テッド・バンディ
シリアルキラーという言葉、結構聞いたことあると思います。
快楽殺人だとか、猟奇殺人を犯す奴の事を言うんだと思うんですが、基本的には連続殺人の犯人とかを指すときは、この言葉を用いる気がします。
今回は、そんな「シリアルキラー」の語源を作ったとも言われる男の話。
映画でもよくシリアルキラーとされてきたキャラ、結構いますよね。
レクター博士とか、レザーフェイスとか、それこそジェイソン、フレディ、ノーマン・ベイツ、ゾディアックなどなど。
正直好みでないジャンルなので挙げるとしたらこんなもんかな。
今年公開した作品で言えば、「ハウス・ジャック・ビルト」もそれに属しますかね。
まぁとにかく関わりたくない人物の話なので、今回も胸くそ悪い話に思えますが、どうして僕が興味を持ったかといいますと、僕の職場にホラー映画は見ないのにシリアルキラー物は見るっていう一風変わった系統の映画が好きな後輩がおりまして。
まぁ彼がこの「テッド・バンディ」のドキュメンタリーがNetflixにあるから見て!って言われたんですけど、どうしても食指が動かない。
そしたら映画がやるっていうじゃないですか。
もうこれで勘弁して!ってことで、彼との話のタネのためにいっちょ見てみるかと。
どうやらこのテッドさん、イケメンてことで、女にめっぽうモテたらしく、それに騙されて殺されちゃったってパターンが多いようで、そいつの手口というか裏側が映画で覗けるんでしょうね。
というわけで早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
IQ160の頭脳と美しいルックスを兼ね備え、アメリカでもっとも有名な殺人鬼として知られ、「シリアルキラー」の語源にもなった人物テッド・バンディが、数々に及んだ犯行の手口の真実を、長年連れ添った恋人の視点から描いた法廷サスペンス。
何度も容疑を掛けられ投獄したものの、その容姿とカリスマ性に惹かれた女性ファンは多く、さらには法律を学んでいたことから自身を弁護するパフォーマンスも見せ、マスコミや司法を翻弄するなど、アメリカ中が彼に注目をした人物。
今作は、彼の恋人だったエリザベス・クレプファーの著書を原作に、彼の裁判で明かされる悪魔の所業の数々、それとは逆に彼との甘い生活を織り交ぜることで、彼は無罪なのではないか?真実は違うのではないかという魔法にかけられ、ヒロイン同様テッドの魅力に捉われていき、殺人鬼だという認識を徐々に薄ませていく。
極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣。
世界を震撼させたシリアルキラーの裏側、そしてなぜヒヒロインは唯一殺されなかったのか。
彼女だけが知る衝撃の真実とは…。
あらすじ
1969年、ワシントン州シアトル。
テッド・バンディ(ザック・エフロン)とシングルマザーののリズ(リリー・コリンズ)とは、あるバーで恋に落ちる。
素晴らしい出逢いの一日から始まり、デッド、リズと彼女の幼い娘モリーの三人は、幸福を絵に描いたような家庭生活を築いていく。
しかしその運命は一変。
テッドが信号無視で警官に止められた際、車の後部座席に積んでいた道具袋を疑われて逮捕されてしまう。
マレーで起きた誘拐未遂事件の容疑だった。
またその前年にも女性の誘拐事件が起きており、キング郡警察の発表によると、目撃された犯人らしき男の車はテッドの愛車と同じフォルクスワーゲン。
新聞に公表された似顔絵は、テッドの顔によく似ていた。
突然の事態に混乱するリズ。
テッドはすべてまったくの誤解だと説明するが、次第に、いくつもの事件の真相が明らかになっていき・・・。(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、ジョー・バリンジャー。
20年以上に渡ってノンフィクション映画やTVなどで活躍された方だそう。
中でもエミー賞を受賞した「パラダイス・ロスト」シリーズは、不当な有罪判決から解放する動きを作ったくらいの影響度のようで、3部作となる最後の作品ではアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされるほど。
しかも監督、Netflixのドキュメンタリー「殺人鬼との対談:テッド・バンディの場合」でも監督を務めているほどの、テッド・バンディ通なんですね~。
そんなドキュメンタリー映画に多く携わってきた彼が、なぜ今になって彼に感心をもったのかというと、見た目は普通なのに実は中身はとんでもない人物だった、という人間の二面性を見せることで、悪の本質を炙り出そうと思ったとか。
さらに今作は脚本のマイケル・ワーウィーによって、恋人の視点から殺人鬼を覗くという物語を構築したとのこと。
その脚本によって一風変わった殺人鬼の映画になれたことに手ごたえを感じてるようです。
彼を描いた作品を通じて、我々に一体どんな教訓を与えようとしているのでしょうか。
非情に楽しみですね。
キャスト
今作の主人公テッド・バンディを演じるのは、ザック・エフロン。
う~ん、イケメン!
