パワーレンジャー
男なら幼少期、誰もがテレビにくぎ付けになり、変身キットのおもちゃを親にねだり、友達とごっこ遊びをし、ピンクかイエローの役は嫌だ!と喧嘩し、レッド役の取り合いになり、派手に遊びすぎて膝を擦りむいたあの頃。
そんな思い出の詰まったスーパー戦隊シリーズ。
あ~エターナルメモリーズ。
実はかなり前からアメリカでも日本のスーパー戦隊をモチーフにした作品をずっと放送していて、それが満を持してのハリウッド映画化。
そして日本へと逆輸入しての公開。
男たるもの熱くなって当然だ!!!
とはいえ、物心ついてからというもの、スーパー戦隊シリーズから大分遠ざかっているので、現在でもファンである大人たちとは今作への熱量に差はあるかと思いますが、今作を待ち望んでいた気持ちは一緒であります!
GO! GO! POWER RANGERS!!!!
というわけで早速見に行ってまいりました!!
作品情報
昨今のヒーロー映画全盛期に新たなヒーローが名乗りを上げる。
日本で40年以上にわたり放映され続けている「スーパー戦隊シリーズ」は、アメリカでもローカライズ版として約20年前から放送されており、一時期社会現象にまで発展。米国で最も成功している❝ジャパニーズコンテンツ❞とまで言わしめた作品が今作。
そして2017年、120億円という製作費を投入し、念願の映画化へ。
日本生まれアメリカ育ちのスーパーヒーローが日本を席捲する!
パワーレンジャー 映画版(1996年公開)<吹替版> [DVD]
- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2017/06/14
- メディア: DVD
- この商品を含むブログを見る
あらすじ
遡ること時は紀元前。古代の地球で世界の運命を決する、大きな闘いが終焉を迎えていた。
ある5人の戦士たちによって守られた地球。そこにはやがて新しい命が芽生え、物語は現代に帰ってくる。
小さな町・エンジェル・グローブに、普通に暮らす若者たちがいた。
ジェイソン(デイカー・モンゴメリー)、キンバリー(ナオミ・スコット)、ビリー(RJサイラー)、トリニー(ベッキー・G)、ザック(ルディ・リン)。ありふれた日々を過ごす彼ら5人は、
偶然にも同じ時間・同じ場所で不思議なコインを手にし、超人的なパワーを与えられる。
自分たちの力に困惑する彼らの前に現れたのは、かつて世界を守っていた5人の戦士=“パワーレンジャー”の一人・ゾードン(ブライアン・クランストン)と、機械生命体・アルファ5(声:ビル・ヘイダー)。古代の地球で封印された悪の戦士=リタ・レパルサ(エリザベス・バンクス)が蘇り、再び世界を滅ぼそうとしていること、そして彼ら5人はその脅威に立ち向かうべくコインに選ばれた、新たな“パワーレンジャー”であることが明かされる。
しかし、自らの運命を受け入れられない彼らは、まだその秘めたる力を解放できずにいた。
地球に残された時間はあとわずか。
果たして彼ら普通の高校生に、この世界を救うことができるのか?
