モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

Netflix映画「エノーラホームズの事件簿」感想ネタバレあり解説 え⁉ホームズに妹がいたの⁉

エノーラ・ホームズの事件簿

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え⁉名探偵ホームズに妹がいるの⁉

僕のホームズに関する知識は、基本的にはガイ・リッチー監督の「シャーロック・ホームズ」とか、それこそ「名探偵コナン」でオマージュされるワードやら地名やらくらいで。

 一応ホームズに兄がいることは知ってるんです。

マイクロフトでしたっけ?

とはいえ、映画「シャーロック・ホームズ」に出てきたことで知った程度なんですけども。

 

だから今回「ホームズの妹」が主人公の映画がネットフリックスで配信!てニュースを見たとき、まさに冒頭の「え⁉ホームズに妹⁉」ってなりまして。

とはいえ、これいわゆる二次創作的な作品が原作ってことですね。

アーサー・コナン・ドイルが書いた小説の中には登場しないと。

 

勝手にこういうの作って大丈夫なのかな?

いやさすがに許可取ってるよな・・・って思ったらこんな報道。

www.excite.co.jp

小説内のクリエイティヴな表現を無許可でコピーしていることに対する訴えだそうで、小説シリーズも映画製作も全て対象だそう。

 

そもそも小説ってシリーズ化されてるようで、その時点で訴えられてもおかしくねえんじゃね?とか思ったんですけど、さすがに映画となるとコトがでかいのか訴訟問題しないといけない、ホームズの権利を守らにゃいかん!と財団が動いたってことですかね。

 

記事によればホームズの物語はほとんどが使ってもいいみたいなんですが、小説のラスト10作品は著作権が保護されてるようで、本作はそこを無断で描いちゃったってことみたいです。

果たして和解になるのでしょうか。

 

 

確か数年前に「Mr.ホームズ/名探偵最後の事件」てのがありましたね。

 

www.monkey1119.com

 おじいちゃんになったホームズが間違った推理をしてしまったことで、ふさぎ込んじゃうんだけど、少年を助けるために奮闘するお話。

 

これもやはり訴えを起こされたみたいですが、こっちは和解になったんだとか。

 

 

なんにせよ、ホームズの妹が推理して事件解決するんでしょ?

面白そうじゃん!!

てなわけで早速鑑賞いたしました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

イギリスが生んだ名探偵ホームズに、14歳も下の妹が存在した⁉

アメリカの作家ナンシー・スプリンガー原作による同名小説シリーズを映画化した本作は、アーサー・コナン・ドイル原作の「シャーロック・ホームズ」のキャラを借用し生まれた、いわゆるヤングアダルトなお話。

 

母の失踪により、兄二人から寄宿学校に入れられることを拒んだ主人公が、兄二人に追われながらもロンドンへ赴き事件に巻き込まれながらも、名探偵の血を引く才能を開花させ、事件を解決していく。

 

もともと劇場公開を予定していたが、新型コロナの影響によりNetflixが買い付け、全世界配信となった。

 

Netflixドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス」で、一躍スターの仲間入りを果たした子役女優が、おてんばでじゃじゃ馬な主人公エノーラを演じることも話題となった。

 

思春期真っただ中の少女が、単身都会で活躍する大冒険。

彼女を待ち受けるのは優雅な都会の生活か、しつこい兄たちの追走か、はたまたとんでもない大きな事件か⁉

 兄譲りの天才的推理が彼女を突き動かしていく!

 

 

 

 

あらすじ

 

 舞台は1884年のイギリス。

エノーラ・ホームズ(ミリー・ボビー・ブラウン)が16歳の誕生日を迎えた朝、目を覚ますと母親(ヘレナ・ボナム=カーター)が謎めいた暗号だけを残し行方不明に…。

 

失踪をきっかけに、別々に暮らしていた兄のシャーロック(ヘンリー・カヴィル)とマイクロフト(サム・クラフリン)に久々に再会、やむなく兄達に世話になる事になるが、自由奔放な彼女は兄たちに従わず、母親を探すため1人ロンドンへ!

 

旅の途中、思いがけず若き貴族(ルイス・パートリッジ)の失踪事件に関わったことをきっかけに、世界の歴史を覆しかねないほどの恐ろしい陰謀と巨大な謎へと巻き込まれていく。

 

エノーラは兄譲りの天才的推理力を発揮し、名探偵の仲間入りを果たすことはできるのか? そして消えた母親の行方は……⁉︎(BANGER!!!より抜粋)

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監督

本作を手掛けるのは、ハリー・ブラッドビア

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まったく存じ上げない方なんですが、調べたところによると、これが劇場映画(ネトフリだからそう呼んでいいものか…)デビュー作のようです。

それまでは何をしていたのかというと、イギリス国内で放送されていたTVシリーズやTV映画を約20年にわたり制作してきた様子。

 

本作の予告編を見る限りでは、ユーモア描写はもちろんのこと、アクションやエノーラの青春模様や成長過程などのドラマチックな展開がバランスよく描かれていて、さらにテンポも良さげな雰囲気で編集されてるので、監督のTVドラマで培われたセンスが本作で発揮されていそうです。

