでしたね。
・・・と言っても、具体的にどこが?ってツッコまれると苦しいんですけどw
シビルウォーのようなアクションもあったし、ワンカット風のは、彼が出演していたアトミックブロンドの1シーンにも思えます。
その辺りはきっと「ゆるキネちゃんねる」でし~まんさんが語ってくれると思うので、これを読まれた方は是非彼の元へリンク先から飛んでくださいw
ただアクションはすごかった半面、どうも味の薄いお話に思えて仕方ないんですよね。
別にサジュが自分の家族を助けるためにタイラーたちをダシに使う、って流れでなくてもよかったかなぁと。
確かに終盤はサジュもオヴィを助けるために協力して戦う流れなので、二人が守りたいものというカタルシスが生まれるからいいっちゃいいんですけど、タイラーの一人称で話をシンプルにして、余った時間をタイラーの過去を掘り下げる方に充てたほうが、よりオヴィを命がけで助けたいって思えて、説得力が増すんじゃないかなぁと。
それか指まで切って敵のボスに服従した少年のエピソード加えるとかね。
とりあえず久々にユーモアを排除して真面目に演じたクリヘムが拝めたのは収穫でした。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10