モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「竜とそばかすの姫」感想ネタバレあり解説 結局Uって何する場所?

竜とそばかすの姫

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 細田守の夏が再びやってきた!

 

普段アニメ映画を後回しにしちゃうんですが、細田守監督はしっかり見ているモンキーです。

 

マスメディアによってポスト宮崎駿監督争いの筆頭にされてしまっている細田監督ですが、彼には彼の作風の良さがあるので、是非ゴシップ誌やらなんやらのしょうもない記事に惑わされずに製作し続けてほしいと思います。

 

とはいえ、「サマーウォーズ」が当たって以降、でっかい企業がスポンサーについてしまってるわけで、ヒット作を作り出さなきゃいけない使命もあるわけで。

 

とにかく何が言いたいって、応援してますということです(たまには辛口なことも書くけども・・・)。

 

本作の予告を見る限り「サマーウォーズ」のような世界観を描いていると僕は予想してるんですが、ただアップデートしただけではないはずだと思うので、その辺を意識しつつ、早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

作品情報

筒井康隆原作の同名小説をアニメ映画化した「時をかける少女」から着実にヒット作を製作し続けてきた「スタジオ地図」の設立10周年記念作品。

 

母親の死により心に大きな傷を抱えた主人公が、50億人が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも懸命に未来へ歩いていこうとする勇気と希望の物語。

 

これまで現実世界や仮想世界を舞台に、友情やほのかな恋愛、家族や親子の愛の絆を描いてきた細田守監督が、彼の代表作「サマーウォーズ」以来のインターネットの世界を生み出し、少女の成長を瑞々しく描く。

 

キャラクターボイスもシンガーソングライターを主人公の抜擢し、話題の役者陣が脇で支える。

 

監督作品ならではのリアルとファンタジー、壮大なスケールへと進化していく物語。

圧倒的速度で変化していくこの時代で、変わらない大切なモノとは。

 

 

 

U (通常盤) (特典なし)

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あらすじ

 

50億人がすれ違う

美しくも残酷な仮想世界。

ベルの歌声は世界を変える――

 

自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・内藤鈴(すず)は、幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。
母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。

 

曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。

 

<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。

歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。

 

ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。

 

数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。

突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。

 

乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。

そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。

一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。

 

やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探し

<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。

 

<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが――。

 

現実世界の片隅に生きるすずの声は、たった一人の「誰か」に届くのか。
二つの世界がひとつになる時、奇跡が生まれる。

 

もうひとつの現実。もうひとりの自分。
もう、ひとりじゃない。(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

監督

本作を手掛けるのは、細田守。

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「時をかける少女」以降、数々のヒット作を手掛けてきた監督。

 

僕としては「サマーウォーズ」がお気に入りということもあって、どうしてもこれと新作を比較してみてしまいがちな所があります。

おおかみこどもの雨と雪」も「バケモノの子」も「未来のミライ」も、アニメーションとしての表現だとかテーマ性だとかは全く嫌いではないんです。

 

でも、「サマーウォーズ」の畳みかけるようなクライマックスだとか、大家族がひとつになっていくのとか、まだ仮想世界という場所が浸透していない時期に取り入れるセンスとか、とにかく自分のツボが多いこともあって贔屓してしまうんですよ。

 

だから今回、サマーウォーズ以来の仮想世界が舞台ってっことで、僕の中では少々ハードルが上がっておりますw

 

本作に関して監督は、良くも悪くも一つの現実と化しているネットの世界が当たり前にある時代に生まれてきた子たちは、どうやって生きていくのだろうと思って製作したとのこと。

さらには、主人公と竜の関係性が「美女と野獣」をモチーフにしていることや、自分が手掛けた作品との連続性など、本作に込めた思いがこちらの記事で語られています。

www.animatetimes.com

 

監督の過去作に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

キャラクター紹介

  • すず(内藤鈴)(CV:中村佳穂)・・・自然豊かな高知の田舎で生まれ育った内気で自分に自信のない女子高校生。歌うことが大好きだったが、幼い頃、母親を事故で亡くしてから人前では歌を歌えなくなる。
  • ベル(すずのAs)・・・突然、仮想世界<U>に出現した美貌の歌姫。誰もが「自分のために歌ってくれている」と感じる不思議な歌声で、瞬く間に圧倒的な人気を得る。

