ザ・ファブル
「ザ・ファブル/殺さない殺し屋」の感想はこちら。
岡田准一。
アクションやるために格闘技マスターしたり、最近じゃあの木村大作にカメラ渡されて撮影までこなしてしまう、ジャニーズきっての映画野郎であります。
ずぅ~っと追いかけている俳優ではありますが、残念なことに彼の時代劇ってそんなに惹かれなくてスルーしてしまうことがありまして…。
ただ今回の映画は現代劇でコミック原作でしかもユーモアありアクションアリってことで、非常に食い付きやすいお話だなぁと。
そんな興味本位で今回鑑賞しようと思う本作。
なんでもめちゃんこ強い殺し屋が、特技である殺しを禁じられ、普通の人として生活する中で、仲良くなった女性を救うため、相手を殺さずに救うことができるのかって話。
・・・多分、殺さなくても救うことはできると思うんですけど、って野暮なツッコミは辞めて、一応殺し屋が殺さずに救出するって自分で勝手にハードル上げてるのがね、まぁかわいいといいますか、わかりやすい設定といいますか。
強すぎる人物に制限をかけることで、面白みが増すってパターンの映画かなと。
とりあえずアクションには疎い僕ですが、今回アクション担当が「るろうに剣心」の人とか、「ボーン」シリーズの人とかが参加してるんで、もんのすごいことになってると思うんですね。
そこを楽しみにしたいなと思っとります。
というわけで早速鑑賞してまいりました!!!
作品情報
南勝久原作の同名コミックを、今やアイドルの枠を超え日本映画の中心に立つ実力派俳優を主演に、また海外で活躍する世界的アクション監督も迎え、本格的アクション映画として描く。
日常や普通を知らない凄腕の殺し屋が、その「殺し」を封じられながら平穏な生活を送る中で巻き起こる事件。
本来持つ力を主人公がどう見出していくかを、ド迫力なアクションとギャップから来るユーモア、そして感動的なクライマックスへと展開されていく、究極のエンタメ映画に仕上がった。
また主題歌には去年映画に主演し話題を呼んだレディ・ガガの代表曲「ボーン・ディス・ウェイ」を起用。
日本映画で彼女の曲が使われるのは初で、登場人物たちの人生を肯定するかのような歌詞によって映画をさらに盛り上げている。
シネマスクエア vol.112 [岡田准一×福士蒼汰×柳楽優弥『ザ・ファブル』] (HINODE MOOK 550)
- 作者: 日之出出版
- 出版社/メーカー: マガジンハウス/日之出出版
- 発売日: 2019/06/01
- メディア: ムック
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あらすじ
どんな相手も6秒以内に殺す。
❝ファブル(寓話)❞と呼ばれる謎の殺し屋(岡田准一)は、裏社会では誰もが「伝説」と恐れ、その存在の真偽さえ訝しがられる男。
❝ファブル❞を育て上げたボス(佐藤浩市)は、あまりにハイペースで仕事をこなし続ける彼に、ある指令を与える。
「一年間、一般人として普通に暮らせ。休業中に誰か殺したら、俺がお前を殺す。」
ボスには絶対服従の彼は❝佐藤アキラ❞という偽名を使い、相棒のヨウコ(木村文乃)と兄妹のフリをして大阪の街へ。
ボスのツテで真黒カンパニーの社長=海老原(安田顕)に世話になりながらも、生まれて初めて、一般社会に溶け込もうと真面目に努力し始める。
毎日暇を持て余し飲み歩くヨウコとは対照的に、ボスからもらったインコを大事に育でたり、アルバイトをしてみたり。
街で偶然出会いバイト先を紹介してくれたミサキ(山本美月)や、バイト先の社長=田高田(佐藤二朗)とも徐々に親しくなっていき、普通の生活を満喫し始めるアキラ。
「プロの普通」を目指し精進する日々だったが、周囲はアキラを放ってはおかない。
海老原の弟分で出所したての小島(柳楽優弥)と組織の現幹部=砂川(向井理)の確執、ファブルを伝説のレアキャラのように執拗に追い続ける若き殺し屋=フード(福士蒼汰)などが少しづつ、確実にアキラの穏やかな日常に忍び寄る。
そして事件は起こった——。
実はある過去を持つミサキが、拉致されてしまったのだ。
ヨウコと共に救出に向かうアキラ、そこに「絶対に殺してはいけない」というボスの鉄の指令が立ちふさがった時、アキラはこの自分の並外れた能力が初めて「人を救うこと」に使えるのではないかと気づき始める。
だがそこには想像を絶する強敵と、いくつもの罠が待ち受けていた。
果たしてアキラは「殺さず」の指令を守り通せるのか?