世界が、そして仲間たちが危機にさらされた時、ついに“その力”が目覚める。(HPより抜粋)
監督
監督はディーン・イズラライト。
南アフリカ出身の監督さんだそうで、子供のころテレビパワーレンジャーに夢中だったとのこと。
今作が2作目の作品だそうで、デビュー作は、タイムトラベルによって徐々に制御不能な事態へと陥っていく若者たちをファウンドフッテージ方式で描いた、マイケル・ベイ制作のSFサスペンス「プロジェクト・アルマナック」。
なんといとこは「ミュータント・タートルズ」などを監督するジョナサン・リーベスマンだそうです。
キャラクター紹介
ジェイソン・スコット(テイガー・モンゴメリー)/レッド・レンジャー
エンジェルグローブ高校アメフト部の元伝説的スター選手。
ある致命的な事件から選手生命を絶たれてしまい、父親の期待を裏切った自分の存在価値に悩み苦しむ。(HPより)
レッド役の彼は今作がハリウッドデビュー作とのこと。今後に期待ですね。
「ストレンジャー・シングス」にも出演しています。
キンバリー・ハート(ナオミ・スコット)/ピンク・レンジャー
学校の人気女子グループの中でも筆頭のアイドル的存在。誰もが憧れる存在だったが、小さなきっかけでグループから孤立してしまう。(HPより)
彼女に関してはこちらをどうぞ。
ビリー・クランストン(RJ・サイラー)/ブルー・レンジャー
亡き父親との思い出の遊び場である金鉱を心の拠り所にしている、内気で物静かな少年。機械の扱いに長けている。(HPより)
ビリーは「ぼくとアールと彼女のさよなら」に出演し注目を浴びたようで、今作も期待が持てそうです。
トリニー(ベッキー・G)/イエロー・レンジャー
エンジェルグローブ高校の転入生。両親の転勤のため度重なる転校で友達がおらず、一人での行動を好み、いつも周囲を観察している。(HPより)
すきっ歯がチャームポイントという彼女はもとは歌手だそうで。どうもアメリカンポップスは疎い・・・。今作が映画デビュー作とのこと。
ザック(ルディ・リン)/ブラック・レンジャー
不登校を貫くアウトロー。向こう見ずな遊びを繰り返すお調子者だが、病気で伏せがちな母の看病をする優しい一面も。(HPより)
なんと彼、87年生まれ!この年で高校生できんのか・・・。
リタ・レバルサ(エリザベス・バンクス)(写真上)・・・“世界を滅ぼす力”=ゼオ・クリスタルを求め、6500万年の時を経て地球で復活を果たす。
ゾードン(ブライアン・クランストン)(写真左下)・・・元レッド・レンジャー。最後の戦いで肉体を消滅させたが、魂だけ救われた“壁の中”の人物。
アルファ5(ビル・ヘイダー)・・・パワーレンジャー”をサポートする、おしゃべりなロボット。6500万年もの間、新たな戦士たちが現れるのを待ち続けていた。
監督曰く、スーパーヒーロー版「スタンド・バイ・ミー」または「ブレックファスト・クラブ」と表現した本作。キャラ設定からもそんな青春映画の名作が読み取れそうな感じですが、果たして?
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
いいか!世のキッズたち!!!ヒーローには簡単になれないんだ!!!
ヒーローになるまでの過程を緻密に描いた地方型青春グラフィティ!!
以下、核心に触れずネタバレします。
待ってた甲斐があった。
同じ高校に通いながらも全く同じグループでなかった5人が、宿命を背負わされながらも少しづつ受け入れることで、ティーンネイジャーから大人の階段を上っていく青春物語であると同時に、馴染み深いスーパー戦隊ものをアメリカナイズしたことで、小さな町を舞台にしながらも、大スケールで描いたヒーロー映画でございました!!
もうですね、何が嬉しいって冒頭でも書きましたけど、子供の頃散々観ていたスーパー戦隊がハリウッド映画になって日本で上映されたことが何より嬉しい。
ちゃんとリーダーは赤で、女性たちはピンクとイエロー、男性陣は黒と青といった配色。
しかも大きな敵に立ち向かうために、ゾードという恐竜型の乗り物に乗って戦う!
「恐竜戦隊ジュウレンジャー」をモチーフにしたTV版をリブートしただけあって、当時リアルタイムでジュウレンジャーを見ていた自分は、ゾード登場シーンにアガるアガる!!
バトルシーンはちゃんと日本版を意識したのか、岩山だけのさら地で肉弾戦を展開し、ワイヤーアクションを駆使してアクロバティックなアクションを見せてくれる。
しかも地上に降りたら、全員横一列で膝ついて登場!
リタが作り上げた巨大生物ゴールダーを丘から見るときも横一列で神妙な面持ち。
はいカッコイイ!!!
