キングダム
まーたコミック原作が映画化かぁ。
どうせ低クオリティなレベルの映画なんだろ?
レンタルでいいや。
・・・とは微塵にも思えない映画、の予感です。
製作決定当時、確かに大きな不安はありました。
ですが、出来上がった予告を見たとき、小さな期待が込みあがったのです。
雄大な自然と、映像の質感から感じるクオリティ。
感情を最大級に見せる役者陣。
中国戦国時代ならではの大スケールな舞台。
群れを成す無数の兵士。
ひときわ輝く剣をがむしゃらに振るう一人の青年。
必死の表情と真剣な眼差し。
おい、案外いけそうじゃねえか?
面白そうじゃねえか?
正直心をつかまされました。
日本映画で大スケールの作品を再び観られるのか。
毎度の事ながら、原作未読の小市民ではありますが、あくまで小さな期待をしております。
まさにコミック原作映画、侮るなかれ。
仲良くさせてもらってるフォロワーさんが言ってました。
監督は三振かホームランしかない。
わかる。
図書館戦争やGANTZのようなときもあれば、アイアムアヒーローのような良作を作れる人なんだよあの人は。
しかも今回とアイアムアヒーローに共通するのは海外ロケ。
多分関係ないと思うけど、良い映画作ったような予感です。
早速鑑賞してまいりました!!!
作品情報
紀元前の中国春秋戦国時代を舞台に、大将軍になる野望を胸に生きる孤児の少年と、中華統一を目指す若き王の二人を中心に、壮大なスケールで描かれる漫画「キングダム」。
累計発行部数3800万部を超える超人気コミックが、歴史エンタテインメント映画として製作された。
原作者・原泰久本人が脚本に参加、中国・象山影視城での撮影、巨大セットの作成、日本を代表するスタッフが集結し、かつてないスケールと完成度に仕上がった。
またアクションに定評のある監督が、今作もスピード感溢れる殺陣と、猪突猛進で剣を振りまくる主人公を、あふれ出す躍動感と共に描いた。
スペクタクルな映像の数々と、人間模様を見事に調和した、歴史エンタテインメント映画を決して見逃すな!
あらすじ
紀元前245年、春秋戦国時代。
「戦国七雄」と呼ばれる七大国【秦・燕・趙・斉・楚・韓・魏】が覇を競い、激しい戦いを繰り広げていた。
中華・西方の国・「秦」。
戦災孤児の信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、いつか天下の大将軍になることを夢見て日々剣術の鍛錬を積んでいた。
ある日、漂は王都の大臣である昌文君(高嶋政宏)によって召し上げられ王宮へ。
信と漂派別々の道を歩むことになる――。
王宮では王の弟・成蟜(本郷奏多)によるクーデターが勃発。
戦いの最中、漂は致命傷を負うが、何とか信のいる納屋へたどり着く。
「お前に頼みたいことがある」
血まみれの手に握られていたのは、ある丘に建つ小屋を示す地図だった。
「今すぐそこに行け!お前が羽ばたけば、俺もそこにいる・・・。信!俺を天下に連れてってくれ・・・」
力尽きる漂。泣き叫ぶ信。
漂が手にしていた剣とその地図を握りしめ、信は走り出した。
走る先に何があるのかもわからず一心不乱に走る信。
たどり着いた先で、信の目に飛び込んできたのは、なんと冷静にたたずむ漂の姿だった!?
死んだはずの漂がなぜ?
「お前が信か」
そこにいたのは、王座を奪われ、王都を追われた秦の若き王・嬴政(吉沢亮)だった。
その嬴政に瓜二つの漂は、彼の身代わりとして命を落としたのだった。
激高する信だったが、国を背負う嬴政の強さと漂の遺志を受け止め、嬴政と共に行動することを決意。
2人は王宮を奪還するために立ち上がる。
しかし、それは嬴政にとって、路の第一歩に過ぎなかった。
中華統一。
戦乱の世に終わりをもたらす、未だかつて誰もが成し遂げていない、とてつもなく大きな夢を嬴政は心に宿していた。
信は天下の大将軍を、嬴政は中華統一を。
その夢は途方もない修羅の道。
若き二人の戦いの火蓋が切られた――。(HPより抜粋)
監督
今作を手がけたのは佐藤信介。
今、日本のアクション大作をやらせたら彼しかいない!、と思ってしまうほど、アクション描写を素晴らしく撮るお方。
肉弾戦もガンアクションも殺陣も、細かいカット割りでリアルに描く手腕は、今後の日本映画で重宝されることでしょう。
しかし、お話の方がまだうまく描けないのか、良作と駄作の割合が半々、いや、駄作の方が多い・・・のかもしれない。
とはいえ、近年の「アイアムアヒーロー」や「いぬやしき」は、ファンタスティック映画祭で評価されたり、映画ファンを唸らせる作りだったりと、決して簡単に「駄作ばかりの監督」とは切り捨てられない方だと思ってます。
近年は「いぬやしき」、「BLEACH/ブリーチ」を手がけてましたが、果たして今作は良作か駄作か、どっちに転ぶのやら?
