ダンケルク
「ノーランが、実話に挑む。」
これすごい宣伝文句ですよ。
監督の名前出してお客さん集めようとしてるわけですから。
もうスピルバーグだって名前を前面に出してもお客さんが来ない時代ですよ?
相当的を絞った宣伝だと思います。
そんなノーランが挑む実話。
待ってました。楽しみにしてました。
でも実話って聞いてちょっと不安でした。
彼に実話が撮れるのか。
でもきっと観てしまえば今以上に虜になるんだろうな、という 小さな不安と大きな期待を胸にIMAXで鑑賞してきました。
作品情報
新作を出すたび出すたび、圧倒的な映像表現と斬新な世界観、そして予想を裏切るクライマックスで、観る者達を驚愕させてきた監督の作品は、実話を元にした戦争映画。
彼が手掛けるのだから、これまでの戦争をの常識を覆す、全く新しい戦争映画になっていることだろう。
フランスまで勢力を広げたドイツ軍の電撃的な戦いにより、フランス北部ダンケルクまで追いつられてしまった英仏連合軍。
彼らを救出すべく取った作戦こそ、史上最大の救出作戦といわれた「ダイナモ作戦」である。
この作戦を基に勇気ある撤退を、独特の緊張感と臨場感で展開されていく。
果たして彼らは生き残れるのだろうか。
あらすじ
生き抜け。
海の町ダンケルクに追い詰められた英仏軍40万人。
若き兵士トミーは絶体絶命の地から脱出できるのか?
フランス北端ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。
背後は海。陸・空からは敵――そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミー(フィオン・ホワイトヘッド)とその仲間(ハリー・スタイルズ)ら、若き兵士たち。
一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間を助けようと、民間船までもが動員された救出作戦が動き出そうとしていた。民間の船長(マーク・ライランス)は息子らと共に危険を顧みずダンケルクへと向かう。
英空軍のパイロット(トム・ハーディー)も、数において形勢不利ながら、出撃。こうして、命をかけた史上最大の救出作戦が始まった。果たしてトミーと仲間たちは生き抜けるのか。勇気ある人々の作戦の行方は!?(HPより抜粋)
監督
監督はクリストファー・ノーラン。
ネット嫌い、IMAX大好き、CGをなるべく使わない、大掛かりなセット、脚本は大体弟が担当、雰囲気が船越英一郎。
ええそりゃもう大ファンです。
当時レンタルビデオ店で働いていた私は、劇場で映画を見ることに躊躇していました。
理由は簡単、一人で行くことができなかったからww
でもどうしても「ダークナイト」は見たい。
だから意を決して一人劇場に足を運び、その圧倒的な映像をまじまじと見せられ、なぜ今まで劇場で映画を観てこなかったんだ!?と。
それから私は新作映画は映画館で見るようにしています。
彼のおかげです。
そんな彼の代表作を簡単に紹介。
やはり監督を語る上で外せないのは、バットマン3部作。
今まで何度も映画となったバットマンシリーズをリブートし、これまでコミカルな娯楽大作路線だったものを、完全ダークシリアス調に仕上げ、バットマン誕生に至る主人公ブルース・ウェインの秘められた過去を描いた「バットマンビギンズ」、
強敵の登場によって自身の存在意義を問われ葛藤しながらも、闇の騎士としての正義を貫く決意をしていく「ダークナイト」、
その後長い沈黙を保っていたブルースが再びゴッサムシティを守るため最強のテロリストに立ち向かい、自身の恐怖から克服し這い上がっていく「ダークナイトライジング」。
特にダークナイトに関してはジョーカー役のヒース・レジャーの自殺急死という悲しいニュースに騒然となり、それもあってかアカデミー賞助演男優賞ノミネート、作品賞は漏れたものの、その後の作品賞のノミネート数を増やすきっかけにもなった、ヒーロー映画の作品性をガラリと変えた歴史に残る作品です。
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他にも、相手の夢の中へ入り込み、潜在意識の中にアイデアを植え付けるという危険なミッションに挑む産業スパイたちの、複雑ながらも計算された巧みな脚本と圧倒的な映像で描いた「インセプション」、
人類の運命を託された宇宙飛行士が新たな惑星を探索していく使命、父娘の絆が時を超えて紡がれていく壮大なSF超大作「インターステラ―」などがあります。
監督作品に関しては、こちらもどうぞ。
キャスト
