初恋
僕の「初恋」。
幼稚園に途中から入ったことで、いじめられていた僕を救ってくれた子でした。
家が近所で遊んでたんだけども、恋敵がしょっちゅう参入してきて、子供とはいえ、かなりジェラってたなぁw
そんなあの子、今どこで何をしてるんでしょうか。
初恋ってのは振り子細工の心で、これからもきっと相手に焦がれて、今はまだ悲しいラブソングで、いつまでもその影を追い求めていて、どうやったって手の届かないものだってのを、村下孝蔵やaikoや宇多田ヒカルから教わりましたw
・・・最近みんな興味ねえよなぁw、と思いつつも、この過去バナから入るの好きなんです。
軽く流してくださいw
というわけで今回は「初恋」という映画の感想です。
お、モンキーもとうとうピュアラブ系壁ドンキラキラ映画に手を出すのか?とお思いでしょうが、これがどうやらその手の映画ではなく、ヤクザにマフィアに悪徳警官といった裏社会のゴタゴタに巻き込まれてしまった男女のお話だそうで、バイオレンスにぶっ飛んだ描写なんだとか。
まぁどんな世界であれ環境であれ、初めて好きになった人のことを初恋と呼ぶのですから、タイトル詐欺でも何でもないんでしょうけど、それだけでピュアな物語だとイメージを膨らませて見に行ってドン引きしないことを祈りますw
しかも監督は、ここ最近実写化不可能といわれた様々なコンテンツを、クライアントから受けた発注をきっちり予算内で作り上げ利益をもたらすものの、その無難すぎる内容や荒唐無稽さが目立ってしまい、作るごとに酷評の嵐を巻きおこしてしまうあの方。
あぁ大丈夫なのか・・・?、と思ったら公開前のレビューでは大絶賛の嵐。
一体何が起きてるのか。
いや?待てよ?あの方、確かに無理難題請負人だけど、本気だしたらすっげ~良作作るってこと忘れてたよ!
ちょっと胸高まってきましたよ!ボンババボンだ!
というわけで早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
カンヌ国際映画祭をはじめ、世界各国の映画祭に招待され、熱いスタンディングオベーションを受けた日本映画がついに凱旋する。
余命僅かのボクサーとヤクザに利用された少女の出会いをきっかけに、ヤクザやチャイニーズマフィア、悪徳警官など、裏社会を牛耳る相手から追われながらも主人公の心に灯った想いを馳せていく濃密な一夜を、多様なジャンルを盛り込みバイオレンスたっぷりに描いた、監督オリジナルストーリー。
今をときめく役者陣と、本物さながらの凄味と睨みをきかせたバイプレーヤーらが競演し、他の配給会社と一線を画す「東映」ならではのジャパニーズノワールが誕生した。
本能を刺激する描写に、胸を打つロマン。
混沌としていく世の中で、「純愛」だけが希望。
あらすじ
欲望うずまく新宿・歌舞伎町。
天涯孤独のプロボクサー・葛城レオ(窪田正孝)は稀有な才能を持ちながら、負けるはずのない格下相手との試合でまさかのKO負けを喫し、試合後に受けた診察で余命いくばくもない病に冒されていることを告げられた。
あてどなく街を彷徨うレオの目の前を、少女が駆け抜ける。
「助けて」という言葉に反応し咄嗟に追っ手の男をKOする。
が、倒した男は刑事!
