ドント・ブリーズ2
前作「ドント・ブリーズ」公開当時、ホラーやスリラーに耐性がなく敬遠しがちだった僕は、もちろんガン無視。
しかし、ホラーファン以外でも「これは怖い!面白い!」という評判を耳にし、ミーハー魂の塊である僕は「しまった…怖いの嫌でも見に行っておくべきだった…」とつぶやいたのは言うまでもありません。
そしていよいよ続編。
「ナメてた相手が殺人マシーンだった系映画」に新たな1ページを刻んだアイツが帰ってきます。
盲目のじいさんによる暗闇無双を拝めるのでしょうか。
しかしだ、予告編を見るとどうも変なんだ…。
スポイトであんなことしようとしたジジイが、なぜ少女と一緒に…。
というわけでいざ、感想です。
作品情報
北米で堂々の2週連続1位を記録した「ドント・ブリーズ」。
日本でも口コミで評判が広がり、拡大上映されるほどの人気を得た作品が、「全く異なる続編」として帰ってきた。
前作から8年後の郊外を舞台に、盲目の老人と暮らす少女の身に危険が生じたことで、再び老人が相手に牙を向けていく。
観客の予想を大きく裏切った前作。
本作も前作での老人とは不可解な点が多く、全く予想困難な続編になっており、製作に携わったサム・ライミも「今まで聞いた中で、最高の続編のアイディア」と絶賛。
前作以上の戦慄を呼び起こし、暗闇で観る者の息を止める老人に、あなたは耐えられるだろうか。
あらすじ
人気のない郊外の古びた屋敷に住む、ある盲目の老人。
彼はその屋敷で一人の少女を大切に育て、二人だけで静かに暮らしていた--
その男こそ、8年前、強盗に押し入られた被害者として生きているが、実は強盗団を惨殺した過去をもつ、あの盲目の老人だった・・・。
ある日、謎の武装集団が老人の屋敷に静かに忍び込む。
その目的は少女--。
暗闇の中、全てを知り尽くした屋敷内で全員の抹殺を試みるも、訓練されていた集団は老人を襲い、火を放つ。
命からがら炎の中から逃げ出したが、そこに少女の姿はない。目覚める狂気の怒り。
老人は己の手で大切に育てた少女を取り戻すため、武装集団の後を追う・・・。
その集団はなぜ少女を狙うのか、少女はいったい何者なのか、老人はなぜ少女に固執するのか。
全ての真実を知ったとき、前作を超える衝撃に息が止まる--。(HPより抜粋)
製作・脚本
前作で監督を務めたフェデ・アルバレスは、本作では製作と脚本を担当。
本作の監督は全作で脚本を担当したロド・サヤゲスが担当しています。
アルバレス監督は、「ドラゴン・タトゥーの女」の続編である「蜘蛛の巣を払う女」で監督をされたのか、今回は監督されてない様子。
今回なぜ前作でヴィラン的役割だった老人を主人公にしたのか。
監督曰く、彼が前作でした罪を償っていない立場であるものの、フェニックスという少女を育て、守る役目をしている。それが果たして正しいのかどうか、正義は下されるのかをテーマに描いたとのこと。
また、彼が盲目であること、視覚のことではなく、本来の自分が何者であるかに対して、折り合いをつけることができるのかにも焦点を当てているとのこと。
他にも老人は「アンチヒーロー」ではなく「アンチヴィラン」であることにも言及。
そっとしておいてほしいのに邪悪なことをせざるを得ない人間にみせたかったそう。
やはり本作も武装集団に狙われ、少女を守るために「仕方なく」自分を正当化するために戦うってことなんでしょうか。
とりあえず、ぶっちぎりで強いじいちゃんを見たいですw
キャスト
盲目の老人、ノーマン・ノードストロームを演じるのは、前作から続投のスティーブン・ラング。
本作で当たり役を手に入れたラング。
彼の過去作を全然観てないんですけど、ここ10年でいえば「アバター」でのクオリッチ大佐でしょうか。
面倒見のいい上司ではありましたが、「先住民は敵!」みたいなゴリゴリの差別主義者で、生粋の軍人を見事に演じられていました。
もちろん「アバター」の続編「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」でも暴れまわっております。
え?あのキャラ死んだんじゃって?実は生きてたんですよ!!
