アス/us
アフリカ系アメリカ人に対して白人が持つ深い部分をブラックジョークで覆ったスリラー映画「ゲット・アウト」。
その作品でアカデミー賞脚本賞を受賞した監督の最新作です。
今回も同じような手法で描いたスリラー映画になっているのでしょうか。
ゲットアウトのポスターも意味深で怖そうで、俺大丈夫かな、びっくりしたり脅えたりしないかな…なんて鑑賞前にビクビクしていた記憶があったんですが、今回のポスターも怖ぇよ!!
こっち向きながらお面取って、笑ってるのか泣いてるのかよく分かんねえよ!!
てか普通に予告編も怖ぇよ!!
どうやら主人公家族とうり二つの人間が襲ってきて、殺そうとするお話なんでしょう。
自分とそっくりってことは、動きも考えることもおんなじなのかな。
だから殺せない気がするし、仮に殺したとしても自分も死ぬんじゃないかこれ。
❝わたしたち❞にどう立ち向かうのか。
・・・ぜったいこわいって…。
そんな予想を立てながら早速鑑賞してまいりました!!!
作品情報
身の毛のよだつスリラー感とエッジの効いたユーモアセンスで緊張と緩和をもたらし、アメリカの差別意識を知的な語り口でストーリーに溶け込ませた意欲作「ゲット・アウト」でアカデミー賞脚本賞を受賞したジョーダン・ピール監督の最新作。
全米で初登場1位を記録し、米批評サイト「ロッテントマト」で94%もの高評価をもたらした今作は、前作以上に恐怖と社会の深い闇を描く。
自分たちとそっくりな謎の存在と対峙することになるある一家の恐怖を描いた今作は、前作以上に不穏で重厚なメタファーがひしめいている中で、それを壊すかのようなユーモアも交えることで、観衆の物語に対する興味を煽り没入させていく。
自分たちにそっくりな❝わたしたち❞とはいったい何者なのか、一体どこからやってきたのか、そして目的は・・・?
伏線がすべて回収された時、あなたはこのポスターの本当の意味を知る・・・
驚愕の結末を劇場で体験せよ!!!
あらすじ
❝わたしたち❞がやってくる
アデレード(ルピタ・ニョンゴ)は、夫のゲイブ(ウィンストン・デューク)、娘のゾーラ(シャハディ・ライト・ジョセフ)息子のジェイソン(エヴァン・アレックス)と共に夏休みを過ごすため、幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れる。
早速、友人たちと一緒にビーチへ行くが、不気味な偶然に見舞われたことで、過去の原因不明で未解決なトラウマがフラッシュバックする。
やがて、家族の身に恐ろしいことが起こるという妄想を強めてい行くアデレード。
その夜、家の前に自分たちとそっくりな❝わたしたち❞がやってくる・・・。(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、ジョーダン・ピール。
冒頭でも書きましたが、前作「ゲット・アウト」でアフリカ系アメリカ人初のアカデミー賞脚本賞を受賞という快挙を成し遂げたお方。
まだ2作目という浅いキャリアにも拘らず受賞できたのは、その卓越したセンスと、未だ黒人に対する差別が残る現代社会と、表向きには寛容でありながら深い根っこの部分では変えることのできない、差別する側の内面をメタファーとして描いた物語性にあると思います。
今回もきっとそういった部分を追求したメッセージ性の深い作品に仕上がっていると思います。
監督もインタビューで「この世で最も恐ろしいモンスタ―とは何かを考えた」と仰っており、「そのモンスターを通じて、私たちが社会に抱いている恐怖や真実をよく理解することができる」、そんな物語に仕上げたようです。
また黒人が主人公になってますが、人種差別を扱った作品ではなく、本当の敵は一体誰なのか、といううことにフォーカスをあてた描写になっているそうです。
う~ん、なんとなく物語の言いたいことがなんとなくわかってきましたが、もっと深い部分で何を言いたいのか、これはしっかり見ないと分からなそうですね…