そして平和な毎日は戻ってくるのか・・・?(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、江口カン。
今回でちょい編映画は3作目という監督。
CM業界で数々のヒット作を生み出し、カンヌ国際広告祭で3年連続受賞という輝かしい実績を引っ提げ映画業界へ。
これまでに競輪選手として再起を図る元プロ野球選手の姿を描いたTVドラマを再編集した劇場版「ガチ星」や、辛子明太子を日本で初めて製造した男のTVドラマの劇場版「映画めんたいぴりり」など、福岡出身だからこその郷土愛が詰まった作品を手掛けています。
初めての大きな作品だけにかなりの気合が入ってるように感じますが、果たして。
キャラクター紹介
左上より。
- 佐藤アキラ(岡田准一)・・・時給800円で初めてアルバイトをし、初めてインコを飼う。【誰も殺してはいけない】という絶対的なルールに従う。
- ファブル(岡田准一)・・・都市伝説と呼ばれる謎の殺し屋。仕事は一人につき6秒以内。猫舌、裸で生活、殺し屋の正装はオールブラック。異常な動体視力と身体能力を持つ。
- 佐藤ヨウコ(木村文乃)・・・お酒を愛すCUTEな最強バディ。最強の殺しのスキルと、記憶力の持ち主。趣味は、薄っぺらいチャラ男を酔い潰すこと。
- 清水ミサキ(山本美月)・・・素直で優しい幸薄ガール。父の借金返済と母親のためにバイトを掛け持ちする苦労人。アキラが一般社会で出会う初めての女性。
- フード(福士蒼汰)・・・渋谷系ゆとり世代のヒットマン。ファブルに憧れ、執拗に狙う。
- 小島(柳楽優弥)・・・真黒カンパニーの社長の弟分。アドレナリン全開デンジャラスメーカー。出所したばかり。
- 砂川(向井理)・・・真黒カンパニー専務。野心暴走、下剋上を狙うインテリ。
- 田高田(佐藤二朗)・・・デザイン事務所オクトパスの脱力系タコ社長。面倒見のいい性格。
- 海老原(安田顕)・・・真黒カンパニーの男気極めた強面ダンディー社長。義理と人情に厚い。
- ボス(佐藤浩市)・・・ファブルたちの育ての親で絶対的ボス。真黒カンパニーと取引があり、ファブルの世話を依頼する。
配給が松竹なのに、キャストの端々で吉本臭がぷんぷんするんですが、きっとハッピーな笑いを軸にしている本作にはかかせないのかもしれませんね。
そして世界基準のアクションということでどんな内容になってるのか楽しみです!!
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
これはぁ…
今年一番面白くありませんでした…。
岡田君ファンのみなさんごめんなさい…。彼のせいではありません。
以下、核心に触れずネタバレします。
一応褒めるとこから。
凄腕の殺し屋が突如普通の暮らしを余儀なくされる中で、自分の能力をどのように使うのかに気付いていく姿を、殺しの世界と平穏な日常でのギャップやアンバランスさでユーモアを交えつつ、俊敏性を活かしたガンアクションと、帯だたしい血の量を随所に挟むことで、平穏な日常と殺しの世界は表裏一体であることを突き付け、ちょっとした怖さも忘れないエンタメ性を盛り込んだ娯楽映画でしたが、どうしてこんなに話がつまらねえんだっ!!!と非常に納得のいかない作品でございました・・・。
はい。
見終えた直後の感想としましては、監督の撮影と編集の下手さと、何をダラダラ一つのエピソードに時間費やしてんだよ、そのうえアクション撮るのも下手すぎるだろ!、と不満が沸々わいてくる映画でした。
細かい指摘はあとでダラダラ書こうかと思いますが、こんなにつまらない映画の中でも光る部分はあったのでそこから書いていこうかと思います。
冒頭で契りを交わすヤクザの宴会での殺しのシーン。
外の護衛が一瞬にして射殺されるときに、何やら白いゴムのようなものが護衛めがけて飛んできて死んでしまうという描写だったんですが、最初何が起きたのかよくわかりませんでした。
え?ファブルってスパイダーマンのウェブシューターみたいなの飛ばして殺すの?いやいや非現実的でしょうwじゃあなんだあれ?
