バズ・ライトイヤー
擬人化したおもちゃたちによる友情と絆を深める大冒険を描いた「トイストーリー」。
ウッディとバズを中心に様々な個性あふれるキャラが魅力のシリーズです。
今回観賞するのはそんなキャラの中でも1,2を争うキャラ「バズ・ライトイヤー」を主人公にした物語。
「トイストーリー4」では、ウッディの旅立ちを描いた結末に賛否両論の沸いた作品でしたが、決して続編というわけではなさそうです。
そもそもバズ自体がというキャラ映画のキャラだそうで、本作はその映画「スペース・レンジャー」を作品にした様子。
過去作が大好きな人にとっては、彼がどうして仲間想いなキャラになったのか理由を知ることができる絶好の機会。
僕もシリーズを追いかけてきた身なので、彼のルーツを知る意味では楽しみな作品です。
早速観賞してまいりました!
作品情報
ディズニー・ピクサーが誇る名作「トイ・ストーリー」シリーズの人気キャラクター「バズ・ライトイヤー」を主人公にした「原点」の物語。
アンディ少年が大好きなおもちゃの「バズ」が主人公の物語「スペース・レンジャー」を題材にした作品です。
1200人もの乗組員と共に危険な惑星に不時着することになったバズが、全員が地球に帰還させることを目的に、ネコ型ロボットや新たな仲間と共にミッションを遂行していく。
「トイ・ストーリー」で誰よりも仲間想いだったバズの誕生には、涙なしでは語れない深い物語があった。
「ファインディング・ドリー」で共同監督を務め、「トイ・ストーリー」関連の作品でキャラを熟知してきたアンガス・マクレーンが本作で監督を担当。
バズの名セリフの誕生や彼のルーツを知ることができるほか、新たな仲間たちとの絆や冒険をアトラクション感覚で壮大に描きながら、誰も予想できない展開へと導くドラマへと仕上げた。
何故アンディはバズに夢中になったのか、その秘密が本作で明かされます。
さぁ。無限の彼方へ—
あらすじ
有能なスペース・レンジャーのバズ(CV:クリス・エヴァンス/鈴木亮平)は、自分の力を過信したために、 1200人もの乗組員と共に危険な惑星に不時着してしまう。
彼に残された唯一の道は、全員を地球に帰還させること。
猫型の友だちロボットのソックス(CV:ピーター・ソーン/山内健司)と共に、不可能なミッションに挑むバズ。
その行く手には、孤独だった彼の人生を変える“かけがえのない絆”と、 思いもよらぬ“敵”が待ち受けていた…(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、アンガス・マクレーン。
「ファインディング・ドリー」で共同監督として勤めた経験のあるマクレーン監督。
本作同様「脇役をメインにした映画」を製作するにあたって、相当な苦労があったと語っています。
これまで「トイストーリー」関連の短編映画やスピンオフ作品を手掛けてきた経緯はあるものの、1から手掛けてきたわけではない作品に加え、観客の方が物語もキャラも熟知していることから、独立した長編映画を製作するプレッシャーはすごかったとのこと。
だから彼のようにキャリアの浅い監督がこうした作品に携わることは、お薦めしないと仰っています。
・・・だいぶ弱気というか言い訳に聞こえなくもないですが、ファンの期待に応えるために相当な労力をかけなくてはいけなかったんでしょうね。
キャラクター紹介
- バズ・ライトイヤー(CV:クリス・エヴァンス/鈴木亮平)・・・ハイパー航行に挑む伝説のスペース・レンジャー
- ソックス(CV:ピーター・ソーン/山内健司)・・・超ハイスペックなバズの友だちロボット
- イジー・ホーソーン(CV:キキ・パーマー/今田美桜)・・・祖母アリーシャに憧れるジュニア・パトロール隊員
- モー(CV:タイカ・ワイティティ/三木眞一郎)・・・いつも失敗ばかりで戦闘能力ゼロ
- ダービー(CV:デール・ソウルズ/磯辺万紗子)・・・仮釈放中の爆弾作りの達人
- アリーシャ・ホーソーン(CV:ウゾ・アドゥーバ/りょう)・・・スター・コマンドの指揮官でバズの相棒
(以上HPより)
孤独だったバズが、仲間たちと共に挑む不可能なミッション。
なぜ彼は仲間想いになったのか。
ここから観賞後の感想です!!