 

  • しのぶくん(久武忍)(CV:成田凌)・・・すずの幼なじみ。バスケ部で活躍し、そのクールな雰囲気も相まって女子から絶大な人気を集めている。何かとすずを気にかける。

 

  • カミシン(千頭愼次郎)(CV:染谷将太)・・・カヌー部をひとりで立ち上げインターハイを目指す熱血男子。そのアツさゆえに、周囲からちょっとだけ浮いている。

 

  • ルカちゃん(渡辺瑠果)(CV:玉城ティナ)・・・吹奏楽部でアルトサックスを吹く、モデルのような容姿の女子。学内のみんなから好かれる明るい太陽みたいな存在。

 

  • ヒロちゃん(別役弘香)(CV:幾田りら)・・・すずの親友で良き理解者。ネットを使いこなす毒舌メガネ女子。すずを<U>の世界へと誘い、ベルとしてプロデュースする。すず=ベルの正体を唯一知るキーパーソン。

 

  • 合唱隊・・・高知の過疎化が進む地区で活動している女声合唱隊の人たち。すずが小さい頃からその面倒を見ている。
  • 吉谷さん(CV:森山良子)・・・漁師として働きながら、すずを見守る合唱隊のリーダー。
  •  
    喜多さん(CV:清水ミチコ)・・・合唱隊の一員で、愛情深くすずを見守る。酒店を営む。
     
  • 奥本さん(CV:坂本冬美)・・・すずを見守る合唱隊の一員、自作農家。
     
  • 中井さん(CV:岩崎良美)・・・すずを見守る合唱隊の一員、医者。
     
  • 畑中さん(CV:中尾幸世)・・・すずを見守る合唱隊の一員、職業は大学講師。

 

  • すずの父(CV:役所広司)・・・すずと2人、高知の田舎町で暮らしている。母親を失ったすずとうまくコミュニケーションが取れず、どこか距離感がある。

 

  • 竜(CV:佐藤健)・・・<U>の世界で大勢から忌み嫌われている、竜の姿をした凶暴な謎の存在。国籍年齢性別その他一切の情報が明かされていない。(以上HPより)

 

 

 

 

 

 

現実でも仮想世界でも抹殺されそうになるって、めっちゃ現代でも今度起こりそうな案件だし、寧ろ知らない間に既に起こっていることかもしれないですよね。

そういった問題を作品に込めているのでしょうか。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

美女と野獣をベースに、姫が竜を救う物語。

映像は文句ないけど、最後に向かうにつれて非現実的な流れがちょっと…。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

Uって何する場所?

母親を亡くしたことで歌うことができずにいる少女が、仮想世界という「もう一つの現実」で歌姫として、そして仮想世界での厄介者を救い出す物語は、仮想世界で得た経験が現実に彩を与える一方で、本人の側面を妄想するが故に勝手な憶測で物事を見てしまう影の面も炙り出していてリアリティを感じるが、終盤に向かうにつれて現実世界での出来事が非現実的に加速していってしまう畳みかけ方に共感を得られず、映像は素晴らしいもののお話としては微妙な作品でございました。

 

 

お母さんを失ったことで大好きな歌が歌えなくなってしまったすずが、Uという仮想世界で「歌姫」になっていく過程は、実際そんな上手くいかねえよSNSなんてって一瞬あざ笑ってしまったところはあるんでんすけど、すず=ベルの歌声は劇場案件ともいえる素晴らしい歌声でして、冒頭のシーンは歌声ありきで説得力がありましたね。

 

実際僕もこうして実生活をちょいちょい明かしながらも、ネットの世界で言いたい放題やりたい放題やらしてもらって、それで様々な方と交流を持つことができているわけで。

ベルが瞬く間にフォロワーが増えて戸惑う辺りなんかは、それこそ記事がバズってしまってさぁ大変みたいな状況と似ているフシがあって共感だったりします。

 

劇中でのUという仮想世界では、ベルの登場により彼女の歌声に魅了されて熱烈なファンになる者もいれば、それまで君臨していたディーバがひがんだり、ディーバのファンンがアンチベルになったりと評価が割れる面がありましたね。