・・・と次のシーンで目を凝らして観てみると、秒数とか的の表示とかと同時に、白いゴム状のものが飛んではピュン!とサイレンサーの音がしたんですね。
あ~これファブルが「相手を6秒以内に殺す」ってのを具現化するための演出だったのかと。
白いゴム状のCGは、ファブルの視点から脳内へ変換されたってものだったんですね。
主人公がどれだけ強いのかってのを、セリフでなく動きで最初に描くってのは非常にインパクトがあって、加えて映画に集中できる一つの手法でもあるので、ここはCM出身ならではの監督の非凡なアイディアが冴えたシーンだったように思えます。
また、舞台の大阪へ場所を移すまでの件も、非常にコンパクトに収まっていてよかったですよね。
仕事を終えて、ボスとの会話の中でミッションを語らせ、尚且つファブルの弱点である猫舌と、あとで描かれる焼き魚を映しとくってのも効果的。
その前の車内でファブルの大好きなお笑い芸人「ジャッカル富岡」を見て大爆笑するって説明も入ってるから、あ~ファブルって強すぎで普通の人との笑いのツボが違う人なんだってのを最初の10分足らずで見せているのは、すごく分かりやすく無駄のないエピソードだったように思えます。
お芝居に関しては何といっても小島演じる柳楽優弥がピカイチ。
「クローズEXPLODE」での、いかにも男クサくてやんちゃで男気溢れる姿を演じて以降、演技の幅がものすごく広がったし、「ディストラクションベイビーズ」での凶暴性あふれる主人公を演じただけあって、クソが付くほどの悪びれた態度と反抗的な目力、粘着質な口調からあふれ出る、昔気質な頭の悪いヤクザを見事に演じていたように思えます。
出所して暴れまわることで刑務所での鬱憤晴らしをしたり、砂川とのメンチ切る姿なんかは、完全に映画の中で存在感を発揮しており、下手したら支配していたといっても過言でないほど。
彼の行動による居心地の悪さがあるから、岡田君演じるファブルの正義感てのが映えるように見えるんですよね。
またアクションも時間を割いてガッツリやってたのはよかった。
冒頭での瞬殺シーンや、海老原に殺しを命じられるシーン、そしてクライマックスでのゴミ処理場でのアクロバティックでハイスピードなガンアクションは、コマ送りで見たいくらい早すぎて、それでいて圧巻。
ゴミ処理場にどう侵入するか悩んだあげく、壁を伝ってよじ登っていくのが唐突過ぎた感じがあるものの、これからアクションシーンが始まるよ!って合図だったし、そこからのゲリラ豪雨a.k.a.銃弾の雨アラレから、てめえでこしらえた拳銃で一掃していくファブルの堂々とした行動、そこから目まぐるしく切り替わるカットによって、ファブルの凄さと、普通の生活で人を殺してはいけない、という「殺さずの誓い」をとどめのところで何度も躊躇してしまう姿を映すことで、素早く描くアクションに緩急をつけているってのもしっかり考えて撮影してるなぁと。
で、不満なところ。
とりあえず原作読んでないのでまっさらな気持ちで臨んだわけですが、恐らく原作は笑いありド派手なアクションありなコミックなんでしょう。
今作をみればわかるし、世界観とかノリもこういうものなんでしょう。
しかし映画的には非常に無駄が多く、スマートに描かれてない点が多々あり、すごくダラけて仕方ありませんでした。
まず登場人物。
はっきり言ってヨウコは本筋に必要ありません。
冒頭でオリラジ藤森とテキーラ勝負で酔い潰すって件ありましたけど、彼女は酒が強いって設定を描きたかったのでしょう。
原作でも重要な部分なのかもしれません。
しかしこの酒が強いという設定が本作でどこにも活きてこない。
イケメン待ちながらバーで飲むか、ミサキちゃんとじゃんけん勝負で勝って変顔させるのも、「酔ってるから」くらいの意味合いしかないんですよね。
例えばこのテキーラ勝負によって、ターゲットを足止めさせるとかそういう工夫があれば必要に思えるんですけど、全くない。
あとはファブルのお荷物のような感じにしか見えない。
