モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「嘘八百」感想ネタバレあり解説 劇中にウソが800個出てくる話です。嘘です。

嘘八百

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正月映画に必ず佐々木蔵之介が出演してる説。

今年もその通りになりましたw

 

若年層にはあまりウケそうにない、このポスターの感じ。

しかもお宝コメディ?骨董品?益々ウケないじゃないか!

何だよシニア層狙った松竹映画かぁ?

ノンノン、これ配給がギャガなんですよ。意外ですよね。

 

 

その意外さも理由の一つですが、あの「百円の恋」の監督脚本コンビが作った新作ということで結構期待しております。

あんな低予算映画から、こんな2大キャストでしかもギャガ配給なんですから大出世です。

きっといい作品が作れたんだと思います。

というわけで早速新春初笑い、かましてきましたよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

ぐうたら女子が一人の男との出会いからボクサーとして成長していく青春映画を、低予算ながら見事に構築された物語で観客を歓喜に沸かせた「百円の恋」で、2016年日本アカデミー賞優秀作品賞並びに、最優秀脚本賞受賞という快挙を成し遂げた監督脚本コンビが、再びオリジナルストーリーでダメンズたちの再起をかけた物語を作り上げた。

 

千利休の幻の茶器が発見されたという、ウソか誠かの真贋を巡る大騒動を、うだつの上がらない古物商と陶芸家の掛け合いを軸に、どんでん返しの一発逆転劇をユーモラスに描く。

 

嘘八百から生まれたマコトとは一体どんなものなのか。

新しい年の幕開けにふさわしい、極上の骨董ロマンをお宝コメディに仕上げた、開運エンターテインメント映画です。

 

嘘八百

嘘八百

 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

大阪・堺。千利休を生んだ茶の湯の聖地に、目利きだが大物狙いで空振りばかりの古物商小池則夫(中井貴一)が娘のいまり(森川葵)を連れてやってきた。

「西に吉あり」。ラジオの占いに導かれるように車を走らせてると、蔵のある屋敷にたどり着く。門から様子を伺うと、主らしい男・野田佐輔(佐々木蔵之介)が帰ってきた。蔵の中を見せてくれという。庭にはジオラマづくりに夢中の息子・誠治(前野朋哉)がいた。

佐輔は「骨董の事はわからない。これ一つでも車一台は買えると聞いている」と言って茶器を差し出す。則夫は名物に似せた贋物だと見抜き、売りつけた古美術店の名前を聞くと、茶器を譲り受けた。

 

則夫は早速、その店を訪ねる。素人に贋物を掴ませた証拠をネタに高額で引き取らせる魂胆だ。ところが店主の 樋渡(芦屋小雁)と大御所鑑定士の棚橋(近藤正臣)に軽くあしらわれてしまう。

くさっていると佐輔からの電話。屋敷に再び呼ばれた則夫は、書状を見せられ絶句する。利休直筆の譲り状だ。「お宝でっか?」と尋ねる佐輔にしらばくれる則夫。

譲り状があれば茶器があるはず。はやる心を抑えながら蔵の中を探すと、ついに利休の形見の茶器が現れた。国宝級だ。

「蔵の中のもの全部、百万円で引き取りましょう。」すました顔で申し出ると、佐輔は快く応じた。

 

翌朝、支払いを終え、お宝を積んだ車を上機嫌で走らせていると、ラジオから「油断大敵」の声。不安になって箱を開くと茶器は真っ赤なニセモノだった。

大慌てで戻ると、屋敷の主は全くの別人(寺田農)だった。佐輔は留守番を頼まれただけだったのだ。則夫が佐輔の行きつけの居酒屋に乗り込むと、百万円を山分けしている。

警察の筆跡鑑定も潜り抜ける達筆のマスター(木下ほうか)、紙に詳しい表具屋のよっちゃん(坂田利夫)、どんな箱でも作って見せる材木屋(宇野祥平)。彼らは贋作に関わる仲間たちだった。

隙を見て逃げ出した佐輔を追いかけると、さびれた家に着く。そこには佐輔の妻・康子(友近)と誠治、そして、いまりがいた。屋敷に通ううち、誠治といまりは心を通わせていたのだ。息子に恋人ができた事に安心した康子は家を出ていく。陶芸家としての才能があるにもかかわらず、樋渡と棚橋にそそのかされ、贋物を作り続け、くすぶっていた佐輔に愛想をつかしたのだ。

 

