マスカレード・ナイト
前作「マスカレード・ホテル」から2年。
推理や推測でなく、単純に「特別出演」だからという理由で犯人が分かってしまう、非常に残念なミステリーの続編です。
正反対な性格のバディで事件を解決に導くスタンスは楽しめた者の、狭いロビーの一流ホテル、優秀なのにお客様の前でベラベラしゃべるホテルマン、わけわかんない3つの殺人事件、へたくそなミスリード、ずさんなストーカー対策などなど、人を見抜く天才ならミスリードに騙されるなよ!と突っ込んでしまうほどちぐはぐな映画でした。
今回の続編「マスカレード・ナイト」も、数多のキャラが登場することで事件を混迷させる手順なんでしょう。
そして前作のラストでいい感じだった主役の二人は、また元のデコボココンビに戻るんでしょう。
ここまで不満たらたらですが、今回の続編は「仮面パーティー500人の中から犯人を捜す」ことから、比較的単純なプロットに見えるので、前作のようにごちゃごちゃはしない気がします。
とはいうものの、犯人捜しの一環でいろんな宿泊客を疑っては誤っての連続の予感。
さらに東野圭吾原作ですから、妙にハートフルなサイドストーリーとか出てくるんでしょう。(結局愚痴w)
まぁ前作観たので続編も見る程度です。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
数々のベストセラー小説を世に送り出してきた東野圭吾の「マスカレード」シリーズの3作目を、前作と同じ主演で続編として映画化。
大晦日に行われるカウントダウンパーティーに現れる殺人犯を捕えるため、潜入捜査官が再びあのホテルマンとバディを組み、難事件に挑む。
多くの登場人物の中から「犯人」を特定するまで、いくつものドラマとエピソードをつなげていくことで、真逆の性格の二人が絆を深めた前作。
本作も同様、多くの宿泊客の中にまぎれた犯人を特定するため、「仮面(素顔)」をはがす男と、「仮面(秘密)」を守る女が奔走していく。
パーティー参加者500人、全員仮装、全員容疑者。
全く手掛かりのない二人は、殺人犯の仮面をはぎ取り、「死」のカウントダウンを止めることができるのか。
あらすじ
ある日、警察に届いた匿名の密告状。
それは、都内マンションの一室で起きた不可解な殺人事件の犯人が、12月31日にホテル・コルテシア東京で開催されるカウントダウン・パーティー、通称「マスカレード・ナイト」に現れる、というものだった。
大晦日当日、捜査本部に呼びだされた警視庁捜査一課の破天荒な刑事・新田浩介(木村拓哉)は、かつての事件同様、潜入捜査のためホテルのフロントクラークとして働くハメに。
優秀だがいささか真面目過ぎるホテルマン・山岸尚美(長澤まさみ)と事件解決にあたるが、パーティへの参加者は約500名、全員仮装し、その素顔を仮面で隠している。
次から次へと正体不明の怪しい人間がホテルを訪れる状況に、二人はわずかな手掛かりすらつかめずにいた。
刻一刻と迫りくるタイムリミット。増え続ける容疑者。
犯人の狙いは?密告者とは?
残されたわずかな時間で、新田と山岸は顔も姿もわからない殺人犯の「仮面」に隠された「真実」いたどり着くことができるのか?(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、前作に引き続き鈴木雅之。
「ショムニ」や「HERO」、「古畑任三郎」など、フジテレビのヒット作を数多く生み出したお方。
彼の特徴は何といっても演者の「カメラ目線演技」。
「半沢直樹」などでもよく見かけた「カメラ正面に向かってしゃべる」演出は、監督が最初なんじゃないでしょうか。
あれをドラマだと受け入れられるんですけど、映画だとどうもなぁと僕は思ってます。
まぁTVドラマの延長のような映画なので、気にしませんけどねw
今回は前回とは違いコロナ禍ということもあり、エキストラ500人を入れての「密」な撮影には、きっと細心の注意を払って臨んだことでしょう。
露骨な距離で演技すれば、「あ、コロナだからか」と観る側が察してしますからね。
その辺も意識してみると面白いのかも。
登場人物紹介
- 新田浩介(木村拓哉)・・・捜査一課刑事。破天荒だが、人を見抜く天才。
- 山岸尚美(長澤まさみ)・・・ホテル・コルテシア東京のコンシェルジュ。優秀だが、いささか真面目過ぎ?