監督に関してはこちらをどうぞ。
キャスト
今作の主人公アデレード・ウィルソンを演じるのは、ルピタ・ニョンゴ。
彼女の主演作、恐らく今作が初めての鑑賞かもしれません。
「それでも夜は明ける」からだいぶ経ちますが、今では黒人女優として確固たる地位を得たお方だと思います。
演技力は抜群だってのが、今作でより明確になるのではないかと期待しております。
余談ですが、僕、彼女が変装してコミコンに遊びに行ってる動画を見たことがあるんですけど、お茶目というか可愛らしい一面を見られたのが凄く嬉しかったです。
そんな一面が今作でも拝めるのか、楽しみですね。
彼女の過去作をサクッとご紹介。
大学在学中に映画製作に携わったり演技プログラムで舞台経験を積んだ後、ある事で南部の農園に売り飛ばされてしまった黒人青年の過酷な奴隷生活を描いた、スティーヴ・マックイーン監督作品「それでも夜は明ける」に出演。
その迫真の演技が評価され、アカデミー賞助演女優賞受賞はじめ、各映画賞で絶賛されます。
その後も新たなる3部作として製作された「スター・ウォーズ」シリーズで、マズ・カナタ役に抜擢されたり、ジャングルでオオカミに育てられた少年の大冒険の行方を、主人公以外全編CGで製作された「ジャングル・ブック」、アメコミ映画史上初の黒人ヒーローとして絶大な人気作品となった「ブラックパンサー」では、主人公ティ・チャラとの恋仲であるナキアを演じるなど、話題作や大作映画などで存在感を現しています。
最近ではスターウォーズ新シリーズ完結編となる「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」にマズ役で出演してました。
他のキャストはこんな感じ。
アデレードの夫ゲイブ役に、「ブラックパンサー」エムバクを演じ知名度を上げたウィンストン・・デューク。
アデレードの娘ゾーラ役に、「ライオン・キング」に声の出演をしたシャハディ・ライト・ジョセフ。
アデレードの息子ジェイソン役に、複数のテレビシリーズなので活躍するエヴァン・アレックス。
キティ・タイラー役に、「17歳のカルテ」、「ザ・スクエア/思いやりの領域」に出演したエリザベス・モス。
ジョシュ・タイラー役に、「ブライズメイズ/史上最悪のウェディングプラン」、「ファンタスティック・フォー」に出演したティム・ハイデッカーなどが出演します。
自分たちと瓜二つの相手、ハサミに赤い服は果たしてどんな意味が込められているのでしょうか。それ以外にも謎だらけの話なんでしょうね。
果たしてゲットアウトを越えると言われる内容と結末は、どこまで怖く震えるのか。
俺耐えられるかな…
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
あれ?ゲットアウトより怖い…
謎だらけだがスリラー映画として非常に楽しい映画でしたよ!
以下、核心に触れずネタバレします。
その怖さたるや…
夏休みに訪れたサンタクルーズの街で起きる、謎の❝わたしたち❞の手による惨劇と、襲いかかる恐怖の手から逃れようと錯綜する家族たちの姿を、劇伴やカメラワークを巧みに利用し、「ゲットアウト」以上に炸裂したホラー演出と、それを緩和するかのように挿入されるユーモア描写のバランスの心地よさ、さらには監督が警鐘する社会に対する見て見ぬふりをしてしまう人間への皮肉を凝縮した、なかなかの娯楽映画でございました。
ちょっと遠出して朝9時の回に見に行きました。
結末で明かされるオチに怯え、エンドロールを見ながら、これはどういう映画だったのかあれこれ調べないとちょっと整理できないなぁなんて小難しい顔をして、スマホの電源を入れたら、時計の針が「11時11分」を指してたんですよ。
・・・背筋がゾクッとしました…。
きっと見た人ならこの怖さがわかると思うので、先にいっておきましたw
ああぁ怖かったぁ~~~!!!
