KAPPEI/カッペイ
俺は伊藤英明が大好きだ。
繊細な心を持ちながらも誰よりも仲間を思い、決して救助を諦めない潜水士・仙崎を演じた「海猿」。
好青年に見えながらもめっちゃサイコパスな教師だった「悪の教典」。
性欲旺盛ながらも林業のためなら手を抜かない「WOOD JOB」。
藤原竜也と共に見事に騙された「22年目の告白」。
そして佐藤浩市とはまた違った芹沢鴨を演じた「燃えよ剣」。
ニヒルでキザな役柄もできる二枚目だが、基本的にはバカが付くほどピュアで男クサい役柄が誰よりも似合う俳優だと僕は思っている。
そして僕の中で彼のベスト作品は「ぼくの魔法使い」というTVドラマです。
クドカンの笑いを体現すべくとにかく「妻バカ」に徹する夫を、顔芸で表現するあの演技にはとにかく笑わせてもらいました。
そう彼はコメディ俳優でもあるのです。
そんな彼が「めっちゃ強いのに恋をしたことのない戦士」を演じるというのだから期待しかない。
気がかりなのはコメディ映画を撮ったことのない監督という点。
一体どんな映画になっているのか。
早速観賞してまいりました!
作品情報
「デトロイト・メタル・シティ」や「みんな!エスパーだよ!」などを連載してきた若杉公徳原作の同名コミックを実写映画化。
ノストラダムスの予言を信じ、週末の戦士となるべく修行をするも、世界滅亡が訪れなかったことにより「解散」を命じられた男たちが、東京の地で遅すぎた青春を爆発させていく、奇想天外のギャグ映画。
「もしも北斗の拳のケンシロウが恋をしたら」というコンセプトのもと連載された原作の通り、主演を演じる伊藤英明はじめ個性あふれるキャストが、肉体美と度を超えた演技で爆笑をかっさらっていく。
そのほかラブあり、アクションあり、歌ありパロディありと、これでもかというほど多様なジャンルを盛り込んで、爆笑百裂エンターテインメントを魅せていく。
おまえはもう・・・笑い転げている!
あらすじ
1999年7月に世界が滅亡するというノストラダムスの大予言を信じ、乱世の救世主となるべく、人里離れた地で、殺人拳・無戒殺風拳(むかいさっぷうけん)の修行に人生を捧げてきた男、勝平(伊藤英明)。
だが、世界が滅亡する気配など一向に感じられないまま、師範(古田新太)から突如「解散」を命じられた終末の戦士たちは、それぞれ東京の地へと流れ着く。
右も左もわからぬ大都会で、気弱な大学生・啓太(西畑大吾)を助けたことをきっかけに、天真爛漫な女子大生・山瀬ハル(上白石萌歌)と出会い、人生で初めて”恋”を知る勝平。
そんな勝平の前に、かつて共に修行に明け暮れた、守(大貫勇輔)・正義(山本耕史)・英雄(小澤征悦)ら最強の漢(おとこ)たちも現れて…。(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、平野隆。
TBSで働く映画プロデューサーで、TBSの映画事業部の礎を築いてきた方だそうです。
数々の映画をプロデュースし、ヒットを生んできております。
「黄泉がえり」、「ドラゴンヘッド」、「下妻物語」、「どろろ」、「余命一ヶ月の花嫁」などではプロデューサーとして携わり、他にも近年では「糸」や「老後の資金がありません!」、「99.9THE MOVIE」等にも製作で関わってる模様。
プロデューサーとして映画をヒットさせようと勤しんでいる中、いつか映画監督を、しかもコメディ映画を監督してみたいという願望を持っていたという監督。
少年時代からビリーワイルダー監督作品やメグライアン主演のロマコメを好み、「アニマル・ハウス」のようなスラップスティックコメディを愛してきたというだけあって、今回かなり気合を入れて製作されてる気概が見えます。
主演の伊藤英明とも何度も映画で仕事をしてきた間柄だそうで、色々ムチャぶりをしたのかななんて妄想しても面白いかもしれませんw
キャラクター紹介
- 勝平(伊藤英明)・・・本作の主人公。人類の救世主となるため、無戒殺風拳の修行に人生の全てを費やしてきた終末の戦士で、「獅闘流」の使い手。