劇場でドントブリーズを見るのは初めてですので、ビビらないように楽しみたいですが…
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
映画『ドント・ブリーズ2』観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2021年8月13日
いやいやいやいやそうじゃねえべ。
ドントブリーズの続編ですかこれ?
結末でそれ言っといて過程ごっそりねえじゃねえか。#ドントブリーズ2 pic.twitter.com/a2wY4nxMwq
続編としてどうなのよこれ?
全部つまらないわけじゃないけど、「2」なんだからさぁ。
ターミネーターみたいなことされても、ジジイはサイボーグじゃねえぞ?
以下、ネタバレします。
ジジイの新たな生活。
過保護すぎるジジイと少女の共同生活に忍び寄る武装集団の魔の手に、今度はどう戦うのかを描く物語は、「やはりこいつは変態だ!」「ジジイも武装集団にもどっちも肩入れできない」と観衆をゾクゾクさせてくれる要素が多々あったはずが、「ドントブリーズ」でなくてはならない設定を思いっきり無視したあげくに、贖罪をし始めるジジイの気持ちに腹が立ってしまった続編でございました。
劇場で前作を見逃した後悔から、今回ばかりは劇場でゾクゾクさせてもらおうと意気込んだ本作。
あれから8年経って戦力は衰えてやしないだろうかと心配しましたが、さすがジジイ。
相変わらず聴力と画期的なアイディアを駆使して、前作のコソ泥よりもパワーアップした訪問者たちに苦戦しながらも、ガンガンやっつけていくではありませんか。
瞬間接着剤で口と鼻を封じて生き地獄を与えたり、こっちは素手、相手は拳銃という不利な状況+封鎖された空間でどうやって戦うのかを、LPガスを使って対等に持っていき、防戦一方だった対決を機転を利かせて大逆転勝利をおさめる序盤での戦い。
しかし!
敵の親玉がジジイと少女にまつわる大きな嘘を明かした途端、少女の気持ちは揺らぎ始めていく。
ジジイも自分が8年も隠した嘘をばらされたことにより、「やっぱりよくないよねぇ~・・・」と、後ろめたさを感じはめてパワーダウン。
上半身を思いっきり損傷してしまうことはおろか、少女との幸せな8年間の思い出が詰まった家を燃やされる始末。
「自分の娘が殺されたから、殺した相手にスポイト経由で妊娠させる」ろくでもない変態であり、今回発覚した「よそ様の家の少女を誘拐して自分の娘として育てていた」って事実から、こいつに感情移入なんか絶対しねえかんなぁ!と思ってたんですが、さすがにここまでコテンパンにやられてしまうと、半ば動揺を隠しきれない自分がいました。
武装集団のボスは、序盤で自分の正体を明かします。
少女フェニックスの本当の父親であることを。
まるでメッシュのように生えた白髪がボスにもあることから、フェニックスの中で心が揺らいでいくんですね。
中盤はそんなフェニックスとボスとの親子のエピソードになっていくんですが、そこはドントブリーズ。
ジジイをフルボッコにし、愛犬シャドーを射殺し、自分が住んでいた家をも燃やす極悪人ですよ。
そもそも本当の父親ならそんなことまでして報復しますかって話。
要は前作で対立させた「コソ泥VS変態」というどちらも善人ではない対決をバージョンアップさせたお話だったんですね~。
後半もボスたちの具体的な思惑や企みが明かされていくことで、さっきまでジジイに気持ちが傾きかけてた自分を恥じたくなるほどクソな連中。
さすがドントブリーズの続編だなぁと少々感心してたんです。
しかし僕の感情は、結末でのジジイの発言により怒りへと変わりましてね。
監督らは本作におけるジジイを「アンチヒーロー」としてでなく「アンチヴィラン」にしたいと言及されてました。
確かに前作であんなことしてたのに、勝手に正義感むきだしにされちゃあたまったもんじゃありませんし、ターミネーター2のようにはいきませんでしょ先生と。
劇中では自分を正当化せず、これまでしてきた行動と向き合うような発言をし始めます。
いわゆる贖罪というやつでしょうか。
まぁそれは理解できる。
ようやく自分のしてきたことに気付いたか。
少女を命を懸けて守ると。
いや待てよ。
ジジイはいつからそんな気持ちを抱き始め、自分がしてきたことを恥じて、少女に償いをしようと決心したんだ?
