ホット・サマー・ナイツ
どうも、ひと夏のドキドキする危険な経験なんてこれっぽっちもなく、いつもの仲間とつるんでウィニングイレブンばかりしていたモンキーです…
そんな夏も良いよね…。
「忘れられない夏がくる」、というキャッチコピーの今作。
超胸くそ悪い映画「サマーオブ84」なんてのがつい先日公開されましたけど、あれもある意味忘れられない夏だよなぁ、そして僕はどちらかというと今作よりもそっちの登場人物の方が近いよなぁ、そんなことをこのポスターを見ながらボヤいてみました、はい。
え~「君の名前で僕を呼んで」以降、映画女子たちのハートをつかんで離さないティモシー・シャラメくんが主演の映画でございます。
今回もあどけない少年性と艶めかしい色気で、まばゆい光を目いっぱい放ってくれるんでしょう。
あ~俺もあんな顔になりたかったよ!けっ!
そして見終えた後、あ~俺もあんなドキドキする夏を送りたかったよ!けっ!とボヤくんでしょう。
そんな映画じゃないのか?
果たして僕の予想を超える作品となっているのか、早速鑑賞してまいりました!!!
作品情報
良質なインディペンデント映画を輩出するスタジオ「A24」が送る、一人の少年の人生を大きく変えたひと夏の経験を描いた、甘く、危うい、青春映画。
「君の名前で僕を呼んで」の主演俳優が、この夏をホットにさせていく。
地元の大学に在学中に出会った二人の若者にインスパイアされ書いた脚本が高く評価された監督が、映画製作経験がないにもかかわらず異例の抜擢。
一瞬のきらめきのように放たれた様々な経験から、物語は劇的な結末へと加速していく。
この夏話題沸騰の今作を是非。
あらすじ
1991年は、激動の年だった。
湾岸戦争が始まり、フレディ・マーキュリーはエイズで逝った。これは、アメリカ東海岸に位置する美しい海辺の町に記録的な猛暑が訪れた夏、この町の“伝説“となったダニエル・ミドルトン(ティモシー・シャラメ)の物語だ。
6月。夏のケープコッドには、大きく分けて二種類の人々がいる。“サマー・バード”と呼ばれる都会からバカンスを過ごすために来た金持ちの観光客と貧乏な地元民だ。
だが、ダニエルは、そのどちらでもなかった。この町で育ったわけでもなく、富裕層の子息でもない。彼のような立場は、肩身が狭く、居場所がない。
高校を卒業したばかりのダニエルは、少し前に仲の良かった父親を亡くしたばかりだった。喪失感から抜け出せないまま、部屋に籠りっきりの息子を見かねた母親が、ケープコッドに住む叔母のところに大学が始まる9月までの3ヶ月間、気分転換を兼ねて送り込んだのだ。
ダニエルは、ある日、ハンター・ストロベリー(アレックス・ロー)と出会う。地元では有名なワルで危険な男だ。高校は退学させられ、大麻のディーラーとして稼いでいた。キレやすい性格で人を殺したという噂もあった。
けれど、孤独なダニエルと一匹狼のハンターはなぜか意気投合した。
ふたりで時間を過ごすうちに、ダニエルはハンターにたのみ込み、一緒に大麻を売りさばき始める。機転の利くダニエルが加わったことでビジネスは上手く回り始めた。勢いづいたダニエルは町の外にまでそのテリトリーを拡大させていくが、そんな彼にハンターは危険を感じ始めていた。
ダニエルは、ある日偶然、町一番の美人のマッケイラ(マイカ・モンロー)と出会い、恋に落ちる。しかし、マッケイラの兄が、じつはハンターだったのだー大切な妹に手を出すな、と告げられてしまう。それでも彼女への気持ちを抑えきれないダニエルは、ハンターには内緒で付き合い始める。初めての恋は、父を失った哀しみを癒し、ダニエルは徐々に自分を取り戻していくのだがーーー。
8月。ケープコッドに最大級のハリケーンが迫る日、ダニエルの人生は決定的に変わろうとしていた……。(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、これがデビュー作となるイライジャ・バイナム。
作品情報でも書きましたが、大学在学中に執筆した脚本がブラックリスト入りし、見事監督に抜擢されたとのこと。
自身が思い描いた主人公のキャスティングに関しては、インターステラーに出演していた時のティモシーくんを見て一目で気に入ったそうで、実際にあった際、若者特有の傲慢さや誠実な面、真摯な部分などを兼ね備えた表情が決め手だったとのこと。