- 山瀬ハル(上白石萌歌)・・・勝平の初恋の相手。天真爛漫で、誰に対しても平等に接する優しさとピュアさを持つ女子大生。
- 入間啓太(西畑大吾)・・・東京で一人暮らしをする、気弱だが心優しい大学生。街でチンピラに絡まれていたところを勝平に救われる。
- 守(大貫勇輔)・・・勝平と共に無戒殺風拳の修行を積んできた仲間。蛇戦流の使い手。
- 正義(山本耕史)・・・勝平と修行を共にした終末の戦士。最も体得が困難と言われる馬跳流の使い手。
- 英雄(小澤征悦)・・・終末の戦士の中でも最強と言われた勝平の兄弟子。龍咆流の使い手。
- 師範(古田新太)・・・1999年に世界が滅亡するというノストラダムスの大予言を信じ、救世主となる終末の戦士を育てるため勝平たちを鍛えてきた老人。一向に世界滅亡の気配がないため、「解散」を命じた。
- 矢木徹(倉悠貴)・・・啓太とハルの同級生。一見チャラそうだが、言動の裏には友人想いの一面も。
- 新井久美子(浅川梨奈)・・・啓太とハルの同級生。気丈でサバサバした性格で、恋に悩むハルの心に寄り添う親友。
- 柳田(橋本じゅん)・・・終末の戦士たちの戦いの場になぜか居合わせることが多い警察官。
- テルオ(森永悠希)・・・先輩警官・柳田と共に東京の地案を守る後輩警官。
- 掘田先輩(岡崎体育)・・・ハルが思いを寄せる大学の先輩。ハルとの関係に嫉妬した勝平に詰め寄られる。
- 武智(鈴木福)・・・正義と行動を共にする茨城のヤンキ―中学生。意外と強い。
- 和也(関口メンディー)・・・守が恋敵として一方的にライバル視するカリスマダンサー。
- 美麗(かなで)・・・守が一目ぼれする名古屋のダンサー。
(HPより)
とにかく笑わせてくれ!伊藤英明!!
それ以外は文句言わん!
ここから観賞後の感想です!!
感想
#KAPPEI #カッペイ 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年3月18日
こういう伊藤英明が大好きなんです。
いい筋肉だったぜ。 pic.twitter.com/EbYXcEgvMT
良い大人たちが本気で振り切って演じるから笑えるう~w
完全脳筋ギャグ映画だけど、大真面目に恋愛映画ですw
以下、ネタバレします。
恐るべし伊藤英明。
来るべき終末に備え己の限界を極めた戦士たちが、花の都大東京で「片思い」に苦しみながらも己との戦いに勝利し告白にこぎつける姿を、いい歳した中年俳優たちが真剣に演じることで、修行から解放された戦士たちの第2の人生が如何に素晴らしい人生なのかをマジマジと見せつけながらも、一般人からしたらその一挙手一投足がとにかくバカバカしい笑いへと表現されており、頭空っぽで見られる楽しい映画でございました!
週末の映画ブロガー・モンキーとして一体どれほどの娯楽作品になっているのか早速観賞してきたわけですが、やはり伊藤英明は期待を裏切らなかった。
程よくついたぜい肉の中にしっかりと膨れ上がった大きな筋肉。
ふんどし一丁でも決して恥ずかしがらず、来ない終末と流派解散の二文字に苦悩と悶絶の表情を浮かべるその眼差し。
短パンデニム姿で渋谷の街を闊歩してもぶれないキャラづくり。
片足を上げながら構える無戒殺風拳で感じ取れる体幹の良さ。
吹き出る汗と無精ひげがこんなにも似合う俳優が他にいるだろうか。
この映画のために仕上げてきたと言っても過言ではない役作りに脱帽だ。
そんな勝平演じる伊藤英明が、40代という中堅俳優のキャリアをこんな映画に捧げるとは一体誰が予想したことだろう。
劇中では、正に中学生のように「女」という生き物に現を抜かし、「初恋」という思春期の通過儀礼に苦悶し、同じく山瀬が好きな英雄との恋愛妄想に花を咲かせる。
世間知らずの田舎者が、何の知識もなく挑む片思いという役柄を、一体どんな気持ちで演じたのだろうか。
私には想像もつかない。
いや、想像以前の問題だ。
なんという気合の入れ方。
これでギャラが少なかったらと考えると怖くて夜も眠れない。
確かに彼くらいの年齢で初恋を経験してない者などいないだろう。