- 能勢(小日向文世)・・・捜査一課刑事
- 本宮(梶原善)・・・捜査一課刑事
- 関根(泉澤祐希)・・・捜査一課刑事
- 久我(東根作寿英)・・・ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク
- 川本(石川恋)・・・ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク
- 奥田真由美(中村アン)・・・ダンスインストラクター
- 秋山久美子(田中みな実)・・・宿泊客
- 氏原祐作(石黒賢)・・・ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク
- 日下部篤哉(沢村一樹)・・・宿泊客
- 曽野昌明(勝村政信)・・・宿泊客
- 曽野万智子(木村佳乃)・・・宿泊客
- 狩野妙子(凰稀かなめ)・・・宿泊客
- 仲根緑(麻生久美子)・・・宿泊客
- 貝塚由里(高岡早紀)・・・宿泊客
- 浦部幹夫(博多華丸)・・・宿泊客
- 田倉(鶴見慎吾)・・・ホテル・コルテシア東京の宿泊部・部長
- 尾崎(篠井英介)・・・捜査一課管理官
- 藤木(石橋凌)・・・ホテル・コルテシア東京の総支配人
- 稲垣(渡部篤郎)・・・捜査一課係長
以上、 HPより
果たして犯人は一体誰なんでしょうか!?
それ以外楽しめるところが見当たりませんw
多分犯人は木村佳乃ですw(あの映画とカブッちゃだめw)
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#マスカレードナイト 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年9月17日
宿泊人のエピソードが同時進行していくので、犯人わかんなかったなぁ。
てか、なぜあんな時に踊るww pic.twitter.com/sbwXg0wIWM
前作より犯人が読めない!
相容れない立場のバディは今回も楽しい。
そして犯人の動機が切ない・・・。
以下、ネタバレします。
前作以上に厄介な事件
都内で起きた殺害事件の犯人を知るという「密告者」の情報により、捜査一課の面々が再び「ホテルコルテシア東京」で潜入捜査をしていく本作は、人を疑い「仮面」を剥がす刑事と、人を信じ「仮面」を守るホテルマンとが、互いの主張を受け入れながらプロフェッショナルな仕事を行う姿、無数の宿泊人のエピソードの不可解な点がいくつも交錯していくことで真相の見えないあらすじ、犯人の動機に思わず感情移入してしまう結末など、前作よりも遥かにミステリー要素が色濃かった物語でございました。
前作ではポスターに映った写真と違う形で演者が登場したために、どう考えてもあの人が犯人だろw、と疑いを抱いたまま作品を鑑賞してしまったことが原因で、ミステリーとして残念極まりなかったんですよね。
その反省を活かしたのか、はたまた原作通りだったからなのかはわかりませんが、今回の犯人は鑑賞中全然特定することができず、最後まで全く読めなかった点については楽しく鑑賞できたと思います。
そもそも今回の事件、難易度が上がってるんですよね。
ホテルを訪れる客(いやお客様ですねw)は、皆素性を知られたくない=仮面をつけているのが普通。
ラブアフェア(不倫の隠語だそう)で訪れる人もいれば、都会の喧騒を忘れ誰の顔も見たくない人も訪れる。
だから常に人を疑って犯人を探し出す警察にとって「ホテルでの潜入捜査」は非常にやり辛いというのが、主人公・新田を始め痛感したのが前作。
本作はさらに「マスカレードナイト」なる仮面舞踏会式カウントダウンパーティーということで、普段の格好ではなく皆仮装して現れるわけです。
見た目や仕草、言動から疑念を抱く刑事にとって、得意の観察眼はおろか、勘で目星を付けるのも不可能なわけです。
ホテルのしきたりによって仮面を剥がすことだけでも難しいのに、容姿まで仮面を付けられたら、幾ら国家警察でも歯が立たない。
そして主人公・新田のパートナーは前作より立場がコンシェルジュへと変わり、さらにお客様のプライバシーを「守る」ことこそホテルマンの務めと考える、真面目すぎる女・山岸。
前作で身に付けたフロントクラークとしての心構えで、手慣れた手つきでお客様に接する新田でしたが、厄介な事件以上に厄介な相手とバディを組むことになるのであります。
また前作以上に宿泊客も厄介なひとたちばかり。