監督に関してはこちらをどうぞ。
キャラクター紹介
- 王派/若き王、嬴政支える一派。
・信(山崎賢人)・・・戦争で身寄りをなくした孤児ながら、幼馴染で親友の漂とともに武功を上げて「天下の大将軍になる」ことを夢見る。漂の王宮行きをきっかけに、秦王・嬴政と出会う。
・嬴政(えいせい)(吉沢亮)・・・秦国の若き王。後の始皇帝。腹違いの弟・成蟜が起こした反乱により王宮を追われる身に。その胸の内には“中華統一”という熱き情熱を秘めている。
・漂(吉沢亮)・・・嬴政の影武者となる。信の幼馴染で親友。
・河了貂(かりょうてん)(橋本環奈)・・・鳥を模した不思議な蓑を被った、山民族の末裔。金目当てに信・嬴政と行動を共にする。
・昌分君(しょうぶんくん)(高嶋政宏)・・・嬴政に忠義を誓うただ一人の信頼できる大臣。嬴政の替え玉として漂を王宮へ連れて行く。
・壁(へき)(満島真之介)・・・昌分君の副官であり嬴政に忠誠を尽くす武将。
- 山の民
・楊端和(ようたんわ)(長澤まさみ)・・・山の民を武力で束ねた、美しき山界の王。その存在は謎に秘められている。敵なのか?味方なのか・・・。
・バジオウ(阿部進之助)・・・双刀を扱う山民族ナンバー2。
・タジフ(一之瀬ワタル)・・・山民族有数の怪力の持ち主。
- 王弟派/嬴政の弟・成蟜を支持する一派
・成蟜(せいきょう)(本郷奏多)・・・嬴政の異母弟。父母共に王族の血を引いている自分こそが王にふさわしいと考え反乱を起こす。
・竭氏(けつし)(石橋蓮司)・・・秦国左丞相で成蟜の腹心。
・肆氏(しし)(加藤雅也)・・・竭氏の参謀であり反乱の指揮を執る。
・魏興(ぎこう)(宇梶剛士)・・・王弟の群を率いる武官。
・左慈(さじ)(坂口拓)・・・王弟側の凄腕の剣豪(元将軍)
・ランカイ(阿見201)・・・成蟜が飼い慣らす人ならざる姿をした巨漢。
・ムタ(橋本じゅん)・・・毒矢を武器とするベッサ族の刺客。
・朱凶(深水元基)・・・嬴政の首を狙う暗殺者。
- 王騎軍
・王騎(大沢たかお)・・・六大将軍最後の一人。王宮内の権勢争いには全く興味を示さず、血が沸き立つような戦場のみを求める得体の知れない人物。
・騰(とう)(要潤)・・・王騎に常に付き従う副官。
日本人が中国人を演じても、同じアジア人ですから違和感がないですもんね。
また、クライマックスの奪還バトルは,凄いことになってるのでしょう。
とりあえず原作読んでから行こうかな、これはさすがに。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
夢を夢のまま終わらせない二人の熱さにやられたぜ!
色々言いたいことはあるけど、まずは成功させたことに拍手を送りたい娯楽作品でした!!!