だから過去の経験でカバーできるわけだが、この年齢でやる場合「恥じらい」という思いが見え隠れする。
二回りも年の離れた若い娘に恋をし、対象を想うあまり風呂の温度が上昇し、二回りも離れた男に恋の相談をし、背中を押してもらう。
待て待て、そんな中年がどこにいる。
幾ら演技だから芝居だからといっても、ここまで振り切れるのには必ず理由があるはずだ。
彼の何が一体そうさせるんだ。
正直言えばクソ映画でもある。
福田雄一や英勉辺りが手を出しそうなギャグ映画を手掛けたのが初監督という不安要素はやはり的中。
ぶつ切りで進むエピソードやTV的なカメラアングル、コントまがいの笑いの間の取り方と顔面圧力で押し切るユーモア演出、過剰な独白や丁寧過ぎる場面説明など、いかにもTV局製作の映画であることは明白なわけで、映画的観点から言えば失笑の連続だった。
しかし伊藤英明をはじめとする終末の戦士たちを演じた俳優たちには頭が上がらない。
完璧に戦士を演じているのだ。
金髪ロン毛に上半身裸でサスペンダーという、絶対職質されるのが見え見えな格好で激しいダンスを踊り、勝平と同じく片思いに苦しむ大貫勇輔。
少ない体脂肪で美しいシックスパックを惜しみなく見せ、この支配から卒業できない歯がゆさに特攻服で校舎の窓ガラスを割りまくり、終いには尾崎豊を熱唱、ズボンのお尻の部分を破き、ひたすら尻を叩いて奥義を披露する山本耕史。
そして逆立つ毛髪に黒いマント、サイヤ人の戦闘服のような衣装で店の前に生えている雑草を食べ、ホームレスの如く空き缶を拾って生計を立てながらようやく好きな女性が働く店でアルバイトとして週7働き、今一体誰がこんなサプライズをするのかというほど見ていてこっぱずかしいフラッシュモブを本気で演じた小澤征悦。
皆恥じらいを捨て、活き活きとのびのびと「バカ」を演じているのだ。
以前「翔んで埼玉」や「テルマエ・ロマエ」というギャグ映画があったが、あれも役者が「大河ドラマ」のように真剣に演じることで笑いが生まれた作品だ。
やはり一般人が「ヘンだ」と思う役柄を「ヘン」に演じれば笑いは成立しない。
その笑いを生むためには己の恥じらいを捨て、役になり切ることが先決だということだ。
私は彼らを称賛したい。
唯一の不安は、彼らがそれに見合ったギャラをもらっているかだけだ。
こんなキャリアの汚点にもなりかねない作品に出演するのだから、もらえる者はもらってほしい。
観賞した者として、それだけが願いだ。
いやぁバカでしたね~w
固い話はこの辺にして、いやぁバカバカしい映画でしたね~w
具体的な中身の話になりますけど、そもそも終末の戦士ってどうやって集められたんですかね~。
小学生くらいの年齢から洞穴でひたすら修行をするわけですよ。
岩を砕くまで拳をぶつけたり、血だらけの熊とタイマンしたり、剣山でできた平均台の上を歩いて忍耐力をつけ、ろうそくの火が消えないように拳を振りまくるって修業なんですけど、そこで師範は「女という生き物」や「恋」とは何なのかを説くわけです。
女はお前たちより脂肪が多いから肉付きが違うと。
だからそんなのに目を奪われずに終末の戦士として戦え!と。
恋は好きな人の事で頭一杯になり、胸がチクチクしてしまうと。
だからそんなことで頭一杯になっては戦士として成り立たん!と。
しかも師範の例えが大体キャバクラ関連ていうw
この師範だけは、恐らくシャバでそれなりに人生経験してきたってことでしょうw
だから彼らが東京にできてきた時点でインプットされてる知識は師範だけってことなんですよ。
終末が来ないから、悪人がいないから、女性の肉付きに目を奪われ、好きな女の子のことで頭がいっぱいになり、人生を踏み外して尾崎豊に溺れていってしまう。
皆が師範の教えに背くんですよねw
一応道を踏み外してはならん!という気持ちはあるんですが、俗世の誘惑は計り知れず、好奇心も旺盛なわけで、時に案内所でお店を紹介されちゃうし、女風呂覗いちゃうし、不良になったり、ストーキングまでしてしまう。
でも修行で培った精神力のおかげで、いわゆる好きな女の子の前でついモジモジしちゃうためらいを突破するんですよ。
