モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「FALL/フォール」感想ネタバレあり解説 高所恐怖症の人はマジで見ない方がいいです。

FALL フォール

よく海外の動画を集めた番組などで、「高いところで綱渡りする人」なんてのを見たことがあります。

 

一番有名なのでいうとフィリップ・プティさんでしょうか。

あのワールドトレードセンターのツインタワーを、命綱なしで綱渡りをしたという伝説の大道芸人です。

彼の半生をつづったドキュメンタリー「マン・オン・ワイヤー」や、ロバート・ゼメキスが監督した「ザ・ウォーク」でもそのすごさが窺えるかと思います。

 

さて、今回鑑賞する映画は、そんなたか~い所に上って降りられなくなっちゃった女性二人組のお話。

なんでそんなところに登ってしまったのか、それともプティのようにパフォーマンスしたかったのか。

今や承認欲求で生きてる人ばかりですから、きっと目立ちたかったのかも。

 

ともかく高いところに行ったり高い場所の映像を見ると、股間がぎゅうぅ~~んとなってしまう私モンキー、果たして無事見届けることができるのでしょうかw

早速観賞してまいりました!

 

 

作品情報

超高層ビルでの大火災を描いた「タワーリング・インフェルノ」や、高山でのサバイバルアクション「クリフハンガー」、そして高所での極限状態を可視化した「ザ・ウォーク」など高所での恐怖を描いた作品は数知れず。

そんな中、地上600mもの場所でサバイブする女性二人を描いたスリラーアクション映画が誕生した。

 

フリークライマーの二人が、失った夫を弔い前へと進むため挑んだ地上600mのTV塔で、足場を失い取り残されてしまい恐怖にかられるも、必死で状況を打破する姿を、様々なアイディアや映像を駆使して危険度MAXに描く。

 

カリフォルニア州に実在する「サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワー」をモデルにして描いた本作。

実際にその場所でジャンプスーツを着てダイブする強者もおり、高所マニアにとっても本作は観賞必至案件だろう。

 

そんな高所での危険な恐怖を描く作品を、「ファイナル・スコア」で実在するサッカースタジアムを爆破して撮影を敢行したり、限られたシチュエーションで極限のアクションを描くなど、遊び心を込めて製作に取り組むスコット・マンが手がける。

 

梯子は落ち、スマホの電波もない

食料など持ってのほか

さらに人影などありゃしない

 

明らかに「詰んだ」状態の彼女たちに秘策はあるのか。

もしくは、偶然を呼び起こすような強運で打破するのか。

 

このピンチをいったいどう切り抜けるのか…!?

 

ファイナル・スコア(字幕版)

ファイナル・スコア(字幕版)

  • デイヴ・バウティスタ
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あらすじ

 

山でのフリークライミングの最中に夫・ダンを落下事故で亡くしたベッキー(グレイス・フルトン)は、悲しみから抜け出せず1年が経とうとしていた。

 

ある日、ベッキーを立ち直させようと親友のハンター(ヴァージニア・ガードナー)が新たにクライミングの計画を立てる。

今は使われていない地上600mのモンスター級のテレビ塔をターゲットとして選んだ彼女たちは、老朽化で足場が不安定になった梯子を登り続け、なんとか頂上へと到達することに成功する。

 

そこでベッキーは夫の遺灰を空から撒くことで、彼を偲び、新たな1歩を踏み出す決意を示すが、それもつかの間、彼女たちに次々と困難が襲いかかる!

 

自分たちの持つ技術と知識をフル活用して、どうにかこの危機を抜け出そうとするが…(HPより抜粋)

youtu.be

 

監督

本作を手がけるのは、スコット・マン。

 

これまで、殺し屋世界一を決める競技大会を描いたバイオレンスアクション「ザ・トーナメント」やマフィアと強盗集団とSWATがノンストップなカーアクションを見せる「タイム・トゥ・ラン」、サッカースタジアムの観客を人質に取ったテロリストに多々一人で挑む男を描いた「ファイナル・スコア」など、B級感を漂わせながらも、その卓越した編集力と演出力で、決して中だるみのないアクションで魅了するお方。

 

今回も極限サバイバルアクションというシチュエーションものではありますが、折れられなくなった彼女たちの心情をうまく見せながら、ハラハラドキドキな展開を見せつけてくるに違いありません。

 

現時点でオチが全く予想できないので、ぜひ想像を超える結末を期待したいです。

 

タイム・トゥ・ラン(字幕版)

タイム・トゥ・ラン(字幕版)