親友のヒロちゃんが言う通り、賛も否もあるということを悲観せずに「注目されている」と捉えれば、すずのように戸惑うこともないわけで、実際SNSで急に「いいね」がたくさんついて困惑してしまっている人はヒロちゃんの言葉を教訓にすればいいのかと。

 

他にもジャスティンなる自警団のような連中が登場しました。

Uを荒らすとされている竜を、あくまで「秩序を守るため」という建前で攻撃し、仮想世界から抹消させようと執拗に追いかける集団。

皮肉なのがリーダーの背後にはたくさんのスポンサーがついていて、それを誇らしげに笑みを浮かべているんですよ。

背景はよく分かりませんが、リーダーはスポンサーがついたことで気持ちが大きくなったのか、最初にUでジャスティンになった時の使命感なんか忘れて、単純に自分を崇高な存在みたいに勘違いしてるように見えます。

 

実際SNSでも自分の主張が正しいと誤解して攻撃する人いますよね。

もう怖いったらありゃしない。

ベルのように「なぜ竜はUを荒らすのか?」という根本的な部分から解決の糸口を見つける選択肢ってないものかと思ったりするシーンでもありました。

全てにおいて行動も言動も原因があって、それを理解すればもしかしたら友好的に双方の答えって見出せる気がするんですけどね。

 

他にも周囲の人間たちが現実でやってることと仮想世界でやってることが違ったり、なぜか仮想世界で正体を知りたくなる気持ちだったり、勝手な憶測で人を判断して決めつけて「あいつはこうだ」と攻撃したりする場面てのもしっかり描かれていました。

 

また、現実世界ではすずの幼馴染である忍君とのやり取りが、クラスメイトの女子たちからあらぬ噂を立てられ、グループLINEでああだこうだ言われてめんどくさいことになってるのもリアル。

僕が学生時代の時にはそんなツールなかったですから、今の学生たちは恋愛するのに周りのことも考えなきゃいけないのか大変だなぁと。

火消するのにソシャゲみたいな映像で見せるのは面白かったですね。(やったことないんですけど)

 

 

で、僕が本作で一番疑問に感じたのは、結局「U」って何する場所なんですかね。

劇中では、色んなアカウントの人たちがボディシェアリングしてアバターとなって様々な行動を可視化した世界になってますけど、ベルが中心となってるように見せてるので、Uが何をする場所なのかがよく理解できなかったんですよ。

twitterのようなコミュニケ―ションツールなのか、色んな人が姿を隠してクリエイティブなことをして披露する場所なのか、それとも「レディプレイヤー1」のようにVRでゲームするような場所なのか。

その辺疎いんでよくわかりません。

実際Uのようなアプリあるんでしょうか。

 

それとボディシェアリングすることで生体情報を情報化する技術ってすごいし、今後あり得る機能だと思うんですけど、すずが現実世界で歌えないのにUでは歌えるってのがどうもピンと来なくて。

 

僕らはUでの彼女の歌声を見させられてるんですけど、おそらくイヤフォンをつけた状態でスマホに向ってすずが歌うってのが本来やってる事だと思うんですね。

そう仮定すると、登下校中に歌を歌おうとすると嘔吐してしまうすずは、イヤフォン付けてスマホに向かって歌うことはできるって、一体どういうことなんだろうと。

誰もいない場所で歌う方が気が楽だし、仮想世界とはいえ人前で歌うのだからそっちの方が緊張して歌えないだろうし、決して意識全体がUと連動してるわけではないと思うので、Uでなら歌えるって理由がなんか説得力に欠けるというか。

 

現実世界で歌ってる姿を見せないから映画だと思うし、クライマックスで正体を晒して歌うからドラマなんだってことは重々承知なんですけど、一体どういう気持ちなんだろうと考えてしまいました。

 

 

あとはUの中をどういう映像で可視化させるかですけど、「サマーウォーズ」から10年経ったとしてもパッと見は変わらないんですよね。

たくさんのアバターがビル街のような場所でわんさかしていて、吹き出し使って言葉を発する。

その中で竜がジャスティンたちと格闘して世界を荒らす。恐らくU内のゲームから飛び出して他の場所で迷惑行為みたいな感じなんでしょうけど、それもサマーウォーズで見たなぁと。