利休形見の茶器の本物の<譲り状>と<箱>がある。だが肝心の<茶器>がない。則夫は一瞬でも自分の目を惑わせた佐輔の腕を見込み、一世一代の大勝負を持ち掛ける。「悔しかったら、やり返せよ。」実は則夫自身にも樋渡と棚橋に一杯食わされた過去があった。

利休に関わる博物館を訪れた二人は、利休を愛してやまない学芸員(塚地武雅)に出会う。

昔の情熱を次第に取り戻す佐輔。それを支える則夫。力を合わせて作り上げる茶器はきっと「本物よりも凄いモノ」になるはず。

2人が仕掛けた一発逆転の大勝負は、樋渡や棚橋だけでなく文化庁をも巻き込み、前代未聞の大騒動に発展する、

果たして人生の借りを返し、一獲千金の夢を叶えられるのか—。(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

 

 

監督

 監督は武正晴

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原作コミックや小説が映画になるのがほとんどの中、オリジナル作品にこだわって悪品を作り続ける数少ない監督。

そういう場合中々予算がもらえないのが、現在の日本の映画産業の欠点なんですが、金なんかかけなくてもいい映画は作れる!と示してくれたのが「百円の恋」だったと思うんです。

もちろん監督だけの力ではなくて、コンビを組んだ脚本の足立紳の面白さがあり、主役を演じた安藤サクラ新井浩文の役者魂があってのことなんですが、よくまとめたなぁと。

前作「リングサイドストーリー」はちょっと期待外れだったので、その分今回楽しませてほしいですね。



監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

キャスト

主人公の小池則夫を演じるのは中井貴一。

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実はお父さんも佐田啓二という名優であり、二世俳優だというのをご存知の方は少ないのではないでしょうか、かといって俺も親父さんの映画1本も見てないんですけどもw

 

今や大御所俳優としてあらゆる作品で存在感を発揮している「ぴっちり横分け鼻デカ兄さん」。

モンキー的にはこの方は、DCカードのCMと「最後から二番目の恋」、あとNHKの「サラめし」のナレーションのイメージが強くて、今回コメディをやるというのが凄くしっくりきます。とぼけた顔が好きですねw

昔から活躍されてる方なのでほとんどの作品をみてはいないんですが、「ビルマの竪琴」、「激動の1750日」、「壬生義士伝」といったシリアスな作品や、「寝ずの番」、「グッドモーニングショー」といったコメディまで幅広い演技で魅了してくれる人です。

 

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もう一人の主演である、売れない陶芸家・野田佐輔を演じるのは佐々木蔵之介。

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独身俳優唯一の砦。彼が結婚したらどれだけの世の女性たちが悲しむのでしょうか。

離婚弁護士」で散々ラクダ顔としていじられてきたので、モンキー的にはもうラクダにしか見えないんですが、やはりかっこいいですよね。

 

彼の代表的な作品をご紹介しましょう。

映画として一番大きな役に出演したのは、森田芳光監督作品「間宮兄弟」。

いい年して仲良く暮らしている兄弟の平凡だけどささやかな日常に満たされる人情コメディで、本作にも出演しているドランクドラゴンの塚地武雅と兄弟役で出演しています。

その後もコンスタントに映画に出演し、1979年の田舎町を舞台に、悪戯好きの高校生たちと新米警官との、アイデア溢れる憎めないイタズラを巡る攻防を綴った「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」、

中学からの親友の行方を怪しい探偵と共に探す主人公が巡る予想できない物語「アフタースクール」、

最近では、幕府の陰謀でたった5日で参勤交代を命じられた貧乏藩が、維持と知恵で立ち向かう時代劇コメディ「超高速!参勤交代」が続編まで製作される人気を博しました。

 

去年は、舞踏はヤクザとへっぽこ建設コンサルタントのコンビが、だまし取られた金を取り戻すべく奮闘するコメディ「破門 ふたりのヤクビョーガミ」、

ごく平凡な家族がある日宇宙人に覚醒し、地球滅亡の危機から救おうとする姿を描いた異色のSFヒューマンドラマ「美しい星」などに出演しています。

 

 

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他のキャストはこんな感じ。

則夫の娘いまり役に、「恋と嘘」、「TOO YOUNG TO DIE ! 若くして死ぬ!」「渇き。」の森川葵、

佐輔の妻・康子役に、「酒井家のしあわせ」、「地獄でなぜ悪い」の友近、

佐輔の息子・誠治役に、「桐島、部活やめるってよ」、「勝手にふるえてろ」の前野朋哉、

大御所鑑定士・棚橋役に、「龍三と七人の子分たち」、「海賊と呼ばれた男」の近藤正臣、

学芸員・田中役に、「間宮兄弟」、「アイアムアヒーロー」の塚地武雅などが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

馬面とラクダ面(失礼w)のコンビがどんな掛け合いをし、どんな一発逆転劇を見せてくれるのか。そこからどんなウソを並べたてダマしてくれるのか?非常に楽しみです!

