バイオレント・ナイト
クリスマスシーズンになると必ず製作される「サンタクロースが主人公」の映画。
自称サンタが巻き起こす騒動を描いた「34丁目の奇跡」から始まり、アル中強盗がデパートのサンタに変装する「バッドサンタ」、コメディ映画に欠かせないウィル・フェレルが演じた「エルフ サンタの国からやってきた」などが有名ですね。
近年ではあのカート・ラッセルがサンタに扮して一夜限りの大冒険を繰り広げる「クロスマス・クロニクル」や、あのメル・ギブソンが暗殺者と死闘を繰り広げるサンタを演じる「クリスマス・ウォーズ」など、ファンタジー色の強いモノもあればぶっ飛んだ設定のアクション映画など、多様に製作されています。
今回鑑賞する映画は、あの「ストレンジャー・シングス」でブレイクしたデヴィッド・ハーパーがサンタになって強盗とバッティングしてしまい孤軍奮闘するというコメディチックなアクション映画。
なんでしょう、カートラッセルといいメルギブソンといい、デヴィッドハーパーといい、どちらかというと今にもブチ切れそうな顔した肉体派の面々がサンタを演じるのは一種のムーブメントなんでしょうかw
でも、これがまた似合うんだなぁw
早速鑑賞してまいりました!
作品情報
「ブレット・トレイン」や「Mr.ノーバディ」など、近年のハリウッドアクションを牽引するアクション製作会社87ノース・プロダクション(旧87イレブン)が新たに作り出したのはサンタクロースが主役の映画!?
聖なる夜にプレゼントを配っていたサンタが強盗集団と鉢合わせしてしまうことで繰り広げられるクールでバイオレンスで爆笑必至の大アクション映画。
主演のサンタクロースにはNetflixシリーズ「ストレンジャー・シングス」で超能力を持つ少女を親代わりとして育て上げるホッパー署長役でブレイクし、MCU映画「ブラック・ウィドウ」でもナターシャの父親役として出演するなど、近年目覚ましい活躍を見せるデヴィッド・ハーパー。
そのコワモテな顔立ちとは裏腹に、子供たちにプレゼントを届けるために奔走するも、不運な目に遭ってしまうサンタクロースを熱演。
他にも「ジョン・ウィック」や「ザ・メニュー」のジョン・レグイザモや、「アニー・ホール」「ダーティファイター」のビバリー・ダンジェロなどが色を添える。
子供にプレゼントを送り届ける能力は長けているモノの、戦闘能力は全く皆無なサンタクロース。
サンタよ、子供たちのために戦え!
あらすじ
物欲主義な子供たちに嫌気がさして久しく、少しばかりお疲れ気味のサンタクロース(デヴィッド・ハーパー)は、体に鞭打ちいい子にプレゼントを届けるため、トナカイが引くソリでクリスマスイブの空を駆けまわっていた。
とある非業ファミリーが盛大にクリスマスパーティーを開く豪邸に降り立ち、煙突から部屋に入ったサンタが偶然居合わせたのは、金庫にある3億ドルの現金を強奪するため潜入したスクルージー(ジョン・レグイザモ)率いる武装集団だった。
その場を視なかったことにして立ち去ろうとサンタだったが、すぐさま大騒動に巻き込まれてしまう。
サンタはクリスマスプレゼントを届ける能力は備わっているモノの、戦闘能力はゼロだった。
ましてや相手は武装集団。多勢に無勢の大ピンチを孤軍奮闘で切り抜け、無事子供たちにプレゼントを届けることができるのか!?(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、トミー・ウィルコラ。
ノルウェー出身の監督さんだそうです。
過去にタランティーノ監督の「キル・ビル」をパロッた「キル・ブル~最強おバカ伝説~」なんてのを製作したようですが、それがきっかけで注目を浴びた様子。
その後、雪山に休暇で訪れた医学生たちにナチゾンビが襲い掛かるホラー映画「処刑山-デッド・スノウー」、グリム兄弟の童話の後日談として製作したアクション映画「ヘンゼル&グレーテル」七つ子たちがひとりの人格として生活を送るも、徐々に日常が狂いはじめていくSF映画「セブン・シスターズ」などを製作されています。
批評的には荒唐無稽さが際立っていて高い評価はみかけませんが、プロットのバカバカしさには定評があるようで、本作でもその色がうかがえそうな予感。
個人的には大好物なので、ツッコミなども入れつつ楽しみたいと思います。
キャスト
主人公のサンタクロースを演じるのは、デヴィッド・ハーパー。
