モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「ウィーアーリトルゾンビーズ」感想ネタバレあり解説 生きながら死んでいるキッズの感情を探す冒険。

6月14日

WE ARE LITTLE ZOMBIES/ウィー・アー・リトル・ゾンビーズ

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インディペンデント映画の祭典とされ有名な「サンダンス映画祭」で何やら日本人監督がグランプリを獲ったってんで、去年から話題だった監督の長編デビュー作品がいよいよ本国日本で航海でございます。

一体どんなだろうと予告を見たらあれま‼奇想天外な青春音楽映画ではありませんか。

果たして俺はこの世界観を理解できるのだろうか、とちょっとばかし困惑しております。

 とはいえ、僕らのなじみの深い、というか僕らが子供のころ慣れ親しんだファミコンRPGを彷彿とさせる演出に、少年少女がバンドを組んで世界を席巻するというワクワク感。

一体どんな物語なのか楽しみですし、なぜこれが世界で評価されるのかってのも意識しながら観れたらと思っております。

 

しかしまぁ子役たちはあの映画に出てた子だ!だし、脇を固めるキャスト陣がどれもこれも豪華ではありませんか。

この前観た「町田くんの世界」みたいだ!

というわけで早速鑑賞してまいりました!!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

かつてタランティーノやデミアン・チャゼルといった世界的フィルムメーカーを発掘し、今もなおインディペンデント映画最高峰の祭典とされる「サンダンス映画祭」でショートフィルム部門グランプリを獲得した監督の長編デビュー作が公開となる。

両親を亡くすも悲しむことができなかった、まるでゾンビのような少年少女がバンドを結成し、世を席巻していく規模になり翻弄されていく姿を、監督の独創的な世界観によって描かれていく。

 

死んだような心を持ったティーンズたちはこの冒険を経てどう成長していくのか。

 

ゲーム、音楽、青春が融合し、イマジネーションを刺激する革新的ポップカルチャームービーが誕生した!!

 

WE ARE LITTLE ZOMBIES

WE ARE LITTLE ZOMBIES

 

 

 

ウィーアーリトルゾンビーズ

ウィーアーリトルゾンビーズ

 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 これは、こころを取り戻そうとする冒険の記録。

 

両親が死んだ。悲しいはずなのに泣けなかった、4人の13歳。
彼らはとびきりのバンドを組むと決めた。こころを取り戻すために—

 

出会いは偶然だった。よく晴れたある日、火葬場で出会った4人。

ヒカリ(二宮慶多)、イシ(水野哲志)、タケムラ(奥村門士)イクコ(中島セナ)。
みんな、両親を亡くしたばかりだった。

ヒカリの両親はバス事故で事故死、イシの親はガス爆発で焼死、
タケムラの親は借金苦で自殺、イクコの親は変質者に殺された。 
なのにこれっぽっちも泣けなかった。まるで感情がないゾンビみたいに。

 

「つーか私たちゾンビだし、何やったっていいんだよね」 
夢も未来も歩く気力もなくなった小さなゾンビたちはゴミ捨て場の片隅に集まって、バンドを結成する。

その名も、“LITTLE ZOMBIES”。
やがて社会現象になったバンドは、予想もしない運命に翻弄されていく。

 

嵐のような日々を超えて、旅のエンディングで4人が見つけたものとは―

 

超音楽冒険RPGムービー、完成。(なにそれ)

 

youtu.be

 

 

 

 

監督

今作を手掛けたのは、長久允

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CMプランナーを経て映画製作へと進んだ監督は、短編映画「そうして私たちはプールに金魚を」でサンダンス映画祭ショートフィルム部門グランプリを獲得します。

なんとこれ日本映画では初の事だそうです。

その後今作を手掛け、再びサンダンス映画祭に出品し審査員特別賞を受賞。

ベルリン国際映画祭でもジェネレーション部門にて上映、特別表彰を受けました。

海外ではその独創性から「ネオジャパニーズ」と称されてるそうですが、一体どんな映画になってるのか、てか、ついていけるのかオレ!

