響-HIBIKI-
人気絶頂のアイドルグループでセンターだったあの子が、いきなりの映画初主演。
いいですね。最近アイドル主演の映画ないですもんね。
昔はいっぱいあったんだよ。全然観てないけどw
歌ってるときも、ものすごい目つきというかオーラを放つ彼女ですから、曲がったことがだいきらぁい~♪は~らぁ~だたいぞぉ~です!・・・じゃなくて曲げない性格の天才小説家ってことで、一体どんなお話なのか、また彼女のお芝居はどんなものなのか。
いつもどおり原作未読でありますが、ミーハー心をウズウズさせながら早速観賞してまいりました!!
作品情報
2014年の連載開始から爆発的人気を博し、「マンガ大賞2017」で見事大賞を受賞した、柳本光晴の漫画作品「響~小説家になる方法~」が、人気アイドルグループ「欅坂46」でセンターを務めた平手友梨奈主演で実写映画化。
圧倒的な文才を持つ現役女子高生小説家の、才能と破天荒な性格が巻き起こす出来事によって、彼女とその周囲の人間達の成長を描いていく。
圧倒的な才能を前にしたとき、私達は何を思い、何が変わるのか。
あらすじ
スマートフォン・SNSの普及により、活字離れは急速に進み、出版不況の文学界。
そこに現れた一人の天才少女、彼女の名は『響』(平手友梨奈)。
15歳の彼女の小説は、圧倒的かつ絶対的な才能を感じさせるもので、文学の世界に革命を起こす力を持っていた。
文芸誌「木蓮」編集者の花井ふみ(北川景子)との出会いを経て、響は一躍世の脚光を浴びることとなる。
しかし、響は、普通じゃない。
彼女は自分の信じる生き方を絶対曲げない。
世間の常識に囚われ、建前をかざして生きる人々の誤魔化しを許すことができない。
響がとる行動は、過去の栄光にすがる有名作家、スクープの欲だけで動く記者、生きることに挫折した売れない小説家など、様々な人に計り知れない影響を与え、彼らの価値観をも変え始める。
一方、響の執筆した処女作は、日本を代表する文学賞、直木賞・芥川賞のダブルノミネートという歴史的快挙にまで発展していく。(HPより抜粋)
監督
今作を手がけるのは月川翔。
月の川を翔ぶ男、月川監督はなんとこれが今年3作目。
「となりの怪物くん」、「センセイ君主」、そして今作と、学園モノ青春恋愛モノの原作漫画はとりあえず彼にやらせたら間違いない!と業界内でいってるのかいってないのか。
とにかく現在売れっ子監督であることは間違いないです。
やはり昨年の「君の膵臓をたべたい」の大ヒットの恩恵を受けていることが大きいのでしょう。
泣いたもんなぁ。
今作ではその「キミスイ」のキャストも脇に置くキャスティングもしております。
ここまで推しといてなんですが、先月観賞した「センセイ君主」はひどかったです・・・。
今回はこれまでの監督作品とは、ちょっと違うテイストのような気もします。一体どういう作品になっているのでしょうか。
キャラクター紹介
左上より。
- 鮎喰響(平手友梨奈)・・・圧倒的な文才を持った現役女子高生。絶対に”曲げない“性格で、自分の信念と反する相手には手を出すことも。
- 花井ふみ(北川景子)・・・響が作品を送った出版社の文芸編集部に勤務する、入社3年目の若手女性編集者。
- 祖父江凛夏(アヤカ・ウィルソン)・・・日本を代表する小説家の父を持ち、自身も小説家を志す文芸部の部長。
- 神田正則(高嶋政伸)・・・「木蓮」編集長。ふみの上司。自分の利益になることを最優先に考え動く男。
- 田中康平(柳楽優弥)・・・響と同じタイミングで木蓮新人賞を受賞した青年。響に挑発的な態度をとる。
- 鬼島仁(北村有起哉)・・・過去に芥川賞を受賞し、現在はメディア露出も多い作家。
- 矢野浩明(野間口徹)・・・週刊誌記者。木蓮新人賞授賞式をきっかけに、響を執拗に追及する。
- 藤野弘(小松和重)・・・山本の担当編集者。
- 大坪正人(黒田大輔)・・・小論社の編集者。花井ふみの先輩。
- 椿涼太郎(板垣瑞生)・・・響の幼なじみ。
- 祖父江秋人(吉田栄作)・・・凛夏の父であり、ヒット作を次々に生み出す世界的人気作家。
- 山本春平(小栗旬)・・・芥川賞受賞を狙う青年作家。
今旬の作品である原作と、今旬である女性アイドル。
この出会いが偶然でなく必然であったくらいのインパクトが、果たしてあるのかどうか。
というか、そもそもオレは平手を知らない!何を期待してるんだ!知らないのに期待させるほどのオーラに、オレはやられてしまっているのか!?