レオは懐から落ちた警察手帳を手に取ると少女に腕をひかれ現場を後にする。
少女はモニカ(小西桜子)と名乗り、父親に借金を背負わされ、ヤクザの元から逃れられないことを明かす。
さっきレオが倒した男は刑事の大伴(大森南朋)で、ヤクザの策士・加瀬(染谷将太)と裏で手を組み、ヤクザの資金源となる“ブツ”を横取りしようと画策中。
その計画のためにモニカを利用しようとしていた。
ヤクザと大伴の双方から追われる身となったレオは、一度はモニカを置いて去ろうとするが、親に見放され頼る者もいないモニカの境遇を他人事とは思えず、どうせ先の短い命ならばと、半ばヤケクソで彼女と行動を共にする。
かたや、モニカと共に資金源の“ブツ”が消え、それを管理していた下っ端組員のヤス(三浦貴大)が遺体で見つかったことを、その恋人のジュリ(ベッキー)から知らされた組員一同。
組長代行(塩見三省)のもとで一触即発の空気が漂う中、刑期を終えて出所したばかりの権藤(内野聖陽)は、一連の事件を敵対するチャイニーズマフィアの仕業とにらみ、組の核弾頭・市川(村上淳)らと復讐に乗り出す。
ヤスの仇を自らの手で討ちたいジュリもそれに続いた。
一連の黒幕と疑われたチャイニーズマフィアのフー(段鈞豪)もまた、売られたケンカを買ってシノギを乗っ取ろうと、モニカとブツの行方を追うために、構成員のチアチー(藤岡麻美)に命じて兵力を集めにかかる。
ヤクザと悪徳刑事にチャイニーズマフィア。
ならず者たちの争いに巻き込まれた孤独なレオとモニカが行きつく先に待ち受けるものとは……。
欲望がぶつかりあう人生で最も濃密な一夜が幕を開けた!(HPより抜粋)
監督
今作を手掛けるのは、「世界のMIIKE」こと三池崇史。
今回「原点回帰」したのではないか、という言われるほど、「三池ワールド」になっているそう。
これまで「テラフォーマーズ」や「妖怪大戦争」、「ヤッターマン」に、「ジョジョの奇妙な冒険」と、実写化やオファーされた作品ばかりを手掛けたせいで、ここ最近彼の名前を聞くと、「あ~またか…」「こりゃだめだ」みたいな空気になっちゃってますよね…。
かくいう僕もその一人で、なんでこの人なんだ…もっとやるべき作品があるだろう…仕事選んでくれ…など、いろいろ否定的な思いになっちゃって。
でもですよ、彼が本気出して自由度の高いクリエイターファーストな環境でやったら、「殺し屋1」や「デッド・オア・アライブ」、「十三人の刺客」みたいに、低予算でもクオリティの高いもの、荒唐無稽だけど味がありクセになる、そして熱くなれるアクションも撮れる人なので、今作での高評価の要因て、そういう監督にかかるしがらみが少ないからできた「身軽さ」からなのかなと。
きっと今回もいろいろと狂ってるんだろうなぁw
監督に関してはこちらをどうぞ。
登場人物紹介
- 葛城レオ(窪田正孝)
天涯孤独ながら天性の才能を持つプロボクサー。負けるはずのない相手にKO負けを喫し、余命いくばくもない病魔に侵されていることを知る。自暴自棄の中、歌舞伎町でモニカと出会い、人生でもっとも濃密な一夜を過ごすこととなる。
- 権藤(内野聖陽)
オールドスタイルの武闘派ヤクザ。シャバにでると時代が変わり、組の弱体化を憂うも、ブレることなく武闘派を貫いて日本刀片手に抗争へ乗り込む。喧嘩っ早さから敵も多く、チャイニーズマフィアから恨みをかっている。
- 大伴(大森南朋)
アンダーグラウンドに足を踏み入れた悪徳刑事。裏で加瀬と手を組み、ヤクザの資金源を自らの利益にしようとブツの強奪を画策している。レオに警察手帳を奪われ、加瀬と共に二人を追う。
- 加瀬(染谷将太)
組織の中でうまく立ち回り上りつめたヤクザの策士。裏で大伴と手を組み資金源の横流しと生き残りを画策するが、計画が狂い続け組織から命を狙われる身となる。
- モニカ(小西桜子)
不遇な家庭環境から、ヤクザに身売りされ囚われの身となっている少女。歌舞伎町で大伴から逃げる際に偶然レオと出会い、逃避行の中で次第に生きることへ前向きになっていく。
- ジュリ(ベッキー)
彼氏を殺され復讐の鬼と化す女。ヤクザの構成員である彼氏に惚れ込み、シノギを手伝っていたが見た目に反して純粋で、一度キレたらどこまでも止まらない。
- 市川(村上淳)
世話になった権藤の出所を心待ちにしている昔気質な武闘派ヤクザ。曲がったことが嫌いで、組織の中での裏切りや抜け駆けには厳しく、義理人情を重んじている。
- 組長代行(塩見三省)
実力者が軒並みしょっぴかれ、昔とった杵柄で組長代行を務める。鋭い眼光で組織を束ねるが、時代の隆盛とともに弱体化した組織と自らの求心力に陰りがみえていることに諦念を覚えている。
(以上HPより抜粋)
内野さんといい塩見さんといい、アクの強いのがヤクザやってるって時点で説得力ありますからね~、それだけでワクワクしちゃいますが、果たして。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
三池流タランティーノでガリ・リッチーで、そこに「仁義」をぶちこんだ、恋愛映画の仮面をかぶった抗争群像劇。
いいとこも悪いとこも含めて、楽しかったぜ!