 

 

 

 

キャスト

本作の主人公エノーラ・ホームズを演じるのは、ミリー・ボビー・ブラウン。

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Netflixドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス」で頭を丸め超能力を操る少女を演じたことで、世界的スターへと上り詰めたミリボビちゃん。

 

髪もすっかり伸び、大人への片鱗を見せながらも、子供のあどけなさが残る素敵な女優さんへと成長しました。

 

予告編を見る限り、元気溌剌で天真爛漫さが見えるエノーラを演じきっているのが印象的です。

ストレンジャーシングス、特にシーズン1では常に悲しげな表情を見せていたので、今回のような元気な役柄を見ると、彼女の芝居に対するポテンシャルの凄さに驚きです。

 

どうやら彼女のお姉さん、ペイジ・ブラウンさんが製作に加わっているそうで、ミリボビ本人もプロデューサーに名を連ねています。

 

どうやら本作以外でも姉妹で共作した作品をNertflixが製作しているそうで、ロングアイランドに住む2つの家族の確執の物語だそう。

タイトルは「A Time Lost(原題)」。

映画なのかドラマなのか、本人が出演するのかなどの詳細はまだ知らされていませんが、本作同様非常に楽しみですね。

 

彼女に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

ほかのキャストはこんな感じ。

エノーラの兄、シャーロック・ホームズ役に、「マン・オブ・スティール」、「ミッション・インポッシブル/フォールアウト」のヘンリー・カヴィル。

エノーラの兄、マイクロフト役に、「スノーホワイト」、「ハンガー・ゲーム」シリーズのサム・クラフリン。

エノーラの母、ユードリア役に、「チャーリーとチョコレート工場」、「オーシャンズ8」のヘレナ・ボナム=カーター。

テュークスベリー子爵役に、ルイス・パートリッジ。

ミス・ハリソン役に、「ハリーポッター」シリーズのフィオナ・ショウなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

女らしさを押し付ける慣習をぶち壊して冒険していくエノーラの姿に期待ですね。

もちろん謎解きも!

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

ミリボビちゃんの表情が豊かでずっと見ていたい!!

大切なことは全部お母さんが教えてくれた、エノーラちゃん最初の事件簿でした!!

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

淑女なんてならなくていい。

16歳の誕生日に母の失踪により孤独の身になっってしまったエノーラの大冒険は、兄や殺し屋に追われながらも母の居所を探し、さらには自分の「未来」をも探していく、まさにヤングアダルトでジュブナイルな物語でございました。

 

 

淑女たるもの淑女であれ。

女は女なのだから、男の前でははしたないことなどせず、礼儀正しく女のようにふるまうべき。

今となっては非常にアホらしい慣習ですが、階級社会のイギリスにとっては避けて通れないマナーなんですよね。

特に政府の役人や私立探偵という優秀な職業に就いた兄たちを持つホームズ家にとっては。

 

その中で、女としてどうやって生きていけばいいのか。

郷に入っては郷に従えの精神に従うのか。

それとも、自分が歩みたい道を歩むのがいいのか。

 

自分が信じたこと以外には目もくれず、自由奔放に生きることを小さいころから叩き込まれたエノーラが、16歳という子供と大人の境い目である年齢に差し掛かり、誰かが敷いたレールの上を走るのか、それとも自分が歩むべき道を進んでいくのかの選択を迫られながらも、たまたま出くわした少年を助けながら、自分はどう在るべきかを模索してくお話でもありました。

 

 

また劇中では、選挙法改正をめぐって貴族と民衆の間で議論が激化しており、女性への参政権を訴える賛成派と、それを阻止しようとする反対派の攻防を水面下に置きながら、旅先で出会ったテュークスベリーの命を狙う黒幕や、フェミニストである母親が娘を置き去りにしてまでしなければならないことなど、本筋に少しづつ絡んでいく伏線も、非常に楽しめる要因でした。

 

 

ミリボビちゃんがとにかくかわいい。

本作の最も魅力的な部分は、ミリボビちゃんのかわいらしさ。

 

始まるや否や、「私の話を聞く?」と第4の壁を突破しながら、自身の出生から母親との楽しく幸せな日々を語っていく姿。

長い髪を風になびかせながら、慣れない自転車をこいで満面の笑みで語る表情は、少女らしさを彷彿とさせるとともに、幼いころから演技を磨いてきた彼女の「今」が全面に押し出されておりました。

 

そして観衆に語り掛けながら見せる表情は非常に豊かで、微妙に眉を細めたかと思えば、釣り上げてチャーミングな表情をしたり、誰かとの会話の最中に急にこちらに向かって疑問を抱く表情や、今どういう状況なのかを説明する際も、言葉をリズミカルにテンポよく語っており、「ストレンジャーシングス」の時のような暗い表情とは一変した、等身大の元気な女の子を熱演しておりました。

 