冒頭でも書いたように、「ストレンジャー・シングス」のホッパー署長でおなじみハーパー。
ほかにも「ブラック・ウィドウ」や、「ヘルボーイ」でも主演を飾るなど、今勢いに乗っている俳優の一人です。
過去には「007 慰めの報酬」や「スーサイド・スクワッド」、「イコライザー」などのアクション系作品に出演していたようですが、すいません、俺全然覚えてないw
今後は人気ーゲームの実写化「グランツーリスモ」に出演だそうで、そちらにも期待したいところ。
一体どんなサンタクロースを見せてくれるのでしょうか。
やっぱり暴れまわるんだろうなw
ほかのキャストはこんな感じ。
武装集団ノリーダー・スクルージー役に、「ジョン・ウィック」、「ザ・メニュー」のジョン・レグイザモ。
モーガン役に、「マグニフィセント・セブン」、「デンジャラス・ライ」のキャム・ギガンデット。
ジェイソン役に、「マクベス」のアレックス・ハッセル。
ゲートルード役に、「アニー・ホール」、「お!バカんす家族」のビバリー・ダンジェロなどが出演します。
戦闘能力0のサンタさんはどう駆使して戦うんでしょうかね~。
予告を見る限りだと怯むことなく戦えてるようですけどw
てかよぉ~クリスマス映画はクリスマスに公開しろよぉ!
ここから観賞後の感想です!!
感想
#バイオレントナイト 試写にて。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2023年1月24日
ベロベロでやる気ないサンタ役のデヴィッドハーバーがハマり役!
やる気ないサンタがあの手この手で危機を脱してくアイデアもワクワクだし、聖夜が血に染まり過ぎw
これを見ればサンタはいるって信じたくなる映画でした!#最もバイオレントなサンタ pic.twitter.com/yIccSJ8nAC
おお~ホームアローンですかぁ!!
これはベタ過ぎて盲点w
良くも悪くも87ノースなアクションコメディでした!
以下、ネタバレします。
信じる事って素晴らしい。
子どもたちの欲深さに廃業を意識したサンタの最後の仕事を機に、武装集団やサンタを信じる子供をめぐって、誰もが失った純粋な心を取り戻していく姿を、80年代の名作の手を借りながら血みどろなアクションと笑いを振りまいていく、不運なおっさん怒涛の快進撃クリスマス武闘派映画でございました。
この映画を見て私がまず感じたのは、「俺はいつからサンタの存在を信じなくなったのだろう」ということ。
きっと物心がつくと同時に、理想や空想は現実という無残なモノによって泡となってはじけて飛んでいくのだと思うんですが、一体それがいつ、どこで、何をきっかけに変わったのだろうと。
確かに俺が幼稚園児の頃、「トランスフォーマーのコンボイが欲しい」とプレゼントをねだったのに、朝起きたらチクタクバンバンが置いてあって憤慨したことを、今でも鮮明に覚えているわけですが、多分その頃はまだサンタの存在を信じていたと思うんですよ。
いきなり自分語りをしてしまいましたが、本作は血みどろアクションをしまくるサンタが売りの内容だとは思うですが、話の核は「欲深い子供をによって子供を信じないサンタ」が「純粋にサンタを信じる子供」と出会い、仲を深めていきながら失った気持ちを取り戻していく物語なんですよ。
さらに言うと、何故武装集団たちは悪い子になってしまったのかという内面もしっかりと映し出すことで、ただサンタが悪い大人をやっつけるだけの物語に留めてない点なんですね。
劇中では武装集団のリーダー・スクルージでさえもサンタの存在を信じていた純粋な時代があったものの、とあることがきっかけで周囲の大人たちがスクルージを信じず、彼は良い子の階段を踏み外してしまったのです。
決して俺はスクルージのような暴力で人を傷つけ目的を達成するような男ではない普通の大人ですが、何のためらいもなく相手を信じるほど純粋な心はとうの昔に失っていたわけで、信じないってだけで心ってホント荒んでいくんだなぁと思い知らされたのであります。
ただ個人的にまだ俺は大丈夫だな、と思うことは、きっと大多数の人がこの映画の感想で「グロかった!」とか「アクションすげえ!」とか、「あの映画のオマージュ最高!」とか言う前に、こんな「人を信じるって…」みたいなことを真っ先に書いてるところでしょうかw
そんな映画じゃねえ!ってわけではないんだけど、もっと先に特筆することあるよね!?
