勝手にふるえてろ
決して西野カナへのアンサーソングではありません。これは映画です。
みんな大好き松岡茉優の長編映画初の主演作!!!
ここ数年で演技と容姿とモー娘。愛に磨きをかけ成長してきた彼女が、とうとう主演作ですか!
高まりますね~!!
しかも何ですか、主人公がひねくれてて自分勝手で夢見すぎな現実逃避ガールですか?
お~っとこれは色々と人間こじらせすぎですね~。
いやどう演じるんですか??
むっちゃ楽しみですね~。
一体何度鑑賞中に「勝手にふるえてろ!!!」って心の中で叫ぶんだろう。
とりあえず、早速観賞してきましたよ!!!
作品情報
「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞し話題を呼んだ綿谷りさの同名小説を、現代の女性を優しく描く新進気鋭の監督と、TVドラマ、バラエティ、そして映画にと今最も注目を浴びている女優・松岡茉優を主演に映画化。
恋愛に臆病で、片思いしか経験のない24歳OLが、脳内彼氏とリアル彼氏という理想と現実の狭間で揺れる姿を、皮肉をこめたたユーモアと、眩しすぎるほどキラキラした乙女心で、目を瞑りたくなるほどイタイと感じつつも、どこか応援してあげたくなる痛快ラブコメエンタテインメントに仕上がっています。
あらすじ
早朝のハンバーガーショップにて。
金髪店員に向かって語りかける江藤良香(ヨシカ/松岡茉優)、24歳。趣味は絶滅した動物をネットで調べること。アンモナイトの化石を愛でる毎日。
「本能のままにイチ(北村匠海)と結婚しても絶対幸せになれない。結婚式当日もイチが心変わりしないようにって、野蛮に監視役続けてなくちゃならない、そんなんで幸せなんて味わえるかよ。その点ニ(渡辺大知)ならまるでひと事みたいにお式堪能できちゃう。ドレスのままチャペルから何だか知らんが丘駆け下りてわがままにニのこと放ったらかして、波と戯れたりデコルテあらわなドレス肩上下させてハーハーしたりして花嫁タイムをエンジョイできちゃう。」
そう、ヨシカには彼氏が2人いる――。
1人は中学時代からの片思いの相手 イチ
同級生からマスコット扱いされ、いじられているのを教室の片隅から見つめることしかできなかった相手。好きだから見たい、見たいけど気づかれちゃダメという屈折した感情から、視野の隅で見る“視野見”という攻略法を編み出し、イチをモチーフに漫画を描くほど恋心はこじれていた。
10年前の運動会で言われた一言が、今も胸に残っている。
「こっち見て、俺を見て」
もう1人は同じ会社の営業として働く同期 ニ
経理と営業として出会い、同期会という名の飲み会で連絡先を交換した。正確には少々強引に交換させられた。テクノの流れるクラブでのデートの後、酔っ払ったニから「俺と付き合ってください」と本気の告白をされる。「人生初、告られた!」とテンションが急上昇するも、正直タイプではない。
ある夜、電気ストーブが布団に引火するというボヤ騒ぎを起こし、死ぬ前にせめてもう一度イチに会いたいと覚悟が固まる。
「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこうと思ったんです。」
そこからヨシカは、アメリカに転校した同級生の名を騙って同窓会を計画。ニとのデートも上の空。そして、ついに待ちに待ったイチとの再会の日が訪れるが、会話に全然入っていけないヨシカ。イチを含む上京組のグループに何とか加わり、ニが使った強引すぎる方法で無理やり連絡先を交換、東京で再び会う約束をとりつける。
2度目の再会。夜明けのベランダでアンモナイトの生態で盛り上がるヨシカとイチ。
「あの頃に君と友達になりたかったな。」
しかし、次にイチの口から発せられたのは、衝撃の一言だった・・・(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは大九明子監督。
すいません、全く存じ上げないお方です。
経歴見ると、あ、この映画は彼女だったのか!と今頃色々合点がいってますw
さてどんな作品を撮ってきたのかザックリご紹介。
元々はタレントとして活動していたそうですが、99年に監督としてデビュー。