不倫相手との密会場所として使っていたホテルに、家族とマスカレードナイトに参加することになった者もいれば、恋人と誕生日を祝うために訪れたにもかかわらず、偽名で宿泊するだけでなく一向に相手も現れない女性や、コンシェルジュである山岸に無理難題を押し付ける男、なぜかキャディバッグを肌身離さず抱える中年などなど、一癖もふた癖もある怪しい宿泊客。
さらには、ホテルコルテシア・ロサンゼルスへの研修権をかけて、山岸に対抗意識を持つベテランのフロントクラークによって、「ホテルのルールを守り、普段通りのサービスを行う」ことを押し付けられることで、警察一同も宿泊客に対して踏み込んだ捜査の出来ない事態。
これだけの不安材料を抱えながら、新田らはどうやって犯人を特定するのか。
そして事件を密告した者は一体誰なのか。
二転三転していく展開に、きっと観た人は誰が犯人なのか決して特定できない作品だったと思います。
譲れない二人がきづいたこと
外見も中身も仮面だらけの今回の事件。
ホテルマンらしい振る舞いを見せながら事件の真相を追う新田は、やはり山岸の協力なしでは解決できない。
山岸も山岸で、事件の協力はしたいが、お客様のプライバシーまで侵すなど許せるわけがない。
前作でも互いの主張が平行線であるが故に、なかなか真相にたどり着けなかったわけですが、新田の山岸に対する思いが本作ではじんわりと伝わっていたのが印象的です。
再びホテルコルテシアを訪れた新田は、山岸に対し「こういうカタチで再会したくなかったですね」とこぼすんですが、山岸も同様の思いでした。
ぶっちゃけ前作でも犯人に狙われたのは実は山岸だったわけですし、またそういう危険が彼女に身に起きるかもしれない。
そんなこと絶対にさせないと密かに誓う新田は、やはり山岸のホテルマンとしての振る舞いが気がかりになっていきます。
何の危険も察知せず普通にお客様に接する山岸。
あの宿泊客は危険だと注意しておきながらおもてなしを心掛ける彼女が、心配でしょうがない素振り新田からが見て取れます。
実際、無理難題を押し付ける日下部をマークし始めた新田は、彼の用件を山岸に問い詰めるも聞く耳を持ってくれない。
彼が偽名を使ってると情報提供しても教えてくれない。
他の女性客も日下部同様偽名を使って宿泊してるのに、単独で行動してしまう。
彼女に危険が差し迫っていると判断すれば猛ダッシュで駆けつける新田の思いの奥には、事件以上の何かが潜んでるように思えて仕方ありません。
しかし前作で新田が感じたのは、全てのお客様に対しホテルマンとしてのおもてなしを追求する彼女のプロフェッショナルな姿勢。
だから自分にできることは、彼女の仕事をリスペクトしつつ、彼女も守る。
そんなように見えました。
だからでしょうか。
警察が踏み込んだ捜査をホテル側に隠れて行ったエピソードから、警察とホテル側が少々対立的な構図になってきて以降、2人の間にはどうしても相容れない部分が浮き彫りになっていくんですが、ある女性客へのサービス提供をきっかけに距離が縮まっていきます。
そしてたどり着いた答えは「守る」こと。
ホテルのルールを破ってでも宿泊客の仮面を暴こうと躍起になっている新田に、領域を荒らされることへの怒りをあらわにする山岸でしたが、能勢から言われた「新田さんは、人を守りたいという目的のためにはルールを破ってでも事件を追う」、「結果、あなたを守りたいんじゃないですか」という言葉、さらに新田から言われた「あなたを守りたいんです」という言葉に胸を撃たれ、心ここに在らずな状態でずっと考え事をしてくんですね。
お客様の仮面を剥がさないこと。
それは深く掘っていけば「お客様を守ること」に繋がるのではないか。
犯罪者も実際はお客様である以上、容易に仮面を剥がすことはできないことを徹してきた彼女にとって、もし犯罪者が宿泊客に手を加えるようなことがあれば、自分がしてきたサービスの提供も変わってくるのではないか。
お客様が安心して非日常を味わってもらうのが、そもそもの務めではないのか。
一瞬新田からの告白じみた言葉ですが、山岸は彼の言葉によって、自分が今何を成すべきなのか気づき、新田に全面的に協力していくのです。
ただ山岸のウィークポイントは、何にでも感情的なところ。
真面目が売りの彼女ですから、どうしても事件に思いっきり絡んでしまうわけで。
ここで新田がどうやって山岸を助けるのかが本作で一番盛り上がるシーンだったのではないでしょうか。
でも不自然だよね
前作以上に楽しく鑑賞できたわけですが、やっぱりツッコミどころを多く感じたので、ダラダラ書いていこうかと。