彼が賢くてカッコイイ、でも中身は殺人鬼ってのを演じるのはピッタリではないでしょうか。
昔はアイドルのようなルックスでティーンズを魅了してきましたが、今やバリバリの歌唱力とマッスルバディを武器に、コメディやミュージカル、ロマンスモノなどあらゆるジャンルの映画で活躍してますよね。
どうでもいい話ですが、今回ザックとヒロイン演じるリリー・コリンズ、どっちも眉毛太いコンビってのは、なんか意図があるのかしら?
・・・ほんとどうでもいいw
そんな彼の代表作をサクッとご紹介。
ディズニーチャンネルのオリジナルムービーとして放送された「ハイスクールミュージカル」で一躍人気を博した彼。
その劇場版で、高校最後の年を迎えた彼らが進路などの将来に悩みながらも、未来を見出していく姿を爽やかに描いた「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」や、差別や偏見が横行した60年代のアメリカを舞台に、人気TV番組のダンサーを目指す太めの女子高生と周囲の人たちとの人間模様を描いたミュージカルコメディ「ヘアスプレー」などで大活躍します。
その後も、高校時代の決断に後悔の念が強い主人公が、ひょんなことから17歳の自分になり、人生をやり直そうとする「セブンティーン・アゲイン」や、弟を亡くしたことで罪の意識が強い主人公が、新たな出会いを機に人生を見出していく姿をファンタジックに描く「きみがくれた未来」、60年代末のアメリカ南部を舞台に、ある冤罪疑惑をめぐって周囲が狂気が露わになっていく様を、鬱屈した青春を過ごす青年の視点で描く「ペーパーボーイ/真夏の引力」など、正統派路線でキャリアを重ねていきます。
ここ数年はコメディ映画でも活躍。
静かな町へ引っ越した子連れ夫婦と、隣に引っ越してきた男子学生たちと熾烈なバトルを繰り広げるおバカコメディ「ネイバーズ」、真面目な青年がスケベで自由奔放な祖父との旅に連れ出され珍道中を繰り広げていく「ダーティ・グランパ」、90年代の人気TVドラマを映画化した、ライフセーバーたちが浜辺と町を守るため奔走する、ドタバタサスペンスコメディ「ベイウォッチ」など、見た目とは違う一面を見せることで更なる人気を得ます。
またアカデミー賞はじめ日本でも話題沸騰となったミュージカル映画「グレイテストショーマン」でも、華麗でパワフルな歌と踊りを見せたことでも記憶に新しいところ。
今後の更なる活躍に期待ですね。
他のキャストはこんな感じ。
バンディが唯一殺害しなかったとされる恋人エリザベス・クレプファー役に、「あと1センチの恋」、「白雪姫と鏡の女王」のリリー・コリンズ。
エドワード・コワート判事役に、「RED」、「マルコヴィッチの穴」、「マイル22」のジョン・マルコヴィッチ。
キャロル・アン・ブーン役に、「メイズ・ランナー」、「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」、「クロール/凶暴領域」のカヤ・スコデラーリオなどが出演します。
きっと見ていくうちに、こいつそこまで悪い奴じゃないのかな?と思わされて、最後思いっきり裏切られるパターンの話なのでしょうか。
とりあえず俺はリリーを堪能できれば、まずは満足なんですが…w
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
人は見た目だけで判断してはいけない。
そして愛は盲目にしてしまう。
恋人視点で描く、殺人鬼の真相劇って斬新だよね。
以下、核心に触れずネタバレします。
人を信じるには。
アメリカ史上最も残虐かつ震撼させた殺人鬼テッド・パンディが本当に罪を犯したのか、という真実に迫る物語を、彼を信じるあまり愛するあまり起こった事実を受け止めず路頭に迷っていく恋人リズの視点で描くことで、最愛の日々と事実を受け止める描写の高低差を観衆につきつけ、いかに他者の実像を見抜くことができるかという判断力が問われると共に、殺人鬼だった彼がなぜ彼女だけは殺害しようとしなかったのという、彼なりの愛の注ぎ方を見せられることで、その判断力を鈍くさせてしまう作品でございました。
どうしても今の人間同士の付き合い方に着目したくなるのですが、昨今SNSによる「近づきやすい」環境によって、相手が果たして何者なのかを事前に判断せずに直接会ってしまう行為が頻繁にあるように思えます。
