モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「蜜蜂と遠雷」感想ネタバレあり解説 4人から素晴らしい音楽という贈り物を頂いた。

10月4日

蜜蜂と遠雷

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松岡茉優主演となったら見ないわけにはいかないモンキーです。

今回鑑賞する映画はクラシックのコンクールに挑む4人の男女の物語。

一応音楽でメシ食おうとしていたクセに、身についてるクラシックの知識なんざ「のだめカンタービレ」程度ってお恥ずかしいレベル。

 とはいえ、音楽の世界、まぁどこでもそうですけど、才能だけでは決していやっていくことはできず、まして音楽の神様がいつまでも味方してくれるわけもなく、たゆまぬ努力とタフな精神力が求められる場所ですよね。

そんな中でそれぞれの事情を抱えながらも夢を追いかける人たちが、色んなものを乗り越えて「奏でたい音」の探求をしていくお話なのだろうと期待しております。

 

 

そしてコンクールでありますから、他のピアニストたちはライバルになるわけですが、結局つまるところ、自分との闘いになっていくのでしょう。

そんな彼らの「苦悩と歓喜の調べ」、早速鑑賞してまいりました!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

史上初となる「直木賞」と「本屋大賞」のW受賞を果たした恩田陸原作の同名小説を映画化。

国際ピアノコンクールに出場する4人の才能あふれる若者が、苦悩や葛藤を抱えながらも挑戦し、ピアニストとして、また一人の人間として成長を遂げていく物語。

 

文字から音が聞こえてるとまで評された原作は、決して映像化不可能とされてきたが、この無理難題を新進気鋭の監督と、これからの日本映画を背負って立つ役者陣、超一流のピアニストによる楽曲提供など、原作を忠実に表現するために集結。

登場人物たちのドラマにも注目が集まるが、それをも凌駕するほどの圧倒的な演奏と音楽を堪能できる作品が完成した。

 

4人の可能性が共鳴し奏でる音楽群集劇。

正に五感を刺激する新たな映画体験がここに誕生した。

 

 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

 

 

 

蜜蜂と遠雷 (1)

蜜蜂と遠雷 (1)

 

 

 

 

映画「蜜蜂と遠雷」オリジナル・サウンドトラック

映画「蜜蜂と遠雷」オリジナル・サウンドトラック

 

 

 

 

あらすじ

 

 3年に一度開催され、若手ピアニストの登竜門として注目される芳ヶ江国際ピアノコンクール。


かつて天才少女と言われ、その将来を嘱望されるも、7年前、母親の死をきっかけに表舞台から消えていた栄伝亜夜(松岡茉優)は、再起をかけ、自分の音を探しに、コンクールに挑む。

 

そしてそこで、3人のコンテスタントと出会う。

岩手の楽器店で働くかたわら、夢を諦めず、“生活者の音楽”を掲げ、年齢制限ギリギリで最後のコンクールに挑むサラリーマン奏者、高島明石(松坂桃李)。

 

幼少の頃、亜夜と共にピアノを学び、いまは名門ジュリアード音楽院に在学し、人気実力を兼ね備えた優勝大本命のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)。


そして、今は亡き“ピアノの神様”の推薦状を持ち、突如として現れた謎の少年、風間塵(鈴鹿央士)。

 

国際コンクールの熾烈な戦いを通し、ライバルたちと互いに刺激し合う中で、亜夜は、かつての自分の音楽と向き合うことになる。

 

果たして亜夜は、まだ音楽の神様に愛されているのか。

そして、最後に勝つのは誰か?(HPより抜粋)

 

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監督

今作を手掛けたのは、石川慶

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妻夫木聡満島ひかり主演のサスペンス映画「愚行録」を手掛けた監督。

 

登場人物のあまりの愚行ぶりに、僕としては好みでない作品でしたが、人間の細部から溢れる陰湿さを、監督が学んできたであろうヨーロッパ映画風の演出で見事に映し出した作品だったと思います。

 

きっと今作も言葉で語るような作品ではないだろうし、演者の一つ一つの表情から心の機微を上手く抽出するよう作っているのだろうと期待しております。

 

今回の映画化について、原作者がたどったであろう道では辿り着けないと自覚したうえで別の頂上を目指し、高い景色を描いたとHPで語っています。

一体どんな景色に仕上げたのでしょうか。

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

登場人物紹介

 