 

とにかく今後の活躍に期待ですね。

 

 

 

 

 

登場人物紹介

 

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左上より。

  • ヒカリ(二宮慶多)・・・13歳。そうび:ポケットゲーム。LITTLE ZOMBIESのボーカル。
  • イシ(水野哲志)・・・13歳。そうび:ママの中華鍋。LITTLE ZOMBIESのドラム。
  • タケムラ(奥村門士)・・・13歳。そうび:メルセデス自転車。LITTLE ZOMBIESのベース。
  • イクコ(中島セナ)・・・13歳。そうび:冷たい目つき。LITTLE ZOMBIESのピアノ。
  • 高見弦(佐々木蔵之介)・・・ヒカリのパパ。広告プロデューサー。
  • 大田理恵(工藤夕貴)・・・ヒカリのオバ。とくぎ:泣き叫び。
  • 望月悟(池松壮亮)・・・LITTLE ZOMBIESのバンドマネージャー。すみか:ごみ処理場。
  • 江口栗子(初音映莉子)・・・LITTLE ZOMBIESのバンドマネージャー。にがて:食虫植物。
  • 竹村倫太郎(村上淳)・・・タケムラのパパ。:家庭内ぼうりょく。
  • 竹村南(西田尚美)・・・タケムラのママ。そうび:きれる包丁。
  • 加茂慶一郎(佐野史郎)・・・LITTLE ZOMBIESのプロデューサー。とくぎ:責任のがれ。
  • 伊武侑子(菊地凛子)・・・イクコのママ。とくぎ:残酷なささやき。
  • 伊武春彦(永瀬正敏)・・・イクコのパパ。じゅもん:パパと結婚してよ。

ほか出演者多数。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生きてるのか死んでるのかわからない状態のちびっこゾンビたち。

一体どんな冒険を繰り広げるのか。

そして独創性あふれる監督の世界観とは!

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

感想

ん~!!斬新っ!!

人生という名の冒険にリセットはねえんだから少しでもマシな人生にする努力しろ!ってこの子たちにお説教されちゃったよ!がんばろ。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

独特の世界観。

両親を様々な理由で失った4人の13歳の少年少女が、生きたまま死んでいる感情を抱きながらもバンドを組んで社会現象を生んでしまい、その社会から翻弄されていく姿を、8bitサウンド満載のBGMで彩りながらまるでファミコンRPGをしているかのようなピコピコピコピコ展開される独特の世界観で演出を計った斬新さを味わえ、親からどんなに愛されてなくたって世間から冷たくされたってそれはお前らの人生なんだからせっかく生きてるなら死んだみたい生きるなんてもったいないぜ、無理ゲーだけど無理ゲーかどうかはお前次第だぜ、と子供たちに背中を押される青春映画でした!!

 

鑑賞しながら感じたのは、監督さん、電通出身のCMディレクターってことで、どこか中島哲也の低予算版を見てる感覚。

カメラは基本シンメトリーが基準で演者目線しかも超近距離。そこにビビッドな色合いでカラーリングして異世界を表現してるかのような映像。

RPGっぽくドット文字で言葉が表示されたりフィールドをパーティーが歩くのも正にドラクエさながら。

そこにエピソード文節的にを細かく短く入れることで冒険感を味わえるのもいい。

そして怒涛のカット割り。やはり短いCMで情報を伝える方ならではの作り方が随所に見て取れたのも注目ポイント。

例えばホームレスが楽器演奏して歌い出すところやリトルゾンビーズのPV映像、終盤の胎内から生まれるゴミ収集車のメタファーなんかもそれにあたるかな。

またこの映画には一切の行間が無いのも特徴。

とにかく限られた時間に目いっぱいの映像やセリフなどの情報量で我々に語ってくるので、なれてない人は疲労感がどんどん蓄積されてくる可能性もあるんだけど、この映画のテーマ性を考えると、人生に行間なんてねえ!ってことにも繋がってくるような気がして、そのせいもあって説得力はすごいよなぁと。

そんなビデオゲームやCMの良さを映画という枠にはめて作った感じの、正にネオジャパニーズな作品でございました。

 

 

 

両親を失った子供たち。

構成としては4人の子供たちが火葬場で出会い、同じ境遇にシンパシーを感じ行動を共にするというモノ。

それぞれの家を渡り歩きながら4人の生い立ちを描くという序盤から、物語は一気にバンド結成へと向かっていきます。

 

もう登場人物の子供たちがねみんな無感情で。心が死んでるというか。

いや自ら殺して生きているって感じ。

 

ヒカリは学校でいじめられて、家では両親が自分のことばかりでマッタクヒカリを相手にしていない。

そこから自分は愛されていないんだという感覚に陥り葬式で両親が死んでも涙が出ない、という状態。

イシは家が火事で両親を亡くしてしまったわけですが、特にやりたくもない空手道場のあと家で必ず食べるチンジャオロースって定番の流れが、突如悪夢になったことで食べ物の味がしない障害を追う羽目に。

タケムラは自営の工場が経営難のせいで家族に暴力をふるう父親に怒りを抱いて生活。その両親が自殺したことでひとり身に。

イクコは本人曰く無差別恋愛に悩まされており、自分は何の感情もないのに目の前の男たちを翻弄してしまうことから母親に邪魔者扱いされ、彼女のロリコンストーカーにより両親は殺されてしまうという顛末。

