プロジェクト・パワー
いきなりですが、5分だけスーパーパワーが得られるとしたらどんな能力がいいでしょうか。
透明人間になれたり、瞬間移動出来たり、空を飛べたり、鋼の肉体を手に入れられたり、透視能力なんてのもいいですよね。
ちなみに僕が欲しい能力は、「時間を止める」能力です。
・・・別にいやらしいことするわけじゃないですw
色々できると思うんですよ。
止まってる間に、掃除とか洗濯モノとか家事を済ませておくとか、メシをさっさと済ますとか、ちょっとしたイタズラしたりとか(もちろん度を超えないヤツ)、それこそこうやってブログ書く時間に充てるとか。
単純に、時間のかかる作業を時が止まってる間に済ましてしまいたいってのが一番の願いです。
一番は、時間を止めて寝たいですw
でも5分じゃ足りねえww
きっとこんな能力あったらいいのになぁ、ってのは男の子でも女の子でもそうでない人も願望ってのはあるのかなと思います。
今回鑑賞する映画は、そんな「5分間だけスーパーパワーを得られる」薬で蔓延する街を、平和のために守る人たちのお話。
一見ヒーローものかと思いきや、犯罪モノの映画のようです。
ドラッグのメタファーのようにも感じますが、社会的な問題も孕んだ作品とかになっているのでしょうか。
早速自宅にて鑑賞しました!
作品情報
Netflix製作のスペクタクルアクション。
飲むと5分間だけ超能力を得られる薬が出回る街を舞台に、警官や元傭兵、売人の少女が、それぞれの思惑を胸に、そして街の危険を救うために奔走する姿を描く。
様々なスーパーパワーを駆使した者たちが、斬新な技と怒涛のアクションで繰り広げるシーンは必見だ。
ホラー映画でキャリアを積み、今後ゲーム発の大作映画を製作することが決まっている監督が、科学的に人間を進化させることへの代償や倫理感を下地に、エンタメチックに仕上げた。
平和のために立ち上がった3人は街を元に戻すことができるのか。
そして薬を開発した組織の恐るべき計画とは。
あらすじ
摂取した者に5分間だけ超人的な能力を与える謎の薬。
しかしどんな能力を手に入れるかは、飲んでみないと分からない。
さらに副作用により死に至る場合もあるという、危険な薬物。
謎の組織によって製造されたこの薬は、瞬く間にニューオーリンズの街中に拡がり、その能力を利用した犯罪も多発し始める。
新しい仲間を支援しつつも、薬物の背後にある謎の組織から娘を救うために元傭兵(ジェイミー・フォックス)、地元警官(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)、そして、売人の少女(ドミニク・フィッシュバック)といった荒くれ者たちが立ち上がる。
果たして、謎の組織は何を企んでいるのか。
3人が無事ドラッグにまみれ汚れた街を、元に戻すことはできるのか。(ウィキペディアより引用)
監督
今作を手掛けるのは、ヘンリー・ジューストと、アリエル・シュルマン。
パラノーマル・アクティビティ3と4を手掛けたのちに、自身を撮影しながらネットオンラインゲームで一攫千金を狙う若い男女2人を描くことで、ネットで自身をさらけ出すことに何の躊躇もない若者たちに警鐘を鳴らした「NERVE ナーヴ 世界で一番危険なゲーム」を製作しました。
EDMで観衆の鼓動を煽り、自撮りやウェブカメラなどを上手く利用することで、スピーディー且つ現代的な視点で楽しませてくれましたね。
またSNSでの過激な発言や相手への誹謗中傷、動画でのモラルを逸脱した行動など、匿名による攻撃的な姿勢と欲求やリテラシーの低さなど、今問題になっているネット問題を、「危険なゲーム」を盛り上げるための要素としてうまく盛り込んでいます。
ゲームの内容も非常に面白く、常識を超えたものもありますが、確かにリアルタイムで見たら興奮してしまうってのも理解できてしまうなぁと思える内容。
90分でサクッと観られる利点もあって、おすすめです。