是非お父さん方は子供を連れて見に行ってほしいと思ったし、自分に子供がいたら100%連れていくだろうと!
それくらい興奮した作品でありました。
中身は青春映画。
それでいて中身がもろに青春映画になってることがたまらない。
一度の過ちで転落した地元のヒーロー、
友人を陥れたことでカワイイ女の子グループから仲間外れにされたチアガール、
自閉症を患ってることで内向的になっている一人ぼっち、
転校ばかりを繰り返し、親からも普通を強いられている孤独な少女、
母親の看病のため不登校を繰り返すお調子者。
決して学校内で交わることのない5人が、共通の秘密を持つことで絆を深めていくにもかかわらず、校内では相変わらず補習授業をしたり、不登校を続けたりと、普段通りの生活を送っていく様は、もろに「ブレックファストクラブ」からの影響を受けていることが分かる。
接点のない異なるタイプの高校生が、土曜日に補習授業という場所で共に過ごすことで、最初こそいがみ合ってた5人が、ちょっとした身の上話や、悩み、相談といった自分自身をさらけ出すことで、決して交わることのなかった彼らに友情が芽生えていく青春映画の傑作映画であります。
はい、もろにパワーレンジャーの5人ですよね。
実際にジェイソンとビリー、キンバリーは最初補習授業を受けているし、この授業に参加しなければ絡むこともなかった。
しかし、共通の秘密を持つことで友情と絆を深めていく過程はこの映画と全く一緒。
その共通項のない彼らが特殊な能力を手に入れる流れは、完全に「クロニクル」を彷彿させる流れになっていて。
家庭環境の良くない孤独なカメラオタクの高校生と、彼を気にしている友人、その友人の友人がとある場所にいたことで特殊能力を手に入れるが、徐々にカメラオタクの高校生が力に頼り過ぎて暴走していく様子をファウンドフッテージ方式で描いた青春SF。
この映画意識してるよなぁと思ったと同時に、パワーレンジャーの中で誰かダークサイドに墜ちるような流れもいいんじゃないかなぁ、力を暴走するような奴がいたらそれはそれで面白いよなぁとも思いましたが、それだともろにこの映画のまんまになっちゃうから、この案は不採用でよかったですww
今作でもビリーが、父との思い出の地である金鉱に偶然に居合わせた5人が色のついたコインを手にし、特殊な力を手に入れてしまう部分は、予告を見た時から絶対これだよなぁと思ったし、普通の力では絶対跳べない距離を飛ぶシーンも「クロニクル」であったシーン。
どちらの作品も好きな自分にとって、この要素を入れてくる監督のセンスにあっぱれでございます。
造形はアレですよ。
日本のスーパー戦隊シリーズの変身スーツって、特に一昔前の戦隊は全身タイツみたいなやつで。
それがハリウッド映画になると、ごつごつしてくるんですよね。
しかも変身したら顔だけ出てくるあたりは日本ではやらない演出。
そういった違いを楽しむことができるし、何より彼らの操縦するゾードが合体してメガゾードという巨大ロボになるわけですが、これも日本のいかにも動きづらそうなロボットとは違い、スリムであります。
その造形はもろにトランスフォーマー。
トランスフォーマー ベストバリューBlu-rayセット (期間限定スペシャルプライス)
- 出版社/メーカー: パラマウント
- 発売日: 2016/09/07
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (1件) を見る
監督とマイケルベイが過去作で繋がっていることを考えると、マイケルへのリスペクトを込めた造形なのか?なんて勝手な深読みもできますが、ぶっちゃけメガゾードの方がカッコよかったww
またメガゾードを操縦するときも、5人が腕や足を動かす意識を共通でもたないとコケてしまうという何とも操縦しにくい設定。
とにかく意思の疎通ができてないと最後の大技も決まらないわけで。
この演出も良かったですね。
ここも見逃せない。
またいろんな配慮がされているのも読み取れます。
例えば配色。
ビリーはいわゆる黒人なわけですが、これをブルーに配色し、アジア人であるザックはブラックレンジャーになっていることから肌の色での差別に配慮した色分けになっていることが分かります。
他にも、スパイダーマンやアイアンマンが都会で大暴れするのとは違い、どこにでもありそうな地方の町が舞台というのも、今までのヒーロー映画との差別化を図っているし、誰もが親しみが持てる感じがもてます。
そう簡単に変身できると思うな。
コインを手にしてから体の異常な発達に戸惑いを隠せない5人が、その力に有頂天になるまではまぁわかる。
それはあくまでコインによって選ばれたからだけのことで、彼らはまだヒーローにはなれてない状態。
じゃあこの勢いで変身できるかと思ったら大間違い!