映像制作未経験という不安もありますが、自身の脚本をどれだけ映像に反映させることができたのか注目ですね。
キャスト
主演のダニエルを演じるのは、ティモシー・シャラメ。
はい、「君の名前で僕を呼んで」や「レディ・バード」で世界的に注目を浴び、今年は「ビューティフルボーイ」で、アルコール依存症に悩まされる青年を完璧に演じました。
今回も心に喪失を抱える少年が徐々に恋や危険な行為に足を踏み入れていくという、ふり幅の大きい役柄を演じており、彼の卓越した演技センスに期待です。
彼に関してはこちらをどうぞ。
今後は、巨匠ウッディ・アレン監督の最新作「Rainy Day in New York(原題)」が大気中。
NYの日帰り旅行を楽しむカップルに様々な誘惑が襲い、絆の危機を迎えてしまうというもの。
早く日本で公開してほしいですね。
他のキャストはこんな感じ。
ダニエルと恋に落ちる女性・マッケイラ役に、「イット・フォローズ」、「インデペンデンス・デイ/リサージェンス」のマイカ・モンロー。
フランク・カルフーン役に、「ザ・プレデター」のトーマス・ジェーン。
マッケイラの兄・ハンター役に、「フィフス・ウェイヴ」のアレックス・ロー。
エイミー・カルフーン役に、ディズニーチャンネルオリジナル映画「ティーン・ビーチ・ムービー」のマイア・ミッチェル。
シェップ役に、「アルマゲドン」、「ホース・ソルジャー」のウィリアム・フィクナーなどが出演します。
果たしてどこまで甘く、どこまで危険な夏をダニエルは送るのか。
そして俺はこの映画のダニエルに共感できるのか…
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
ホット過ぎてヒリヒリしたぜ!!
あの夏の日焼け跡が今でも痛むような、10代の若気の至りをポップにクールに描いた青春映画でした!!
以下、核心に触れずネタバレします。
青春映画の捉え方の違い。
親父を亡くしたことで瞑想と称し傷心状態のダニエルが、祖母が住んでるバカンスの地で町一番のワルと仲良くなることで、手を出してはいけない女に大麻にドラッグにと欲望の尽くす限りをバカンス以上にやらかしてしまう、とってもイタ哀しい物語を、謎の語り部の進行の下、80年代の名残が残る90年代初めのポップカルチャーや流行をしっかりと取り入れ、テンポよく編集された序盤と打って変わってジメッとヌメっといやらしくダニエルとマッケイラを映し、ハリケーンの襲来がが近づくと同時に雲行きが怪しくなっていく危なっかしさと悲哀のこもった顛末を惜しみなく描いた、ヒリヒリが止まらない作品でございました。
はっきり言ってこのダニエルをティモシーくんが演じてなかったら、
なんだこの主人公は!!
どうしようもねえ奴じゃねえか!
で片づけてしまうわけでしたが、彼がやってくれたおかげで、行き過ぎた行動もそれによるしっぺ返しも、ざまぁみろ!とはならず、君の心の開いた穴はこの夏の出来事だけじゃ埋まらなかったね…
てかおい、そのびしょ濡れの服着替えたらどうだ、俺の貸してやるよ、冷えたろう?コーヒーでも飲むか?あぁ、まだ子供だったな、じゃあお茶にしよう、いったい何があったんだい?そうか、俺も昔やんちゃしたときがあってね…などと彼を擁護したい匿ってあげたい、そんな近所のお兄ちゃん目線で堪能させていただきました。
感想の本題に入る前に、先日職場の映画好きの同僚と青春映画、というか酸っぱい映画(ぱいすー映画と言ってゲラってます)についてあれこれ語っていたんですが、日本の映画って青春時代を美化するようなお話が多い傾向なんですけど、海外はどちらかというと青春時代を美化するのでなく、もっとつらく痛い経験として描くことが多いそう。
確かに冒頭でも触れた「サマーオブ84」や、「ウォールフラワー」「あの頃ペニーレインと」、「ブレックファスト・クラブ」、もっと言えばサムライミ版「スパイダーマン」もその要素があるんじゃないかと。
あくまでモンキー的ではありますが、比較的に海外の青春映画は経験値を積むものの、もう取り戻せないものといった後ろ向きなものとしてて描いている傾向があるように思えます。