以下、核心に触れずネタバレします。
2人が熱い。
戦争孤児という底辺の世界から、いちばん強い奴を目指すという大きな夢を抱く少年と、誰も成し得たことのない大望を抱く若き王が利害関係のもとに手を組み、多くの血が流れてしまった壮大な兄弟喧嘩の決着を付けるべく、命を賭けた熱き野望の行く末を描いた物語を、映像美、海外ロケーション、CG、アクションなどなど、あらゆる面で東宝とソニー2社の提携配給の予算だからできた、大スケールによって見事にはまった騒乱の序章的映画でございました。
全容はめっちゃ簡単なお話で構成されていましたね。
ざっくり言えば、互いの夢を叶えるために地位とか身分とかまずは置いといて、タッグを組んだ二人が根性と努力とポテンシャルと知識と策で王座奪還へ向けて突き進んでいく物語。
さすが集英社の王道バトルもので、「努力・友情・勝利」の三原則に沿って、熱い熱い言葉で語られる様は、誰でも共感できるし誰でも胸を熱くさせる要素を持ったお話だったのではないでしょうか。
とにかく信という男が好きだ。
一番低い身分である奴隷だった彼が、いつか天下の大将軍になってみせると剣の稽古をかかさず鍛錬し、死んでしまった親友の夢を背負って邁進していく姿は、今いる自分の立ち位置で満足している者、どうせ何をやっても変わらないと嘆いて何もしないでいる人たちに、努力を積み重ねていけばきっと道は拓けるということを身を持って教えてくれる。
また、ONEPIECEのルフィやドラゴンボールの悟空のように賢くはないが、時に芯を突く発言で周囲を納得させる風格を漂わせることで、彼がいることで何かが変わるかもしれない、四面楚歌であるこの状況を打破してくれる存在なのかもしれないという希望の光も見せてくれる。
そして我流で磨いた荒削りの剣裁きは、一見がむしゃらで乱暴で無鉄砲な戦い方に見えるが、何度押されても倒れても敵に向かっていく、むき出しの闘志が心を掴んで離さない。
これを山崎賢人が見事に熱演。
確かに演技の圧力が鼻についてしまう人もいるかもしれないが、これだけ切迫した状況の中で終始アドレナリンが出た状態を保って演じられることはとても至難の業であり、頭よりも体が本能的に動き、学の無さ、礼儀の無知さが、表面からあふれ出ているやんちゃな男・信というキャラクターを十二分に理解し演じていた。
そのうえ、軽やかな身のこなしと高らかに跳躍して相手に挑んでいくアクロバティックなアクションシーンは本当に素晴らしかったと思う。
信と対照的な男・嬴政もまた熱き野望を抱いたキャラクターとして魅力的だった。
冷静に事態を把握し戦況を見守る彼は、動としての信とは違い、静で観衆を魅了させる。
頭に血が上ったままの信に一言アドバイスすることで落ち着かせたり、山の民と協定を結ぶシーンでも、国がしてしまった過ちを詫びながらも、自分の野望を引き合いに説得を試みる姿、8万もの兵が待ち構えている城をどう攻略するかの作戦を、誰もが予想しない策で勝機に導く知性、仲間の勝利を信じればこのピンチは必ず報われる、だから決して引くなこらえろと味方を鼓舞するリーダーとしての振る舞い。
大望を持った者だからこそできる野心で、冷静さと賢さを持った者だからこそできる采配を見せてくれた。
彼を演じた吉沢亮もまた嬴政がもつ魅力を存分に発揮していたように思う。
本編ではほとんど笑わず常に真顔。いつ何が起きてもいいように周囲に目を配り平常心を保つことで信を時に叱咤し時に励ます。
人の上に立つ者の風格と、威厳と力ではなく統率する者ならではの強さ、誰も成し得たことのない野望を胸に秘めた者だからこそ、引くことをしない屈強な精神を持ち合わせた、一国の王に相応しい演技だったように思う。
このバディが持つ熱い夢と野望が、大スケールで行われる内乱の物語に、身分や血統ですべてが決まるわけではない、努力を怠らず仲間を信じ突き進んでいけば必ず道は拓けるというロマンを魅せてくれる。
映像に収めただけで本作は十分に成功したのではないかと感じた作品でした。
好きなエピソード。
山の民との協定を結ぶシーンでは、かつて400年前に決裂した同盟に、未だ恨みを持つ山の民を嬴政がこう説得する。
「結局は民族が違うから、身分が違うから、争いや諍いが起きる。
ならばその国境とやらを無くしてしまえばいい」、と。
これまで幾度となく異なる者たちが交わった時に血が流れた、だから再び山の民と手を結ぶということは容易ではないし、自分の首一つとったところで何も変わらない。
ならば、我々の先祖が成し得られなかった夢を我々が叶えればいいのではないか、と。