って自分でもわかってはいるモノの、なんかあんな武闘派サンタだけど清らかな心は持っていて、ずっとどこかで子供を信じていたい気持ちがあったわけで、何かそういうところに俺は心打たれたんですよ、ええ。
ただね、こういうサンタと子供が信じあっていくクリスマスイブってだけじゃアンブリンエンターテインメントなわけで、そこは87ノースプロダクションですよ、ジョン・ウィックとかワイルドスピードスーパーコンボだとか、Mr.ノーバディとかブレットトレインとか、ごりごりのアクション製作会社なわけですから、そりゃハードでグロテスクな映画なんですよ。
もちろんそこも楽しいんですよ、ってことで次行きます。
戦闘能力ないからできるアクション
家に忍び込んでは勝手に詮索して酒やらお菓子やらを物色するやる気のないサンタ。
酔っ払っては寝て、吐いてとその辺の飲んだくれジジイと何ら分かりはないが、一応子供たちが欲しいモノを文句言いながらではあるものの靴下の中に入れて帰る、仕事はちゃんとするサンタなんですね。
だからこんなサンタがもし武装集団と鉢合わせしたら、ってのが本作の一番の見どころ。
あらすじでは戦闘能力0という触れ込みから、僕は一体どんな手段を使って敵を粉砕するのだろうと楽しみにしてました。
もちろん最初は行き当たりばったりなバトルを長回しで見せる展開で、クリスマスツリーの装飾品などの目の前にあるモノをとっさの判断で使い、運任せもありな倒し方をしていく滑稽なバトルで魅了してくれるんですね。
またこの時に素晴らしい設定がありまして。
サンタクロースがプレゼントを詰めている袋がですね、手をつっこむだけで勝手にプレゼントが出てくる仕組みになってるわけです。
これはサンタの意志関係なく、誰が手を突っ込んでも勝手にプレゼントが出てくる。
ドラえもんの四次元ポケットみたいな感じではあるものの中身の指定はできないのがミソ。
出てくるプレゼントはビデオゲームばかりってことでサンタも「ふざけんな!」と荒れる始末。
この辺が本作で笑わせてくれる要素の一つなんですけども、何とかこれを駆使して戦うわけです。
それこそ敵の打撃を袋を広げて回避するってやり方はお上手で、敵の銃撃もパンチも全部この袋が吸い込んじゃうっていうクリスマスマジックが最高なんです。
ただね、この袋、もう少し活用できたと思うんですよ。
確かにゲームやら金やらせびる子供たちに嫌気がさしてるって序盤での振りがありますから、出てくるものはゲームばかりってのはオチとしてわかるんだけども、さすがに「野球のバットが欲しい!」とか「ホッケーのスティックが欲しい」っていう子供は少なくともいると思うんですよ。
変な話、この袋ある種のガチャガチャなんですよね。
これを何度も何度もトライ&エラーしてギリギリのところで「ててててってて~てってって~♪」てな感じで登場させて敵と戦ったらすんごく面白い展開になるのになぁって思ったわけですよ。
まぁ残念ながら途中でスクルージに燃やされてしまうわけですけど、お役御免になるのが中盤辺りで、さすがに「おい早いって!」と心の中で突っ込んでしまいましたよあたしゃw
とまぁ、他にもいい子か悪い子かすぐわかる巻物みたいなものを持ってたり、煙突があれば瞬時にワープできる能力などクリスマスマジック満載なんですけど、本作がさすが87ノースプロダクションってところが、実はこのサンタ、元武闘派の戦士だったという設定。
中世に存在した北欧系のバイキングかのようなゴリマッチョで怒りむき出しな姿をした過去が突如現れ、サンタの存在を信じる子供トルーディちゃんとの会話の中で自分の過去を話し始めます。
要は昔からサンタではなく人をたくさん殺めてきた悪い戦士だったと。
でもなぜかサンタになりたくて転職したんですが、最近はもう子供が嫌で仕方ないと。
しかしトルーディから「悪いことを解ってるからいい子でいられる」という逆転の発想を言われ改心するサンタ。
最初は罰が当たった程度の考えで逃げることに必死だったサンタも、こんな子をほおっておけない、昔の俺になって武装集団を蹴散らさにゃいかん!と奮起。
かつての武器だったハンマーを物置で見つけた瞬間、これまで傷ついた体の痛みなど忘れて、手下たちをフルボッコしていくのであります!
