シンプル・フェイバー
家族や兄弟、夫婦、そして親友。
どんなに仲が良くても決して言えない秘密があると思います。
僕も決して人にはいえない秘密があります。それは、
こんにゃくが食べられないこと。
しょうもな。
はい、というわけで今回鑑賞する作品は、消えた友人の行方と秘密を探るお話。
美人女優二人が織り成すオトナのミステリーをフレンチポップスに乗せて描くそうで、外見はオシャレ、中身はドロドロな予感。
とはいえ、監督が「ブライズメイズ」や「ゴーストバスターズ」のポール・フェイグですから、ユーモアたっぷりの会話劇の連発だろうし、ただのミステリーでは終わらせないはず。
とりあえずだ、ブレイク・ライブリーとアナ・ケンドリックって絵面だけで既にマンマン満足だろう!!
というわけで早速鑑賞してまいりました。
作品情報
ビデオブロガーで生計を立てるシングルマザーと、セレブリティなファッション業界で働く野心的なキャリア女性。
全く対照的な二人が、息子が同じ学校という共通点から仲を深めていくが、キャリア女性が突如息子を残し失踪したことで、シングルマザーは彼女の行方を追うことになってしまうサスペンスミステリー。
2017年にダーシー・ベルが小説家としてデビューした作品「ささやかな頼み」。
当時「ゴーン・ガール」と比較する評論家も多かった今作を、出版前に映画化権を取得し製作に取り掛かったことで話題となった。
この稀有な作品を、「ブライズメイズ~史上最悪のウェディング・プラン~」や女性版でリブートさせた「ゴーストバスターズ」を監督した女性コメディ映画のパイオニア、ポール・フェイグによって、フレンチポップ・ノワールへと昇華させた。
女性二人の間に生まれる嫉妬や羨望、友情と利害、そして言えない秘密。
オンナ同士のしたたかさをブラックユーモア満載のポップなサスペンス映画、あなたはこの結末を決して読めないだろう。
あらすじ
ニューヨーク郊外に住むステファニー(アナ・ケンドリック)は育児や料理についてのブログを運営しているシングルマザー。
ある日、同じクラスに息子を通わせるエミリー(ブレイク・ライブリー)に誘われて、豪華な邸宅を訪ねることになる。
事故で夫を失い、保険金を切り崩しながら子供を育てている朗らかで気立てのいいステファニーと、スランプに陥っている作家の夫、ショーン(ヘンリー・ゴールディング)と愛し合い、華やかなファッション業界で働くどこか気怠くミステリアスなエミリー。
対照的なふたりだったが、お互いの秘密を打ち明けあうほど親密な仲になっていった。
そんな中、ステファニーは息子を学校に迎えに行ってほしいとエミリーから依頼される。
その後、エミリーは息子を引き取りには現れず、失踪。
親友を助けたいと思ったステファニーは、残されたエミリーの息子とショーンの身の回りの世話も買って出て、自身のブログでも情報を募る。
手がかりを求めてエミリーが働いていたオフィスを訪ねたりもしたものの、彼女の行方はなかなかつかめなかった。
やがてミシガン州でエミリーを目撃したという情報が入るが……。(HPより抜粋)
監督
今作を手がけるのはポール・フェイグ。
冒頭でも書きましたが、「ブライズメイズ」や「ゴーストバスターズ」、それから「SPY/スパイ」など、「サタデーナイトライブ」出身者のコメディエンヌたちを起用して大ヒットさせたお方です。
男の監督が女性を撮ると、どうしても男目線になってしまいがちだと思うんです。
例えばエロく撮ったり、美しく撮ったり。
でも彼の場合、女性同士の醜い部分を包み隠さず見せて笑いにすることで、女性が共感できるように手がけているのが魅力です。
ある意味女性らしさを前面に出したコメディ映画を作り続けていると思います。
ですが、今作の主演は正統派の女優さん。
あれ?コメディ女優たちの姿は?
