火喰鳥を、喰う

TVをつければやたらSnow Manが活躍しているこの頃。
バラエティは決まったものしか見ないんだけど、Xを開けばやたら切り抜き動画が流れてくる。
Snow Manで映画といえば相場は目黒蓮だってのは周知の事実。
TVドラマでも映画でも主演を務め、ちゃんと数字も興収もついてくるんだからそりゃ引っ張りだこ。
でもだ、ほかのメンバーだってちゃんとお芝居できるんだろ?
そんな中で個人的に気になるメンバー「舘様」こと宮舘涼太が、今回主要キャストとして、いかにも~なキャラを演じるらしいと。
予告を見る限りあまりのキザっぷりが目に付きますが、笑っていいのかな…w
とにかく早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
デビュー作にして第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞を受賞した原浩の同名小説を、「超高速!参勤交代」や「空飛ぶタイヤ」など幅広いジャンルで人間ドラマを扱う本木克英監督の手によって実写映画化。
信州に住む夫婦の元に届いた戦死した先祖の日記を皮切りに、連続して不可解なことが起こり始める中、専門家の力を借りて真相を探る姿を、謎と怪異を交差しながら予想だにしない展開へと誘うホラーミステリー。
「インディ・ジョーンズ」から「死霊館」に至るまで呪物を扱う映画は多々製作されてきたが、本作は過去や未来まで変わってしまうほど強力な呪物が登場。
戦時中日本に生きて帰りたいという思念が詰まった呪物が、本作をどこまで不気味に描いているか、ホラー好きなら注目すべき作品となっている。
そんな呪いによって翻弄される夫婦役に、「望み」「死刑にいたる病」の水上恒司と、元乃木坂46の中心メンバーで、「愚か者の身分」に出演の山下美月が務める。
さらに超常現象専門家役を、Snow Manのメンバーで主要キャストとしては初の出演となる宮舘良太が務めるなどフレッシュな面々でキャスティングされた。
世界最大級にして「生きた恐竜」ともいわれる飛べない鳥、ヒクイドリ。
得体のしれない鳥を喰うとはいったいどういう意味なのか。
田舎を舞台にした不気味なホラーをご堪能あれ。
あらすじ
信州で暮らす久喜雄司(水上恒司)と妻の夕里子(山下美月)はある日、一家代々の墓石から、太平洋戦争で戦死した先祖・久喜貞市(小野塚勇人)の名が削られていることを知る。
時を同じくして地元紙「信州タイムス」の記者・与沢一(森田望智)とカメラマン・玄田誠(カトウシンスケ)が、生前の貞市が戦地ニューギニア島で書いたという日記を携え久喜家を訪れる。
その日記に綴られていたのは、戦地での壮絶な日々と、なんとしてでも生きようとする貞市の異様なまでの執念だった。
その気にやられたのか、玄田が突如「久喜貞市は生きている」とつぶやき、さらに夕里子の弟・亮(豊田裕大)が日記に「ヒクイドリヲ クウ ビミナリ」と書き込む。
二人の常軌を逸した行動に戸惑う雄司たち。
そして、この日を境に玄田が正気を失い倒れ、雄司の父・保(吉澤健)が姿を消すなど彼らの周囲で不可解な事件が頻発するようになる。
事態の真相を探るべく、雄司らは夕里子の知人で超常現象専門家の北斗総一郎(宮舘涼太)の力を借りることに。
顔を合わせるや、雄司を値踏みし、「夕里子とそぐわない」と挑発する態度をとる北斗に戸惑う雄司。
北斗が言うには、玄田の「久喜貞市は生きている」という言葉がトリガーとなって、自分たちが今いる現実とは別の、久喜貞市が死ななかった新たな現実が生み出されてしまったのだという。
北斗の言葉を裏付けるかのように、貞市の生への執着が現実を侵食し、雄司らの現実は徐々に、しかし確実に変容していく—―。(HPより抜粋)
キャラクター紹介

- 久喜雄司(水上恒司)…大学で化学を教える助教で、地方都市で家族とともに実直な生活を送る普通の男性。貞市の日記を読んだことで起こり始める不可解な出来事に苦悩する。虫が苦手。
- 久喜夕里子(山下美月)…雄司の妻。雄司は高校時代天文学部の後輩だった。現在は大学の事務職員として働いている。何かを内に秘めている。
- 北斗総一郎(宮舘涼太)…夕里子の大学時代の先輩。雑貨の輸入販売をしている。大超常現象などに造詣が深く彼らが巻き込まれている不可解な現象の解明に乗り出すが、夕里子への異様な執着を見せる。雄司と夕里子や周囲の人々は、北斗の発する言葉に翻弄されていく。
- 与沢一香(森田望智)…地元版「信州タイムス」の記者。久喜家に戦死したはずの久喜貞市の日記を届ける。
- 瀧田亮(豊田裕大)…夕里子の弟。大学生。
- 久喜伸子(麻生祐未)…雄司の母。夫を交通事故で失っている。
- 久喜保(吉澤健)…雄司の祖父であり、怪奇現象を巻き起こす日記の持ち主・貞市の弟。
- 久喜貞市(小野塚勇人)…久喜保の兄。太平洋戦争で戦地ニューギニア島にて戦死している。
- 玄田誠(カトウシンスケ)…「信州タイムス」のカメラマン。「久喜貞市は生きている」と突然つぶやき、それが原因で後に倒れる。
(以上Wikipediaより抜粋)
なんだか虫とかバケモン鳥とかちょろっと出てきて、非常に不快になりそうなんですが…ホラーってそんなもんかw
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#火喰鳥を喰う 鑑賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) October 3, 2025
死んだはずの先祖が生きている?呪物によって現実が侵食されていく不可解だらけのサスペンスホラー。
皆が調和された芝居をする中、突如現れては異次元の芝居を見せる宮舘涼太!