今作では、それぞれ異なる時間軸の出来事が一つの物語として同時進行していくので、主役というのはいません。
なので、順不同での紹介となります。
まずは陸パート。
英国二等兵トミーを演じるのは、フィオン・ホワイトヘッド。
初めて知る方です。
テレビドラマや舞台などで活躍し、今回のオーディションで主要キャストに場適されたシンデレラボーイ。
今後も続々と作品が決まっているようです。
果たしてどんな活躍を見せてくれるのか期待したいですね。
彼と共に行動する兵隊たちの中には、!Dことワンダイレクションのメンバー、ハリー・スタイルズがアレックス役で映画初出演します。
続いて海パート。
民間船の船長ミスタード―ソン役にマーク・ライランス。
「ブリッジ・オブ・スパイ」での無表情からの細かな演技で物語に深みを与えたマーク。近年は「The BFG」で再びスピルバーグとタッグを組んで主演を演じていました。
ノーランもずっと彼を使いたかったんでしょうね。
監督はよく自身の作品に同じ俳優を使う傾向にあるので、今後もノーラン作品に出たりするのでしょうか。
彼の作品はこちら。
ここでは、ノーラン作品でお馴染みキリアン・マーフィーが謎の英国兵役として出演。
救出に向かうため民間船に乗り込む青年ピーター役に、今作が映画デビューとなるトム・グリン=カーニーが出演します。
最後に空パート。
スピットファイア戦闘機に搭乗するパイロット、ファリアー役にトム・ハーディ。
マッドマックス、レヴェナントで完全に野獣なイメージのトム。
ノーラン作品ではほぼレギュラーのような彼ですが、今回は主役という感じではなさそうな立ち位置の模様。
救出のカギを握るパイロットだそうですが果たして。
こちらもどうぞ。
ここでは、彼と共に戦闘機に乗る若きパイロットコリンズ役を、舞台で活躍する俳優ジャック・ロウデンが演じます。
この他に、ボルトン中佐役を、「オリエント急行殺人事件」のケネス・ブラナー、
ウィナント大佐役にジェームズ・ダーシーが出演します。
別々の時間軸が同時進行するタイムサスペンス。
戦争映画に新たな歴史を刻む傑作となるのでしょうか。
全く予想のつかないものになりそうです。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
今すぐ席を離れたくなるほど圧迫される、ド迫力の映像と音響!!
上映開始5秒で戦場に放り出される臨場感を味わえ!!!!
以下、核心に触れずネタバレします。
そしてこれはIMAXで見た感想です。
いい意味で胸クソ悪い。
防波堤で救出を待つ兵士たち、その兵士たちを救出に向かう民間船の船長、その救出を無事成功させるために空で戦う空軍パイロット。
3つの時間軸と視点で描かれた今作の中で、いくつもの困難とそこから抜け出す姿に、何度も胸が張り裂けそうになったり安堵したり息苦しくなったり、寄せては返す波のように繰り広げられていく。
クリストファー・ノーランという人は、毎回毎回度肝を抜かすような驚きを必ず作品の中に残してくれる。
今回いったいどんな驚きがあったのか。
それは上映開始5秒も満たないまま、物語の中に観客を誘うという驚きでした。
静寂が漂う街の中。バラまかれるドイツ軍からの宣戦布告のチラシから容赦のなさが読み取れる。
間もなくとてつもない音量の銃声が鳴り響く。
複数いた仲間の兵士はその銃弾によって命を絶たれ、唯一助かるトミー。
フランス軍の援護により何とか難を逃れたトミーは海岸へとたどり着くが、海岸の前で何百、何千という兵士たちが海岸を前に列を作り、駆逐船が来るのを待っている。
そこを狙っての敵襲に、またもやとんでもない音量の爆撃音。
耳を塞ぎながら頭を伏せて砂浜にうつぶせになるトミーの奥から、爆風と共に舞いあがる砂。
どんどん近づく。
すぐそばにいた兵士は、爆撃に吹っ飛ばされトミーの頭上に砂が舞い散る。
あぁ、今すぐここから席を立って映画館を出たい。
こんな息苦しく切羽詰まった映像をいつまで見てなきゃならないんだ。
いつまで続くんだ。
でも、この後描かれるであろう奇跡を見届けたい。
どうやって視点が絡んでいくのか、絡んでいくことでどんな希望が描かれるのか。
冒頭から終始映し出される兵士たちの危機の連続を、座席が振動するほどの大音量と、秒針音と鼓動音をサンプリングし、嫌みなほど不安定な音階で奏でられるサイレンのようなBGM、そして画面いっぱいに映し出される鮮明な映像と反比例した悪夢が見ている者を追い込んでいく。
映画の世界へ入り込んでしまう方法や、演出を取り入れた作品は今までいくつかあったが、ここまでいい意味で不快にさせるほどの作品は今までなかった。