山瀬に好きな子はいるのか、山瀬に彼氏はいるのか、山瀬と先輩は付き合っているのか、山瀬は俺のこと好きなのかといった誰もが聞けずに悩んだ思いを、一つずつ精神力でクリアしていく姿ってのは、今正に誰かに恋してる人にとっては背中を押してくれる行為だったんじゃないかと。
こんな姿を見た目ヤバそうな中年集団が本気でやるから面白いんですよね~w
しかも話が進むごとに啓太の家に居候していくって流れもツボw
同志である守との戦いの後、圭太の部屋に勝手に連れ込んで介抱するんですけど、部屋中血だらけw
正義との戦い後も、「なんか落ち着くんだよなぁ~」といいながら雑魚寝をする正義w
せっかくバイトするために家を借りることができた英雄も、そこを引き払って啓太の家に転がり込んでくるw
恐らく金がないから飯代は啓太が出してるんでしょうね。
ひたすらカップヌードルでしたw
また同居人が増えたことでゴミの量も増えてるっていう細かい演出も、じわじわ来るんですよw
また彼らが体得した「無戒殺風拳」ですけど、それぞれ体得した流派が違うみたいで、守の場合はヘビの如く体内に毒が回るような拳法でしたし、正義は馬のような脚力が持ち味なんだけど、実践に向いてないっていうオチつきw
勝平と英雄はきっと最強の流派ってことでそこまでの笑いはないんですけど、纏うオーラが他とは違うようになってました。
殺風ということで、基本的には風を放つことで服を脱いでしまうほどの熱風を体内から放つことができるようで、チンピラ(マテンロウの2人が演じてました)たちが、喰らうや否やこぞって逃げ出してました。
しかも殺風拳を喰らった時の傷は殺風拳でしか直すことができず、病院に行っても治らないという厄介な技。
これらの技は、はっきり言って劇中では何の意味もありませんw
だって終末が来ないんですからw
しかも解散して以降、彼らは修行とか一切しないんですよね。
ドラゴンボールの悟空みたいに、いつ強い奴が現れてもいいように備えることはやらないんです。
それでいいのか終末の戦士w
また本作は「悪のいない世界で正義のヒーローはどうするべきか」という問いかけもあり、山瀬に言われた一言で勝平は救われていく流れになってます。
せっかく人生を大半を費やして備えてきたのに、無意味になってしまった。
一体これから俺たちはどうすればいいのかという疑問に答えを見出され、それを突き進んでいくわけです。
世界が平和なんだから、この俗世で思うように生きればいい、幸せになればいいと。
告白後の勝平の言葉は良かったですね。
初恋で失恋することなんてほとんどですけど、それを決して否定せず、告白までの過程を与えてくれたことに感謝をささげる。
仮に終末だったらこんな経験しないわけですよ、勝平は。
そりゃ感謝でしょうと。
幸せだったでしょうと。
最後に
終末の戦士たちによる遅すぎた青春は、思春期特有の通過儀礼を中年で迎えるという内膜だったわけですが、これだけではありません。
ちゃんとエンディングはハッピーな流れになってますw
備えあれば憂いなしとでもいうんでしょうか。
しっかり終末の戦士として活躍する姿が見られます。
不満ではないんですが、できることなら勝平の勇ましい姿を見て、自分も強い精神力と男らしさを身に付けよう!って決心をする啓太の姿があっても良かったのかなぁと。
彼もまた勝平と同じく童貞で、おそらく大学在学中は彼女が出来てなかったと思うんです。
ちょいちょいツッコミしたり、増える居候に怒りをあらわにしてましたけど、勝平が彼に与えた影響も大きいと思うんですよね。
完璧に真似せずとも、好きな人を作ってしっかり気持ちを伝える姿を見せれば彼の見せ場もできるわけで、その辺も考慮してほしかったですね。
とはいえ、頭空っぽでバカ笑いできるギャグ映画なんで、不満も願望も忘れましょうw
あ~しかしくだらないw
くだらない映画もたまには良いですよ。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10