ちょっとこれ僕の中でがっかりなところ。
クリステン・ウィグのスケジュール抑えられなかったのでしょうかw
監督に関してはこちらをどうぞ。
キャスト
ビデオブロガーのシングルマザー、ステファニーを演じるのはアナ・ケンドリック。
はい、歌うまい、踊れる、美人、胸大きい。
完璧です。これ以上彼女に臨むものはありません。
そしてこのブログでも結構登場してるのでこれ以上書くことがありませんw
今回の役どころ、ブログの運営をしているという点が僕と共通しているので、何か参考になるシーンがあればいいなぁと。
彼女に関してはこちら。
そして、アパレル業界に勤めベストセラー作家を夫に持つも、失踪してしまう人妻エミリーを演じるのは、ブレイク・ライブリー。
はい、こちらの美女です。
ブロンドヘアがまぶしい、長身でスレンダーなプロポーション。
おまけにダンナはライアン・レイノルズ。
関係ないかw
僕がレンタルビデオ屋に勤めていた頃に空前のブームだった「ゴシップ・ガール」のおかげといっても過言ではないんでしょうが、とりあえず世界的に売れてよかった。
昔からこの美貌だもんね。
「旅するジーンズと16歳の夏」とか見ると、ひときわ美人だってのがよくわかる。
でもって、あれから変わってない。
「グリーンランタン」も「ザ・タウン」の彼女もいいんだけど、彼女のエロスな部分を見たければ「野蛮なやつら/SAVAGES」とかオススメです。
最近ではウディ・アレンの「カフェ・ソサエティ」にも出演して活動の幅を広げているので、そろそろ賞レースに食い込んでもいいのかな?
まず旦那が先かw
彼女に関してはこちらをどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
エミリーの夫ショーン役に、「クレイジーリッチ!」のヘンリー・ゴールディング。
エミリーに執着する女ダイアナ役に、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」、「グリーンブック」のリンダ・カーデリーニ。
エミリーに無関心な上司デニス役に、「プライドと偏見」、TVドラマ「ホームランド」のルパート・フレンドなどが出演します。
赤と青が強く主張された2人の物語。どんな女の秘密と皮肉がこめられたサスペンス映画になっているんでしょうか。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
ん~!やっぱりセリフどっさりの会話劇!
でもでも!真実に近づくにつれて二転三転するサスペンス要素が非常に面白かったぞ!!
以下、核心に触れずネタバレします。
確かにゴーンガールの要素がある。
NY郊外に暮らすシングルマザーが、息子同士が同じ学校という縁でセレブリティなママと親密になっていく中で、突如の失踪。
好奇心旺盛な性格から、どんどん彼女の素性と行方を追っていくシングルマザーが、愛にうつつを抜かしながらも二転三転していく物語の展開に、見終わった後整理するの大変だけど中々よくできた映画でございました。
前半はコミカルな雰囲気を醸し出しながら進むんだけど、中盤からはエミリー捜索に奔走するステファニーを中心に、シリアスなミステリー要素を徐々に膨らませ、その過程で禁断の恋愛要素を入れていく。
後半は一体なぜエミリーは姿を消したのかに焦点を絞った話かと思いきや、正反対の2人の女性の壮大な駆け引きと、それに巻き込まれるエミリーの夫ショーンのマヌケっぷりがどんどん正体を現してきて、「切り札は先に見せるな」的な絶妙な駆け引きが繰り広げられる、緻密な脚本に唸った作品でした。
「ゴーンガール」と比較された原作ってことでしたが、なるほどその意味が凄く分かるぞ!という印象を強く感じた映画です。