また、大人と少女の中間地点でもある年齢から、時にはボーイッシュな格好、時にはエレガンスな恰好、さすがにそれは無理ないか?と思うほど背伸びした未亡人の恰好、または田舎臭くあか抜けないボサボサ頭の恰好など、要所要所で様々な変装をすることで今のミリボビちゃんの全てを堪能できる容姿が見放題な点も、本作の満足度は高いです。

 

 

実際劇中では母親からどんな教育を受けてきたのかを映像で語るシーンも多く、学校に行かず母親から徹底して「生きていくうえで必要なこと」を叩き込まれています。

当時のイギリスでは淑女らしく刺繍や作法などを叩き込まれるようですが、ホームズ家は全くの真逆。

朝からシェイクスピアなどの本を独学で読み漁り、暗号解読のための文字遊び、チェスをしたり科学の実験をしたり、屋内で思いっきりテニスをする始末。

昼食後には外で格闘のレッスンを教えられていくあたりから、いかにしてエノーラという人物が一筋縄ではいかないおてんば娘であることが伺えます。

 

こんな幼少期を過ごしたエノーラは、普通の女性が歩む道とは真逆の道を進んでくわけですが、シャーロック譲りの賢さも加わって、ロンドンで非常に逞しく行動していく姿が見ていて爽快です。

 

 

シャーロック&マイクロフトについて

母の失踪により妹によって呼び出されたシャーロックとマイクロフト。

シャーロック自身、人にも政治にも社会にも興味のない男として当初は描かれてましたが、妹との久々の再会やお手伝いさん、ティームールで働く母親の友人と接していくことで、実はちゃんと妹のことを考えていることが伺えます。

 

逆にマイクロフトは政府の役人である立場から、今回の母親の失踪についてや、母がしようとしていること、さらには妹の失踪も加わったことでかなりお怒りの様子ばかりな点が見て取れます。

彼自体が「淑女たるもの淑女であれ」という性格がゆえに、孤独になってしまったエノーラを寄宿学校へ強制的に入れたい気持ちであり、レストラード警部を使って捜索したりと、かなりの堅物なキャラになっております。

 

このように、表向きは二人は同じほうを向いているものの、徐々にエノーラを思うシャーロックの本性が出てくることで、兄には逆らえないもののエノーラの秘めた可能性を誰よりも買ってたりする姿を出すことで、兄二人が対照的な考えを持っていることが見えてくるあたりも物語としてうまい運びだったように思えます。

 

しかし、二人とも賢すぎるがゆえに極度の人間嫌いとして描かれている原作の設定とは、だいぶかけ離れている様子。

ここまで真逆のキャラ設定だと、アーサー・コナン・ドイル財団から訴えられるのも理解はできるよなぁ。

 

まぁそこは僕にとっては大きな問題点にはなってないので、これはこれ、それはそれ、でいい気もします。

 

 

ヘンリー・カヴィルのホームズっぷりが結構ハマっておりまして。

正直生え際ヤバい疑惑のある彼が、何とか前髪を伸ばしパーマを当ててまでホームズになり切ってるのがさすがです。

ちょっと稲垣吾郎みたいな髪型でしたねw

 

見た目も見事ですが、ホームズっぽい立ち回りや視線の向け方なんかも名探偵!っぽい芝居をしていて、さりげなく人や物を見て考察したり、エノーラや母親、さらには侯爵の行方不明など公私にわたっての問題に頭を悩ませる兄をうまくたしなめたり、立ち振る舞いから相手への寛容な思いから見える英国紳士的な振る舞いなど、これまで見てきたホームズとはまた違うホームズのように感じられます。

 

 

最後に

 

レジェンダリー・ピクチャーズが配給しているだけあって、当時のイギリス・おロンドンの街並みの表現は見事で、晴れ晴れとしないどんより雲と泥にまみれた道と整理された家々、行き交う人の激しさや騒々しさ、その中で気品あふれる人たちが馬車とともに優雅に闊歩していく姿は、当時を思わせる風景でございました。

 

また音楽面に関しても雰囲気を漂わせていて、ヴァイオリンやヴィオラ、コントラバスといった弦楽器をベースにしながら、ハープシコードで優雅に軽やかに奏でる音色が、物語のテンポと余韻を与えてくれ、これぞホームズ!のような空気を作り上げています。

 

 

肝心の謎解きですが、あ~なるほど!というような流れになってないのが残念と言えば残念なのですが、母が残した暗号解読を、時にじっくり考えたり、瞬時に読み解いたりする件や、テュークスベリー侯爵の命を狙う黒幕が一体誰なのか、テュークスベリーはどこへ消えたのかなど、随所随所で名推理を発揮している点は、兄譲りの才能をしっかり見せつけているため、総合的に観ると勿体なさはあれど、断片的に観れば悪くはないように思えます。

 

全体的に言えば、主人公が語り部となって進んでいく展開はスピーディーでテンポもあって娯楽作品として非常に見やすいですし、ちょいちょい挟まれる絵本やフィルムの再生のような演出は、こういう映画には最適なもののように思えます。

 

モンキー的にはミリボビちゃんの可愛さが堪能できただけで満足であります。

ファンならずとも、彼女を魅力を味わえるだけでも十分見る価値があるのではないでしょうか。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10