感想
#バズライトイヤー 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年7月1日
みんなが好きな映画たちの設定を拝借してるから面白いことは面白い。
あとはバズって「アメリカ」なんだなと。 pic.twitter.com/woqsXha1UQ
あくまでアンディが見ていた映画。
無難に面白くできてるけど、ピクサーならではの感動は薄い。
バズの姿に「アメリカ」を重ねる。
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ
宇宙探査の任務のため乗組員1200人を乗せた宇宙船に乗っていたスペースレンジャーのバズは、目的地途中で生体反応のある惑星を発見。
任務を一時中断し調査に乗り出す。
相棒のアリーシャと新人レンジャーを連れて調査をすることになったが、バズは何でも自分ひとりで行動したい節が見える。
すると地面から太い蔓がバズ達に襲い掛かる。
シップの足にも蔓が巻き付いており、危険と判断したバズ一行は、急いでシップに帰還。
何もできずに脅えるだけの新人を蔓から救出し、急いでこの惑星から離れようとエンジン全開で飛行を始めるバズ。
「きっとできる」と強い意志で臨むバズだったが、機体が不安定だったため飛行中に崖と衝突。
高速移動に欠かせない「ハイパースピードクリスタル」が破損してしまい、結果乗組員たちは、この惑星で新たな「ハイパースピード」を作り出すため留まることになる。
それから1年。
蔓や大きな虫たちに襲われながらも、全員で基地を作って環境を整えた一同は、新しい「ハイパースピード」の最初の実験を行う。
パイロットはもちろんバズ。
アリーシャに無事帰還することと、実験の成功を誓い機体に乗るバズ。
ナビゲーターのIVANを搭載し、飛行経路を確認。
ミッションは、ハイパースピードを使って惑星を一周し、リングを通って惑星に帰還すること。
徐々にハイパースピードの使用率を上げていくバズだったが、ハイパースピードは失敗に終わる。
しかも経路を外れてしまい、帰還できない危機に陥ってしまう。
このまま脱出するしかないと促すIVANに対し、バズは急いで経路を計算し強引なやり方で経路を戻すバクチに打って出ることに。
何とかリングを通過し帰還したバズだったが、ウラシマ効果によって、たった4分の飛行時間が4年も経過していたことをアリーシャから伝えられる。
既にアリーシャは結婚しており、時間の経過に驚く。
自分が挑んだミッションが失敗に終わってしまったことに落胆するバズ。
部屋に戻るとアリーシャから猫型のロボット・ソックスをプレゼントされる。
バズを慰めるために送られたソックスは、バズに寄り添おうとアドバイスを送るが、一人で何でも抱え込む性分から、バズはソックスを煙に巻いて就寝。
翌朝、あきらめてはいけないと改心し、再びハイパースピードの実験に挑むのだった。
実験しては4年もの月日が流れる惑星。
帰還する度にアリーシャに家族が増え、アリーシャ自身も老けていく。
10回目の実験を終えたバズがアリーシャの部屋を訪ねると、彼女はもうそこにはいなかったのだ。
彼女のビデオメッセージを見て涙を流した後、彼女の部屋に引っ越してきた司令官から「実験を中止」し、「この惑星に留まり生活をする」ことを告げられたバズ。
今までやってきたことを蔑ろにされた思いから再び落胆するバズだったが、ソックスが計算に計算を重ねたことでようやく「ハイパースピード」の正しい配合が見つかる。
しかしそこに兵士たちがソックスの回収にやってきた。
ソックスを回収してしまえばハイパースピードの配合がわからなくなってしまうことや、何としてでも皆を地球に帰還させたい一心から、バズはソックスと共に部屋から逃亡。
飛行船のある場所に侵入し、ハイパースピードクリスタルを作って再び宇宙空間へと旅立つのであった。
実験は成功し、無事惑星に戻ってくると普段とは違う異変に気付く。
専用スーツを着た女性に指示され隠れたバズの前にロボットが現れ、飛行船を回収されてしまう。
彼女はアリーシャの孫イジ―。
バズが旅立った直後、基地を襲うロボットたちが現れてしまい、外でレンジャーの訓練をしてたイジ―は基地と連絡が取れない状況に陥り、外で様子を見張っていたのだった。