表面的には金持ちで理想的な夫婦に見えるけど、裏側はかなり切迫した状況で関係も順風満帆ではなく、妻の行動によって謎が謎を呼ぶエミリー夫妻って設定はよく似ている気がします。
そこに割って入るシングルマザーのステファニーが、もしかしてエミリー失踪の犯人なのか?ってのを匂わせたり、
ジリ貧階級ならではの成り上がり根性が根っこにあって、実は彼女、相当したたかな女だったのか?ってのも匂わせたり、
という具合で中々の曲者なんですよね。
非常に話が見えてこない謎めく展開の行方を、彼女によって創意工夫させてる点が非常に良かったです。
またBGMもフランソワーズ・アルディの「さよならを教えて」が強いインパクトをあてている通り、フレンチポップ中心で構成されてる点がよく、このラインナップにエミリーのセレブリティなファッションや赤と青の色彩を下地に、郊外にある住宅街の均等的なデザインや、中に映える緑の自然が、この映画の世界観をうまく作っていましたね。
何を遠回しに言ってんのかw
要するにオシャレな映画だったってことです、はいw。
このように外身はオシャレですが、中身は女性二人が持つヒミツによって、どんどん複雑な物語になっていくミステリーサスペンスというミスマッチなのかそうでないのか、とにかくアンバランスに見えない雰囲気になってるのがとてもよかったと思います。
他人の秘密は蜜の味。
シングルマザーといっても実際はビデオブロガーとしてジリ貧ながら生計を立てる、いわゆる自立した女性ステファニー。
学校行事にも積極的に顔を出し、いつも明るく清く美しく周囲に振る舞う姿は、端かられば結構なおせっかい。
PTAの中にもこういうお母さんいるよね・・・ってくらい。
その持ち前の明るさで、全く対照的な立場にいるエミリーと親しい仲になっていきます。
エミリーはファッション関係のお仕事をしているキャリアママ。
タイトなスーツにハットをかぶり、降りしきる雨の中現れるファーストカットは、ある意味笑えます。
明らかに子供に一生懸命な母親のイメージはそこに無く、昼間っからマティーニをカッくらって、奔放に生きている、そんな感じです。
もちろん仕事ファーストですから学校行事なんか顔を出さず、ステファニーが彼女の子供を預かるときに、嫌いな食べ物は?アレルギーは?と聞くと、食べたくないものは食べさせないで、なんて結構放任的。
こんな対照的な2人ですが、お互いの秘密を語っていくうちに距離を縮めていくんですね。
ただ客観的に見ると、ステファニーはエミリーに好意を持っているけど、エミリーは彼女をシッター程度にしか見ていない感じもします。
劇中では客観的に見てくれる人物もちゃんと登場するので、彼らがこの映画のツッコミ役になってるのがナイス。
だって彼女たちの関係、どう見ても釣り合っているように見えないでしょう。
どの社会にもカーストがあって、上の階級と下の階級が仲良くなるなんて、まずありえませんもの。
どっちかが無理してるとしか。ねえ。
さて、冒頭でも書きましたが、どんなに近しい人物でも誰にも言えない秘密があると思います。
でもそれを打ち明けた時、一つの壁を壊した感覚になったり、その秘密の内容によっては共犯くらいな気持ちを持つことってないでしょうか。
砕いていうと、相手と急接近した感覚になるってことです。
だって誰にも言えない秘密を言える間柄になったわけですし、それってもう親友同然てなりますよね。
ステファニーはエミリーと互いのい秘密を打ち明けあったことがきっかけで、階級の枠を超え深い関係になれたのであります。
だから第三者が見て不思議がっても彼女らは気にしないのです。
ただこの打ち明け話には小さな駆け引きがあったのです。
エミリーはその駆け引きを行っており、ステファニーは気づくのが遅かったんですね~。
実際どんな話をしたのか。
エミリーは旦那と助手と3Pをしたことがあると打ち明けます。
なんて夫婦だ!