そのために血が流れることは仕方ないが、このままだと再び続いてしまうであろう戦乱の500年の犠牲を考えれば、やってることが正反対だとしても正しいことだ、と。
ここでは何十万も率いる山の民のトップ・楊端和を説得させるためのセリフなんだけど、実際は嬴政の夢の暴露とも取れるシーンだったし、信が信なりの言葉で再び説得を試みるっていう三者の言い分がぶつかり合ったシーンで、今でも存在する分断された世界にこれだけ強いリーダーがいればいいなぁ、と置き換えて見ても頼もしいし、信と嬴政と楊端和とのやり取りによってキャラが際立った場面でもあったように感じます。
見せかけの戦国映画。
今回東宝とソニーピクチャーズが出資して配給された大作映画。
雄大な自然や山の民が住んでいるアジト、クライマックスで激戦を繰り広げた中国のお城でのシーン、8万もの兵を見せることで敵の強さをまじまじと感じさせるカットなど、潤沢な予算で作られたんだろうな感じさせる映画でしたが、やはり本場中国の歴史大作映画と比べてしまうとだいぶショボいな…とも思ってしまうのが僕の極々小さな不満。
実際は8万人の兵士とだだっ広い平地で戦う構図などなく、作戦によっていきなり城の中の本陣に行って狭い空間で戦うってことになってるし、雄大な自然がバックに映るけど、景色を存分に活かしきれていないってのを見ると、日本映画の予算の限界を見てしまった感があります。
確かにアクションシーンは時間の懸け方と重点を置いた部分ではあります。
冒頭での2人の剣術、送り込まれた刺客に立ち向かう二人、竹林の中で戦う信と1対1のバトルから、最後は城の中で繰り広げられる50人VS無限増殖を繰り返す敵兵との終わりの見えない戦い。
一人一人のアクションは際立っていてかっこいいんだけど、長回しであまりとってないんですよね。
やってる場面もありましたけど、抜け道の中で戦う信とランカイのシーンだけ。
できれば城の中でやりあっている嬴政たちのシーンで、上からドローンカメラなりクレーンカメラで上から撮ることで人数の多さを見せる演出をすると、スケールをより大きく見せられたんじゃないかなと。
カメラを縦横無尽に動かしながら、長回しやって連係プレーみせるとか、どこで誰が戦っているとかを解らせるように見せたら面白いのになぁと。
これになぞらえてもっと言うと、カメラがほとんど正面からしか撮ってないんですよね。
高さ的に言うと、人間と同じ目線でしか撮ってないというか。
被写体に近いのは今の日本映画特有のものになってるので、いちいちツッコまないですけど、これだけのロケーションがあるのだから、もっと高い場所から映せよと。
多分それをやっちゃうと、実際は大して密集してなくてショボさが出ちゃうってのをわかってるから、隠すためにやっているんでしょうけど。
嬴政たちと敵兵が一触即発になるシーンでも、互いが大勢で向かう時に上から映すシーンとかがあるとダイナミックさがでるのになぁと。
そう思ってしまうのは、中国の歴史もの大作映画でよく見る部分をイメージし過ぎているからこんな考えになってしまうわけで、あくまで日本で作られた映画なわけですからこんな注文や指摘はしちゃいけないんですよね。
でも、もし続編が作られるのであれば、大群と戦う描写は絶対必要になってくるんでしょうから、見せかけにはできないわけですし、避けて通れないわけで。
予算の限界が見えたとか言ってしまいましたが、日本映画のさらなる可能性と発展を望む映画好きの端くれとして、続編では是非僕が望む光景を見せてほしいと願っております。
最後に
結局原作未読で臨んだ今作でしたが、逆に見てない方がヘンな先入観なく見れたと思ってるし、何より序章として非常にわかりやすい物語構成で、アクション満載で誰でも入りやすい娯楽大作になっていたと思います。
是非大ヒットして続編製作に繋がって欲しいなと。
しかし楊端和演じた長澤まさみが強く気高く美しくそしてエロかったなぁw
あと大沢たかお演じた王騎ってああいうちょっとオネエ入ったキャラなんですか?
若干口紅塗っていたようにも見えてしまって余計にそう思ってしまいましたw
観て損はない作品でしたし、原作ファンもきっと満足できる内容だったと思います。
というわけで以上!あざっした!!
…なんと!
続編決定とのこと!!
これは楽しみです!
より予算をかけて大スケールで描いて欲しいですね!
期待して待ちましょう!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10