以下、ネタバレします。
表向きは抗争劇。
今を生きにくくなっている昭和気質なヤクザと、そのヤクザに因縁がありながらもヤクを牛耳りたい中華野郎が、ヘッポコ策士のアクシデントによって抗争化していくという火だるまの中に、余命宣告を受けたボクサーとヤク中売春女が巻き込まれていく群像劇を、生首上等!血まみれ上等!コンプラ無視上等なバーリトゥードをかまし、血気盛んなキャラのむき出しの暴力と、三池流ギャグが炸裂することで、おいおいどこに初恋の要素があるんだよwと思いながらみてたら、「そういうことかい!(涙)」と膝を打つ、「トゥルー・ロマンス」かと思いきや「レザボア・ドッグス」で「スナッチ」のような、なかなかの面白さでした。
見る前はこの映画、窪田正孝演じるレオと抗争に巻き込まれた少女モニカが、ヤクザとマフィアに狙われて逃避行をする中で、愛が芽生えていく、そんな単純な物語だと思ってました。
いざ、ふたを開けてみたらとんでもない、彼らはあくまで物語のピースに過ぎず、ヤクザもマフィアも皆同等の扱いで描かれていく群像劇だったんですね~。
親の顔も知らずに自分のために無感情に生きるボクサー、クソオヤジの亡霊に悩まされながら生きている売春婦、武闘派過ぎて早く隠居したい組の構成員、マル暴の身分を使って私腹を肥やす悪徳刑事、半グレ上がりの彼氏を殺されバーサーカーと化した彼女、親父の遺志を引き継いで昔のような組にしたいカシラ、そのカシラを復讐したいと願うチャイニーズマフィア。
どれもキャラが立っていて、背負ったものがあって、物語があって交差していく。
全員がいなければ、この恋は成立しなかった、というキャッチコピーも納得のキャラたち。
きっかけはヘッポコ策士である加瀬が練った計画。
たまたま通りかかったレオが介入しなければうまくいったであろうコトなのに、まるで小さなネジが外れたかのように少しづつ狂い出していき、挙句の果てにはほとんどの人物が命を落としていく様は、正に「レザボアドッグス」。
あれが好きな人にはうってつけのクライマックスで、バイオレンスなのに妙な清々しさを感じた作品でした。
抗争に巻き込まれていくレオとモニカ。
親に捨てられ「これしかなかった」とボクサーの道を歩んでいくものの、勝利をおさめてもアルバイトをしていても心ここにあらずな男。
そんな「死んだように生きている」男が余命宣告を受けヤケを起こすついでに人助けまでしてしまう。
そのとっさの行動がやがて彼を「死んだ気になりゃなんでもできる」気持ちにさせ、モニカという希望を見つけることで「生きる喜び」を見出していく姿は感動モノでした。
またモニカも、親父の借金の肩代わりに組に売春婦として差し出され、しかも逃げられないようにヤク漬けにされてしまうという、なんとも不幸な生い立ち。
彼女がひたすら見る幻覚にはパンツ一丁の親父が登場し、モニカに何度も恐怖を与えていく。
そんな彼女の幻覚が偶然を呼び、出会うことになるレオと逃避行。
最初こそ占いからの導きによるレオの人助けでしたが、その後もモニカの世話をしていく。
「どうせ死ぬから」と思ってるはずなのに、どうしてそこまで世話を焼くのか?と少々疑問がありましたが、きっとモニカの苦しい生い立ちが自分と重なったのでしょう。
それか死ぬ前にひとつくらい誰かのために、という占い師の助言を信じたのか。
これが僕なら彼女ほっときますけどね…だって死ぬって言われたんですから、もっと荒れるんじゃないかって。
寧ろメイドの土産にいっぱ・・・、やめとこう。
とにもかくにも、この出会いからどう恋に発展いていくか、というお話かと思ったんですが、どこでレオが思いを寄せていくとか、モニカがレオに想いを寄せていくとか、そういう話にしてなかったのが逆に良かったと思うんです。
なんていうんだろ、きっかけがあったわけでもなく、決め手になった言葉もない。
ただ巻き込まれただけのモニカを、ただ巻き込まれただけのレオが守り抜く、それだけなんですよね正直。
でもそこには「仁義」があって、守り通す美しさがあって、それが結果「愛」に変わるという。
これを表だって描いてないのがまたズルいというか、変な映画にさせてるというか。
ラストシーンがね、ホントズルいんですよw
・・・今日は筆が進まぬ・・・
ナイスキャラたち。