砂浜や桟橋で迫りくる敵機、船内に匿い一安心したのもつかの間、魚雷で船が沈没しどんどん侵入してくる海水、船が沈没するにつれ押しつぶされそうになる様、重油が溢れ、墜落した戦闘機によって燃え盛る海面、潜ったとしても逃げ道のない状態。
それだけ戦争というものが、悲劇でしかないことが十二分に伝わる作品だったと思います。
そして今まで長尺で有名だったノーランが、上映時間100分程度に収めたのも無理はない。
どうしたって2時間半これを観させられたら呼吸困難になる。
それくらい自分にとっては居心地が悪く、今まで体感したことのない作品でした。
新たな「帰還」の物語。
夢の中から戻るまでを描いた「インセプション」、落ちたら這い上がるだけ、と自己の正義感を描いた「ダークナイト」シリーズ、娘との約束を果たすために新たな星を探す旅に出た「インターステラー」など、ノーランはこれまで「帰還」をテーマに描き続けてきました。
今回もまた生きて帰ることを題材にした作品でした。
戦争の悲惨さをこれでもかと映しながら、とにかく生きて帰りたいと必死にもがく兵士たち。
生きるためなら犠牲もいとわないその姿は、どこか人間の本質を見せられてしまう悲しさもありながら、「仕方ない、でもそれは間違いだ」と語るトミーのセリフに思わず救われ、涙腺が弱まりました。
こんなことを感じてしまうのも、ただのうのうと生きていることが当たり前だからであって、実際戦場いたら非情にもなる。
緊張状態が続けば、思考力も判断力も鈍る。
戦争というものの恐ろしさを痛感させられる瞬間でもありました。
そう、この事実に基づく物語は、決して美談ではなく、彼らの命はいくつかの犠牲の上で成り立っていて、犠牲が自分かもしれないという不安を持ちながら、ひたすら助けを待つという状態が続けば、誰だって藁にもすがりたくなるし、我先にとなってしまう。
状況説明もセリフもほとんどないまま進んでいく展開にもかかわらず、そういった人間臭い部分をきちんと描いたのがよかったですね。
そしてこの映画は犠牲になった人たちに光をあてたものにもなっていました。
ある青年が一人の兵士の暴走をきっかけに命を絶たれてしまうのですが、彼が報われるシーンがエンディングにきちんと用意されていたし、逆に彼らのために己を犠牲にしてたくさんの命を救った男の姿もあり、この物語は生きて帰ってきた兵士たちだけじゃなく、その中で犠牲になってしまった君たちの物語でもあると思わせてくれた作品でもあった気がします。
巧妙な時間軸の仕掛け。
今回の作品は、陸・海・空の3つの視点を、1週間、1日、1時間という全く異なる時間軸で構成されていて、物語が進むにつれ徐々に視点が重なっていくというノーランお得意の魔法が施されていました。
3つの視点の始まりになぜ文字表記でそんな説明をするのだろう?と疑問に思っていましたが、陸から海へと切り替わる瞬間、海から空へと切り替わる瞬間、空から海へと切り替わる瞬間、と視点が変わったり、一瞬映し出される映像が後に繋がっていくことで、3つの視点が徐々に縮まっていくのです。
さっきまで沈没した船から脱出したトミー達は、時間帯が夜だったのに、その後映し出されるのは昼間の民間船での光景だったり、敵機に襲われている駆逐船を守るため空から見下ろす風景が、後に違う視点から描かれていたりと、あれ?今の映像さっきのとこじゃね?という引っ掛かりがあちこち散らばっているので、見逃さずに目に焼き付けておくと、点と点が線で結ばれ、なるほど~!とうなずいてしまうことでしょう。
ただ一つ思ったのは、今までのノーラン作品と比べると、点と点が結ばれていくことを先読みできてしまうことで、伏線の回収の驚き度は少ないなぁということ。
個人的に「インターステラー」の5次元の世界が娘の部屋と繋がっていた時の驚きや、「ダークナイトライジング」でのブレイク刑事のミドルネームがロビンという名なのを、あえて最後まで伏せておいてニンマリさせるような演出に身震いした過去があり、ノーランなんだからこれくらいのサプライズは絶対やるでしょう~なんて思ってたもんだから、ちょっと今回はそういう面では弱かったなぁと。
大きな不満。
正直ノーラン作品が大好きだからあまり言いたくないんだけど、基本大満足な映画だったんだけど、これは言わせてほしい。
この映画、全く物語性がないってことを。
ドラマ性がないというのが正しい言い方なのか。
確かに状況説明やセリフを極力減らし、映像と音響に特化したことで今までに体感したことのない映像体験ができる、今までの戦争映画とは一線を画した作品ということは非常に素晴らしいことで、新たな試みで、リアリティを追求したことはわかるんですが!