都会に暮らす3人の男女が引越しをきっかけに奇妙な偶然で結ばれ心を通わせていく姿をさわやかに描いた青春ラブストーリー「恋するマドリ」が新垣結衣の初主演映画として話題を呼びました。
その後も、美に異常なほど執着しながらも純粋な愛を求める女性の物語「モンスター」や、岡山を舞台に転校生とクラスメイトの女子高生の友情と決別、そして再会を通じて描かれる青春ドラマ「でーれーガールズ」など、女性を中心にした作品を数多く手掛けています。
キャスト
主人公ヨシカ演じるのは松岡茉優。
「桐島、部活やめるってよ」で彼女の存在に気づいて以降、彼女の出演する作品を見るたびいい演技する子だなぁと感心しておりました。
演技もできるし、バラエティでは気のきいたコメントや返しをしてMCをうならせ、「ちはやふる」で主役の広瀬すずを食うほどの強烈なインパクトを残した彼女。
もはやベテランの風格すら漂う彼女ですが、今回初主演てことが、まあ驚き。
正直彼女は脇でこそ輝く人だと思っていたので結局主演やるのか、と思っていましたが、まぁ遅かれ早かれやっておいて損はないですからね。
それでは彼女の主な出演作をご紹介。
あの子誰?と映画好きの間で話題になり、名を知られるようになったのはやはり「桐島、部活やめるってよ」でしょう。
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バレー部のエースが突然退部したことで生徒達の間に動揺が広がり、やが校内での複雑な人間関係が浮き彫りになって行く様を、様々な生徒達の視点から描いた青春ドラマ。
この作品で彼女は東出昌大演じるイケメン生徒菊池の彼女で、桐島の彼女梨沙と友達の沙奈という生徒の役を演じていました。
学校ではイケてる側の部類のイマドキの女子高生で、真面目に頑張ってるヤツを貶したり、長いものに巻かれるようなタイプの女子を、まぁ~むかつく腹が立つ!てくらい演技がうまくてですね、素晴らしかったんですよ。
明らかに回りにそこまで演技ができる人たちがいないので余計目立ちましたよね。
ちょっとふっくらしてるのが懐かしいw
あとはTVドラマになるんですが、今回の役柄と少し似てるかなぁということでこちら。
男社会で理不尽な目にあった主人公と色々と、問題を抱えた女性たちとゲイがビストロレストランを開店し、ライバルの男性達に勝負を挑んでいく女性応援コメディ。
このTVドラマで松岡茉優は、精神的に病んでしまった母の原因を作った父を憎む過去を持ち、極度の対人恐怖症という設定で、見事にヒッキーで頑固な役柄を演じていました。
キャスティングが見事なことに加え、脚本家である坂元裕二が作る軽妙なセリフのやり取りやトレンディなワード、現代社会に巻き起こる問題を真っ向に描く様が痛快で、非常に楽しんだドラマでした。
中でも、松岡と二階堂ふみ、高畑充希の次世代女優3人が仲睦まじく調理にオーダーに奮闘し掛け合う姿は、今となっては非常に貴重なシーンであり、このドラマが一番やりたかったのってここじゃね?と製作側の思惑が垣間見えた瞬間でもありました。
その他の作品はこちらをどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
リアル彼氏のニ役に、「色即ぜねれいしょん」、「くちびるに歌を」に出演し、ロックバンド「黒猫チェルシー」のボーカルとして主題歌も担当している渡辺大知。
脳内彼氏イチ役に、「恋と嘘」、「ディストラクションベイビーズ」、「君の膵臓をたべたい」の北村匠海。
ヨシカの同僚・月島来留美役に、「 22年目の告白~私が殺人犯です~」、「泥棒役者」の石橋杏奈。
金髪店員役に、「彼女の人生は間違いじゃない」の趣里。
最寄り駅の駅員役に、「桐島、部活やめるってよ」の前野朋哉。
釣りおじさん役に、「淵に立つ」の古舘寛治。
オカリナ役に「かもめ食堂」、「沈黙 サイレンス」の片桐はいりと個性溢れるキャスト陣です。
現実と虚構の狭間で揺れ動く乙女の暴走と奮闘を、どう描いているのか非常に楽しみな作品です。いい演技魅せてくれよ松岡!!
ここから観賞後の感想です!!!
感想
非モテ女子はこんなにこじらせているのか!!
笑いを通り越して怖さを感じさせた松岡茉優の演技に震わされろ!!!