それは歌舞伎の芝居だよw
異物感満載の彼によってさっぱりわからん後半でした! pic.twitter.com/lZ0PH2ZRGh
後半からさ~っぱりわからんw
以下、ネタバレします。
執着の強い者が勝つ。
墓に刻まれた先祖の名前が削られていることを発端に、ニューギニア島で戦死したとされる先祖の日記が届いたことから、じいさんが失踪、義弟の体調不良、日記を取り寄せたカメラマンの入院など、おかしなことが次々と起こり、終いには夢にうなされ、記憶が飛び、先祖が生きていることになっている…
超常現象専門家の出現によって、物語が二層も三層も複雑な展開になっていくことで、見た人全員が置いていかれる摩訶不思議なホラーサスペンスでした。
はっきり言って、これは面白いとかつまらないとかそういう話じゃない。
単純に、死んだ人の執着よりも生きている人の執着の方が数倍も怖いという体験を、主人公雄司を通じて、我々も追体験していくという、よ~く考えたら心理的にめっちゃ怖い話だったと思います。
正直、これはこうだったんじゃないかという解釈や考察は色々できるとは思います。
結局「執着の強い者が勝つ」と言い張り、ずっと好きだった夕里子をゲットするためにあの手この手を使ってやりくりしたものの、それが引き金となって本当に「貞市カムバック!」な状況を作り、二つの現実を作り出してしまった北斗の一人勝ちって話なのではと。
冒頭登場した小さい女の子は、終盤登場した佐伯日菜子演じるチヤコの幼き姿で、もうあそこからもう一つの現実が雄司らを侵食しようとしていたという兆候だったのではと。
そこから、カメラマン玄田を利用して近づいた北斗が、日記に「貞市は死んだ」と書かせてさらに彼らをおかしな世界に導いていったのではと。
正直さ、雄司と夕里子のイチャイチャぶりがやたら長くて、それそんなに見せなきゃいけない?とか思ってたら、それが終わった途端もう「夢、夢、夢」の連続になっていてついていけなくなる展開だったので、逆に「俺が守るよ」「たまには私がお弁当を」とかっていうあのイチャイチャぶりは必要だったんですよ。
あれナシでわけわからん展開になったらもっとひどいこと言ってたかもしれませんw
正直、北斗の仕業だろうとは踏んでいました。
それを夫婦の絆で打ち砕くみたいなスッキリするラストを予想していたんですが、まさか見終わった後「キモ!」と思ってしまう不快なサスペンスホラーになっていたとは予想外。
またホラー小説が原作とあって、冒頭から「田舎の村八分的なホラー」の予感がした火サスや土曜ワイド劇場を思わせるタイトルロールのフォント感や、飛べない鳥にも拘らず殺人級の爪を持つ火喰鳥が暴走しだすのではないか、あのルックで夢の中で襲ってくる描写あったらマジ怖そう、そして虫が嫌いな雄司に、大量のカブトムシが襲い掛かってくるのではなど、色々な怖い演出を期待していましたが、そういう怖さじゃねえのよこの映画は!と最後見終えて震えました。
原作未読のため何の解説もできないんですが、もしかしたら雄司は父親をと同乗した事故の時から亡くなっていたと仮定してもいいのかもしれません。
爺ちゃんが乗って失踪したあの古びた軽トラも、実は事故の時のモノだったとか?
いやさすがにそれは無理があるかと思いながらも、戦場に行ったり道をふらついていたり、北斗の儀式に遭遇したり、挙句の果てには自分を誰も知らない世界など、めくるめく夢のはしご体験をしていく後半は、雄司が「生きたい」と願うあまり様々な世界で迷子になっていた、なんて解釈もありだったり?