やっぱり僕が一番良かったと思う点は、キャラのたった登場人物たち。
染谷将太演じる加瀬に至っては、一見頭のキレそうなヤクザなんですがとんでもない。
大まかな計画はすごく巧妙で、これなら誰も殺さずに事を運べる、そんなように聞こえたんですが、肝心の発案者がへたっぴでしたwというもの。
ブツを監禁部屋へ運ぶ半グレ上がりの下っ端ヤスをスタンガンで気絶させようとしたけど、ドアノブに手をぶつけた拍子でスタンガンを落とし、ヤスに気付かれ覆面をはがされ、結果正体がバレるw
そんなしょうもないバレ方をしたせいで、結局殺さなければいけなくなり、色々想定外が起こっていくわけです。
この時点で、あ、こいつが色々ことを大きくさせちゃうんだな…ってのが薄々わかっていき、その後も車の助手席に乗っているジュリのシートベルトを外し、急発進急ブレーキを何度もすることで気絶させ、家まで運んだらまさかのばあちゃん登場!こういう場合一人暮らしだろ!と叫んでばあちゃんもぶん殴る、色々めんどくさくなってるはずなのに、家を燃やす仕掛けは案外精密w
イヌのぬいぐるみに紐括りつけ、その先にある火のついた線香が着火剤となり、家に撒いた灯油で一気に燃え盛るという仕組み。
やっぱ頭いいなw
そして気づかれず尾行していた同僚に脅されつつも、間一髪で逆転勝ち。
こんな具合で計画はうまくいかないわけで、さらには撃たれた傷にブツを刷り込んで、痛みを忘れたある意味無敵なヤクザに大変身と、物語が進むにつれて変化していくキャラになってましたね。
実際悪徳刑事に突っ込まれて気付いたんですけど、最初のスカした顔から途中眉間にしわが寄った険しい表情、そこからヤクが回ってヘラヘラしながらのたうち回るという、表情の変化が一番変わった男でしたね。
で、彼以上にインパクトのあったのがベッキー演じるジュリ。
半グレ上がりの構成員ヤスを愛している故、殺された復讐をするべく狂気の女へと変貌を遂げるナイスキャラ。
最初こそ銃を突き付けられ怯えていたわけですが、いざ殺される立場になったら、女の色気を使って隙を作り、飛び蹴りからの顔面を地面に向けてボッコボコに蹴りまくる姿は見ていて清々しいです。
装いもまた面白くて、モコモコパーカに中はスポブラにショートパンツ、そして裸足。
ヤスを殺したのが加瀬と分かった途端、鉄の棒を肩に背負って復讐の鬼と化す姿は一見の価値ありで、「麻雀放浪記2020」で見せたベッキーの変わり様は今作でも見事でした。
彼ら以外にも、武闘派ヤクザである権藤も、昔気質なヤクザ、というか海外の人が喜びそうな怖さ。
刀を振り回すおっかねえ怖さもありながら、抗争に関係のないレオには仁義を通す、筋の通った男。
確かにあんたにゃ朝日は似合わねえやw
最後に
いきなり生首が転がったり腕が落ちたりするショッキングな映像や、銃撃戦による血が飛び散る生々しさからバイオレンスに見えがちですが、それを調和するかのように飛び込んでくるユーモアはすごく笑えます。
なんてたって幻覚が踊り出しますからw
とは言え正直言うと、前半はややテンポがよろしくない。
群像劇であるが故に、色々登場人物を1エピソードずつ見せなくてはいけない丁寧な作りになっていて、ここがややスローテンポ。
レオ、モニカ、そしてヤクザにマフィアと順番に見せていて、その中で加瀬が計画を実行するんですけど、ここをもう少し早く展開していれば弛まずに済んだのかなぁと。
実際僕の気持ちが高ぶったのは、加瀬らとレオが合流してからのカーチェイスで、あれくらいワクワクするシーンをもっと序盤で入れておけばなぁと。
ただ後半からの抗争表面化してく段階はすごく面白くできてるし、クライマックスのホームセンター大決戦は非常に楽しく愉快。
そしてラストシーン。
非日常的な映像を沢山見せた後の、日常のほんの些細な一場面を遠くから映す、粋な演出。
誰にとっての初恋だったのかは、見てのお楽しみだと思いますが、見終わった後は良いたタイトルだったなぁと。
てかもっと書きたいことあったんだけど、何か今日は歯切れが悪い・・・
淡泊な感想ですみません…
とにかく三池監督作品としては久々に楽しめた作品でございました。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10