以下、核心に触れずネタバレします。
これを語らずにはいられない
頭の中の天然王子とリアル世界のモテテクの引き出し少ない営業リーマン、生まれてこの方彼氏ナシの成人女子が、理想と現実の狭間で揺れる心情の悲喜こもごもをコメディかつシリアスにに綴った1作。
僕は初めて気づいた。
松岡茉優はそこまで可愛く見えないと。
いきなり失礼な話ですが、これ褒めてますからw
実際絶対かわいいはずなのに、ここまで処女臭のする色気のない女性を演じるのはこの芸能界、しかも20代前半の世代でいないよなぁと。
要は、内面から作り上げた役柄が容姿からもにじみ出ていて、そうすることで理解させる説得力を持っているというやつでしょうか。ややこしや。
そこからはもう彼女の一人舞台です。
情報量の多いセリフをテンポよく滑舌よく軽快にしゃべり、時に笑い時にディスり時に絶妙にツッコみ、時に落ち込み時に涙し極めつけは叫び罵りのオンパレード。
アナタ引き出しいくつ持ってるんですか。
ちょこちょこ個性的な面々が彼女の妄想浮かれ話をの聞き手として登場しますが、爪痕残してる奴はそんないません。
やはり下積みのおかげなのかバラエティ番組での活躍のおかげなのか、非常に彼女がスクリーンで輝いておりました。
今までの彼女は2番手3番手という立ち位置だったので、主役の受け身になることが大方なのですが、意外や意外攻めとしてもイケるんですね。
これは彼女を主演としてキャスティングした方に拍手であります。
しかし、あえて苦言を言うのであれば、まだポテンシャルを秘めている彼女の魅力を監督は引き出せていたのか?というと否!だと思います。
彼女が一生懸命役作りをした結果としてここまで演じられたとは思うのですが、彼女を監督がただ撮っているだけのようにしか見えなかったです。
それは多分芝居をつけていないから。
やはり顔しか撮らない監督は、彼女の可能性を引き出せていない。
ただの被写体でしか撮っていないように感じます。
後光が射して神々しいヨシカも、そういう画を撮りたいだけで何か演技指導したのか。
ここまで役を作ってきたのだから仕上げをしてあげないと松岡茉優は成長しないんじゃないだろうか。
応援してるがゆえに今後の事まで飛躍して考えてしまうわけで。
とにもかくにも彼女はこれでまた一つ成長したことにかわりはないので、次の作品でまた別の松岡茉優を堪能したいですね。
人物設定に難あり
これはヨシカとニに言えることなんですが、この物語はヨシカがイチに実際あって現実を突き付けられることで一旦ピークを迎えるんですよね。
そこからヨシカがどうやって現実を受け入れて浄化していくのかで物語は結末を向かえるというのがスムーズな流れだと思うんですが、その後「ニ」とのやり取りがはじまるんですね。
正直あれ?まだ続くの?と感じて引っかかってしまったのですが、これを機にヨシカの暴走がもんのすごいことになってて、おいおいなんかキャラが変わってるじゃねーかと。
まぁこれがヨシカの中にある深い闇だと思えばそれでいいのですが、せめて前半でその片鱗だけでも見られるような描写があってもよかったのでは?と考えてしまいました。
あとは「ニ」ですね。
彼は登場するや否や、社内にいる、俺ってこんなに疲れてるんだぜ、こんなに寝てないんだぜ、こんなに金動かしてるんだぜという自慢アピールをあからさまにヨシカに見せつけたり、ヨシカと面識を作るために飲み会をセッティングしてもらい半ば強引に連絡先を交換するという少々汚いやり口。
最初のデートに誘う際、「相手が行きたいところ」として指定したのに、ここはうるさい、話ができないと愚痴をこぼし、挙句の果てによってラブホの前で嘔吐してしまう失態をするのですが、これはもう典型的な相手の事を考えないオレ主導の男で。
だってこれもう完全に酔わせてホテルへ誘おうコースじゃないですか。
結果失敗したってことは、常套手段ではなくて誰かにそそのかされたか、マニュアル本でも見たのかですが。
あぁこんな奴に惚れられるならヨシカはイチをまだ追いかけてもいいななんて思いましたね。
ただ後半から急にいい奴になってくるんですよね。
おいおいキャラが変わってるじゃねーかと。
もしかしたら、彼もヨシカのように現実に向き合えない男だったのかもしれませんが、そうなるとちょっと無理があるよなぁと。