まず冒頭。
ホテルコルテシアでの日常と、練馬区で起きた妊婦殺害事件の捜査会議と並行として、新田が中村アン演じるダンスインストラクターの女性と社交ダンスを踊るシーンが挿入されます。
確か監督と木村拓哉がタッグした「HERO」でも、小日向さんと大塚寧々が社交ダンス大会に出場し、城西支部の人たちと応援に駆け付けるシーンがオープニングでもありました。
どうやら社交ダンスがお好きなようですね、監督はw
まぁこの「ダンスの踊れる新田」ってのが、終盤で活かされてくるんですね。
年が明けるまであと10分。
犯人の目星がつかないままマスカレードナイトの会場で犯人を捜す新田は、ある人に目をつけます。
アルゼンチンタンゴは男性同士でも踊ることができるダンスだそうで、その人をダンスに誘って急に踊り出します。
新田が睨んだ人物は結果的に犯人だったんですが、残り10分で誰かが殺されてしまうかもしれない状態という時に、何故呑気に犯人とダンスを踊ってしまうのか。
ちなみにこの時、マスカレードナイトに参加したことが明らかになった密告者と、それらしき人物を追っていた山岸が行方不明となっており、もしかしたら事件に巻き込まれたかもしれないという非常に危機的状況だったんですよね。
いや何故踊る!w
冒頭で「ダンスが踊れる新田」なんてカットして、ここで仮面をつけた犯人に「○○さん、あなたが犯人ですね」って暴けばいいじゃねえかw
確かに「マスカレードナイト」を象徴するためにはダンスは必要不可欠だったかもしれませんが、誰もこんな時にダンスするの?と疑問に思わなかったのでしょうか。
他にも、ホテルのロビーや廊下、チャペルなどの場所で、結構堂々と事件のことを会話する一同。
お客様に悟られないように潜入捜査するのが最優先なのに、お客様に悟られないように事件に協力しサービスを提供するのがホテルマンの務めなのに。
何故そんなべらべらしゃべるんだw
特に廊下やロビーは色んなお客様が行き交ういわば交差点のようなもの。
そんな場所でベラベラしゃべって犯人に気づかれたら潜入捜査の意味がないじゃないかw
実際犯人は、警察が潜入捜査してるのを気付いてました。
ベテランのフロントクラークである氏原が、ホテルマンとしてのたしなみを解っていない新田に注意する姿から、新田は刑事だとバレてたんですよね。
この時点で警察ダメだろw
あとは犯人が明かされた時ね。
さすがに突拍子もなく湧いてきた人物のように思えて仕方ない。
登場人物が事件に複数絡んできた辺りは面白く思えたんですけど、犯人がまさかトランスジェンダーだったなんてのは、幾らなんでも唐突過ぎだし、劇中そんな素振りもない。
セクシャルマイノリティを扱うことや、近しい人物を警察によって辱められたことに対する復讐であることは、動機として心を動かすのだけど、せめて劇中でもっとうまく扱うことはできなかったのか。
犯人がセクシャリティを隠していたことがいわゆる仮面としあてはめられるし、その仮面を剥がすことが中々できなかった新田に勝利したと主張する犯人の気持ちも巧かったように思えるけど、できるのであれば「あの時もしかしたら」といったヒントを、新田が見つけていれば「なるほどね~」ってなったんですよね。
そもそも人を見抜く天才なのだから、犯人の部屋を訪れた時に気づけよと。
最後に
経験していたこともあって、すぐホテルマンになりきった新田を最初に見せたり、色んな宿泊客のエピソードを同時進行で見せていきながら、なかなか犯人を特定できないジレンマを見せる演出や構成は前作より良かったと思います。
最後まで誰が犯人だか見せないのは、最後まで釘付けになりますもんね。
エンディングも前作と被せての終わり方。
前作では食事に招待された新田が、山岸を見つけるや否やホテル全体が仮面舞踏会のように見せてしまうという演出でしたが、今回はロサンゼルスに旅立つ山岸を見送りに来た新田を見るや否やホテルが仮面舞踏会に見えてしまうという演出。
これはやはり新田への気持ちに変化が生じた山岸ってことですよね。
次回作はあるんでしょうか。
まだ原作最新刊出てないでしょうから、そこからでしょうね。
とにかく前作より事件の概要はややこしくなかったし、犯人が誰かもなかなか読めないようになっていたのは評価したいですね。
あ、そういえば明石家さんまは今回も特別出演されてました。
すごく簡単に見つかるので見逃さないようにw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★6/10