なかなかの暴露につられたステファニーは、父の葬儀に現れた父そっくりな青年、これが父の浮気によってできた子供であり、義理の兄だったことが判明、しかもその彼とエッチをしてしまったことを打ち明けます。
これ聞いたとき、明らかにエミリーの秘密よりもヘビーな内容だなぁと。
多分エミリーはもっと大きな秘密を持っていたはずなのに、ステファニーはいきなりデカい秘密を話してしまった。
カードゲームでいきなりジョーカーを出してしまったようなものです。
それだけ彼女と親しくなりたいという気持ちの現れだったのでしょう。
だって彼女と親しくなれば、彼女の優雅な生活を味わえるわけですし。
心のどこかで彼女に対する嫉妬と羨望が顔を出したに違いないのかと。
さてさて、突然子供を預け姿を消したエミリー。
ステファニーとしては、彼女の子供をいつまでも預かっておくわけにはいかないということで、連絡が取れないことに苛立ちと不安を抱えていくんですけども、結果ショーンと相談し警察に連絡することに。
それでも不安が消えないステファニーは、単独でエミリーの会社に赴き、彼女のオフィスを漁ったりします。
会社の人間はマイアミに出張中ということしか行方を知らず、しかも上司は彼女に無関心で、全然役に立たない。
すると彼女のデスクから、写真撮影を嫌がっていたはずなのに、彼女の写真が出てきます。
それもちょっとうつむいた表情で、プラス謎のメッセージ付き。
こうなったら自分のブログで「エミリー失踪事件」を世間に伝え情報を集めようと考えたステファニーは、毎日お手軽レシピの配信と共に拡散。
すると一つの情報が舞い込みます。
ミシガンで彼女に似た人と、提供された情報と同じ車を見かけた…と。
結果、湖で彼女の溺死した遺体が発見されます。
左腕にはステファニーが見せてもらったタトゥーと、旦那の母から譲ってもらった指輪が。
どうやら彼女、ヘロインを常用していたことが判明。
ん?確かに昼間からマティーニ飲んでるくらいのアルコール依存症だったけど、薬は手を出していたっけか?
落ち込むショーンに、子供の面倒を見ながら励ますステファニー。
やがて二人の間に、何かが芽生えていきます。
ステファニーはエミリーがいたポジションを徐々に奪い、憧れていたセレブリティな生活に。
そこに警察からエミリーに400万ドルの保険金が掛けられていたことを教えられ、ステファニーは心を許してしまったショーンに疑惑の目を向けていく。
日々の生活をショーンと息子2人の4人で過ごすことが多くなったんですが、ある朝食の日、ショーンの息子がママを見た!と言い出します。
別の誰かがそう見えることもあるでしょう、子供ですから。
でもあまりいい加減なこと言いなさんな、ママは死んだんだと真剣に話すショーン。
しかしステファニーはどことなく彼女存在を感じていたのです・・・。
エミリーの子供におやすみのキスをしたとき、ほのかに香る彼女の香水の匂い、
クローゼットにある彼女の服を処分したはずが元に戻っていたこと、
極めつけは自分の秘密が書かれた写真が送られてきたこと・・・。
なぜ死んだはずの人間が自分の周囲で気配を感じるのか、
もしや彼女は生きているのか、
それともこの罠を仕組んだのは、彼女に保険金をかけた夫ショーンなのか、
それとも行方を追っていながらも、憧れの生活を手に入れたステファニーが本当の犯人なのか。
真相は誰も予想しなかった展開へと進んでいく。
最後に
終盤は怒涛の展開です。
失踪の謎は解けたけど、どう片付けるのか、決着をつけるのかってなるんですけど、これが凄い勢いで真犯人が誰かって配役が変わっていくんですね。
そして切り札を先に見せてしまった者が、最後の最後で切り札を出す様は爽快です。
ただこの見せ方は面白かったんですが、意外と失踪の理由がありきたりというか新鮮味がなかったのが少々残念な所。
そしてポールフェイグならではのコメディ要素があまり多く感じなかったのが残念。
会社の受付嬢のロボット的対応とか、妻が死んだあと妻の親友と親密な関係になる確率は90%とか、学校行事ででしゃばるステファニーとか、色々細かい点で笑える部分はあるんですけど、「ゴーストバスターズ」ほどのギアではなかったんですよねぇ…。
まぁこれはいつもですが、アナ・ケンドリックの早口はいつ見ても笑えますw
どういう舌をお持ちなのか。
今回の映画の教訓としては、まず秘密を打ち明けるなら小さいことからにしましょうと。切り札は先に見せるなってことで。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10