上空には「ザーグシップ」と呼ばれる母船が浮いており、基地の制圧を今か今かと待ち構えていたのだった。
何とかして危機を脱したいバズは、イジ―に連れられとあるアジトにたどり着く。
そこにはモーとダービーという仲間がおり、このチームで作戦を練ってザーグから基地を守ろうとイジ―は提案。
しかし元受刑者のダービーに、何でも失敗ばかりするモー、さらにアリーシャの孫とはいえ実践未経験のイジ―という素人同然の彼らの力を、どうしても信用できないバズ。
そこにロボットが急襲。
バズとハイパースピードを連れていこうとする。
ぐちゃぐちゃなチームプレイだったが何とかロボットを破壊した一行は、作戦を遂行するために行動に移すことに。
何でも自分で解決しようとするバズ。
共に行動して作戦を遂行したいと願うイジ―。
彼らは無事基地を奪還し、ザーグなる謎のロボットたちを倒すことができるのだろうか。
…というのが大体序盤のあらすじです。
全体的な印象
自分の過信によって皆を惑星に留まらせてしまった責任を果たすため、時間を犠牲にしてまで突っ走るバズが、素人同然のチームと行動をともにしながら、どう心を入れ替えていくかを描いた本作。
スター・ウォーズのハイパースペースにも似た高速移動や、スタートレックのようなド派手な船内バトル、インターステラ―でも扱ったウラシマ効果など、色々な要素を混ぜ込んだ内容に、意外性もなく既視感だらけの物語でしたが、よく言えば娯楽要素満載の宇宙SFアクションで、悪く言えばピクサーらしくないテーマ性の映画だったなぁというのが全体的な印象。
アスペクト比を細かく変えることで映画的な演出を施してたり、ピクサーアニメならではのリアリティのある動きを見せることでアクションも映えてました。
バズ自身も「トイストーリーのバズ」で、蔓を切り裂く剣ソードや片腕から発射されるレーザービーム、特製のスーツを身に纏た瞬間空手チョップをしてみたり、背中から飛び出すウィングに「無限の彼方へさぁ行こう」というお決まりのフレーズもしっかり登場し、僕らの見たかったバズが描かれていたように思えます。
キャラとしてはネコ型ロボットのソックスが大活躍。
今回吹替え版で鑑賞したんですが、ソックスの声をお笑い芸人「かまいたち」の山内が担当していて、正直あまり期待してなかったんですが、意外とハマってたように思えます。
ロボットだけに基本的には感情を抑えたセリフ回しなんですよね。
だからそれを活かしたユーモア描写なんかもしっかりありました。
ライトを出すんだけど、レーザーポイントを自分で出してしまってそれをひたすら追いかけてしまうっていう習性ギャグなんかも笑えたし、バズのヘルメットの中で視界を塞いだり、お腹なでなですると喜んだり、口にたまった毛玉を吐く要領で眠りを誘う武器を装備してたりと、ロボットとはいえ「ネコ」たらしめる仕草や行動が可愛らしかったです。
ハイパースピードクリスタルの正しい配合を見つけちゃったり、故障してしまった飛行船を修理したり、バズを探すために信号をキャッチして誘導したりと、立ち位置的にはスターウォーズで言うルークをアシストするR2-D2みたいな役割も果たしてるんですよね。
正直ソックスで持ってた映画って印象もありますw
ひたすらまっすぐ進めばいいんだ
イジ―達と行動することで「誰かが失敗してもそれを讃え、再びチャレンジする」ことを教えられ、何度もチャレンジした結果仲間たちと喜びを分かち合える素晴らしさを手にしていく姿を見て、「なるほど、あのバズがどうして仲間想いなキャラになったのかという理由はこういうことだったのか」と。
僕自身も仕事をする際、他人のミスで巻き添えを喰らいたくない一心で単独で何でもやってしまうことが多く、バズに妙な親近感を抱きました。
だって連帯責任とか取らされるのとか嫌じゃん。
なんで後輩や同僚のミスなのに、俺も同罪なんだよと。
だったら一人で何でもやってしまった方が楽だし、もし自分がやらかしても責任を取らされるのは俺だけで済むし、同僚にも迷惑を掛けない。
仕事を覚えたければ俺の背中を見て学べというスタンスなので、協力して仕事するとかチームプレイというものがどうしてもいやな性分なんですよね。
劇中でもあともう少しでミッションを成功できるぞ!ってところでイジ―やモーがやらかして失敗に終わることが多いんですよ。
その度にバズが落ち込む姿を見せるんですね。