個人情報保護法によって、パーソナルな部分を明かしたくない現実がありながらも、オンライン上では素性を明かしたり、場所を特定させるような発信や、何者かになりたいがために自身を必死にアピールし注目を集めたいなど、矛盾極まりない行動をしてしまいがちです。
僕もその一人であると自覚はしていますが、ある程度用意した線は超えないように配慮はしているつもりです。
それこそブログ仲間で集まって飲みに行ったり、Twitterで顔を明かして生配信したりと、そこそこオープンな付き合い方をしていますが、それって自分は健全で優良な大人である自信と自覚があるからって想いからだと思うんです。
そういう部分を他者に見せることで、この人ならあっても大丈夫という安心を与えられているから、みな僕の本名や過去などわからなくても安心して付き合ってくれてると思うんですけど、逆に相手は自分の事をどういう基準で判断して付き合ってくれているかわかりません。
そういう意味で言えば、人間同士の付き合いってつまるところの「信頼」だったりするよねと。
実際僕連絡先って簡単に教えたくないし、何度か会わないと心を開けない気難しい性格なんですよね。
初対面なんかオーバーに笑ったりリアクション大きくしたりなど、表情を誇張したりして、とにかく嫌だなぁと思う部分を見せないように徹底してしまう癖がありまして。
それで安心させてから少しづつ仮面をはがしていくというか。
それで僕を気に入らなくなったら、それはそれで仕方ないっていう。
ホント人間関係を築くって難しい。
また、相手が自分に好意があって積極的に連絡先交換して、とか、今度会ってお話しましょうとかってアプローチも正直恐い。
だって素性が分からないでしょう?
SNSでは色々こちら側に向けて自分のいい面を発信しているから、あくまでそれはその人の側面でしかないわけで、それだけで相手を見極めるのはホント無理だと思ってて、ホント怖いんですよね。
現に今、高校生の映画好きの子と仲良くさせてもらってるんですけど、最初彼からお誘いを受けた時、もし女の子だったらどうしようって気持ちがあって、いわゆるハニトラだったらどうしようって。
だから念を押して問い詰めたこともあるくらい、ホント疑いをかけてしまう性分で。
逆に彼はどういう基準で自分と直接会ってお話したいのか、僕をどういう存在とみなしてるのか、また本当の僕がもし犯罪者だったりしたらっていう警戒心はないのかなとか、もちろん未成年ですから気持ちの面が先行しちゃってその辺鈍ったりしてるんだろうなぁとか、とにかく色々考えてしまうわけですよ。
結果彼は純朴な少年でしたし、僕ももちろん潔白ですから良好な関係を続けてられ手ますけど、ホント最近こういう警戒心を持たずに簡単に会おうよ!て人が多いよねって話を、まぁダラダラと書いてしまいましたww
だから何だろう、相手を見極める判断基準を常に持つべきだと思うし、近づいてくる人には一定の警戒心は持ち合わせないとね、っていう。
愛は盲目。
いい加減映画の話に戻りましょう。
今作はその裏の顔に全く気付かず、また気付いていたけど受け入れたくなかった女性の、愛するが故の盲目ぶりが露骨に現れた作品でしたね。
確かにテッドはどこから見ても好青年で、イケメンで、子煩悩で、女性に優しく気遣い、そして勉強家で、賢い。
もう序盤の時点でパーフェクトな男ですよ、同性から見ても。
リズもシングルマザーという時点で相手とうまくいかなかった過去をお持ちでしょうから、どうせ子持ちってのを知ったら皆男は逃げてくんでしょう?だから私は一折で生きていける、みたいなところあったと思うんです。
それが最初の出会いで感じる二人の性格なんですけど、そのリズの現状を簡単に受け止めて、それでも君が欲しいと踏み込むテッドの男らしさには正直頭が上がりませんでしたね。
だからこの映画が一体どういう顛末を用意してるのかホント分からないくらい、ロマンス要素多めの作品だったんですよね。
でも少しづつ不穏な空気が立ち込めていくわけです。
彼らの幸せな生活を編集しながら、音声はいくつもの暴行事件や殺人事件のニュースを重ねていくことで、この映画が、そういうギャップを持たせる意図があるってことを示してる。
