モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「スウィート17モンスター」感想ネタバレあり解説 お前がつまらないのはお前のせい。

スウィート17モンスター

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何てったって、「こじらせたまま大人になってしまったすべての人へ捧ぐ」ですよ?

面白そうじゃないですか。

 はい、というか、該当者であります!!

だから当てはまるような言葉や行動、たくさんあるんじゃないかと。

笑っちゃうのかなぁ、突き刺さるのかなぁ、泣いちゃうのかなぁ。

 

主人公は女の子でありますが、性別など関係ない。

このお年頃の男女はみんながみんな悩める10代だったのだから。

というわけで早速鑑賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

アメリカ批評サイト「ロッテントマト」で95%の高評価をたたき出し、ゴールデングローブ賞にもノミネートした青春映画です。

思春期を経験した誰もが、あの頃のリアルな痛さを思い出して悶絶してしまう、そんな心も体も整っていない17歳の、友情、恋愛関係、将来といった葛藤と成長を、新進気鋭の監督、才能豊かな女優と彼女を支える個性派俳優が結集し作り上げています。

 

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あらすじ

 

主人公のネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は17歳。キスもまだ経験なしのイケてない毎日。恋に恋する妄想だけがいつも空回りして、教師のブルーナー(ウディ・ハレルソン)や、母親(キーラ・セジウィック)を困らせてばかり。

たった一人の親友クリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)だけが自分のすべてだと思っていたのに、何をしてもかなわないとコンプレックスを抱いていた天敵の兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)と親友のクリスタが恋に落ちてしまう。

この衝撃的事件により、ネイディーンは父が他界して以来ずっと取り乱しがちな母や、なぜかシンパシーを感じる変わり者の教師のブルーナー、自分とは正反対のイケメンで誰からも愛される兄ダリアンなど、自分を取り巻く人々へ新たな視点と気持ちを向けざるをえなくなる。

 

人生は彼女が思う以上に複雑で、誰もが何かをこじらせながら大人になっているのだ・・・。(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

 

 

 

監督

監督は、今作で監督デビューしたケリー・フレモン・クレイグ。

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なんと35歳!若い!てかキレイ!!

監督!女優もイケますよ絶対!!

 

今作で監督と脚本を手掛け、NY映画批評家賞第一回作品賞を受賞し、結果賞レース4受賞18部門ノミネートという快挙を成し遂げました。

おそらく来年の新作はもっと注目されるんでしょうね。

会社の犬にならないことを祈りたいですw

 

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 監督の脚本デビュー作だそうです。おっと、俺の好きなアレクシス・ブレデルが。見たい。

 

 

 

 

キャスト

主人公の17歳こじらせ女子、ネイディーンを演じるのはヘイリー・スタインフェルド。

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どこか指原莉乃と系統が似てる気がする・・・。

ヘイリーちゃんといえば「トゥルー・グリット」での勇ましい姿が印象的です。

あの頃14歳でしたか。

立派な女性に成長しましたよね。

てか歌手やってたなんて知らなかったなぁ。

 

そんな彼女の出演作品をざっくりと。

父を殺した犯人へ復讐を果たすべく、2人の男を従え危険な追跡の旅に出る少女の旅路を、素晴らしい映像美で描いたコーエン兄弟監督の傑作西部劇「トゥルー・グリット」で1万5000人の中から選ばれ、アカデミー賞助演女優賞ノミネートをじめ、数々の賞で受賞し脚光を浴びます。

 

その後も、崖っぷちの音楽プロデューサーと失恋したての女性シンガーソングライターが手を組み再起を図る音楽映画「はじまりのうた」では、ビルの屋上でのゲリラレコーディングでギター演奏を披露、大学の女子アカペラ部を舞台にした学園青春コメディの続編「ピッチ・パーフェクト2」では歌声も披露するなど、音楽面の顔ものぞかせる演技で魅了しています。

 

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 ジェフ・ブリッジスがカッケーんすわ。

 

 彼女に関してはこちらもどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

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他のキャストはこんな感じ。

ネイディーンの母親モナ役に、TVドラマ「クローザー」でおなじみキーラ・セジウィック。

ネイディーンの教師ブルーナー役に、「グランド・イリュージョン」や「ゾンビランド」、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」、今年は「猿の惑星 大戦記」が控えているウディ・ハレルソン。

親友クリスタ役に、シャマラン監督最新作「スプリット」にも出演しているヘイリー・ルー・リチャードソン。

兄であるダリアン役に、「エブリバディ・ウォンツ・サム!」のブレイク・ジェナーらが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

なんで私だけこんな目に?17歳こじらせ女子が、どんな風に周りを巻き込み、やらかし、追い込まれながらも大人への一歩を踏んでいくのか。

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

 いやいや笑ってる場合じゃない!みんなにもこんな時があったのだから!笑えるけどどこか心当たりのある痛快青春映画!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

様々な愛が描かれていた。

体は大人でも頭ん中はまだ子供。

家族がウザい、友達が少ない、先生が相談にのってくれない、みんな私のこと誰も理解してくれない。

そんなすべてが暗闇に覆われてると思ってるティーンズ女子が、周りの人間を困らせながらもちょっぴり大人への一歩を踏み出す青春映画でございました。

 

 

なんでアタシがこんな目に!?