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 

 感想

獺とトカゲが古狸に過去の借りを返す一発逆転リベンジマッチ!

骨董品わからなくても笑って楽しめる正月ならではの喜劇映画でした!!

 以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生を取り戻す戦い

共通の敵に人生を台無しにされた骨董商と陶芸家が協力し合って、人生最大の大博打に打って出る様を、大阪ならではのにぎやかな掛け合いや、「セッション」でのクライマックスを思わせる緊張感高まるドラムソロの音楽、そして何よりどう見ても負け臭しかしないおっさん二人の絶妙な演技が化学反応を起こし、最後までワクワクしながら見てしまうコメディ映画でございました。

 

 

正直申し上げれば、劇中で扱った骨董品に何の興味もなく、千利休についても全く知識のない、その筋ではド素人のモンキーではありますが、そういった部分に疎い人でも、この主演二人を見ているだけでどこか楽しく見えてしまう芝居に見とれてしまうわけであり、どうかこの冴えない二人に救いの手を!と最後まで目が離せない展開に楽しく鑑賞できた作品でありました。

 

 

まぁあれですよ、自分も仕事柄、商品に値をつけて買い取りそれ相応の値をつけて売るという点において、この則夫の職業とは近からず遠からずなわけで、それなりの親近感があります。

決してダマすわけではないんですけどねw

まぁこういう職業はちゃんとした値をつけないとお客さん来なくなっちゃう、信用がものをいう商売なわけで。

それで人生躓いた則夫に同情してしまうというか。

 

 

とはいえ、あくまでベースはいかにダマして吹っかけてのやり取りで、骨董品というものの目利きをすることに、いかに勉強しなければならないかが則夫のセリフからも読み取れます。

どの歴史にも精通してないと無理ですからね。

 

まぁ則夫はクライマックスでかなりのハッタリかましてますけども、かなりの弁が立たないと相手を説得できないですし、大変な職業だなぁと。

 

 

そして佐輔も物を作る仕事という点においての苦労もちゃんと描かれていいるのがこの映画のいいことろ。

 

まだ夢に向かって一直線な時に評価され、ようやく一人前だと自信をつけたのに、フタを開けていればただ騙されていただけ。

 

そんな夢と結果にぶら下がったまま年老いてしまった中年が、陶芸から足を洗えず、贋作ばかり作っているというのもどこか同情してしまうわけで。

負け癖もついてしまっているからか、妻が出ていくといっても、今の自分を俯瞰で見ても全く悔しがらない佐輔に、自分だったら絶対いやなのにどこか愛おしく感じてしまう。

俺もしかして枯れ専か?

 

 

そんな枯れに枯れた中年二人が、家族を取り戻すために、自分の人生を取り戻すために、なくしたものを取り戻すために共闘して立ち向かう姿は、アクション映画でもよくある構図であり、こういうダメな男の再起をかけた姿、再生を描く姿をずっと撮り続けている監督に拍手を送りたいですね。

 

 

ダマしダマされの連続

冒頭からダマしダマされが描かれているのがこの映画の最初の見どころ。

 

蔵のある家を探しながらうろうろしている則夫は、ラジオの占い通り西に向かい、見事にお宝が眠っていそうな家を発見。

娘を使って隙を作る計算も見事にあたり、早速お邪魔します。

 

値打ちのない茶碗なのに、高い値段で買ったという茶碗を譲ってもらい、その店に行っていちゃもんをつけいにいくと、こっちの目利きは本物だ、TVにも出てる大物鑑定士もそう言ってる、言いがかりも体外にしてくれ、と逆にいちゃもんを突けられる始末。

 

明らかに嘘をついていると自分の目を疑わない則夫だが、それに論破できずへこんでしまう。

 

再び佐輔に呼ばれ蔵の中を漁ると、値打ちの匂いがする書状を発見。

お宝でっか?と顔を覗き込む絹田に対し、則夫は百姓一揆の書状だと嘘をつく。

 

これ全部譲ってくれたら100万でいいよ、という問いにあっさり承諾する絹田。

 

いやぁ~いい買い物した~!!と言っていたのもつかの間。

中を開けると茶碗は入ってなく箱と書状だけ。

あれ確かに茶碗入ってたし、あの茶碗は本物だったよなぁ・・・。

 

急いで戻ると絹田はいない。代わりに別の老人。

なんとその人こそ絹田であり、立ち会った人物はただの留守番だった!まさに狸が狐につままれたのです。

 

 

ここから互いの能力を認め合い、ここは協力して俺らを騙したあの骨董品店主と鑑定士に一泡吹かせてやろうぜ!とチーム結成!