さて今回の映画の感想ですが、ゲットアウト同様、これはどういう意図があるのだろう?という描写が多数散りばめられており、少々頭を抱える部分はあったかと思うんですが、それ以上に画的にホラー描写が多い内容ということもあり、映像面ではかなり満足した映画でありました。
このブログでも何度も言ってますが、僕は怖いのがニガテでして、特に驚かせるパターンのある映画はホントきついんですよ。
でも耐性が少しづつついてきたのか、今回の映画でもかなりの驚かせる演出が施されていたんですが、緩和からの緊張を生むような落差の演出映像ではなく、緊張をさらに増幅させるようなビックリ描写といいますか、僕としてはこういうやり方で怖がらせる映画の方が向いているのかなぁと。
序盤はそれほどのホラー演出はないものの、化粧室の鏡で顔を覗いているゾーラの背後から飛び出すジェイソンとか、浜辺でトイレに行っただけなのに性格上心配性なアデレートの心理状況を促す音楽などで少しづつ不穏な空気を出していき、中盤でレッド率いる謎の❝わたしたち❞の登場によって恐怖心を煽り、物語が進むにつれ増す血の量や赤い服を纏った人たちの増加、終盤での真相を迎える舞台での不気味で無機質な空間などなど、一体❝わたしたち❞とは何者なのかという真実に迫る流れと、それに比例して増加するグロ描写の塩梅が非常によろしく、エンタメ性が抜群だったように思えます。
モンキー的に怖かったシーンを挙げていくと、まず一番びっくりしたのは❝わたしたち❞の存在。
アデレートの分身レッドのしゃべり方ね!!
なんですか、あの息を吸うように喋る声の出し方は!!
そんな風に喋ったら怖いに決まっとろうが!!
でも思わず「私たちはアメリカ人」ってセリフに笑ってしまったw
これ凄く深い言葉なんですが、そりゃそうだろうwって、単純な発想からつい吹いてしまったわけで。
で、このレッド以外は言葉を発しないんですよね。
あ゛~~~!!!としか言わないんですよ。
これも恐怖を助長させる要因の一つでしたね。
お前らナニモンだ!?って感じ。
さらにはジェイソンの分身プルートがずっと白いお面被ってるんですよ。
これはジェイソンが牙の突いた猿っぽいお面を常にかぶってるからなんですけど、プルートがお面取ると口が火傷で塞がれていてゾクゾク!
あ~やっぱり、あ゛~~~っ!ってしか言えないのはそういう理由だったからなのね…もうほんとあんたらナニモンだ!と。
こんな感じでレッドたちに怯えるウィルソン一家と同様に、僕も怯えながら鑑賞しておりました。
その後もレッド一味はハサミを常に持っておりまして、これで襲ってくるわけです。
俺てっきりこいつら脅すだけの凶器として持ち歩いてるんだろうと思ってたら、平気で刺してくるんですね。
しかも分身を襲うだけでなく、関係ない一般人も襲っちゃう。
ゾーラが走って逃げてる時に追いつかれてしまい、車の上に乗っかってゾーラを見下ろすんですよ。
で、その車の持ち主が注意しにくる、はい、おわかりですね。
ブシュっ!!といくんですよ。
ここのシーンで面白いのが、逃げるゾーラを寄って撮影して、その後ろでピンボケにして射してるシーンを撮ってるんですね。
観客を怖がらせることを優先するのであれば、逃げるゾーラなんかほっといて、その差し迫る瞬間をクローズアップすればいいのに、そういう撮り方をしている。
誰かの映画を参考にしてるのかな?
ヒッチコックとか?
この辺は勉強不足なので、面白い撮り方するなぁと感心しながら怯えておりましたw
ゲイブの分身アブラハムも、ゲイブがバット持ったから自分もバット持ち出してボコボコに殴った後、ゴミ袋にゲイブを入れて夜の湖のボートの上でどこかへ持っていくって謎の行動に出るし、
ジェイソンの分身プルートは、二足歩行せずに手足使ってガルルルル言いながら追いかけてくるし、
ゾーラの分身アンブラも、不敵な笑みを浮かべて骨ピキピキ鳴らしながら、走って逃げるゾーラをこれから全速力で追いかけます!って感じでウォーミングアップしているし、
何よりアデレート分身レッドの瞬き一切せずにこっちを見てくる表情ね!