ミサキちゃんを助けるために知恵を振り絞って手製の銃を作るのを手伝うのも、爪が欠けたぁ~とファブルの後ろでブーブー文句言ってるだけですし、アジトに乗り込んでファブルをエスコートするためにイヤモニつけてナビゲートするのかと思いきや、襲われそうになったミサキちゃんの気持ちを落ち着かせるアドバイスと、考えたあげくジャッカル富岡のネタをやるファブルに突っ込む程度。
他にもまだあるけど本筋に全く必要ないシーンでしか登場しないし、いる意味がない。
原作に出てくるから出さなければいけないって考えを、いい加減排除してほしいよなぁと。
こうなってくるとデザイン事務所で盗撮してる奴もいらんし、藤森もいらんし、フードの相棒も必要ないんですよね。
彼らを削ることで物語がだいぶスマートになるよなぁと見ていて思ってしまいました。
次にお話の作り。
劇中でファブルの幼少期が描かれるんですけど、これ何度も出てくるんですよ。
ミサキちゃんや社長との飲み会で、森の中で一か月過ごしたエピソードを話し出すんですけど、そこで虫を食べたり野宿したりして、知恵と気力と精神を磨いたってのが分かるんですが、このシーンの後も何度も差し込まれるんですね。
回想シーンってのは何度もやると、集中している気持ちを削いでしまい、逆効果になることがあるんですけど、今回は正にそれ。
武器は置いていけって言われてるのに、冷蔵庫からナイフ出して子供の頃を思い出すのも他のシーンでやればいいし。
そもそもこの回想シーンド頭でサラッとやればいいんですよ。
如何にしてファブルは伝説の殺し屋へと成長したのか、ってのをまとめて映しちゃえばいい。
それから何十年後てな具合に、あのヤクザを瞬殺する件へ持って行った方が見やすいのにと。
あとはファブルに課せられた「殺さずの掟」の説得力が弱い。
そもそも殺しちゃいけないのになぜ銃を作って乗り込むのか。そ
こはせめてナイフでいけよと。
いやもっと日常で使う道具で挑めよ。
そりゃ伝説の殺し屋ですし、殺傷スキルは天下一品ですから、急所を外すのなんか朝飯前なんてのは十分理解しているうえでの話ですけど、強すぎる設定でありながら、ハンディキャップを付けて話が進むわけですから、クライマックスのミッションはもっと難易度が高くないと、彼がそれを乗り越えた時の成長ってのが全然伝わらないんですね。
フードとのサシも、もっと拮抗してないといけないし、深手を負ってないと説得力がないんですよ。
あとはユーモアがクドいとこ。
これはきっとファブルの笑いのツボが、普通とはちょっと違うってのを強く見せたかったのだろうと。
それが彼の非凡さを強く見せているのかなとも考えてはいたんですが、顔芸で笑わせようとドヤ的に長めに見せるし、誰かのボケに対するツッコミも、食い気味にやれば笑いの規模が大きくなるのに普通にツッコミさせるし、ファブル素っ裸も全く持って面白さが見えてこない。
笑いに関しては完全に好みが出るので、決してダメってわけではないとは思うんですが、もっと工夫できたよなぁと。
なんか色々ナニコレ?ってのが多くてですね。
飼ってるインコが全く意味ないし、ボスがサヴァン症候群の例出すのも例えベタだし、そもそもボスが海老原を脅すのいらないし、タイトルロゴなんかスカイフォールのパクリだし、海老原のラストの哀愁は悪くないけど、無駄なとこ削って彼と小島の関係を回想で見せたらもっとよかったのに、とか、スローモーション使いすぎとか変なとこ長回しとか、あ~気になるとこ多すぎw
最後に
きっとこれを読んで怒る方もいるでしょう。
ただ、すいません原作読んでないもので。
しかも原作と映画は別物と捉えてる人間なので、どうしても今作は監督と脚本がひどすぎるなぁと。
アクションもね、もっとカット割りにこだわってほしいなと。
なぜファブルがまっすぐ歩いて射撃するのを後ろから映すのよと。
フードとのサシもちょっとくらい貯めても良かったじゃん。
全然カッコよく映ってない。
もっとテンポよくコミカルに且つバイオレンスなアクション映画にしてほしかったですね。
あれだけ血が飛び散ってたのに全然バイオレンスに見えなかったし。
欲張ったらいかん!ていう教訓映画なのか?
とりあえずこの辺で。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆★★★★★★★★2/10