全く過程が見えないじゃないか。
盲目だけにみせねえってか?
バカ野郎!ふざけんな!
結局武装集団に、8年間手塩にかけて育てた時間と労力を奪われたからなんじゃねえのか?
命が尽き果てようとしたから、せめて最後は良い人でいたいって欲求が芽生えただけなんじゃねえのか?
せめて少しでも自分がやってきた償いの気持ちを、フェニックスとの生活で表情なり行動なり何かしらの戸惑いのようなそぶりを見せていれば、あんな結末でも許せたのに、急に「俺のことは置いて行け!」って言ったって、こちとら納得いかねえよと。
もっと言うと、設定も続編としてどうなのよと。
息するな!ってタイトルなのに、劇中で「息しろ!」ってのはさすがに笑ってしまったし、何よりあの「息もできない」状況を生むドキドキの緊張感が本シリーズの一番の魅力なのに、劇無音状態少ないし、相手が強いからジジイ無双もねえし、少女以外脅えてる奴いねえから怖さ全然ないし。
一応傷口がクローズアップしたり、瞬間接着剤男に息させるために頬に穴開ける所をモロ見せしたり、ハンターハンターのヒソカみてえな頭した奴に、ナイフでサクサク切ったりハンマー投げたりする惨殺描写はゾクゾクしたけどもだ。
それこそ一軒家のなかで地下室や観葉植物の部屋だったりって面白そうな舞台が用意された場所なのに、前半で全部使いきって、後半は敵のアジトってのもなんか魅力半減だし。
1つの場所に絞って暗がりの中で戦うから盲目ジジイが強いわけで、敵を強くさせて舞台二つにしたらジジイの良さ台無しじゃないですかね。
まぁあとは8年後に時間を移してってのもね。
例えばですよ、前作で被害に遭ったロッキーが誰かと結婚して子供を産んだんだけど、ジジイにさらわれてしまって8年が経った。
この部分を終盤で明かして、やっぱりジジイは彼女を根に持っていて、未だに娘に執着していたと。
その間はどうにかロッキーとジジイが再び対峙する構図を作っていただいて、ジジイはやっぱり自分を正当化する変態で、暗闇じゃかなわない相手だったって方が続編としてまだ成立する気がするというか。
要するに、これまでの自分と折り合いをつけさせるジジイってプロットの時点で無理がないかと。
アンチヴィランなんだから、アンチヴィランで行けよと。
変にお涙頂戴みたいな結末にするなよと。
最後に
あくまで続編という位置から感じた感想なわけで、何も考えずに楽しめるスリラー映画ではあるんですよね~。
敵の犬を殺さない善良な心も持ってるジジイの側面もあったし、床に水張って相手が歩くとできる小さな波で敵の数を察知して銃をぶっ放すアイディアとか面白かったですよ。
あとは敵のボスの夫婦のクソっぷりも胸くそ悪くて、ジジイの相手には十分すぎる敵でしたし。
出来れば少女が土壇場でああいう行為をさせるのはやめてほしかったなぁ。
序盤から臨機応変でしたし、ピンチに対する危機管理能力が優れてたんでね、いずれ行動するだろうとは思ってましたけど。
結局、結末のセリフに対して逆鱗に触れたってことで、荒っぽい感想になってしまいました。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10