今作もその部類に入る内容で、地元住民でもなく夏鳥(劇中では観光客の事をそう言ってます)、どちらでもない居場所のない存在が、存在感を示すために町一番のワルであるハンターと仲良くなり、その先にどんな危険なことが待っているかも考えず未熟な考えから、大麻をガンガン売りさばく。
思いのほか簡単にできてしまう仕事内容と、その報酬に目がくらみ快感を覚えていき、悪いことをしているという自覚など忘れ、どんどんそっちの道へ加速度を増していく。
その一方で町一番の美女とされるマッケイラと接触し、一気に彼女の持つ魅力と危なっかしいほどの色気にノックアウトされていく。しかもマッケイラはハンターの妹で近づいたら殺すとまで言われているいわくつきの女。
猫背でガリガリのでひょろひょろなダニエルが、町にやってきて変な奴と付き合うだけで、気持ちだけデカくなっていく様は、正にティーンエイジャーそのもの。
そのデカい気持ちはヤバイと思っていても歯止めがきかず、マッケイラと真夏の密会を繰り返していく。
時に恋愛は勢いとハッタリが大事で、明らかに釣り合わないダニエルとマッケイラですが、ダニエルの見た目とは裏腹な大胆な行動が、百戦錬磨のように見えるビッチガール、マッケイラのハートに火をつけてしまうんですね。
もう大麻ガンガン売れてハンターにバレない程度に密会続けたら調子こくに決まってるじゃないですか。
彼にとっては今まで得たことのない経験が劇薬だったんですよね。そして失敗がそこまでなかった。
また彼を正気に戻す相手がいなかったのも事実。
終盤では悪行にさらに拍車をかけるダニエルに、ハンターがもう知らねえぞ、と制止をしますが、ここは彼ではなく別の誰か、おばあちゃん辺りに喝を入れてくれたら、あんなことにはならなかったのになぁと。
ティモシーくんはずば抜けている。
マッケイラのロリポップさと色気ムンムンなバディは最高だし、ハンターの外身イケメンで腕っぷしがいいけど、繊細さもあるのがこれまた最高なんだけど、なんだかんだでティモシーくんが全部持っていってましたねw
最初こそ目が死んでいてガリッガリの上半身裸で猫背の姿で、町の中でも全然溶け込めないし、パーティーに誰を伝って参加したかわからないけど、おどおどした感じとか部外者感が漂っていて、正に童貞な感じががっつり出ていたんだけど、ハンターと付き合い出してからの妙な自信と、悪いことしてるからでしょうか、それとも心の穴を悪事で満たしたからでしょうか、目の輝きが全然違う。
そのいきいきとした表情からマッケイラへ体ごとぶつかっていくまでの所作も、モジモジしながらもなんとかジョークの一つでもして笑わせようと努める姿も、彼女と恋仲になって大事なことを隠してるくせに罪悪感すらなく素直な笑顔をするのも、どれもティモシー無双でございました。
初日の金曜夜7時の回に行ってきたんですけど、結構お一人様の女性、しかもあまり映画館に来なそうな、10代の頃100%スクールカーストが上の階級の、キレイな装いの方ばかりが来客しておりまして、きっとティモシーくん目当てなんだろうなぁと。
いやこんだけ無邪気でかわいくて甘いルックスと表情しときながらクールな表情を時折見せるんだから、そりゃあ姉さま方に気に入られるわなぁ。
羨ましいぜティモティモ!!
最後に
ケチャップべっちょりのフライドポテトやシュワシュワしたコーラなどのシズル感だったり、ストローを加える仕草やキャンディ間接キス、夜の遊園地や真っ赤な照明のゲームセンター、閉店したパブで蛇口からビール飲んじゃうとことか、ディーラーをボコボコにする怖さ、そしてコカインを買いに行く際のヤバさ、どこをとっても汗ばむ蒸し暑さとヒリヒリする描写があり、タイトルの通り熱帯夜という言葉がしっくりくる映画でした。
楽曲について、なかなか知らない曲ばかりだったんですが、そもそもこれ90年代の曲オンリーじゃないですよね。だってゾンビーズとかデヴィッドボウイとか90年代の曲じゃないでしょあれ。
ターミネーター2とかストリートファイター2とかはもろに92~3年のやつなんでぴったりでしたけども。
とにかくティモシーくんを浴びたい人、そして10代で大きな失敗を犯した人、また暑くて眠れない夜を過ごしている人は、この際これを観てさらに眠れない夜を過ごしてほしいと思います。
あ~ヒリヒリしたぁ。
というわけで以上!あざっした!!
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