  • 栄伝亜矢(松岡茉優)・・・将来を嘱望されていた天才少女だったが、母親の死をきっかけに表舞台から消えていた。今回のコンクールに再起をかける。
  • 高島明石(松坂桃李)・・・楽器店勤務のサラリーマンで妻と息子がいる。年齢制限ギリギリのため、これが最後と覚悟を決めコンクールに出場した。
  • マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)・・・今回のコンクールの大本命。そのルックスと育ちの良さから「ジュリアード王子」と呼ばれる。昔、日本に住んでいたことがあり、亜夜と一緒にピアノを学んでいた。
  • 風間塵(鈴鹿央士)・・・養蜂家の息子で、正規の音楽教育を受けておらず、自宅にピアノすらない少年。今は亡き著名なピアニスト・ホフマンに見いだされ、コンクールに送り込まれた。

 

  • 高島満智子(臼田あさ美)・・・明石の妻。最後のコンクールに挑む夫を献身的に支える。
  • 仁科雅美(ブルゾンちえみ)・・・明石の元同級生で、ドキュメンタリー番組の撮影でコンクールに密着する。
  • ジェニファ・チャン(福島リラ)・・・ジュリアード音楽院に在学する超絶技巧のピアニスト。マサルに思いを寄せる。
  • ピアノ修理職人の男(眞島秀和
  • コンクール会場のクローク係(片桐はいり
  • 菱沼忠明(光石研)・・・「春と修羅」の作曲家。
  • 田久保寛(平田満)・・・周囲からの信頼も厚いベテランステージマネージャー。
  • ナサニエル・シルヴァーバーグ(アンジェイ・ヒラ)・・・審査員の一人で、ジュリアード音楽院の教授。マサルの師匠。
  • 嵯峨三枝子(斉藤由貴)・・・今回のコンクールの審査委員長。自身も有名なピアニストでもある。
  • 小野寺昌幸(鹿賀丈史)・・・本選のオーケストラを指揮する世界最高峰のマエストロ。(以上HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

今を時めく若手筆頭キャストが、どう個々人の内面との戦いを演じるか、そしてその姿を監督がどうあぶり出しカメラに収めるのか。

素晴らしい原作と彼らの化学反応、その上に奏でられる音楽を堪能させてほしいですね。

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

感想

凡人にはわからん領域を見せつける音楽の世界。

世界は音で溢れてるっていい言葉だなぁ!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてったって松岡茉優

4人の若者が其々の夢や思いを胸に挑む国際コンクールの模様を、時にドキュメンタリーっぽい生々しさで、時に具現化した幻想の世界へと誘うかのような演出で、時に冷たさと温かさが同居したかのような配色と照明で、個々人の心の度合いや心境をうまく表現した映像に舌を唸らせると共に、登場人物の物語以上に配慮したであろう「音」を原作を最大限に映像化しようと試みた製作陣の気合と成果がよく表れた、青春映画であり音楽映画でございました。

 

見終わった後の率直な感想は、ぶっちゃけ凡人では理解できないであろう天才たちの苦悩と葛藤、そこからの脱出というお話でしたが、彼らに何とかくらいつこうと必死に見入った自分がいまして、気づいていたとはいえ「音」って我々の生活に深く携わっているモノであるということを再認識させてもらったのと、それらが重なり合って奏でられる音楽に、そしてそれを最大限のパフォーマンスで披露する音楽家たちの辛さと楽しさを堪能させてもらった映画だったように思えます。

 

自分も元ミュージシャンの端くれだった身分でして、辞めてしまったとはいえもう一度やってみたくなる感情を思い起こさせてくれると同時に、やっぱり天才は考えてる事や見ている景色、何を感じ何を受け取りそれをどうパフォーマンスでアウトプットしていくのかを見せつけられました。

 

表現者って感受性豊かでないと難しい職業といいますか、子供の頃のような視点や感情だったりしないと活かすことができないというか表現できない、それを他者に見せて感動を与えられることができないくらい、一握りの人しかいない存在といいますか。

で、これに加えてその分野がどれだけ好きか、って所が分かれ目になるといいますか、天才ってやっぱそういう奴らの事を言うんだなぁと。

 

その天才たちを演じた4人の演技がまぁどれも素晴らしいと言いますか、あのね、みんな目が凄くイキイキしていたんですよ。

 