 

筆跡鑑定もダマしてしまう腕を持ち、その腕で店にディカプリオのサインまで飾っている居酒屋の店主、紙を舐めればどれだけの価値があるかひと味でわかる阪神ファンの表具屋の親父、同じく阪神ファンでどんな箱でも簡単に作ってしまう材木屋、そして今となっては贋作ばかり作っているが、一瞬でも則夫の目を騙したほど腕のある陶芸家、絹田改め佐輔。

 

役者はそろった!あとはあの古狸2人にうまく言いくるめて競りに呼び出せば完璧。

 

物語は決戦の舞台へと移っていくのです。

 

 

千利休について

今回主人公2人が作ったのは千利休が最後に作ったとされる茶碗だったのですが、そもそも千利休ってどんな人だったっけ?ってことで軽く調べてみました。

 

ざっくり言えば、安土桃山時代に茶人として信長や秀吉にかわいがられ、わび茶というお茶そのものを楽しむ道を作りながらも、影で秀吉を操っていた人物ってのが一般的ですが、最後はどうなったのかってのはイマイチわからないって人も多いんじゃないでしょうか。

 

派手好きな秀吉と、渋くて素朴なものを好む利休の間に次第に溝が生まれていったそうです。

そして貿易の利益を独占しようと堺の町に圧力をかけていく秀吉に対し、それを煩わしく思っていた利休。

愛弟子も口のきき方がなってねえ!!って理由で秀吉に殺されてしまうというショッキング出来事も重なり、ますます関係は悪化。

 

その後利休にとって後ろ盾であった秀吉の弟秀長が亡くなってしまったことで、利休は徐々に窮地に立たされます。

 

秀吉の独りよがりなやり方は徐々に強まり、ついには上下関係をはっきりさせるべく利休を自宅謹慎にして、誤りに来させようと計らいますが、利休はこれを拒否して自宅から出なかったそうです。

 

秀吉の怒りも頂点に達し、ついには利休に切腹を命じます。

それに応じ利休は切腹し死んでしまうのでした。

 

 

秀吉のちっちゃい器のせいで死ななければならなかった利休。

彼もまた茶を愛するがゆえに譲れないものがあったわけですが、やはり上には逆らえなかったってことですかね。

にしても互いにプライド高いなぁ。

 

と、こんな最後だったそうですが、本作ではこの直前に作った器を巡っての騙し合いというわけです。

 

実際にそんな器が存在するのかわかりませんが、物語では死を覚悟した利休がようやく自分が求めていた場所を、大海原の上を飛ぶカモメに例えて読んだ俳句が詠われており、主人公の二人もまた、次の舞台へと足を運ぶ姿をカモメに例えた画で幕を閉じるという、利休の最期と重ねた流れになっていました。

 

 

最後に

「百円の恋」ほどの熱はおびていませんでしたが、この監督脚本コンビは実に映画作りが巧いなぁと感心します。

ふと思ったのですが、この二人は「スティング」でもやりたかったのかな。

 

監督の手持ちカメラでワンカットで見せるやり方や、佐輔が丹精込めて器を作る画も丁寧に描く技術は素晴らしいし、足立さんの脚本もちゃんと端にいる人物設定まで目を配り必要最低限だけ描いて、キチンと終着させる話の無駄のなさに今回も納得の出来でした。

 

あえて言うなら今度は王道のネタでいってほしいですね。

全く知識が無くても楽しめるとはいえ、興味のない世界の話なので中々セリフ理解できない部分もあり、そこが残念だったなぁと。あくまで俺が悪いんですがw

 

何が本当何がウソなのかわからない世の中で、こういうウソもいいもんだ、と笑ってしまえる喜劇だったのではないでしょうか。

ただこれはあくまで映画ですので、なるべく嘘は言いたくないもんですw

 

ちなみにこの映画の感想はウソではありません。僕の本当の想いです。大したこと書けてませんがw

というわけで以上!あざっした!!

 

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満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10