 

あとはスピーカーがたくさんついたクジラの上で歌声を披露する映像がありましたけど、クジラもサマーウォーズで登場しましたよね。

よく言えば過去作との類似性が高いことで、あの世界観が好きな人にとってはサマーウォーズみたいで楽しい!という気持ちになるでしょうし、僕もその気持ちは大いに共感できるんですけど、10年経ったことを考えるともっとアップデートされた世界を見せてほしかったなぁという印象。

背景面や細かい描写は本作の方が圧倒的にクオリティが高く感じたんですけど、やっぱるパッと見は同じとしか思えないんですよ。

 

だからサマーウォーズの「OZ」の方が、コミュニケーションからライフラインまで網羅されているので今後起こり得る機能だと思ったし、映像としては本作の方が凄いんですけど、中身や機能自体はこっちの方が好きだなぁと。

 

現実世界では涙

仮想世界シーンではあれこれ言ってしまいましたが、現実世界のシーンは心を持っていいかれました。

 

すず自体が田舎の学校ではヒエラルキー的に下の部類。

まして歌いたいのに歌えないってのがホント人生辛い事ばかりなんだなぁと思わされてしまう設定。

ヒロちゃんにも思いっきり毒を吐かれてる辺りとか中々良かったんでじゃないでしょうか。ああいう子いるよなw

 

すずには幼馴染のしのぶくんという子がいるんですが、子供の頃の関係性はなく、学校内では人気者の部類。

校内でバスケをすれば周りの女子たちから黄色い声を浴びるほどの人気。

 

逆にしのぶくんと仲の良い友達カミシンは、周りの空気など気にせずわが道を行くタイプの高校生。

単独でカヌー部を発足し、自分のやりたい夢に向かって突き進むやつ。

 

そして学校一の美女ルカちゃんは、吹奏楽部所属でみんなから慕われている存在。

 

こうして学校内での上位と下位の人間たちの恋愛模様が物語に絡んでくるという流れ。

 

すずは6歳の頃にしのぶくんに「俺が守ってやるから」という言葉を掛けられて以来、彼に想いを寄せてるんですが、幼馴染とはいえ年を取れば関係性も変わってくるわけで。

僕には幼馴染の異性ってのがいないんでよくわかんないんですけど、高校生になったら彼らのように疎遠になっちゃうもんなんでしょうか。

 

それは置いといて。

実際学校生活を送っていると、やはりモテ男子とモテ女子をキャラクターと見立てて、ガヤがあれこれ言う構図ってありますよね。

劇中でもガヤはしのぶくんにはルカちゃんがお似合いだから、他の女子は近づいちゃいけないとか、キャーキャー言ってれば幸せとか、それすらも言えずただ見つめるだけみたいな存在。

だからすずとしのぶくんが何やら手を握っていたなんて情報が耳に入れば、グループLINEですずを敵視するようなことを言いたい放題書いてしまうわけです。

 

なんでしょう、まるでしのぶくんを芸能人のようなイメージで崇拝してて、その相手がヒエラルキー下位の女だと分かった途端批判するって、ほんとSNSと変わんねえんだな、めんどくせえと思いました。

非難されたすずには「気にすることねえ、時間が経てば話題など消えていくから」と励ましたいですが、当の本人からしたら、穏やかに過ごしていたのにとんでもない事態になって明日からみんなにいじめられるとかさらに日陰の人生を送らなきゃいけないとか色々考えてしまうのは理解できるなぁと。

 

あとはホントの気持ちを伝えることができず、ルカちゃんはしのぶくんのことが好きと勝手に思い込んで、ルカちゃんから相談事があるんだけどとメッセージが送られてきた時に涙を流してしまうシーンはもらい泣きしてしまいましたねw

自分も非モテ男子でしたから、ああいう状況は経験済みってのもあって、辛いよねと。

 

いわゆる学校内恋愛の行方みたいなのも仮想世界での話と並行してい描かれていて、甘酸っぱくてええなぁという話です。

 

終盤は無理がないか?