しかしなんでしょう、最後のあのキモさは…
結局、貞市が生きている世界で北斗は念願の夕里子と添い遂げ、雄司は星の研究をしたかったというもう一つの夢を叶えてひとり天文台に務めるという冒頭とは違う世界線へと突入。
ラストシーンでは駅でオシャレに着飾った夕里子とすれ違い、もしかしたらあったかもしれない(いやそっちが元々の世界なんだけどw)2人の夫婦生活が逆回転していく回想を見せた後、夕里子が涙を流してジエンド!という、もうわけわからん締めだったわけです。
モヤモヤとキモキモを抱えたまま今感想を書いてますが、はっきり言って考えはまとまってませんw
答えなんていらない、誰か俺と同じモヤモヤとキモキモを共有してくれたら幸いですw
異次元の芝居・宮館涼太
このモヤモヤとキモキモを抱かせた諸悪の根源は、何を隠そう舘様こと宮館涼太一択。
冒頭から皆が調和のとれた、正直誰一人巧いと思えないギリギリセーフな芝居を保ちながら進む序盤。
やたら日記に書かれた詳細を再現VTRでチンタラチンタラ見せていくために、いつになったら怖くなってくるんだろう、そんなイライラを募らせていくと、ようやく玄田の発言を皮切りに、義弟の落書き、祖父の失踪など不可解な事象が続いていく。
雄司も夕里子も悪夢にうなされていくので、いい加減これはヤバいと頼んだのが、大学時代の知り合い・北斗。
義弟と信州タイムスの与沢(翼じゃないよ)さんを呼んでの初対面は、さすがにキモかった。
久しぶりだね、僕の連絡先まだ登録してあったんだね
なんでこの人と結婚したの
馴れ初めは?どこに惹かれた?
おいおい、大学時代の知り合いの質問じゃねえ
あと根掘り葉掘り聞くな
そんな不快な第一印象と同時に沸き立つのは、舘様よ、それバラエティでのキャラのまんまじゃねえかと。
皆が調和のとれた芝居をしている中、ひとりだけ異次元の芝居で場を制圧していく舘様。
終始きりっとした眉と視線で演者やカメラを見つめながら、やたら見え切りの芝居を続ける舘様。
それは歌舞伎の芝居だろ、バラエティのキャラだろ、そんな雑念が幾度もよぎっていくうちに、この芝居が癖になっていくという不思議。
物語も彼が「思念」だとか「籠り」だとか聞き慣れないワードを説明調で話していくと、もう話しどころじゃない、舘様にもっと喋ってほしい、そしてそれを聴いてる雄司たちが眉をひそめてほしい、そんな妙な欲が生まれてくるではありませんか。
もちろんこの北斗という男、義弟が「気を付けろ」という通り、夕里子に未練タラタラのストーカー気質な青年であり、超常現象専門家の肩書なんてどこ吹く風。
口八丁手八丁で皆を丸め込んで、自分の思うがままに導く手腕はもはや詐欺師の手口!と東京ホテイソン・たけるのツッコミをしたくなるやり口なのであります。
舘様の異次元の芝居はどんどんエスカレート。
気がつけばふらふら道路を歩きながら悪夢にうなされている雄司を助けたり、ばれちゃしょうがねえとばかりに夕里子への未練を旦那の前で雄弁に語る開き直りっぷりで、我々観衆を翻弄させます。
男からしたら「こんな男にはなりたくない」、女だったら「こんな人に付きまとわれたくない」そんな誰もが嫌がる人間・北斗を一生懸命演じてるではありませんか、舘様よ。
一応スタートアップエンタテインメントが誇るトップアイドルSnowManのメンバーですよ。
ファンからキャーキャー言われる王子様ですよ、まさかあんた、プライベートでそんなストーカーじみたことしてるんじゃなかろうか、それくらいガチでキモい男を熱演してるわけですよ。
しかし途中でも言ったように、「執着の強い者が勝つ」の格言をきっちり貫く潔さは、時と場合によっては見習った方が良いのではとも思えてなりません。
有限実行だとか言霊は本当にあるとか、勝負事や夢を叶える際にはこうした前向きな言い方になりますけど、それって結局「夢を叶える」「いったことを実現させる」という「執着」から運や勝機を引き寄せる原因なのかもしれないと。
無駄に良い声で、無駄にきりっとした眉毛と視線でそれを体現する北斗、いや舘様の姿は、全部真似したくはないですが、見習う部分はある、かも知れないというお話でしたw
最後に
正直舘様の芝居は巧いとは思いませんが、こうした飛び道具というか場の空気を乱す、または変えてしまうほどの存在感だけは一級品だったと思います。
逆に水上くんも山下さんも、もっと個性を出した方が良いのではと思ってしまうほど薄い演技だったように思えてなりません。
きっとこの映画を見た誰もが誰様のインパクトを胸に抱えたまま帰路につくことでしょう。
結局そういう「印象」を残した人が勝ちなんですよw
当分彼の代表作として名を刻む作品だったんではないでしょうか。
でもレビューは酷評の気はしますけどw
個人的にはこういう「明確な答えを出さない」タイプの映画は好みではないので評価はそこまで高くないですが、色々な映画があるなぁというお勉強ができた作品でしたw
しかし貞市は本当に火喰鳥を食べたんでしょうか。
あの喉から垂れた皮の部分が美味いのかなぁ・・・。
多分ですけど、人を食った可能性もあるなぁって思ってますw
ヒクイドリ、ヒトクイ…なんちって。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10