事実に基づく話だからといって、登場人物たちの背景や心情や感情まで排除する必要はないし、もっとどうでもいいやり取りとかを描くことで、人となりが伝わって感情移入したりってのがあってもいいのではないか?と。
恐らく主人公がいないということや、個人ではなく、大勢を複数の視点で描いたことがそう感じてしまった要因なのではないかと思うのですが。
個人的に面白い映画、好きな映画に上げる理由の一つとして、もう一度見たいかどうかってのが基準になるんだけど、これ映画館でなく自宅でDVDでみたら全く魅力を感じなくなるだろうし、生活環境を都会においてる特権として、こうして最速上映でIMAXシアターで鑑賞できたから、今まで感じたことのない体験をできたわけで、ぶっちゃけ地方の低スペックな環境のシネコンで見たら、こんな気持ちにはならない気がします。
あの人ちゃんといたよ!!
今回、ノーラン作品にかかせないある俳優が出演してないんです。
それはマイケル・ケイン。
「ダークナイト」シリーズのアルフレッド役って言えばお分かりですよね。
マーク・ライランス演じた民間船の船長をオファーしていたにもかかわらず別の仕事と重なって断念!みたいな裏話でもあるのかなぁと思ってたんですが、どうやら出演してるって情報を鑑賞前に知ってしまいました。
ただどこに出てるかは気づかないんだろうなぁ~なんて思いながら見始めたらいましたよいました!!
確証はないんですが、恐らく!恐らくですよ?
トム・ハーディ演じるフォリアーが、戦闘機内の無線でやり取りしている相手!
この声どう聴いてもマイケル・ケインでしょ!?
最初スピットファイア戦闘機が3機あって、途中で隊長が乗っていた戦闘機が撃ち落されちゃうんですが、たぶんマイケル・ケインはその隊長で声のみ出演てことなんじゃないかなぁ~と。
これ結構自信ありますw
最後に
今回相当カメラ切り替えて撮ってますよねこれ。船内と船外とか。
一番凝り過ぎだろと思ったのはケネスブラナーとジェームズ・ダーシーの桟橋でのやりとりね。
交互に相手映して全く違う画質だったし。これはやりすぎでしょ。
場面代わり過ぎ。なんか別撮りしてるみたいで気持ち悪かったです。
まぁ映画自体は満足でありますが、今までのノーラン作品に比べると・・・という不満の残る作品でした。
緊張状態が苦手な自分としてはこの体験は一度で十分だし、ブルーレイ購入して自宅でもう一度見たい!とはあまり思えない作品でもありました。
とはいえ、これはこれで新しい戦争映画だったし、戦争映画で括ると何か違う作品だったし、どちらかといえばサスペンスというのが正しいジャンルの区分けかもしれないし。
相変わらずノーランはすごいとも感じるし、やっぱりノーラン苦手って人がまた増えそうな予感もする作品でした。
これだけはいえる。
トム・ハーディーかっこよすぎ!!!!!
というわけで以上!あざっした!!
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- 発売日: 2017/12/20
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満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10