監督たちは、今回脚本を手掛けたマットソン・トムリンと共に、カプコンが生んだ人気アクションゲーム「ロックマン」のアメリカ版「Mega Man(原題)」の監督にも抜擢されてます。
アニメーションでなく実写だそうで、「バイオハザード」を筆頭に、自社コンテンツをどんどん映画化していくカプコンが、満を持して製作するわけですから、かつてゲームを愛した身として、非常に楽しみです。
キャスト
過去に娘を奪われたことで復讐を誓う元傭兵、アートを演じるのはジェイミー・フォックス。
「Ray/レイ」でアカデミー賞主演男優賞を受賞してから一躍有名になりましたが、その後の出演作品て、あまり恵まれてない気がします…。
とはいえ、「ジャンゴ 繋がれざる者」以降の彼って、俳優として自由度が上がったというか、アクが出たというか、貫禄が出てきたなぁと。
それこそ、この後の「アメイジング・スパイダーマン2」でヴィランやったり、「ベイビー・ドライバー」での怖さも板についてたし、「ホワイトハウス・ダウン」なんかユーモアも効いた大統領やってましたし、主演やってなくても存在感を出せるようになったのかなぁと。
すげえ上から目線ですいませんw
ちなみに僕が彼の作品で一番好きなのは「路上のソリスト」です。
彼に関してはこちらもどうぞ。
今後はピクサーの最新作「ソウルフル・ワールド」で主演の声を担当します。
他のキャストはこんな感じ。
地元警官のフランク役に、「インセプション」、「ザ・ウォーク」のジョセフ・ゴードン=レヴィット。
売人の少女ロビン役に、ドラマ「DEUCE/ポルノストリート in NY」シリーズの、ドミニク・フィッシュバック。
他、「300(スリーハンドレッド)」のロドリゴ・サントロなどが出演します。
いろんな能力を持つ人物が出てくるだけでもワクワクしますし、視覚効果なんかも気になりますね。
モンキー的には久々のJGLなんで、倍で楽しみです。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
中々のスーパーパワーに、CG描写と色味がすげえ!
でもさ、もうちょっと条件付けたほうが面白かった気が・・・。
以下、ネタバレします。
街で実験しやがって!
ジェネシス号なる船から降りてきた謎の男。
ドラッグの売人らしき人物たちを集め、自社で作り出した謎の薬「パワー」を無料で提供し、売りさばいて来いと命じます。
街は6週間の間に様々な事件が勃発。
911にかかってくる内容はどれも人間離れした犯罪者らによる凶悪事件。
不穏な空気が漂う事態に。
一方その頃、ラップを決めながら謎の薬「パワー」を売りさばく一人の少女。
「バード!」と叫びながら暗がりの街を歩く少年たちを脅し、500ドルで薬を売ろうと近寄りますが、彼らは3人がかりで彼女に暴行を働き、バッグごと薬を盗もうとします。
すると、オンボロのバイクでNOPD(ニューオーリンズ警察)の警官フランクが登場。
薬を飲んで抵抗しようとする少年らを制止し、無事少女を保護することに成功します。
少女の名前はロビン。
フランクとは薬を提供する代わりに、こうした犯罪を防ぐ仕事を秘密裏に行っていたのです。
オンボロのバイクを彼女にプレゼントし、ロビンは翌朝学校へ登校します。
所変わって、こちらもオンボロの車に乗って登場する謎の男。
彼はニュートという男の居所を探していました。
グラフィティアートで塗りたくれらた団地の最上階の一角にある部屋を訪ねた謎の男は、フードを深くかぶった男にニュートはいないか尋ねますが、その男は確認するといったきり出てきません。
ドアのチェーンを上手くはずし、中へと侵入した謎の男は、部屋にある謎の薬があることを確認、そして彼がニュートであることも確認し、彼にクスリの出所を教えてもらうために、ショットガンで彼を脅します。
彼の顔半分は火傷のようなただれた状態。
さらに対抗すべく謎の薬を飲んだ彼は、体内から熱を発火させ、ファイアーマンへと大変身します。