ヨシカという女
彼女が演じたヨシカは24歳B型趣味は絶滅危惧種を調べるという変わり種。
同じB型だから共感できますが、これと決めたらなかなかぶれないその一直線な考えや思考は正にB型。
(血液型で物事を決めてしまうのは良くないことですが)
そんなB型女子は、人生で日陰の道を歩くとここまで視界が狭まっていくのかと思うと恐怖を感じるわけで、中学の時に好きになった男子を10年間思い続けるだけの日々を送り、大人へと成長してしまったわけです。
その後の高校生活大学生活で、酸いも甘いも汗も涙も笑いも含めた青春の日々の中で、失恋して大人になる通過儀礼すら通っていないのか。
そんなヨシカに惚れた営業課の通称「ニ」の登場で、ヨシカのこれまでの理想だけでしかなかった片思いは、非リア充からの脱却に繋がるかと思われたわけですが、長年こじらせてきたヨシカにとって彼は、所詮イチバンではなくニバンなのです。
理想を上回ることは難しいのです。
ここから見えてくるヨシカという女性は、とにかく現実逃避して生きているわけで、自分の世界を構築していることがうかがえます。
ですが現実に現れた自分を好いている男性が現れた途端、それが崩壊しかけているわけです。
今まで視野見でしか現実を見てこなかったヨシカにとって、これを受け入れることで理想という名のイチが消えてしまうのではないか。
ニを選ぶということはそういうことに繋がるわけです。
だから自分の世界を守るために、絶滅させないためにイチと会う決心をするのです。
だけどその理想は思いもよらない形で、彼女が嫌がっていた現実という名の奈落の底へ落されるわけです。
同僚が狙う高杉という男性を出来杉と呼び、
サスペンダーに髭というだけで課長をフレディと呼び、
オカリナを吹く隣人をただオカリナと呼び、
おまけに自分に言い寄ってきたキリシマをイチではなくニと呼ぶ。
有吉には及ばないがあだ名付けの天才たるゆえんは、相手と向かい合って接していないことの現れであり、それが自分に降りかかってくることを知った時の彼女の落胆ぶりは、自業自得に見える反面、誰か救ってあげる奴はいないのかと心配させたくなる気持ちにもなります。
彼女に足りないモノは何だったのか。
それは「勇気」だったのではないでしょうか。
いや実際にこれを持ち合わせている描写は多々ありました。
イチが黒板にひたすら「僕は忘れ物をしません」と書いたときも話しかけることができた。
実際にアメリカへ行った同級生の名を騙って同窓会まで開き、妄想の後押しもあり上京組で鍋パーティーを開くことまでこぎつけた。
その一歩踏み出す勇気が常にあれば、ここまでこじらせることなかったろうに、と。
相手と向かい合う勇気があれば、もっと親交も深めたろうにと。
地味な花は気づいちゃくれないかもしれんが未来は明るいんだよ。
その殻壊せばいいんだよ。なんつって。
イチとの決別を一度は決意し、現実の彼氏「ニ」と向かい合おうと努めるヨシカですが、ここでまた大きな壁にぶち当たります。
ここからヨシカの誇大妄想並びに被害妄想が爆発し、物語はヨシカの深い深い闇へと誘うわけですが。
後はどうなるかお楽しみに。
最後に
まぁ色々と難癖つけたりヨシカの様な存在をわかった風な書き方をしましたが、普通に楽しく鑑賞できたしフィクションですから。
自分も身につまされることでもありますし。
理想と現実をきちんとすみ分けて生きていくことが大人であり、ヨシカは最後ようやく理解します。
ようやく大人になったのであります。
仕事でも恋愛でも家庭でも嫌なことがあったら、それから逃げるのではなく受け入れることが大事なのです。
それを繰り返していくことで自然とやり過ごす技を身に着けるのです。
何ともないふりをして生きる術を身に着けるのです。
どうやったって思い通りに生きていくことはできないのですから。
もしそれができないのなら「勝手にふるえてろ」ってことです。
ホント色々書いたけど、素直に笑えて楽しいからw
あえて書かなかったのはなぜだ?
どうでもいいですが、中学時代のヨシカ、めっちゃかわいくないですか?
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10