まぁバズが偉いのは怒らないところですけど(俺は時と場合によっては怒るからなぁ…)。
恐らくその時のバズの心境は、なんだかんだで彼らを連れてきてしまった自分の甘さに腹が立つみたいな感じなのかな。
もしくはもっと自分が頑張ればこうはならなかったみたいな。
だけど彼らの力が必要な時は何度も訪れて、何度やってもダメだったけど経験を積んでチームプレイが巧くハマっていく瞬間が訪れるんですよね。
一度やったチャレンジで失敗したら、それで終わりじゃないんですよね。
次成功すればいい。
そもそもバズはそれを信じて時間を犠牲にしてまでチャレンジしてきたはず。
覆水盆に返らずなことも時にはあるけれど、盆に返らない水が土に還って新たな芽を作る時だってあるんじゃないかと。
また劇中ではザーグを指揮する黒幕が一体誰なのかが明かされるんですね。
正直誰でもよかったし、そこを楽しみにしてたわけではないので「ふ~ん」程度だったんですけど、黒幕が登場することで僕はこの映画が「アメリカ」そのものを描いてるようにも感じました。
地球のリーダーとして君臨するアメリカ。
正義は自分たちにある態度に、時にさすがアメリカと思えることもあれば、嘘だろアメリカと思える所もある。
基本的には好きな国だし影響も多々受けてることもあって、今後のアメリカがどう進むべきかをバズを通じて伝えたかったのかなと解釈しました。
何でも自分だけで、仲間など頼りにしない性格のバズ。
僕は強くてくじけないんだって姿勢から「ストロングアメリカ」な印象を受けました。
実際足手まといの奴には「ついてくるな」と言い、俺が何とかすると行動。
失敗したとしても、仲間と共にリトライするのではなく、自分でやろうとする。
地球に帰還するのが目的だったバズは、仲間によって足を引っ張られることでどんどん思うように進まなくなっていくんですね。
だって残酷に時間が過ぎていってしまったことで、当時の仲間はいなくなっていて、元には戻れなくなってしまった。
あの頃の「強い自分」すらも消えかけていた。
だからザーグは、ハイパースピードクリスタルを使って「あの頃の時代」に戻ろうと考えた。
だけどバズは、「いや待てよ、色々な選択を経てこうして仲間とともにいるわけで、それを消してまで過去に戻ることは違うんじゃねえの?」てなるわけですよ。
ザーグ自体いわゆる保守的な考えで「強いアメリカ」の象徴だったんじゃないかなと。
自分で何でも行動して「俺についてこい」的なリーダー風を吹かすみたいな。
だけどバズはまだまだ未熟だけど伸びしろの有る仲間たちとこれからを進んでいく方が価値があるんじゃないの?と。
核心に触れるからうまく説明できないんだけど、ザーグの正体がアレだからこそ「今後アメリカはどう進むべきか」みたいに思えて仕方なかったんですよね~。
他の国ともっと仲良くして、彼らと運命を共にして進んでいこうよみたいな。
彼らがいるからこそ僕は強くなるみたいな。
今こうした時代なのだから、過去の在るべき姿にならなくてもいいじゃないか、みたいな。
すんませんうまく説明できないんですけど、そんな感想を抱きましたw
最後に
しかし超面白かった!とは言い難い作品でしたね。
どちらかというと攻めた作品はなく、トイストーリーのファンに喜んでもらえるように置きに行った感じの内容だったなぁと。
それこそ同性愛者が登場したり多人種を意識したクルーでしたけど、それが何か機能したかというと特になく。
そもそもストーリー自体が「やらかした主人公の尻拭い」っていうここ最近のMCUみたいな設定で、誰もバズを責めるやつもいないし、バズ自体後悔しないんですよね~。
もうそこが正にアメリカだなぁってw
確かに失敗した事実は消えないので後悔してる暇なんてなくて、次に挑むって姿は頼もしいんだけど、一度くらい後悔しろよと。
その方が人間味があっていいなぁって。
ウラシマ効果も取り入れる必要ってありましたかねえ。
普通に「地球に帰還する」ことを最終目標にしたオーソドックスなお話にした方が、アンディが喜ぶ物語、というか子供たちが「わぁ~バズかっこいい」みたいなヒーローものにした方が良かった気はするんですけどね~。
どうなんだろ、好みの問題かw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10