そう誰もが思っていた17歳という多感な時期を思い起こさせるこじらせっぷりに、大いに笑える場面もあれば、あまりに行き過ぎた行動に母親や兄に同情してしまう場面など、彼女と同じようなことをしていたり言っていたことに共感したり、またはそんな彼女にやきもきしながらも彼女のことを理解しようと努める母親や兄のような大人の目線で共感できる、どちらの目線でも楽しめる映画になっていました。

 

 

そこから読み取れるのは、親子愛や兄弟愛、親友との友情や自分を好きでいてくれる人との関係といった様々な愛も描かれていること。

 

娘のことを理解できないでいる母親、母へのご機嫌取りばかりする兄、絶交された親友、彼女への好意がなかなか伝わらないクラスメート。

 

彼女を取り巻く人間たちが、たくさんの愛情を注いでるにもかかわらず受け取ろうとしないネイディーンに、周りの人たちはとうとう愛想が尽き、つい本音を言ってしまうけど、その本心に気付いたネイディーンが向き合っていくラストに、大きな愛を感じた瞬間でありました。

 

 

お前がつまらないのは、お前のせいだ。

タイトルからしてモンスターとは主人公ネイディーンのことであります

 

しかも誰目線で言ってるのか、それはもちろん彼女以外の周りの人間

このモンスターをどう説き伏せようにも説き伏せられないわけです。

 

どうしてそうなってしまったのか。

ひとつは自分のよき理解者である父親が亡くなってしまったこと。

そしてもうひとつは唯一の親友がリア充である兄と恋仲になってしまったこと。

 

父が死んでしまい悲しみに暮れ落ち込みはしたものの、まだ親友だけは自分の味方でいてくれた。

その命綱一本を掴んでかろうじて生活していたネイディーンに、ついにその命綱が絶たれてしまう。

はい、とうとうモンスターの誕生です。

も~んすたぁ!!(嵐の歌っぽく)

 

 

モンスターはまず、兄と親友とパーティーに出かけますが、どんどん兄のエスコートでリア充と化していく親友クリスタの行動に腹が立ち勝手に帰ってしまいます

 

次にモンスターは、兄と真剣に付き合うことを決めたクリスタに、アタシと兄貴どっちか選んで!とムチャぶりをします。

もちろんクリスタは選べるわけもなく、結果モンスターは絶交よ!とブチ切れ。

 

そして一人ぼっちになったモンスターはどんどん深い闇に。

モンスターに好意を持っているクラスメートのアーウィンを誘い、遊園地へいったり、家に遊びに行くわけですが、彼の好意をわかっていながら平気で踏みにじる言葉を浴びせます。

 

モンスターは学校の先生にも平気で気分を悪くさせる言動もします

このうだつの上がらないハゲ教師!

しまいには、親友に会いたくないがために母親の職場までついていき、母の邪魔をしたのちに、母の車で無免許運転。

 

やりたい放題もいいとこです。

 

 

人間は2種類に分けられる。

イケてる奴とイケてない奴。

イケてないほうに分類されたとばかり思い、何から何までひがんでばかりのネイディーン。

 

最初こそ彼女の行動や言動に笑いっぱなしでしたが、さすがに後半は笑えません。

ちょっと腹が立ってきました。

ブルーナー先生も、アーウィンも、母も兄もクリスタもよく我慢出来たなと。

 

この時なぜかふと、映画「アフタースクール」の名セリフ、「お前がつまらねぇのは、お前のせいだ。」が浮かびました。

 

あなたが一歩踏み出すことで世界はこんなにも変わるのに、どうしてそれに気付かない!