塵を演じた鈴鹿君なんてまさに神童と呼ぶにふさわしい存在感を出してくれてましたよね。

あ、こいつマジでピアノ弾くの好きなんだなぁ、そして自分と同じくらいピアノが好きな人たちを愛してるんだなぁみたいな。

一応彼コンクールで巨匠の推薦状をもらってやってきた逸材って設定なんですけど、彼の演奏によって、他の出場者たちの心を大きく揺さぶっていくわけですよ。

演奏家の原点ともいえる音楽の楽しさ、音の素晴らしさみたいなのを与える役割といいますか。

だからなんだろう、練習量も抜群に多いんだろうけど、一番楽しく弾いているように見えて、ただニコニコしてるだけじゃない、中から湧きたつ多幸感みたいなのを上手く演じてたなぁと。

 

彼は一番若い人材でしたけど、最年長でコンクールに出場する明石役の松坂桃李も素晴らしかったですね。

一番庶民であり一番苦労してきたであろう人物ってのを、彼が敢えて感情を抑えて演じているように感じました。

天才たちの演奏を間近で肌で感じることで、自分の非力さを痛感してしまう役割なんですけど、彼が提唱する「生活者が奏でる音」ってのを、家族とのありふれた風景のシーンでちゃんと妻と息子を愛する良きパパをナチュラルに演じているからこそ、説得力ある演奏とメロディを表現してくれたなぁと。

また、二次予選後のインタビューで涙を流すまいと堪える表情がなんともいえなくて、とりあえず誰かが見ているから平静を保っているけど、天才たちとの圧倒的な差に完膚なきまで叩きのめされ、やっぱり生活者は音楽を生業にしている奴らには敵わないことへの悔しさが溢れていた瞬間を見事に演じていたように思えます。

 

 

そしてマサル演じた森崎ウィン。

彼はアメリカからやってきたって設定もあって「レディ・プレイヤー1」でも完ぺきだった英語力と、ジュリアード王子の異名を持っている設定から、アイドル的スマイルで観客を魅了するキラキラした表情を惜しみなく発揮していましたね。

実はわたくし、下の名前が「マサル」でありまして今回鑑賞する前から非常に親近感を持っていたキャラクターでしてw

彼が演奏を「完璧」にすることのさらに上を目指そうと苦悩する部分や、コンポーザーピアニストになりたいという夢を亜夜と語る階段のシーンは、なぜか涙がでてしまいw

なんすかね~俺が夢を語ってる姿を見ていると脳が勝手に変換でもしたのでしょうかw

それ以上にその夢をあのアイドル的スマイルで眩しい目をしながら亜夜に話す表情が凄くよくって。

んでもって、本選での演奏もカッコよかったですね~。

オケと息が合わないことに大きな壁を感じつつもいざ本番で本領発揮し、自信を得たのか予選以上に肩に気合の入った力具合と、あぁ音楽楽しい!!って感じが凄く出ていたシーンでしたよね。

 

 

で、で、で!何といっても主人公の亜夜を演じた松岡茉優ですよ。

冒頭での真顔とぎこちない作り笑顔の所作が、彼女の今の心境をうまく表現してて、あぁやっぱりこのコンクール来るの相当覚悟が必要だったんだなぁって思わせて、ずっと一人で暗い表情していたわけですけど、マサルと対面しいた瞬間幼き日々の懐かしき思い出からなのか、ただ単純に唯一知り合いだったからなのか、急に満面の笑みを見せることでキュンキュンです、はい。

そこから2次予選での明石の演奏を聞いた後の、今にもピアノに触れたくて衝動を抑えられない胸の高鳴りをしっかり見せていたし、月光の下奏でる塵との連弾で見せるほのかな笑みやくしゃっとしたはにかみ具合、母親の話になるとスッと影を落とすスイッチの切り替え具合や、本選直前での壁を乗り越えられず悔しさのあまり涙をこらえきれなくなる泣きの芝居、そこからの無事壁を乗り越え精悍な顔つきで佇む姿!!

今回口数の少ないキャラってことですが、その分表情で見てる人に伝えなくてはいけない難しいキャラだったと思います。

それをサラッとやってのけてしまう彼女の技巧ぶりには感服です。

 

 

蜜蜂と遠雷ってなんなんでしょうね。

クラシックって基本的には作曲者の意図を読み取って正確に弾かなければいけないってのがあると思うんですけど、ピアニストは皆全く別々の個性を持って演奏してるんですよね。

僕は素人なのでその違いというモノが全く分からないんですけど、今回それが凄く分かる工夫が施されていました。

それが二次予選で弾く課題曲「春と修羅」。

最初は譜面通りに弾かなくてはいけないんですけど、途中からカデンツァという自由に即興を披露するというものだったんですね。

これをすることで登場人物たちのテクニックややりたいことってのが誰でも理解できるし、キャラの色がよく出るエピソードになっていて、非常にわかりやすかったです。

 