さてさて、物語は竜の正体を暴いてUから抹消しようと企むジャスティンたちと、それに便乗して血眼で情報を探しまくる輩たちでU内はめちゃくちゃな状態に。

すずもなんとか正体を探し当てて、彼を救おうと情報をかき集めますが、なかなか信ぴょう性のある情報がつかめず。

 

すると偶然一人の少年が「りゅうをおうえんしています」という表題でLIVE映像を流しているではありませんか。

そこに父親が登場、彼に虐待をしているのであります。

その少年を庇う黒い服を着た少年が部屋に入り、彼を庇います。

 

彼こそが竜だったことが判明するんですが、アポイントをとってもすずがベルであることを信じてくれません。

少年は「みんな助けるとか言って結局助けてくれない」と言って一方的に遮断されます。

 

彼に信用してもらうためには「正体を明かす」ことだとしのぶくん。

今まで正体を隠して歌姫というもう一つの現実を作り上げてきたすずにとって、正体を明かすということは、仮想世界でも現実世界のように日陰の人生を歩むのと同じこと。

でも少年を、竜を救いたい思いから、すずは正体を明かし、みんなの前で歌います。

 

Uで彼女を姿を見た者たちは最初こそ妬んだりしたものの、歌の力によって魅了され歓迎されます。

 

そして少年と再びコンタクトが取れたすずは「あなたを救いたい」と声を投げますが、少年の父親に映像がバレてしまい、再びシャットアウトされます。

 

いてもたってもいられないすずは、単身彼のいる場所を探し当て彼のもとへと向かうのであります。

 

 

ルールを押し付ける仮想世界でのジャスティンと、同じようにルールを押し付けて言うことを聞けない奴は存在価値など無いと罵倒する少年の父親を敵と見立てる終盤の持っていき方でした。

実際すずも母を亡くているので片親なわけで、すずと少年の環境を対比させた構図になってたわけです。

 

しかしすずが少年のもとへ駆けつけて睨みきかせて父親をアッ問わせるってのは、どうも非現実的。

もっと現実的な解決策で終わらせることはできなかったのか。

監督も一人の父親なわけで、ネグレクトを全否定する描き方には大いに賛成ですが、それを少女一人の力でどうにかさせようと持っていく流れはちょっと無理ないかと。

 

あくまで映画でフィクションですからなんでもかんでも現実で置き換える見方をする僕もどうかと思いますが、例えば仮想世界の住人を使ってみんなで竜=少年を救うような着地でもよかった気がするんですよね。

もう一つの現実なのであれば、彼らに協力してもらって救い上げるような多様性を見せれば、こっちの世界もいいもんだ、だから現実世界も素晴らしいという流れにできたきもするんですけども。

 

 

 

最後に

途中思いっきり「美女と野獣」に見立てたミュージカルシーンがありました。

監督がインタビューで語ってる通り「美女と野獣」をやりたかったんだなぁと思った瞬間でもありましたし、なかなか直接的に見せちゃうんだなwとも思ってしまいました。

とはいえ、感動的なシーンでしたよ。

 

 

あれこれ疑問だったり不満だったり改善点だったり言いましたが、劇場で見て良かった気持ちはあります。

やはり歌唱シーンはモーションキャプチャーでも使ったのかってくらい、ちゃんとベルが歌ってるように見えたので、技術の進化ってすごいなとも思いましたし、歌自体が素晴らしい。

 

「この小さなメロディーが貫いてく世界が見たいの」って歌詞がね、もうすずの気持ちとして響くわけですよ。

良い歌でしたね。

 

そしてキャラクターボイスですが、ヒロちゃんの声を担当した方、YOASOBIのikuraちゃんなんですね!

どうやら初めての声優だったそうですが、めっちゃうまかったです!

彼女が脇で早口でワーキャーまくし立てるから、すずが映えるというか。

キャラとしてすごく存在感のあるお仕事をされてたと思います。

 

映像がどれだけ凄いかは素人過ぎて、良さを伝えられないので詳しい方に聞いてくださいw

とりあえずエンタメ大作としての良さと悪さを感じた作品だったかなと。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10