終盤レッドを追い詰めたアデレートに、自分たちのことと、これまでの経緯を話すシーンがあるんですけど、レッドを思いっきりアップで撮ってて、背後に棒を構えて臨戦態勢のアデレートを映すて構図があるんですけど、この時のレッドの顔!!!コロチキのナダルでいうイッちゃってる!!顔ですよ。
で、さっきも書きましたけど赤い奴らは何もウィルソン一家の分身だけじゃない、仲良し家族のタイラー一家の分身も登場。
優雅にバスローブ着て酒カッくらってるジョシュの分身は図体デカいし、
奥さんキティの分身もアデレートを軟禁してて、さっさと殺せばいいのに急に口紅塗り出してオシャレしだして、
しかも何を血迷ったかナイフで自分の頬に切り傷入れる鬼畜ぶり。
その二人の双子の娘がまたビッチな匂いプンプン出してるのに、分身はただの双子のバケモノで、ジェイソンとゾーラがお母さん助けに行く時に後ろで音立てずに側転してるんですよ、どんな隠れ方してんだよw
で、まぁゾーラが棒でボコボコに殴って血まみれにするんですけど、君たちはあれですか恐怖心はもうないんですか。
ないか、あれだけ死体見たら。
子供は呑み込みが早いなぁw
こんな感じで、分身以外の人間も襲ってくる赤い奴らの想定外の行動にビクビクゾクゾクしてしまう、怖~い映画でした。
恐らくこういうことなんじゃねえか。
はい、とりあえず俺が怖かったシーンを赤い奴らの行動中心に語った感想でしたが、ここからは僕の苦手な考察のお時間。
非常によくわからない描写が多々ありましたが、これってこういうことなんじゃね?ってのをザックリ書いていこうかと。
- ❝わたしたち❞とはいったい。
アデレートは幼少時、サンタクルーズの移動遊園地の「自分探し」と書かれた鏡の館でトラウマ体験をした結果、話すことがニガテな子供時代を過ごしていました。
その彼女がかつてトラウマを体験した場所に再び訪れたことから物語は始まるんですが、結局は彼女がここに戻ってしまったことが彼らを呼び出す口実になったのだと思います。
冒頭でも、「地下深くに存在するトンネルの意味を誰も知らない」、というような文言が表示され始まるんですが、まさしく彼らはそんな地下から現れた影、というかクローン、誰も知らない存在として現れます。
この世で最も恐ろしいモンスターとはいったい誰なのか、ということにフォーカスをあてて製作したと仰ってますが、それは自分自身だということを示しているように思えます。
多様性を重んじる社会が理想として掲げられてる中、そのように心掛ける人たちが増えている一方で、それは表向きでしかないのではないか、心の奥底はそう簡単に変えられないのではないか、というようなことを❝わたしたち❞に込めたのかもしれません。
さらには地下から現れた、という部分で言えば貧富の差も現してるように思えます。
実際ウィルソン一家もタイラー一家も立派な別荘を持っていることから、裕福な家庭のように見えます。
そんな彼らに襲いかかる❝わたしたち❞は、正に彼らの下で貧しく暮らす貧困層であり、富裕層はそんな彼らのことなど知る由もなく、のうのうと優雅に暮らしているのです。
自分のことも大事ですが、社会に存在する以上自分以外のことにも目を向けなくてはならない、あなたの知らない場所や環境でこんな実態がありこんな人たちがいる。
声高に差別をなくそうといったところで、それはポーズでしかなく、根っこの部分はやはり差別意識を払うことはできていない、そんな皮肉。
❝わたしたち❞とはそんな自分の内面に潜む「影」であり「裏」であり、「知らない人、いや知ろうともしない人」の形だったのかもしれません。
しかもご丁寧にアメリカ人とまで言ってますから。痛烈な皮肉ですよね。
- ハンズ・アクロス・アメリカ
1985年にマイケルジャクソンらが製作したチャリティーソング「We are the world」の流れで起きた運動だそうで、飢餓や貧困などから救うため、皆が手を取り合う世の中を作ろうという気持ちのもと、10ドル払って「大西洋から太平洋までアメリカを横断して一列に手を繋ぐ」という前代未聞のチャレンジを行ったそう。
冒頭では幼少時のアデレードがこのCMを見てる映像が流れ、終盤には❝わたしたち❞が、このハンズアクロスアメリカを体現している映像が映し出されます。
これも上で書いている通り、地下の人間たちがやっているというのがミソなのかと。
実際地上で暮らしてる人はこの運動をしても世の中はまるで変ってなく、結局これをやった人たちってのは、お金持ってる人たちだけでやったであろう企画なわけで、それってやる意味あるのかと。