  • ジェフリー・ディーン・モーガン
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キャスト

主演のベッキーを演じるのは、グレイス・フルトン。

 

死霊館」から派生した「アナベル」シリーズの第2弾「アナベル 死霊人形の誕生」や、DCコミックが生んだ異色のヒーロー「シャザム!」で、主人公の養姉妹メアリーを演じていた方です。

 

 

ほかのキャストはこんな感じ。

親友のハンター役に、「スターフィッシュ」、マーベルドラマ「ランナウェイズ」のジヴァージニア・ガードナー。

他、「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」のメイソン・グッティング

TVシリーズ「グレイス・アナトミー」、「ウォッチメン」のジェフリー・ディーン・モーガンなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

梯子なくてもフリークライマーなら降りられるんじゃ?ってド素人な予想では的中しませんねw

もうガクブルしながら堪能したいと思います。

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

最愛の夫の死という哀しみから抜け出すために選んだ克服だったのに、人生最大の試練の連続でマジ無理ゲーすぎる!!

面白いかどうかの前に上から見下ろす景色が怖すぎて何度も目を瞑り、とんでもない手汗で俺の心拍数600越え(テレビ塔の高さに例えて)でしたww

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

絶望極まりないシチュエーション

最愛の夫の死という恐怖を克服するために親友と共に高さ600mもある錆びれたテレビ塔に登るという前人未到の挑戦に挑んだ女性二人組に起きるアクシデント、そこから限りあるアイテムと趣味が高じたロッククライミングスキルを駆使してサバイブする姿を、燦々と照り付ける太陽と果てしなく広がる荒野という絶景を上から下から俯瞰からのショット、さらには後に天敵となるハゲワシの登場によって超絶スリリングなスリラーへと昇華させた、高所恐怖症の人は絶対目を向けられない恐怖の作品でございました!!

 

私高い所が決して苦手というほどではありません。

東京タワーもスカイツリーも展望台から見る景色にうっとりできる余裕があります。

足場が揺れるつり橋もそこまで恐怖を感じたことはありません。

 

しかし本作はそんなそこまで高所恐怖症で無い僕でも手汗ボンバーを発症させるほど手に汗握る、いや手に汗垂れる映画でした。

 

いやぁ~もう劇中何度も「そこまでにしておきなって…それ以上登ったら危険だって…ほら言わんこっちゃない・・・いやいやその選択肢危ないって…ほらほら!だからいったじゃん!!おちるってえええ~!!」と心の中で叫んだことか。

 

映画に没入できる作品ほど感動の度合いが増すもんですが、本作は没入したくないのに登場人物と同じ緊張を味わえ、没入したくないのに没入してしまう、いやむしろ俺はこの女性二人組と同じ場所に立っていると錯覚してしまうほどの作品でした。

 

さらには危機から脱出するためにトライしてはエラーを繰り返す彼女たちに幾度となく歯を食いしばり、祈りをささげ、ため息をつくというザ・観客とも言える感覚に陥り、あまりのムチャな挑戦にはもう見てられないと何度も目を瞑ってしまったのも事実。

 

かろうじて目を開けられた理由は、親友ハンターのお胸見たさだったのは内緒です。

 

それくらい目も当てられないほどの恐怖度MAXな映画だったのであります。

 

誰か止める者はいなかったのか

とまぁ、自分が感じた心情はこれくらいにして映画の感想を語りましょう。

 

さすがに映画ですから、ただ勝手に登って降りられなくなったってだけじゃお話になりません。

ちゃんとなぜ女性二人はこの鉄塔に登ることになったのかという人物設定や馴れ初めがあるわけです。

 

そもそもベッキーとハンターはロッククライミング経験者、というかかなり上級者とも言えるスキルを持っており、難度の高い岩山を登っている姿が冒頭描かれます。

そこにはもう一人ベッキーの旦那もおり、彼女と夫婦円満な姿が映し出されてるんですね。

 

しかし不慮の事故によって夫は亡くなり、失意のどん底から抜け出せないベッキーは約1年飲んだくれては自暴自棄に駆られていたわけです。

そう、タイトルの「FALL」は落ちるという意味であり、高い所から落ちるのと、ベッキーの精神が落ちているというダブルミーニングだったわけです。

 

バットマンであるブルース・ウェインが少年時代コウモリの巣がある穴に落ち、トラウマを抱いてしまったという過去がありますが、その時彼を助けた父がこんなことを言います。