驚いた謎の男は、団地内を縦横無尽に逃げながら、ニュートの暴走を食い止めます。
浴槽に水を溜め、ジャケットを水で濡らしたことで体を捕まえ水攻めに。
クスリの元締めの名前を吐いたニュートは、薬の過剰摂取により体ごと爆発、団地を大火災にするほどの威力で命を絶ってしまいました。
ニュートのスマホをゲットしていた謎の男は、連絡が来た売人と接触を図るために、ニュートに成りすまし待ち合わせ場所を指示。
ハンバーガーショップでひたすら待ちます。
その相手はニュートの従兄にあたる少女ロビンでした。
謎の男は彼女を車で拉致し、ロビンにニュートが死んだこと、そして問題が起きた時jの供給元を聞きだします。
パニック状態の彼女を何とか宥め、自分の目的「黒幕を突き止める」ために協力してほしいとお願いするのでした。
一方ロビンの協力相手である警官フランクは、銀行強盗の事件現場へ急行。
FBIに事件の主導権を奪われてしまい納得のいかないNOPDたち。
しかしフランクは、彼らの目を盗んで単独行動に出るのでした。
ロビンからもらった謎の薬「パワー」を飲み込んで、5分のタイマーをセットして裏口から侵入するフランク。
人質の元へ向かい犯人の居場所を聞くと、犯人は薬を飲んで透明人間と化しており、フランクに一発お見舞いした後、現場から逃亡するのでした。
透明人間は周りの色と同化することで姿を消す、まるでカメレオンのような能力を使ってひたすら逃げ回ります。
しかしバスに乗り込んで盗んだバッグを開封すると、色のついたガスが噴出、犯人は見事に姿が丸見えの状態に。
必死で追走するフランクは犯人に追いつきますが、彼に拳銃を奪われ、こめかみから一発被弾してしまうのでした。
しかし薬を飲んでいた彼の能力は、鋼鉄の身体になる能力。
一瞬意識を失ったもののすぐ立ち上がり、犯人に鉄拳制裁を食らわすのでした。
これを見た上司は彼に銃とバッジを置いて立ち去るよう命令しますが、街を守るために、能力を身に付けた犯罪者に立ち向かうためには、郷に入っては郷に従えの精神でこちらも薬を使って対抗するしかないと激怒。
非公式でいいから捜査させてほしいと懇願します。
すると上司は、帽子の中に隠していた写真をフランクに見せます。
写真に写っていたのは、ロビンを人質に取った謎の男。
上司いわく、彼は薬の供給元であることを明かし、彼を捕まえれば街が救われることを強調、彼を捕獲するよう命じるのでした。
薬をばら撒く謎の組織は、南米で一番影響力を持つ組織にクスリを売りつけようと取引を始めます。
謎の男とロビンは、薬の取引で問題が起きた時用の連絡先に電話。
とあるスーパーマーケットの奥の部屋へと向かいます。
組織の人間にカマをかけるために、薬の出所を追いかけている男に遭遇したことを話したロビンでしたが、組織の人間はすぐさま薬を服用し変身。
男と凄まじい格闘を始めます。
格闘の末重傷を負った男はロビンに介抱され、ロビンがなぜお金欲しさにクスリの売人をやっているかを問いただします。
彼女は母親が糖尿病であること、医療保険に入ってないために莫大な医療費が必要であることから、売人をしていたことを明かします。
そして男はアートと名乗り、なぜ自分がこんなことをしているかを車内で語るのでした。
彼は特殊部隊員としてテレイオスという軍需企業の極秘実験に参加。
特殊能力を身に付けさせるためにひたすら放射能漬けにされますが、彼に能力は身に尽きませんでした。
しかし生まれた娘トレイシーには、能力が備わっており、それに目を付けたテレイオスに追われ、娘を奪われてしまったのです。
こうしてアートとロビンは、まるでバットマン&ロビンのような協力関係のもと、黒幕探しに奔走。
ロビンの身を案じるフランクも、アートを追うために単独で捜査に乗り出し、3人は同じ目的地へと向かうのでした。
果たしてアートは無事娘を救出し、組織を壊滅することができるのでしょうか!