マサルは師匠に完璧に演奏しろと言われていたけど、塵の演奏をきっかけに自身の可能性を試そうとオクターブパッセージで挑戦したというもの。

大きく指を広げながら打鍵する力強さが、若さと躍動を表現しており、マサルという人物がどういうモノかというのをなんとなくわからせてくれる演奏だったように思えます。

逆に塵は独創的で、譜面を見るとすごく雑な曲線ばかりが映っていて、ホント即興とセンスと経験でやってるんだろうなぁってのが見て取れる演奏でしたね。

これとも違う明石はモンキー的には一番好き。

一番静かで一番聞きやすく覚えやすいメロディライン。妻と息子が宮沢賢治の「春と修羅」の一部分をオリジナルの歌にしたこと=生活者の音ということで表現した演奏は、天才たちの心を揺さぶるほどの影響力を発揮していたのが見て取れます。

そして亜夜の譜面は白紙。彼らの演奏を聞いた後、楽しかった時の音を表現する姿が印象的なシーンで、ピアノに反射する彼女の子供時代の母親との連弾の映像がそう思わせる演出になっていましたよね。

マサルいわくお母さんと連弾している時の演奏はオモチャ箱からおもちゃが飛び出るような色んな音が出ていたと言っており、それを表現したのかなと。

 

で、結局のところ「蜜蜂と遠雷」ってどういう意味なのよ?って所にいきつくんですけど、劇中でも冬の海を散策する4人の姿を描いてるんですけど、陣が音が聞こえるって言って海岸まで走ると遠くで雷が鳴ってるわけです。

とすると、蜜蜂ってのは塵で、亜夜とマサルに遠雷というたどり着きたい奏でたい「音」、もしくは場所を教えるってことなのかなと、この場面を見て思いました。

塵はホフマンから送られてきたいわば刺客みたいな人物で、彼という蜜蜂がブンブン飛ぶことで、審査員や出場者たちを鼓舞する役割にもなってたので、そういうことなのかなぁと。

 

また終盤ではコンクール会場に雷が鳴っていて、正に世界が鳴っている瞬間であり、また亜夜が見る「豪雨の中黒い馬が駆ける」シーンは、彼女がたどり着きたい音楽で、それがどんどん近づいてくる=遠雷=奏でたい音楽、みたいな映像だったのかなぁと。

それと亜夜の本選での演奏後の拍手と雷の音を重ねて録音していたのが分かると思うんですけど、あそこで亜夜は雷に到達することができたってことなのかなと。

 

もうこういう考察は得意ではないのでうまく語れませんが、僕なりにたどり着いた考えですw

俺の遠雷はどこで鳴ってんだ!塵教えて!w

 

 

 

最後に

監督の事で言うのであれば、前作「愚行録」よりもこっちの方がよくできているなぁと感じます。

冒頭こそ登場人物の説明をセリフで語り過ぎていて、ん~となりましたけど、それ以降は二次予選の亜夜の演奏での演出もそうだし、やっぱ色にはこだわってんだなぁと。

馬が駆けるシーンでの雨が滴る映像もステキだったし、亜夜が来ているニットやコートの色もマサルと対照的な色合いにしてたり、明石がインタビュー受けるシーンでは彼の顔に影を落として後ろは暖色にすることでより彼が今どんな状況かってのを示すコントラストになってたし、そういう部分から監督のこだわりがよくでていたなぁと。

 

あとはあれですね、これ敢えてだと思うんですけど終盤だいぶ端折ってるなぁと。別にわぁ~ってなって終わらせる必要全くないんですけど、もうちょっと余韻にふたれるような終わり方をしてもいいのではないかと。

これも監督のこだわりなんでしょうけどねw

 

また松岡茉優は主役といってもこういう群像劇で主役の方が向いているなぁと。単独主演でやると彼女の良さが消えちまう気がして。

多分彼女受け身の役者なのかなぁ。マサルが際立ったのも彼女のおかげにも思えたシーンがいくつかあったので。攻めの芝居もできるんでしょうけどね。

 

とにかく天才って自分との闘いをしていく人たちなんだなぁと。誰かを蹴落とそうとか勝ちたいとかじゃないんですよね。相手をリスペクトしたり自分にない物を吸収して活かすことのできる人たち。

そんなことを感じた作品でした。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10