 

そう思うのは自分が大人になったからなんだよなぁ。

 

俺もあの時そうだった。

高校時代の自分を思い出しました

今思えば相当周りに迷惑をかけてました。

その代償に友人も減っていきました。

それでも自分は悪くない。

そう考えていた自分がいました。

 

どこでどう変わったのか、自分もよくわかっていません。

むしろまだ変わってないのかもしれない。

こじらせたままなのかもしれない。

それでもこのネイディーンに腹が立ってるっていうのは、昔の自分と重ねてみてたり、歳を取ったから。

 

そういうことにしとこうw

やっぱ変わってねえなw

 

 

話が逸れましたw

 

このモンスターをどう退治するか。

 

大人たちは真っ向から勝負していきます。

 

兄貴は人生は不公平なんだ!乗り越えろ!とめちゃめちゃいいこと言いますが、まったく効果なし。

 

母親は取り乱しながら罵倒しますが、いつもの常套句に慣れてるモンスターに見透かされ、その後なんて言うか当ててあげる!と逆に煽られ全く効果なし。

 

アーウィンに至っては腹が立つけど、やっぱりネイディーンが好きだから強く言えずに、今言いたいことをもろに歌ってる曲を流して伝えますが、モンスターにそんな遠回しの攻撃など通用するわけもなく。

 

だが、先生はそんなモンスターに真っ向勝負せず、のらりくらりなつかみどころのない切り返しで対等に接していきます

さすが何年も子供相手に修羅場をくぐってきた男。

 

自殺してやる!とモンスターが吠えれば、授業を休んでアイスでも食えと落ち着かせ、モンスターのご乱心により暴言を吐かれても、そんな低い年収で例えられたのは初めてだと威圧し、それでもお前はお気に入りの生徒だよ!とすかさずフォロー!

仕上げはクッキーあげるよ!

で、ハイ一丁あがり!

さすがです。

 

 

そんな先生に気を許したのか、色々あってへこんだモンスターは彼を頼っていきます。

徐々にモンスターは、どうしてこうなってしまったのか、ようやく答えにたどり着いていくんですねぇ。

 

というわけでモンスターはどうやって大人しくなっていくのか、何が彼女を変えていくのか、先生がどんなアドバイスをしたのか、ぜひ鑑賞して目に焼き付けていただきたいです。

 

 

 

見事な演技

今回主役を演じたヘイリーちゃん。

いやぁ名演技でしたw

そのこじらせ方は素ですか?と思ってしまうほどやらかしてくれます。

 

酒に酔って酒におぼれてグダグダになったり、早口でまくし立てて暴言はいたり、他人を傷つけるような偏見を平気でポンポンしゃべったりと、いい感じで小憎たらしい10代をコミカルに演じてくれました。

 

ネタバレ知っただけで見た気になるから教えて!と今どきの10代らしさを見せたり、ニキビ面で「ナポレオン・ダイナマイト」と同じ髪型で悲しい表情をする彼女には大いに笑わせてもらいましたよw

 

しかも最初のふくれっ面から一転、クライマックスでは大粒の涙を流しながらシリアスな演技。

そしてラストは晴れ晴れとした表情で大人への片鱗を見せる演技。

いやぁ大したもんです。

 

 

そして、先生役のウディ・ハレルソン!彼もまたいい先生を演じていました。

 

顔こそコワモテな感じですが、それを一切封じ、気だるさを醸し出しながらも、ネイディーンを一人前のように扱う眼差し、声を荒げて怒りたい気持ちを抑えながら静かに語る間の置き方、その一方で子煩悩なパパの表情をサラッとこなす切り替えの早さ。

いい先生を演じてくれました。

こんな先生いたらなぁ!と思わせてくれる演技でした。

 

 

母親役のキーラ・セジウィックも、夫に先立たれたことで悲しみを埋めようと何かに没頭しつつも、娘のことになると取り乱す、ちょっと残念な母親を好演してたし、兄貴のダリアンを演じたブレイク・ジェナーもイケてるオーラを放ちながら、妹に母に振り回される兄を熱演しておりました。

 

 

 

最後に

大人になるってどういうことだろう。

 

きっと相手を許せることだったり、相手を思いやることだったり、妥協することだったり、あきらめることだったり。

 

そういった一歩引いた行為の積み重ねなんじゃないだろうか。

 

ネイディーンの周りの人間は彼女にそういう行動をすることで大人の対応をしていたわけで。

兄貴はその素振りをしていたことを素直に認め、母親は自分の主張を抑えることで彼女を受け止め、クリスタやアーウィンは彼女を変わるのをひたすら待ち続けた。

それが伝わった時の彼女の表情を是非目に焼き付けてほしい。

大人になった瞬間を。

 

 

な~んて、わかった風な書き方しましたが、そんなね、深く考えずに色々笑って、色々昔を思い出して、ちょっとだけ成長していく彼女を温かく見守りながら見ていただけたらと思います。

 

もうざっくり言いますけどね、この映画良い!!!ww

毎度のことながら残念な文章構成でございますが、この辺で。

というわけで以上!あざっした!!

 

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満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10