 

みんな家族の事情によって心を殺さなければ生きていけなかったんだろう、と察することができる人生を送って生きていたわけです。

劇中ではみんながみんな起伏のないセリフで会話し、なにかとあれば「ダサっ!」と一刀両断。エモいって言葉はもはや死語のようでなかなかショック。

無感情と言ってますが、どちらかというと世の中に唾を吐き捨てるかのような感情が横行していて、人生とか社会とか大人とか自分の周り全てを小バカにしているような感情ですかね。ある意味達観してる八日、何か超越してるかのような。

 

そんな彼らが自分をバカにしてきた奴らに一矢報いるための起死回生の策ってのがバンド結成。

今の僕らには何もないし何も感じない、目の前に広がる世界は灰色で、この先の未来も何もない、手から伝わる温もりも過去の楽しい思い出も、夢も希望の何もない、生きてるのに死んでいる、それが僕らリトルゾンビーズ!!

これを長回しで撮影し、しっかり演奏している彼らの演技も素晴らしく、ここもさすが監督といったところ。

何もないしかない!を高らかに歌う彼らのエモーショナルな歌詞と、独特なアレンジ、耳の残るサビのフレーズはまさかの音符ナシ。

どこか電気グルーヴのNOを思わせる自虐ぶりな歌詞に何度もリピートしたくなる中毒性も併せ持つこの歌。

気が付けばSNSで拡散され世のキッズたちを夢中にさせるまでの現象に。(キッズアーオールライト!)

 

この辺りから彼らの物語とは別に、消費されるポップカルチャーとそれを仕掛け搾取する大人たちの戦略の醜さとか、彼らの詩には酔いしれるけど彼らの置かれた人生には共感しないといったエンタメと社会を切り離したような世間の冷たさとか、スマホばかり見て視界を狭めてる通行人をゾンビに見立てたり、アルバムのタイトルから彼らの人生をめちゃくちゃにした犯人を探し出し追い込んで成敗するSNS警察的ヤカラといった風刺などが目立つ光景が徐々に露わになっていくんですね。

 

彼らがこんな人生になってしまったのは果たして親のせいなのかそれとも救いの手を差し伸べない社会なのか、そんなことまで飛躍していく展開は、終始ポップで煌びやかな表面的な映像とは裏腹に、人の死や世間の反応の冷たさ、登場人物の血の通ってないセリフなど常に居心地の悪さを抱えながら進んでいきます。

 

 

 

これは僕の好みではない。

ここからは僕の感想。というか問題点。

序盤こそ淡々とキャッチーでポップな画作りに感心しながらみていたものの、これを120分も観るってのは正直きついです。

もちろん上で書いたように素晴らしい点は多々あり、今だからこそ評価されるであろう世界観と現代的なテーマなんだってのは見ていてものすごく理解できる。

では映画としてこれはアリなのかナシなのか、僕の物差しで言えばナシ、にしたい。

端的に言えば物語性が圧倒的に足りない。

親の死によって感情のない彼らがバンド結成、社会現象にまで発展し、それを無かったことにされ、これからどう生きていくのか、という絶望からの再生、成長、といった部分の転換部分、変わるきっかけのようなものがはっきり明確に描かれていないわけです。

せめて結末だけでも感情的にエモーショナルに登場人物4人がなれば納得するんだけど、そういう変化はどこにもなく、淡々と物語は幕を閉じるわけで。

 

またやはりCM出身の監督あるあるなんだけどひとつひとつのエピソードに力を入れて、それを切って貼ってってやってるもんだからずっとクライマックス感があるし、ツナギの部分が明らかに見えてしまって、正直くどくなってしまっているように見えます。

ただでさえ淡々と進むしずっとキラキラしてるような非日常感を演出してるから余計目立ってしまうというか。

メリハリはやっぱり必要でもうちょっと波を作ったらより物語になるのかなと。

 

最後に

あくまで今あげたのは僕の好みから見るこの映画の弱点であって、僕自身が古い考えの人間であって、こうした新しいジャンルの映画にどうしても抵抗したくなってしまう性分であって。

もちろん監督のチャレンジスピリッツは買ってるし、これからもこういう題材で斬新な世界観で、さらに研磨して素晴らしい作品を世にはなってほしいと、影ながら応援はしたいです。

今回は長編デビュー作ということで、甘めの満足度ってことで。

 

あ、こういうこと言うと変態か、って言われそうだけど、中島セナは確かに無差別恋愛を起こしてしまう魅力はあるよw

これはナイスキャスティングだと思います。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10