だから一体どういうどんでん返しがあるのだろうと、期待を持たせるんですよね。
で、結構早い段階でテッドは逮捕されます。
信号無視2回したのをパトカーに見つかってってことでお縄になるんですけど、それくらいなら違反切符で済むはずが、現行犯逮捕されてしまう。
決め手は後部座席に置いてあったカバンの中身。
ロープに手袋、ストッキングなどなど、普段男が持ち歩かないようなものばかり。
しかもだいぶ遠方からやってきてることも知られ、加えてこの近辺で婦女暴行事件があったばかり。
まぁど素人でも合点がいくってもんです。
何でしょう、このテッド、色々用意周到な割にはその辺抜けてるっていうか。
冷静なくせして信号無視とかしちゃう慌てようで、しかも回り見えてないんだなって。
罪を犯した人って案外そんなもんなんですかね。
だからなんていうんだろ、世間を騒がせた割りには、その辺無能だなって。
で、テッドが釈放されてからのリズね。
確かになぜうちの恋人が?あんなに優しくて素敵な人が?ってなるのはわかる。
でも新聞の一面に載ってしまうほどのデカい事件の容疑者なんですよ。
どうして彼の言葉で安心してしまうのかっていうね。
僕ならですよ?思いっきり疑います。
というか、どういうことか一から説明してくれと。
本当に相手の事を信じたいなら、自分の気持ちだけで決めつけるんでなくて、まず相手の言い分を聞いてからだろうと。
そこから色んな裁判にリズは出席したりしますけど、もうテッドの身の潔白は確かだっていう顔で傍聴席にいて、つくづく幸せな女だなぁって。
証人台で震えながら答えてる女性がいるのに、なぜ疑わないんだろう。
またテッドが身の潔白を主張してるからその表情なんだろうってのは理解はあるものの、どこか危機感を持ってないというか。自信たっぷりすぎやしないか?と。
この自信満々の表情が段々怖くなってくるんですけどね。
そこからどんどん疑惑が強まっていく展開と、テッドの執拗なまでのリズへの思いが、リズを苦しめていく、そして事の真相への道は意外な出発点からだったってオチが付くので、後半もぜひ劇場で楽しんでほしいなと思います。
最後に
ホントね、ナンパとかされてなんで女って簡単に付いていってしまうんでしょう?
顔がカッコイイから、性格よさそうだから、夜の営みがウマそうだからって、性の部分で何でも異性を判断してはいけないって話ですよホント。
僕はそういうことしませんし、未だに人を信じてそうで信じてませんw
リズは結局真実をどこかで受け入れていながらも、テッドの確かな愛に妄信してしまって、酒に溺れたり仕事に手がつかなくなったりと情緒不安定になっていってしまったわけですが、何にせよ手遅れになる前に事実を受け止めて飲み込んで対処するべきですよね。
あくまで今回のケースはとんでもなく恐ろしい事件の犯人だったっていう話ですけど、小さなケースでも後々自分の身にどう降りかかるかわかりませんから、その辺のフットワークは軽くしておきたいもんです。
相手に依存し過ぎてはいけないなぁと。
でも最初に書いたように人間同士の付き合いを築くには「信頼」しかないよなぁとも。
また今回殺人鬼の真相までを描いた話なので、きっととんでもねえグロい描写とかサイコパスなテッドの描写とかあるのだろうと期待して観に行く人多いかなぁと思うんですが、全然そういうのありません。
ある意味では残念に感じましたけど、きっと恋人の女性視点にしたってことは、やはり女性に注意喚起をしたい映画にしたかったのかなぁって。
だからって全部言葉で想像させるようなお話にしちゃう題材でもないよなぁとは思います。
結構あれ?テッドって案外悪い奴じゃなかったりして?くらいの気持ちで終わっちゃうんですよね。もっと突き落とすようなバイオレンスな描写入れた方が効果的だよなぁって。
最後もリズを奈落の底へ突き落すような表情とか高笑いとか、テッドの化けの皮を一気に剥がすような終わらせ方でもいいかなって。
とりあえず、太眉コンビってのをよくキャスティングしたなぁ。
あとまさか後の彼氏がハーレイ・ジョエル・オスメント君だなんて気づく人どれくらいいるんだろうかw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10