「人はなぜ墜ちる?這い上がるためだ」

そう、人は確かに何かの拍子で落ちることはありますが、もう落ちたら這い上がればいいだけ。

そこまでの気持ちになるには一苦労ありますが、ベッキーには這い上がるために手を差し伸べてくれる人がいるのであります。

 

それが彼女の親友ハンター。

彼女はベッキーの旦那の死後、人生の儚さや短さを痛感し、一人冒険の旅に出ていたのであります。

およそ1年が経ったころ、ベッキーの父からの依頼によりベッキーの元を訪ね、彼女を励まそうとテレビ塔に登る挑戦を共にしようと提案するのであります。

 

またハンターはフォロワー数6万人を持つインフルエンサーであり、旅の道中本来の自分を隠し明るい自分を投稿しては人気を得ていたのであります。

今回の挑戦も承認欲求からかはわかりませんが、動画に収めてる姿が見られてました。

 

 

テレビ塔の上には飛行機への配慮として赤いランプが光っており、細長い柱を支えるために3本の鉄製のロープがついてました。

しかし老朽化によりこのテレビ塔は取り壊しが予定されていて、近くまではいけるモノの、車での進入は禁止されていました。

 

約2キロ歩いてテレビ塔の真下にたどり着いた二人は、嫌がるベッキーをハンターが鼓舞してようやくチャレンジ開始。

荒野に吹き荒れる風とテレビ塔を支えるロープやはしご、ボルトのきしむ音が、この後起きる非劇を予感させるのでした。

 

 

これそもそもなんですけど、クライミング経験者とはいえ一人の人間です。

旦那を失って失意のどん底にいるのであれば、親友として何をすべきかって考えた時に、テレビ塔に登って恐怖を克服しようって考えは生まれねえと思うんですわw

一体この女何考えてんだ!?っていうw

 

まぁしょせんインフルエンサーってのは、承認欲求のために危険を冒してまでバズを狙おうとする輩なわけで、いずれ命を脅かすぞ!っていうい反面教師キャラとして機能していたのは映画的にも人生的にも素晴らしかったですけどね。

 

しかもですよ、後に明かされるんですけど、ハンターはベッキーの旦那とデキていたっていう真実が明かされるわけで、この女、親友といっておきながら随分とベッキーに悲劇をもたらす女だなぁなんて思いながら見てましたw

 

とはいえ親友ですから、二人で協力することもあったり、何ならしっかり反省してる姿も見られ、自ら危険を冒して身を捧げるなどの行為は好感を持ちました。

 

この状況、当たり前じゃねえからな!

さて、登頂まで何とか上った二人は、ベッキーが上がった拍子に梯子のねじが取れてしまい梯子が落下。

足がかりを失ってしまい取り残されてしまいます。

 

辺りには何もない荒野、一応キャンピングカーが近くに止まっていることが確認できますが、人気はない様子。

余りの高さにスマホの電波は入らず、誰も助けを呼べないという超無理ゲーな状況。

果たして彼女たちはこの危機をどう脱するのか、というのが本作の一番の見どころ。

 

アイテムも撮影用に用意したドローンとスマホ、あとで動画をアップすることもありお化粧品などが入っており、すぐ降りることもあって水はペットボトル1本、食糧はなし。

登頂にある箱の中には双眼鏡と曳光弾があり、数少ないアイテムで何とか乗り切ろうとするのでありました。

 

電波のある場所にスマホを置けば誰かにメッセージを送信できると考えた二人は、ロープでスマホを巻き、60m下にあるアンテナよりも下にぶら下げる試み。

失敗。

 

今度は靴の中にスマホを入れ、緩衝材に靴下やブラジャーを詰め込んで地上に落とす作戦。

残念ながらスマホは600mある高さには耐久できず、メッセージを送ることはおろか粉々に砕ける始末。

 

しかしそこに人の気配が。

犬を散歩していた中年男性がいるではありませんか!

残念ながらスマホを入れた靴には気づきませんでしたが、彼女たちは懸命に大声をあげ振り向かせようと試みます。

 

それでも振り向かない男性に自分たちの存在を気付かせるため、ベッキーは両方の靴を投げますが、これも失敗。

 

夜になると、先ほどのキャンピングカーに人の気配が。

さっきの中年男性と共に車中泊してた男性を見つけ、曳光弾とスマホのライトで必死に合図を送ります。

ようやくこちらに気付いた男性二人は、二人を助けてくれるかと思いきや、なんとベッキーたちの車を盗んで逃走!