基本長回しで見せるこのアクション。
彼の腕力にかかれば、手下が木の棒かってくらいポキッっと折れてしまう破壊力。
絞め技も蹴り技も動きは遅いモノのパワーは段違い。
一網打尽にしていきます。
挙句の果てには芝刈り機のスイッチを入れ、手下の足にコードを絡めて敵をミンチにしてしまうではありませんか!
もう「ファーゴ」のアレです!
血しぶきまでしっかり見せるグロテスクなシーンが満載なのであります。
ホームアローンかよw
そして本作で一番楽しい見どころは、まさかの「ホームアローン」オマージュ、いやリスペクトですね!
もう冒頭からトルーディちゃんが「ホームアローン最高!」と、昨夜に見たホームアローンで興奮しっぱなしというところから始まるので、これが伏線になってるのであります。
武装集団が見張るリビングから一人逃走することに成功し、屋根裏部屋に隠れたトルーディちゃんは、その後武装集団の手下に見つかってしまいます。
しかしそこは昨晩ホームアローンを見て興奮真っただ中なわけで、すぐさまホームアローンの主人公ケビンが泥棒対策で講じた仕掛けをそのままマネするのであります。
屋根裏部屋に向かうはしごにはご丁寧に長い釘が仕掛けてあり、敵もそんなの見逃すわけがない・・・と思ってたら、ちょうど足をかける梯子の部分にひびを入れており、足をかけた瞬間釘の有った場所に顎からグサッと一刺し!
しかも床には釘を何本も刺した針山があり、倒れた手下は背中にも釘が刺さりまくるというホームアローン以上にグロテスクなシーンとなっております。
もうひとりの女性の手下が部屋に侵入すると、ボウリングの玉が無数に転がってくるんですが、これを避けると下で釘にぶっ刺さったままの手下の顔面に命中し、再び釘山にダイブしてしまうという見事な痛々しい展開。
この後もホームアローンで見たことあるとりもち作戦や、ツリーの装飾品を床にばら撒いて足を怪我させる仕掛けなど、ホームアローンを知ってる人なら爆笑必至の場面になってるのであります。
最後に
このように80年代の名作「ホームアローン」を大人バージョン的な感じで、リサイクルじゃないけど活用してくれたのはホント楽しいシーンでしたし、それこそたまたま入った家に武装集団がいて戦う羽目になるっていう不運な展開は「ダイ・ハード」そのもの。
いかにも87ノースプロダクションが好きそうなオマージュだったのではないでしょうか。
とはいえ個人的には、87ノース特有の「実はサンタは元戦士でした」という設定や、当初めっちゃダサいサンタみたいなのを見せておいて段々カッコよく見せるような設定は好みではないかな…。
また序盤の登場人物を紹介するための説明調なセリフが凄く不自然だったり、本筋に入るまでに順を追って見せてしまうがために尺を使い過ぎてる感じが、どうも今っぽ過ぎるというか、そこも80年代っぽくリズミカルに進行すればいいのに!とヤキモキしたんですよね・・・。
後はもう、サンタが血まみれになって戦うって時点でおふざけなんですから、もっとふざけてほしいと。
妙に真面目なんですよ、作り方というか見せ方というか展開というか。
まぁコメディ調のアクション映画なんでね、さすがにMr.ビーンみたいな結果オーライ的なノリでヘタレアクションされても全然面白くないしw
87ノースらしいコメディアクションだったと割り切れば全然面白い映画だったと思います。
後はもう魔法が使えるってことや、子供との触れ合いにフォーカスを当て過ぎないことで、ファンタジーになり過ぎてないのは素晴らしかったと思います。
魔法は魔法で、バトルはバトルでって割り切って描いてるのはよかったかなと。
とにかく、信じることは決して子供でなくてもできること。
信じる者は救われるわけじゃないけど、なんつうか、美しいじゃないですか。
誰も信じずに生きてたら、人生つまんないぜっていうw
むっちゃ強引なまとめ方ですが、中身は血まみれバイオレンスアクションですけど、純粋な気持ちにさせてくれるいい映画ですw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10