というのが、大体半分くらいのあらすじでございます。
さすがネトフリ、金かかってる。
全体を通して感じたのは、特殊能力が発動された時のCG描写の凄さ。
序盤でニュートが変身するファイヤーマンは、アメコミ映画に匹敵するほどのリアルな描写。
薬を体内に飲み込んだ瞬間、内臓から細胞レベルにまで映像が拡大され、鼓動を打ちながら薬がどんどん分泌されるシーンは、一体どんな姿に変身するのかワクワクします。
ホントに火だるまの状態で俊敏な動きをするのもアクション的に最高で、団地をひたすら走り回るシーンにも手抜き感が一切ありません。
また、フランクが能力発動した際のこめかみに被弾するシーンでは、銃弾が波を打ち、波動を起こす映像をスローで描き、犯人へのパンチが外れた時もアスファルトにひびが入る描写もしっかりCG処理。
他にも巨大化する能力や、氷を吐く女、終盤でアートが能力を発動した時の、降りしきる雨を一つ一つ丁寧に泡のように見せ、波動に変えるCG描写は素晴らしい処理だったと思います。
このおかげで普通の犯罪ドラマだけでなく、多様な能力におけるアクションとしても魅力がある作品になっておりました。
またカラーリングもきつさはあったモノの、かなり強みのある色味でコーティング。
赤ランプに照らされる演者の表情や、モニター越しに映る演者の青ざめた表情、レーザービームで照準を合わせる際の緑や、ジェネシス号での暗がりの中で際立つ光沢感など、光での演出面も非常に効果的でした。
様々な能力の源
人類のさらなる進化のために、様々な臨床実験を行って完成された薬「パワー」は、動物が自分の身を守るために得た能力を人間にも与えることで進化させ、さらにはこれらを利用することで権力を得られる利点や、様々な交渉でも有利に働くなど、世界を牛耳ろうと暗躍する組織にとっては画期的なアイテムであることが明かされます。
トカゲは再生能力を持ち、タコ海底環境に合わせて擬態し、ウルヴァリンカエルは自分の骨を武器にし、ネズミは骨を外して狭い場所をすり抜け、鳥は視力を、クマは並外れた腕力を、蛇は絞め殺す能力を、鉄砲エビは水をプラズマ化して獲物を狙うといった、数多の動物たちの能力を、研究と実験を駆使して薬品に仕上げたのであります。
劇中では、火だるまになる男を筆頭に、透明人間、鋼鉄の身体、骨を武器にする男、バカでかい体、人間離れした腕力、氷を放つ女などが登場し、アートたちの行く手を阻むのでした。
また劇中では胎児性アルコール症候群について言及。
大量のアルコールを摂取した母親の胎内から生まれてくる子供は、発達障害や器官形成不全、脳障害といった症状を引き起こす症状がみられており、飲酒やドラッグは妊娠時には完全に止めることを、医療は訴えています。
劇中ではロビンの授業内で言及されており、アートの娘であるトレイシーが先天性での特殊能力を得ていることの伏線に繋がっています。
とはいえ不満も。
視覚的には十分満足な内容だったんですが、どうも薬における設定が納得いかず。
一応この薬、飲めば5分間だけ能力が発動するんですが、どういう能力は飲まなければわからないという難点が。
おそらく自分の身体に適した超人能力になると思われるんですが、あれだけガンガン服用してるにもかかわらず、全てあたりの能力ってのがどこかもったいない。
フランクに至ってはほとんどが鋼鉄の身体で、きっと適した能力何でしょうけど、例えば飲むたびに強度が違うとか、プラスアルファも備わってたりといった、当たりはずれ感とかあったら、物語にバリエーションが増えたし、ユーモア描写としても効果的なように思えます。
また、ラジオで時速60キロで走る少年を見た、なんてニュースが流れるんですが、それもラジオなんかで流さずに映像として出して欲しかったし、肝心の映像で出てくる超人能力が、正直微妙なんですよね…
やっぱり特殊能力というくらいですから、それこそX-MENのミュータントのように、羽が生えて空を飛べるとか、皮膚が鱗になってしまうとか、飛び道具のようなものが出せるとか、総じて動物のフォルムを活かした体にして、尚且つ多様な能力を披露してほしかったですね。
それと一番肝心なのは、飲むと爆発して死んでしまう恐れがあるという副作用も、もっと物語に活かしてほしかったですね。
結局爆発して死んだのって一人くらいじゃないですかね?
あれだけ危険を伴う薬なんですから、飲んだ時の代償を考慮して飲まなくてはいけない、幾ら危険な状態だからといって、これで飲んでしまったら死をまねくことになるかもしれない、でも、といったような対象が飲む時の緊張感というか、選択を迫られる描写なんかを入れると、観てるこちら側も「おいおい大丈夫か?そんな躊躇せず飲んで!」ってドキドキするじゃないですか。
今作には、条件のユルさのせいで、物語に緩急が無かったように思えてしまいました。
最後に
ニューオーリンズって、もっと田舎のイメージだったんですけど、都市部はしっかり高層ビルが立ち並ぶような街なんですね。
ハリケーンカトリーナから10年くらい経ったんでしょうか。
街はすっかり整備されてるように見えましたけど、相変わらず貧困層は苦しい状態にあることを、ロビンの母親が治療費を払えない設定から感じます。
結局「パワー」は何のメタファーなのかとか読み取れなかったんですが、そこまで深いものではないってことなんでしょうか。
知識が乏しいせいか、深い考察は得られませんでした。
まとめとしては派手な映像の割には、物語的にあっと驚くようなものは感じられず、可もなく不可もなくといった面白さになってしまってたかなぁと。
とはいえ、ジェイミーの凄みと、マッチョイズムなジョセフの2大俳優の共演は見て損はないと思います。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10