ここから観賞後の感想です!!!
感想
こんな子が世の中まわしたら、どれだけ面白いだろう。
天才小説家はやること全てが非凡だった!
話としては非常に満足です!!!
以下、核心に触れずネタバレします。
ある意味世直し。
文芸誌の新人賞に応募した無名の女子高生が、周りの評価や世間の目によって、文芸界を揺るがす存在へとなっていくまでを、欲や傲慢さや自分の意志の無さがにじみ出た周囲の人物たちを、決して自分を曲げない意志の強さから啖呵と暴力と純粋な正論で一刀両断していく姿に見惚れてしまう、カッコイイ女子高生の物語を彼女中心に描いた群集劇でございました。
原作も読んでいなければ主人公を演じるアイドルの顔は知ってるけど名前まで知らない程度のレベルでの鑑賞で臨んだわけですが、まずは簡単な感想を。
結論から言いますと、はっきり言って面白かったです。
主人公の行動や言動によって、核心を突かれ自身を改めていく周囲の人物たちというエピソードをつなげていき、直木賞と芥川賞という文芸界で一番大きな賞を史上最年少の小説家が獲るか否か、という流れであったわけですが、
個々のエピソードは正直弱いし、主人公がを曲げない性格なのではなく、自分が気に入らないことは何としてでも阻止する、または暴力で解決する、要するに大人の解決を知らないタダのガキンチョという気持ちで途中までは思ってみててしまったわけです。
しかし、この一連の流れを何度も見ていくうちに、あ~彼女が悪いんじゃない、俺の考えや価値観がそもそも普通というか一般的、むしろその一般的な考えってほんと俺自身の考えで物事観てるのか、などなど自分の思うこと全てが間違っているのではないか?という気持ちになり、どんどん響の魅力に憑りつかれていく、そんな気分になっていき、最後には彼女のやることなすこと全てを応援したくなっていくにまで至りました。
最初こそ天才小説家、って何?要は人と違うだけの事だろくらいの斜め上からの視点で見させてもらっていたわけですが、小説を書くことが天才なのではなく、人の目とか世間とか体裁とか常識とか他者によって作られた考えに、一切合わせることなどしないで自分自身をしっかりもった性格だからこそ、すごく惹かれていったわけであります。
そうなんです、劇中では彼女は天才だ、なんてセリフが何度も出てくるんですが、この物語、彼女がどれだけの才能なのかとか、なぜ彼女は小説を書こうとしたのか、とかそういったことは特に深掘りしてないし言及さえもしていないんですね。
そこにクローズアップせずに、響きという人物の行動言動性格などにスポットを当て、普段我々が我慢しているであろうあらゆるハラスメントを響が暴力と心にグサッとくる言葉でコーナーまで追いつめ、相手に何も言えなくさせる、むしろ相手がそれを言われて納得してしまうまでになっていく流れになっているんです。
例えていうとって古いんですけど「ショムニ」の坪井千夏とか、「半沢直樹」、もっというと「水戸黄門」ばりの悪による不条理をバッサバッサと斬っていく、そこで生まれる快感というか爽快感に浸れる作品だったのかなと思います。
かといって、響きの周りの人物が何か犯罪的な悪いことをしているのではないです。
文芸部の部室で喫煙して溜まり込んでいる男子の先輩がケンカを売ろうとすれば、真っ向勝負で指を折り、落とし前という言葉をそっくりそのまま返して何も言わせなくするシーンや、響の才能に嫉妬しながらも本心を隠し友達として付き合う凛夏の気持ちをあえて察することなく本気で話す件、勝手な思い込みで相手を見下しこき下ろす新人賞作家にも堂々と立ち向かい、スクープを狙い世間の声で煽ろうと画策する雑誌記者にも、みんながこういっているのではなく、あなたはどう思うのかと問い詰める場面などなど、自分の意志のない登場人物たちが響によって変えられていくのです。
ある意味ヒーローかもしれない。
こうした響の一連のやり取りは、今の世の中に必要な気がする、とさえ思います。
我々はいつの間にか相手の意見に合せたり、みんががそういうからと普通でいることが正しいと思い込んでいる節があります。
それを勝手に自分の意見と勘違いし主張し、相手につきつける。
響はそれに対し本当のあなたはどう思っているのか、ということを逆に問い詰めます。すると、本当は響の言うことが正しい、けど世間はそうは思ってないと切り返し揉めるわけですが、響は決して世間と話しているのではなく、あなたと話していると突き詰めるんですね。