何のために手を繋いだのかと。
金持ってる奴らだけが団結しても世の中を救うことになるのかと。
そして地下の人間たちは彼らのコピーとして無機質な空間で無感情で地上の人間たちの模倣を繰り返しながら過ごし、下りしかないエスカレーターが象徴するように、そこから這い上がることすらできないことを示していたわけで、そんな彼らが地上に出られたのなら真っ先にすることは、真の貧困撲滅を示すハンスアクロスアメリカなんじゃないかと。
どうしても結末に触れるのは避けたいので遠回しに言いますが、最後のオチを知ると、この❝わたしたち❞によるハンズアクロスアメリカは、彼らの絆が相当強いということと、彼らの時代が到来することを望んでいる監督の希望と、地上の人間=富裕層への痛烈な恐怖を含めた描写だったのではないかと。
- エレミア11章11節
子供時代のアデレードは父親の元から離れ、導かれるままに鏡の館へと向かってしまうんですが、この時「エレミア 11章11節」という文字の書かれた看板を持ってる男性が立っているのがクローズアップされます。
しかもこの男性、現在のパートで救急車に運ばれるんです。
これが一体何を示しているのか。
もちろんこれは旧約聖書に書かれたものであるのは一目瞭然なんですが、内容は意味まではわからないですよね。
実際どういう言葉がかかれているのかというと、「それゆえ、主はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らにわざわいを下す。彼らはそれからのがれることはできない。彼らはわたしに叫ぶだろうが、わたしは彼らに聞かない。」というもの。
エレミアとは旧約聖書「エレミア書」に登場する古代ユダヤの預言者だそうなんですが、ここだけの言葉で物語を解釈するならば、ウィルソン一家に起きる災いは逃れることができないってことでしょうか。
子供時代のアデレードはその予言を聞いていて、実際再びそこに訪れたことで預言者が死に、実行されると。
で、彼らが来たのが午後11時11分。
はい、僕がビビった理由がここで理解できたかと。
他にも、スリラーのTシャツを着ているのとかってのはPVで描かれてるような実はモンスターでしたっていう物語を先読みできるアイテムだったし、
ビーチでくつろいでいたアデレードに飛んできた星の模様の赤いフリスビーと着地した場所が白地に青い水玉のタオルケットだったことから、アメリカの国旗を想起させるものだったし、
ジェイソンと分身プルートは、互いが火に執着していること(だから口に大火傷してたんだな)、お面をかぶることで同じ動きをすることから、それを活かした撃退方法だったし、
陸上選手になることを諦めたゾーラが走って逃げるってのも、夢を失わないことへのメタファーとも取れるし、
冒頭のカゴの中のウサギは、アメリカ人の人種の割合を示しているもので圧倒的に白うさぎが多いこと、
終盤では❝わたしたち❞が外の世界に出たことを示すかのようにかごから出た状態だったこと、
N.W.A.の「ファックザポリス」が流れながら白人が殺されるというブラックジョーク、などなど、
あらゆる場面で様々なメタファーが散りばめられており、決してこれが正解ではないことを念頭に置いて、あくまで参考の一つにしていただければと。
そもそも俺得意じゃないからこういうのw
最後に
お芝居に関しては、やはりルピタ・ニョンゴの一人二役による、演技や表情、セリフの発生などによる区別が非常に巧く、怯える姿と追い込む姿が対照的に画面に出てくるので、すごく魅力的。
最近は娯楽大作ものばかりでしたから、こういう作家性の強い作品で存在感を発揮できたのは彼女にとって大きなキャリアだと思います。
ただ敢えて不満を言うのであれば、単純な面白さで言うとユーモア描写が多かった前作「ゲットアウト」の方が僕としては上手な作品だったなぁと。
きっと映画の演出や効果的な恐怖描写をお勉強したのかな?
そっちに力がいってるような気はします。
とはいえ、ホラー描写、グロ描写、脅かす描写など、怖がらせている点が優れていたように思ったのは事実で、その点においては非常に楽しめた映画でした。
監督の次回作も社会への痛烈なメッセージを込めた映画になるんでしょう。
楽しみですね。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10