いかにもアメリカ!って感じの展開w

 

これは無理もないw

 

この時点でスマホを1台無くし、靴も失った、そして近くにいた人にも助けてもらえないという散々な結果。

 

他に手立てはないか。

そうだ、60m下のアンテナに引っかかったままのバッグに、ドローンがあるではないか。

2人が泊まった近くのモーテルまでヘルプと書いた手紙を挟んだドローンを運べば、誰かが気付いてくれるはず。

 

しかしアンテナの場所まで足がかりはなく、どうやって下りればいいか手段のない状況。

そこへハンターが意を決して降りることに。

 

ハンターはいかにもムチムチバディですが、ぶら下がったベッキーを腕っぷしで持ち上げるほどの筋力、そして命綱なしでもぶら下がることができる度胸と筋力と体幹を持ち合わせる正真正銘のクライマー。

きっと彼女ならバッグを取り戻せるはず。

 

柱に足をつけて真横になりながらロープを掴んで降りるハンター。

上で見守るベッキーの視点で映す風景に、見てるこっちも身の毛がよだつ恐怖。

何とかアンテナの近くまでたどり着いたものの、寸でのところで届かずじまい。

 

再びハンターは意を決して、ハーネスに括りつけたロープを外し、アンテナまでジャンプ!

 

負荷がかかったことで大きくきしむアンテナ。

いつ落下するかわからないアンテナの上で何とかバッグを回収し、再び登頂まで戻ろうとしますが、今度はロープに届かない!

バッグからスマホの自撮り棒を取り出し、バッグに括りつけてロープにつなげようと画策。

 

なんとかバッグはロープに付けられたハーネスに引っかかりますが、今度はハンター自身が掴めない!

ハンターは、三度意を決し、ぶら下がったバッグ向かって大ジャンプ!

結果はセーフ!!

煽るような劇伴も手伝って本作で一番のヒヤヒヤシーンでした。

 

しかしこれだけでは終わらない!!

登頂まで戻るためには腕ずくで這い上がらないといけないわけで、ハンターは上に要るベッキーに引っ張ってもらいながら腕ずくで登ります。

しかししかし!!

ベッキーにハゲワシが襲い掛かりロープを離してしまいます!

この勢いによりハンターは落下し大ピンチに!!

 

恐る恐る下を覗くベッキーは、バッグに引っかかって命からがらなハンターの姿を発見。

無事ハンターと共にバッグを回収できたのでありました…。

 

 

果たして彼女たちはドローンを駆使してこの場所から脱出できるのか!というわけですが、波乱はまだまだ続くのであります…。

 

 

最後に

物語の序盤、ハゲワシがまだ息のある野良犬のはらわたを食べている姿が映し出されます。

適者生存、生活環境によりよく適応した者が生き残り繁栄するというこの言葉は、正に生きるために目の前の食べられるものを食べるハゲワシそのものを捉えた言葉であり、後にベッキーがこの言葉通り「生きてくための手段」を実行します。

 

この絶対絶命な状況下で生き抜くために、腹をくくって決断しなければならないわけで、その姿は一見残酷でありながらも、誰もがこの状況下で行うであろう策だったように感じます。

 

そしてベッキーの旦那であるダンが遺した言葉「生きることを恐れるな」は、最後まで奮闘するベッキーの心に深く刻まれたことでしょう。

ベッキーにとって、失意のどん底からもう一度生きようと決心するまでの道のりは、多くの代償を伴うものでしたが、きっと彼女の今後の人生は明るいはず。

哀しみを引き連れて生きてほしいモノです。

 

あれですね、「127時間」みたいなことですよ。

アーロン・ラルストンが決断したことにも似たお話だったんじゃないかと。

 

ただ映画として個人的に感じたのは、ラストシーンがあまりにも唐突。

ようやく脱出するための足掛かりを手にしたにもかかわらず、いきなり場面転換してしまうのは少々急ぎ過ぎではないかと。

その過程を見せることで、メッセージの相手とのドラマが生まれる要素があるにもかかわらず端折ってしまったのは勿体ないかなと。

 

あとはどうやって救助されたんですかね?

おそらくヘリコプターを使っての救助作業だったと思うんですけど、そこでもひとつふたつ面白いシチュエーション組めましたよね。

でもまぁ十分かw

 

アイディア勝負でこうしたシチュエーションスリラーを作った監督には拍手ですが、個人的には怖さの方が最優先されて、映画としての面白さを計れなかった部分があり、満足はしたものの、冷静に考えてどうだったんだろうと。

 

とにかく難しいことは置いといて、こんな無理ゲーでも適者生存で潜り抜けようぜ!なサバイブ映画でした。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10