大人になるにつれて、いや子供の時からそうかもしれませんが、空気を読むということを重んじる集団生活が個人を殺してしまっているというか、多数が正義という論調だったりとか、そういった事に対し、個人の意見をもっと主張して言いたいことを言うことが響にとっては大事で、みんなもそうであるべきだということをこの映画では伝えてるような気がします。
例えば凛夏。彼女は本心が言えず暮らしてきたこともあり、劇中では彼女本心というのがなかなか見えません。それを表情や仕草で見せているんですね。
例えば序盤の文芸部入部の件。
面白い本、つまらない本と分けて整理している本棚の中に響きがつまらない本が面白い本の中に混ざっていて、それを凛夏が元に戻したり響がつまらない方の棚にいれたりの繰り返しをするシーンがあります。
普通ならここでアタシが並べたんだから勝手に移動しないで!といえば済むのに言わないんですよね。
結果響の幼馴染が響が届かない場所に本を置いてこのやり取りが終わると思ったら本棚ごと倒して、私が整理するという強引なやり方で響は我を貫くわけです。
そして当初は有名な小説家である父の苗字を伏せて小説を発表しようと思っていましたが、響の小説家の才能に嫉妬したこと、響きが新人賞の候補に残っていることを聞いて対抗心が生まれ、結果父の苗字をつけて本名で発表する決意をします。
そして小説の感想を響に言われることで、ようやく凛夏は本気でぶつかれるんですね。
初めて彼女の本気の感情が出た瞬間でもあります。
そうやって響は本当の気持ちを言えない人間に本当のことを言わせてくれる、言わなくていいことでなあなあに生きてきた人間に喝を与えてくれる存在として描かれていた気がします。
平手友梨奈はこれをやるために生まれたんじゃないか。
今回初めての映画にして主演という大役を演じた彼女。
初めてなのにここまで堂々と響という役柄を演じられていたことに驚きを隠せません。いやお世辞でもないし決してファンから叩かれてるのを恐れているのではないですw
普段は純粋に本が好きで動物が好きな普通の女子高生という面をちゃんと見せながら、言いたいことを言う時の真っ直ぐな眼差しだったり、芯がある表情は見事だったと思います。
セリフだって棒読みではない、というかもしかしたら棒読みかもしれないけど、この響というキャラは感情の起伏が少ない設定にしてることで、演技が下手に見せないようにしているから気になりません。
劇中で常にタメ口でしたけど、彼女ならどこか許せてしまうw
途中コスプレしたり、砂風呂状態になりながら本を読むシーンでもあえての真顔にすることでコミカルにしてる面も、うまくハマっていたように思えます。
総じてこの響という役がピッタリでしたね。普段の生活でも蹴りとか食らわせてるんじゃないかと思い込んでしまうほどですw
逆に北川景子の演技がちょっと辛かったですね。響をほめるところとか受賞シーンでの質疑応答とかの真面目っぷりがどこか嘘くさく見えてしまって。もっとオーバーにえんじればよかったのに。
あとはアヤカ・ウィルソン。彼女キレイになりましたね。今どきの女子高生というか本心が言えないヘラヘラした表情が様になっていたし、何より水着姿がステキ!
他の出演者も元々脇役として実力ある方たちばかりですから文句の言いようがありません。
小栗旬はキミスイに続いて暗い役でしたねw彼はむしろ影を背負った役の方が役者としてあっていると思うんですけどねぇ。
最後に
キャラ的にすごく魅力ある映画でした。
自分はそこにすごく惹かれて楽しめましたし、何よりあの全然面白くなかった「センセイ君主」の監督がこっちではちゃんと映画監督してるじゃん!て思うほど。
小栗旬が耳栓してタイプしてるシーンとか、受賞シーンでの暗転スポットライトからの赤いライトとか際立ってたし、何より平手友梨奈をすごくきれいに撮ってた気がします。
出来ることなら登場人物をもう少し減らして時間かけてキャラをあぶりだす、もしくはあと15分くらい時間増やして響以外の人物にもスポットをあてる、そうすれば物語に深みが出たかもしれません。
漫画原作だからとか、アイドルが主役だからとかでスルーせずに観てほしいですね。
とりあえずモンキーは楽しめました!
というわけで以上!あざっした!!

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満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10