彼らには足りない要素がたくさんあるんですね~。
その一つが格闘技術。
仮想の敵を使って毎日鍛錬し肉体的に様になってくるが、それではまだ変身までには至らない。
じゃあどうすればいいのか。
俺たちお互いの事よく知らないから、自分たちのこと知ってもらおうか。
夜のたき火で一夜を明かしながら、それぞれの過去、抱えたもの、悩みを打ち明ける5人。
自分をさらけ出したことで、それそれに仲間意識が芽生える。
でもそれでも変身できない!!
何故変身できない!
少しづつ苛立ちを抱えていく5人。
衝突してしまう時に一瞬変身する様も見れるが、完璧なものではなかった。
そして彼らに降りかかる出来事が、彼らの意識を変えていく。
彼らはこの地球の危機を救うために、ある決意を抱くことでようやく変身ができるようになるんですが、その決意とはいったい何だったのか。
それは誰かのために自分を犠牲にできる意志だったのです。
与えられた宿命を受け入れ覚悟をもって、自分を犠牲にしてでも守る気持ちを持つことが、パワーレンジャーになる道だったのです。
これが何を意味するのか。
それはやんちゃなことをしても反省などせず、一方的に理解し合えないと決めつけ、ふてくされるような大人と子供の狭間で、
自分とは何かをひたすら突き詰めていく少年少女が、肉体的に力をつけていく成長期を経て、心を整えていくことで大人への階段を上る、10代の成長と一緒なのです。
この成長描写を、あらゆる名作のエッセンスを盛り込み、親しみやすいヒーロー映画にすることで今までにない作品に仕上がっていったのではないでしょうか。
親に反発したり、嘘をついてまで友達を出し抜いたり、ふさぎ込んでた生活だったり、ただただ強がってたり、今まで自分勝手に過ごしてきた生活から抜け出した彼らは、パワーレンジャーになったことが大人になった証なんだと思います。
最後に
散々褒めてきましたが不満もあります!
それはアクションシーンが短い!!
パワーレンジャーになるまでの過程は決して削っちゃいけない部分だったので、細かく言うのであれば尺が足らない!!
あと15分伸ばして、雑魚キャラたちとの熾烈な戦いに時間を与えてほしかった!
ここほんと短くてさぁ、もったいなかったんだよね~。
実戦練習あんなにしてたんだから、コンビネーションプレイとか絶対練習してたと思うわけですよ。
キンバリーとトリニーの、カフェでのケーキの奪い合いとか見せるくらいなんだから絶対息ピッタリだったはずだし。
それそれの得意技とかも見せてくれたらよかったなぁ。
とにかくもったいないなぁと思った部分でありました。
さぁ、続編製作につなげるためには、中国で大コケした分、オリジナル作品を生み出した日本で興行収入を稼がにゃなりません!!
子供の頃夢中になった男子たち全員が見れば、すぐ回収できるはず!!
とはいえ東映配給は上映数が少ないんだよなぁ・・・。
そんな大人の事情はおいといて是非映画館でゴーゴーパワーレンジャーしたらいいと思います。
ほんとね、楽しかった。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10